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第48話 さぁ、コントラクト(口封じ)しようか!
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信之は、家に戻った。
「待たせちゃったかな。」
「おかえりなさい。」
おかめがピエロの方を向いて笑顔で返す(おかめはもともと笑顔である)。
「…お、おかえりなさい。」
「わっ、お、おかえりなさい。お父さんとお母さんは!?」
奏がすぐに信之の方に走っていく。両親の事が気になるようだ。
「病院の院長さんにお願いしたよ。この騒動が落ち着いたら正式に手続きをとってくれるって。」
「…ありがとうございます。」
「お父さん、お母さん…よかった…。ありがとう…ございます。」
まだまだ、両親の事を考えると辛い気持ちになってしまう様だが、何とか会話は出来そうだ。
「…あ、あの…おかめさんには答えて貰えなかったのですが、お二人は何者でしょうか…?」
再度蒼汰が問う。
(信くん、この子にどうしてかって聞かれてどうしようって思ってたの…。正体言っちゃっていいか迷っちゃって…。)
(なるほど。…よし、コントラクトするか!)
信之は、誘いの門鍵のコントラクトをする事に決めた。
(え?コントラクト?)
(コントラクトには俺を裏切れないという制約があるから、この二人が世間に俺の正体をばらすことはないと思う。更にイリスの正体がばれることも間接的に俺にとって害になるから裏切り行為になるので、それはできないのではないか?と思ってね。)
(で、でも確証は無いんだよね?)
(ないなぁ…。リスクはあるけど、イリスがそれでも良ければ行うよ。)
(…リスクはあるけど、正体を明かしたいかな。少ししか話してないけど、この子達は悪い子じゃないって思うし、こんな事があって凄く不安定な状態なのに、私たちの正体が分からないままというのは凄くストレスかなって思うの。)
確かに両親が殺されてかなり滅入った状況で、仮面を付けた二人と対話は、かなり精神的に辛いだろう。
(わかった、話そう。)
「私達…いや、俺達が何者かについて話す事は出来るが、その場合この場で知り得た情報等は他の人に話せなくなる。それでもいいか?」
信之は言葉を崩して話す。
「…話すな、ではなく話せなくなるですか。それは魔法みたいなものですか?」
「そうだ。契約をしてもらうことになる。」
「…特に誰かに話すつもりは無いので、契約するのは問題ありません。…ですが、何かこちらのデメリットになるようなことはありませんか?」
「私も契約してるんだけど、特に何もデメリットはないよ!」
イリスがフォローをする。イリスにとってはレベル上げが沢山できるようになったのだから、メリットだろうなと信之は思った。
「…そうですか…。ではお願いします。」
蒼汰に迷いはないようだ。
「君はどうする?」
信之は奏を見る。
「蒼汰がそう言うなら、奏にもお願いします。」
「わかった。」
信之は、コントラクトを行う為に誘いの門鍵の事について話した。
蒼汰と奏は正体を聞いているのに、なぜネックレスの話をするのかと訝しげに聞いていたが、それがコントラクトの条件だとわかって納得した顔となった。
「よし、これで二人ともコントラクト出来たぞ。」
「「…」」
二人は、信之の方を見て固まっている。
「ん?どうした?」
「…信之さんの、そのネックレス…なんていうか、その…め、珍しい造形ですね。」
「ちょっと、ううん。普通にダサいかも…。」
「あべしっ…!」
中学生の容赦ない評価(蒼汰は大分気を遣った)にノックダウンする信之であった。
その後、信之とイリスは奏達に正体を明かした。
「え!?神谷イリス…さん?」
奏が驚く。はじめは口頭で正体を明かしたが、あまり信じていなかった為イリスは魔装を解いたのだ。
「はい、神谷イリスです。よろしくね!」
イリスは奏に微笑んで挨拶する。
「は、はい!奏は、音羽奏です…。よろしくお願いします。」
「…音羽蒼汰です。よろしくお願いいたします。」
蒼汰も驚いた顔をしながら挨拶をする。
流石の蒼汰も、おかめの仮面で謎の動きをする人物が神谷イリスだとは思わなかったようだ。
「俺は平信之だ。よろしくな。」
信之は魔装を解除して二人に挨拶する。
「よ、よろしくお願いします。」
「…もしかして、ニュースになっていたイリスさんの彼氏さんって…。」
蒼汰は頭が良いだけではなく、勘も良いようだ。
「あぁ。俺だ。」
「え!?」
何も気づいていなかった奏は驚く。
「さて、挨拶も終わったことだしそろそろ行ってくる。」
「…ッ!」
信之がそういうと奏の表情が暗くなる。
日本のトップアイドルが目の前にいるという事で、今まで起こった出来事を頭の中の隅に追いやっていたが、信之の言葉で思い出してしまったのだ。
「テロの現場に戻るの?」
イリスは信之に問う。
「そう思ったんだが、病院で少し気になることを聞いてな。」
「気になること?」
「あぁ。どうやら天動は神奈川ではなく、東京にいるらしい。狙いは国会議事堂だ。」
信之は病院を解放する際に、天動衆の会話を聞いた。その話によると、天動衆は神奈川の一部を占拠し、その間に天動は現在国会議事堂に集まっている議員を根絶やしにするという話だった。
「それって、神奈川のテロは囮だったっていう事かな?」
「かもな。その騒動に乗じて天動はこっかい…」
「…あ、あの。ニュースが…。」
イリスと信之が話していると、蒼汰が遮りテレビに向かって指を指す。
どうやら何かニュースが報じられているようだ。
「———速報が入りました。国会議事堂が占拠されました。占拠した容疑者は株式会社Tenshinの代表取締役である天動神示であるとの情報が入っています。」
「待たせちゃったかな。」
「おかえりなさい。」
おかめがピエロの方を向いて笑顔で返す(おかめはもともと笑顔である)。
「…お、おかえりなさい。」
「わっ、お、おかえりなさい。お父さんとお母さんは!?」
奏がすぐに信之の方に走っていく。両親の事が気になるようだ。
「病院の院長さんにお願いしたよ。この騒動が落ち着いたら正式に手続きをとってくれるって。」
「…ありがとうございます。」
「お父さん、お母さん…よかった…。ありがとう…ございます。」
まだまだ、両親の事を考えると辛い気持ちになってしまう様だが、何とか会話は出来そうだ。
「…あ、あの…おかめさんには答えて貰えなかったのですが、お二人は何者でしょうか…?」
再度蒼汰が問う。
(信くん、この子にどうしてかって聞かれてどうしようって思ってたの…。正体言っちゃっていいか迷っちゃって…。)
(なるほど。…よし、コントラクトするか!)
