16 / 109
第16話 レベル上げオタク爆誕
しおりを挟む
「痛い!離せ!離せぇ!!」
信之がテレポートを発動している最中、代々木公園ではディレクターがゴブリンに襲われ腕を噛まれていた。
「ディレクターさんから離れてください!!このぉ!!」
イリスはカメラの三脚を武器にしてパシパシとゴブリンを叩く。しかしゴブリンはまるでダメージが無く、ディレクターの腕を齧っている。
「ギギャアー!」
イリスの後ろ側から別のゴブリンが向かってくる。
「…!ひっ!」
イリスは以前ゴブリンに襲われたことをフラッシュバックし、動けなくなってしまう。
その時。
「なんだか、いつもぎりぎりのところだね。」
目の前に突然ピエロが現れた。
「ピエロ…さん?」
「ピエロさんですよ~。」
緩い感じで答えた信之は、手に持っている大鎌でイリスを襲おうとしたゴブリンを一閃する。
「ほいっと。」
次にディレクターを襲っているゴブリンにはアイスランスを放ち、ゴブリンを倒す。
「ま、魔法?」
「うん。魔法だよ。」
イリスの問いに答えながら、ディレクターの腕をヒールで治療する。
「う、腕が治った?骨も見えていたのに…。」
ヒールをかけてもらったディレクターは初めて見る魔法に驚く。
「おや?ゴブリン増えてるね。パパっと消してくるよ。」
そう言い、信之は姿を消す。瞬間移動だ。
数秒で5体のゴブリンを倒した信之は、魔石や耳を回収しイリスのもとへ戻る。
「そういえば、イリスちゃんは怪我していないかな?」
「は、はい!大丈夫です!助けていただきありがとうございました!以前も助けていただいたのにキチンとお礼できずにすみませんでした。」
イリスは頭を下げた。
「気にしていないよ。今回も間に合ってよかったよ。」
「本当にありがとうございました。お礼に、あの、一緒にご飯でも…あれ?」
ご飯に誘おうとしたイリスだが、目のまえに現れたものに驚きを隠せなかった。
「どうしたんだい?」
「目の前に文字が…えっと、初めてレベル上昇したため、ステータスを獲得しました。っていう文字が…」
「おお、ゴブリンに攻撃したのかな?恐らくゴブリンに攻撃したことで、経験値を手に入れて、レベルが上がったようだね。ステータスと念じることで自分の能力を確認することができるよ。」
「わ、わかりました。確認してみます。」
イリスは胸の前に両手を持っていき、まるで祈るかのようにステータスを念じる。
その姿は本当に天使のようだ。
「み、見えました。なんだかゲームみたいな感じですね。ただ、HPやMP以外はすべて一桁です…。」
一桁であることが弱いと思ったのか、イリスは恥ずかしそうに教えてくれた。
「恥ずかしがることないよ。私も初めは同じだったから。」
お分かりだろうか。ピエロ姿となっている信之は、さりげなく紳士的な物言いを心掛けている。姿は全く紳士ではないというのに。
「ピエロさんも初めは一桁だったのですか…。」
意外という顔でこちらを見てくるイリス。かわいい。
イリスに見惚れていると、イリスは何かを決心したかのような顔で信之に話しかけた。
「あの、ピエロさん。私を強くしてくれませんか?」
「ん?強く?」
「あの、えっと…あっ!2度も襲われてしまっているので私自身が強くなって自分で対処できるようにするのと、あと周りの人も助けたいと思いまして!」
理由は真っ当なのだが、なんだが違和感を感じた信之。
「…で、本音は?」
「はう…、そ、その…私、ゲームが好きで、特にRPGとかMMOが好きで…。」
どうやらイリスはゲーム好きのようだ。これは意外だった。
「あー、ゲームのようにレベルアップがあるとレベル上げしたくなっちゃうよね。」
「は、はい。私ゲームで最初の町でレベル20とかに上げちゃうくらいレベル上げ好きで…」
「…え?レベル上げすぎじゃない…?」
これには流石の信之もドン引きする。
「う…。で、でも、そうすると楽しいんですよ?道中の敵とかボスが簡単に倒せるので、気持ちいいんですっ!」
気持ちをわかって欲しいのか、顔を少し赤らめながら、胸辺りで両手を握り拳にして熱弁するイリス。まじ天使。
ドン引きはしたが、よくよく考えてみると信之も人のことが言えない。
なぜなら経験値の間であれ程レベルを上げたからだ。それに普通の人が倒すのが大変なゴブリンを自分が簡単に倒すことが出来るのは、確かに気持ちいい。
「うん、そうだね。分かるよその気持ち。でも強く…か。」
レベル上げをするにも東京ではあまりゴブリンを見かけない為、レベルはほとんど上がらないし、経験値の間にイリスを連れて行けるのかも分からない。
イリスは見た所とても好感が持てる娘だと信之は思っている。
ディレクターがゴブリンにかまれている時、自身の命の危険があるにも関わらず他人を守ろうとした。
それにイリスは既に2回もゴブリンに襲われており、今後も襲われる可能性は否めない。
そんな時に自衛ができる能力があったらそこまで気にかける必要が無くなる。
なので、イリスを鍛える事については全く抵抗は無い。
「気持ちは分かった。近いうち連絡するよ。」
現状レベル上げをする狩場が不明な為、ここで回答はせずに狩場が見つかるのであればYes、無ければNoとする事にした。
「あ、あの、連絡先を教えて貰っても良いでしょうか。」
「ん?あー。連絡方法はスマホのアプリじゃないよ。」
そう言って信之は念話のスキルを発動する。
(こっちで連絡するから。)
(え!?こ、これってアニメとかで良くある念話ですか?!)