信之は、誘いの門鍵のコントラクトをする事に決めた。
(え?コントラクト?)
(コントラクトには俺を裏切れないという制約があるから、この二人が世間に俺の正体をばらすことはないと思う。更にイリスの正体がばれることも間接的に俺にとって害になるから裏切り行為になるので、それはできないのではないか?と思ってね。)
(で、でも確証は無いんだよね?)
(ないなぁ…。リスクはあるけど、イリスがそれでも良ければ行うよ。)
(…リスクはあるけど、正体を明かしたいかな。少ししか話してないけど、この子達は悪い子じゃないって思うし、こんな事があって凄く不安定な状態なのに、私たちの正体が分からないままというのは凄くストレスかなって思うの。)
確かに両親が殺されてかなり滅入った状況で、仮面を付けた二人と対話は、かなり精神的に辛いだろう。
(わかった、話そう。)
「私達…いや、俺達が何者かについて話す事は出来るが、その場合この場で知り得た情報等は他の人に話せなくなる。それでもいいか?」
信之は言葉を崩して話す。
「…話すな、ではなく話せなくなるですか。それは魔法みたいなものですか?」
「そうだ。契約をしてもらうことになる。」
「…特に誰かに話すつもりは無いので、契約するのは問題ありません。…ですが、何かこちらのデメリットになるようなことはありませんか?」
「私も契約してるんだけど、特に何もデメリットはないよ!」
イリスがフォローをする。イリスにとってはレベル上げが沢山できるようになったのだから、メリットだろうなと信之は思った。
「…そうですか…。ではお願いします。」
蒼汰に迷いはないようだ。
「君はどうする?」
信之は奏を見る。
「蒼汰がそう言うなら、奏にもお願いします。」
「わかった。」
信之は、コントラクトを行う為に誘いの門鍵の事について話した。
蒼汰と奏は正体を聞いているのに、なぜネックレスの話をするのかと訝しげに聞いていたが、それがコントラクトの条件だとわかって納得した顔となった。
「よし、これで二人ともコントラクト出来たぞ。」
「「…」」
二人は、信之の方を見て固まっている。
「ん?どうした?」
「…信之さんの、そのネックレス…なんていうか、その…め、珍しい造形ですね。」
「ちょっと、ううん。普通にダサいかも…。」
「あべしっ…!」
中学生の容赦ない評価(蒼汰は大分気を遣った)にノックダウンする信之であった。
その後、信之とイリスは奏達に正体を明かした。
「え!?神谷イリス…さん?」
奏が驚く。はじめは口頭で正体を明かしたが、あまり信じていなかった為イリスは魔装を解いたのだ。
「はい、神谷イリスです。よろしくね!」
イリスは奏に微笑んで挨拶する。
「は、はい!奏は、音羽奏です…。よろしくお願いします。」
「…音羽蒼汰です。よろしくお願いいたします。」
蒼汰も驚いた顔をしながら挨拶をする。
流石の蒼汰も、おかめの仮面で謎の動きをする人物が神谷イリスだとは思わなかったようだ。
「俺は平信之だ。よろしくな。」
信之は魔装を解除して二人に挨拶する。
「よ、よろしくお願いします。」
「…もしかして、ニュースになっていたイリスさんの彼氏さんって…。」
蒼汰は頭が良いだけではなく、勘も良いようだ。
「あぁ。俺だ。」
「え!?」
何も気づいていなかった奏は驚く。
「さて、挨拶も終わったことだしそろそろ行ってくる。」
「…ッ!」
信之がそういうと奏の表情が暗くなる。
日本のトップアイドルが目の前にいるという事で、今まで起こった出来事を頭の中の隅に追いやっていたが、信之の言葉で思い出してしまったのだ。
「テロの現場に戻るの?」
イリスは信之に問う。
「そう思ったんだが、病院で少し気になることを聞いてな。」
「気になること?」
「あぁ。どうやら天動は神奈川ではなく、東京にいるらしい。狙いは国会議事堂だ。」
信之は病院を解放する際に、天動衆の会話を聞いた。その話によると、天動衆は神奈川の一部を占拠し、その間に天動は現在国会議事堂に集まっている議員を根絶やしにするという話だった。
「それって、神奈川のテロは囮だったっていう事かな?」
「かもな。その騒動に乗じて天動はこっかい…」
「…あ、あの。ニュースが…。」
イリスと信之が話していると、蒼汰が遮りテレビに向かって指を指す。
どうやら何かニュースが報じられているようだ。
「———速報が入りました。国会議事堂が占拠されました。占拠した容疑者は株式会社Tenshinの代表取締役である天動神示であるとの情報が入っています。」
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