(そうそう。レベルが上げられそうな狩場が有ったら念話で知らせるよ。)
(あ、ありがとうございます!あ、こちらから念話って使用出来ますか?)
(残念ながら念話のスキルを持っていないと始めの発信が出来ないんだ。念話スキルが無い場合は受け答えのみ可能だね。)
(そう…なんですね。もしレベル上がったら念話のスキル取ること出来ますか?)
(うんうん。それは可能だと思うよ。)
(やったぁ!頑張ってレベル上げます!)
狩場が見つかっていないのに喜んでいるイリス。
流石にそこを突くのは性格が悪いので、何も言わないでおくことにした信之。
(じゃあ、また連絡するね。)
(はい。よろしくお願いします。ピエロさん。)
信之は瞬間移動でその場を去った。
信之がテレポートを発動している最中、代々木公園ではディレクターがゴブリンに襲われ腕を噛まれていた。
「ディレクターさんから離れてください!!このぉ!!」
イリスはカメラの三脚を武器にしてパシパシとゴブリンを叩く。しかしゴブリンはまるでダメージが無く、ディレクターの腕を齧っている。
「ギギャアー!」
イリスの後ろ側から別のゴブリンが向かってくる。
「…!ひっ!」
イリスは以前ゴブリンに襲われたことをフラッシュバックし、動けなくなってしまう。
その時。
「なんだか、いつもぎりぎりのところだね。」
目の前に突然ピエロが現れた。
「ピエロ…さん?」
「ピエロさんですよ~。」
緩い感じで答えた信之は、手に持っている大鎌でイリスを襲おうとしたゴブリンを一閃する。
「ほいっと。」
次にディレクターを襲っているゴブリンにはアイスランスを放ち、ゴブリンを倒す。
「ま、魔法?」
「うん。魔法だよ。」
イリスの問いに答えながら、ディレクターの腕をヒールで治療する。
「う、腕が治った?骨も見えていたのに…。」
ヒールをかけてもらったディレクターは初めて見る魔法に驚く。
「おや?ゴブリン増えてるね。パパっと消してくるよ。」
そう言い、信之は姿を消す。瞬間移動だ。
数秒で5体のゴブリンを倒した信之は、魔石や耳を回収しイリスのもとへ戻る。
「そういえば、イリスちゃんは怪我していないかな?」
「は、はい!大丈夫です!助けていただきありがとうございました!以前も助けていただいたのにキチンとお礼できずにすみませんでした。」
イリスは頭を下げた。
「気にしていないよ。今回も間に合ってよかったよ。」
「本当にありがとうございました。お礼に、あの、一緒にご飯でも…あれ?」
ご飯に誘おうとしたイリスだが、目のまえに現れたものに驚きを隠せなかった。
「どうしたんだい?」
「目の前に文字が…えっと、初めてレベル上昇したため、ステータスを獲得しました。っていう文字が…」
「おお、ゴブリンに攻撃したのかな?恐らくゴブリンに攻撃したことで、経験値を手に入れて、レベルが上がったようだね。ステータスと念じることで自分の能力を確認することができるよ。」
「わ、わかりました。確認してみます。」
イリスは胸の前に両手を持っていき、まるで祈るかのようにステータスを念じる。
その姿は本当に天使のようだ。
「み、見えました。なんだかゲームみたいな感じですね。ただ、HPやMP以外はすべて一桁です…。」
一桁であることが弱いと思ったのか、イリスは恥ずかしそうに教えてくれた。
「恥ずかしがることないよ。私も初めは同じだったから。」
お分かりだろうか。ピエロ姿となっている信之は、さりげなく紳士的な物言いを心掛けている。姿は全く紳士ではないというのに。
「ピエロさんも初めは一桁だったのですか…。」
意外という顔でこちらを見てくるイリス。かわいい。
イリスに見惚れていると、イリスは何かを決心したかのような顔で信之に話しかけた。
「あの、ピエロさん。私を強くしてくれませんか?」
「ん?強く?」
「あの、えっと…あっ!2度も襲われてしまっているので私自身が強くなって自分で対処できるようにするのと、あと周りの人も助けたいと思いまして!」
理由は真っ当なのだが、なんだが違和感を感じた信之。
「…で、本音は?」
「はう…、そ、その…私、ゲームが好きで、特にRPGとかMMOが好きで…。」
どうやらイリスはゲーム好きのようだ。これは意外だった。
「あー、ゲームのようにレベルアップがあるとレベル上げしたくなっちゃうよね。」
「は、はい。私ゲームで最初の町でレベル20とかに上げちゃうくらいレベル上げ好きで…」
「…え?レベル上げすぎじゃない…?」
これには流石の信之もドン引きする。
「う…。で、でも、そうすると楽しいんですよ?道中の敵とかボスが簡単に倒せるので、気持ちいいんですっ!」
気持ちをわかって欲しいのか、顔を少し赤らめながら、胸辺りで両手を握り拳にして熱弁するイリス。まじ天使。
ドン引きはしたが、よくよく考えてみると信之も人のことが言えない。
なぜなら経験値の間であれ程レベルを上げたからだ。それに普通の人が倒すのが大変なゴブリンを自分が簡単に倒すことが出来るのは、確かに気持ちいい。
「うん、そうだね。分かるよその気持ち。でも強く…か。」
レベル上げをするにも東京ではあまりゴブリンを見かけない為、レベルはほとんど上がらないし、経験値の間にイリスを連れて行けるのかも分からない。
イリスは見た所とても好感が持てる娘だと信之は思っている。
ディレクターがゴブリンにかまれている時、自身の命の危険があるにも関わらず他人を守ろうとした。
それにイリスは既に2回もゴブリンに襲われており、今後も襲われる可能性は否めない。
そんな時に自衛ができる能力があったらそこまで気にかける必要が無くなる。
なので、イリスを鍛える事については全く抵抗は無い。
「気持ちは分かった。近いうち連絡するよ。」
現状レベル上げをする狩場が不明な為、ここで回答はせずに狩場が見つかるのであればYes、無ければNoとする事にした。
「あ、あの、連絡先を教えて貰っても良いでしょうか。」
「ん?あー。連絡方法はスマホのアプリじゃないよ。」
そう言って信之は念話のスキルを発動する。
(こっちで連絡するから。)
(え!?こ、これってアニメとかで良くある念話ですか?!)
(そうそう。レベルが上げられそうな狩場が有ったら念話で知らせるよ。)
(あ、ありがとうございます!あ、こちらから念話って使用出来ますか?)
(残念ながら念話のスキルを持っていないと始めの発信が出来ないんだ。念話スキルが無い場合は受け答えのみ可能だね。)
(そう…なんですね。もしレベル上がったら念話のスキル取ること出来ますか?)
(うんうん。それは可能だと思うよ。)
(やったぁ!頑張ってレベル上げます!)
狩場が見つかっていないのに喜んでいるイリス。
流石にそこを突くのは性格が悪いので、何も言わないでおくことにした信之。
(じゃあ、また連絡するね。)
(はい。よろしくお願いします。ピエロさん。)
信之は瞬間移動でその場を去った。
10
お気に入りに追加
1,256
あなたにおすすめの小説
異世界でのんきに冒険始めました!
おむす微
ファンタジー
色々とこじらせた、平凡な三十路を過ぎたオッサンの主人公が(専門知識とか無いです)異世界のお転婆?女神様に拉致されてしまい……勘違いしたあげく何とか頼み込んで異世界に…?。
基本お気楽で、欲望全快?でお届けする。異世界でお気楽ライフ始めるコメディー風のお話しを書いてみます(あくまで、"風"なので期待しないで気軽に読んでネ!)一応15R にしときます。誤字多々ありますが初めてで、学も無いためご勘弁下さい。
ただその場の勢いで妄想を書き込めるだけ詰め込みますので完全にご都合主義でつじつまがとか気にしたら敗けです。チートはあるけど、主人公は一般人になりすましている(つもり)なので、人前で殆んど無双とかしません!思慮が足りないと言うか色々と垂れ流して、バレバレですが気にしません。徐々にハーレムを増やしつつお気楽な冒険を楽しんで行くゆる~い話です。それでも宜しければ暇潰しにどうぞ。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。
異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。
そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。
異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。
龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。
現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
転生したら死にそうな孤児だった
佐々木鴻
ファンタジー
過去に四度生まれ変わり、そして五度目の人生に目覚めた少女はある日、生まれたばかりで捨てられたの赤子と出会う。
保護しますか? の選択肢に【はい】と【YES】しかない少女はその子を引き取り妹として育て始める。
やがて美しく育ったその子は、少女と強い因縁があった。
悲劇はありません。難しい人間関係や柵はめんどく(ゲフンゲフン)ありません。
世界は、意外と優しいのです。
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる