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晃生誕5 お前に求められること
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反射的に腕を掴む。でも身を起こさせたら、もっと深くまで犯しちゃうよな。
どうすれば良いのか分からず、旭陽ではなく俺が身を近付けた。
胸板同士が触れ合う寸前まで接近すれば、腕が何処かへ動きたがる。
緩めた手の中から、旭陽の腕が抜け出した。視界の端を黄金の腕輪が掠める。
う。仕方ないけど、俺の手から逃げられてるみたいでさびしい……
視線で追いかければ、ふらふらと揺れながら耳朶に着地した。
ゆっくりと指腹を擦り付けられて、快感に背筋が粟立つ。
「ぁ、さひ……」
嬉しくて、気持ち良くて、声が震える。
動揺する俺に、涙と唾液で濡れた唇が微かに哂った。
あきら、と声なく囁かれる。重たげに身を起こして、殆どなかった距離を旭陽からも詰めてきた。
「あさひ……っぃ゛!」
頭を撫でようとして、鋭い痛みに全身が強張る。
ふ、と浅く笑う息が耳に触れてきた。
「っな、にし、ッぐ……っ!」
「……ん……」
ずきずきと痛む耳を押さえようとしたが、旭陽が顔を退けないから何もできない。
それどころか、ますます痛みが増していく。
僅かに頭を浮かせるだけで精一杯の旭陽から僅かに身を離せば、もう届かなくなると思う。
でも意識も危ういはずの旭陽が、わらってるから。触れる息が、酷く甘いから。
体を離すなんて出来ずに、痛みに震える指でそっと艶やかな黒を撫でた。
旭陽がまた満足げな吐息を吐き出す。
「っ、ふ……」
やがて、淡い吐息と共に顔が離れていった。
薄い唇に朱色が乗っている。一瞬旭陽の血かと思ったが、真っ赤な舌が出てきて唇を拭えば違うことに気付いた。
……もしかして、俺の血か?
「は……似合っ、てんじゃ、ねえか……」
ふらついていた瞳が、ふと俺の耳朶で焦点が合う。
とろりと甘く黄金が綻び、ちぅとあまやかな音を立てて目尻に吸い付かれた。
「似合……?」
何のことだ?
旭陽の視線をなぞって、自分の耳朶に触れる。こつ、と硬い感触が指に触れた。
「……?」
じんじんと痛んでいた場所だ。どんどん熱が増して、焼け付くような高熱を帯びつつある。
「――どうした……よろこべ、よ」
まだ息を切らしている男が、震える指でその場所をなぞってくる。
「っん……!」
途端にびりりと快感が走って、思わず背筋を軽く反らしていた。
俺の反応を見て、旭陽が愉しそうに瞳を細める。
「か、らだは……分かってんじゃ、ねえ、っか……」
顔を寄せて、ぺろりと唇を舐め上げられた。
「っ」
驚きと喜びに身が揺れた拍子に、黄金の中に俺の耳元が映り込む。
耳朶の中心から、赤い血が流れている。
傷が見えるはずの場所は覆われて、多分旭陽が噛み付いたであろう跡は見えない。
傷口であろう場所に、鮮やかな赤の珠が煌いていた。
「お、まえ、だけなの……なま、いきだろ……おれ、の、証も……はめてやらねえ、と、なァ?」
金色と赤い珠が嵌まった手首を軽く揺らして、旭陽が双眸を細める。
旭陽の腕と首に嵌めた、腕輪とネックレス――原種トレントの樹液に血を垂らした時の色だと、煌く珠の色彩で抱いた既視感を理解した。
「……旭陽。お前、さっき……どこ、行ってたん、だ」
声がさっきとは比べ物にならないほど震える。腕も、もしかすると全身が。
俺の反応は気にせず、激しい絶頂の疲労と機嫌の良さで一層垂れた目尻をゆっくりと揺らした男が頬を擦り寄せてきた。
「おまえが、おれに嵌めたいってねだってきたのと同じもん……取りに、いってた」
見りゃ分かるだろ、と言いたげに旭陽が喉を鳴らす。
そういえば、赤い珠の後ろに金色の留め具が見えていたかもしれない。
頭の一部が麻痺したような感覚の中、ぼんやりと思い出す。
実際は、理解が追いつかずに思考が空ぶっていた。
あれって、権力でも金でも手に入らないって言ってなかったか。
祭りの時期もとっくに過ぎてるはずなのに、どうやって入手してきたんだ。
同じ……おなじ? 一緒が、よかったのか。
似たような別物だと、やだった?
俺がお前に嵌めたの、旭陽が俺のものだって主張で、拘束の証だぞ。
――旭陽も、俺に、同じことしたかった?
そんなわけない。でも、違うなら、どういう。
混乱しているのに、心臓がバクバクと暴れ出す。全身が熱い。
真っ赤な顔になっているであろう俺に、旭陽が微かに喉を鳴らした。
ど、どういうことなんだ。これも揶揄ってきてるのか?
でも、さっき、イきっ放しでふらふらだったのに俺のおねだりに応えようとしてくれてた……
混乱と狂喜のあまり、目の前がくらくらしてくる。
ふらつきそうになった俺の鼻先に、かりりと甘く旭陽が歯を食い込ませてきた。
「ぁ、きら……っ、言、……こと、ねえの」
言う……こと? なに……
ぐらつく意識の中、弧を描いている唇を追う。そっと前に動いていった顔が、自分の指先に触れた。
いや、旭陽の指が何か摘んでる……キスしたのは、其れに対してだ。
金色の台座に嵌まった、鮮やかな赤の――
「な、あ。あき、らぁ……おれに、言うこと、ねえ?」
甘く黄金をしならせた男が小首を傾げた拍子に、褐色の肌を射干玉が滑った。
どうすれば良いのか分からず、旭陽ではなく俺が身を近付けた。
胸板同士が触れ合う寸前まで接近すれば、腕が何処かへ動きたがる。
緩めた手の中から、旭陽の腕が抜け出した。視界の端を黄金の腕輪が掠める。
う。仕方ないけど、俺の手から逃げられてるみたいでさびしい……
視線で追いかければ、ふらふらと揺れながら耳朶に着地した。
ゆっくりと指腹を擦り付けられて、快感に背筋が粟立つ。
「ぁ、さひ……」
嬉しくて、気持ち良くて、声が震える。
動揺する俺に、涙と唾液で濡れた唇が微かに哂った。
あきら、と声なく囁かれる。重たげに身を起こして、殆どなかった距離を旭陽からも詰めてきた。
「あさひ……っぃ゛!」
頭を撫でようとして、鋭い痛みに全身が強張る。
ふ、と浅く笑う息が耳に触れてきた。
「っな、にし、ッぐ……っ!」
「……ん……」
ずきずきと痛む耳を押さえようとしたが、旭陽が顔を退けないから何もできない。
それどころか、ますます痛みが増していく。
僅かに頭を浮かせるだけで精一杯の旭陽から僅かに身を離せば、もう届かなくなると思う。
でも意識も危ういはずの旭陽が、わらってるから。触れる息が、酷く甘いから。
体を離すなんて出来ずに、痛みに震える指でそっと艶やかな黒を撫でた。
旭陽がまた満足げな吐息を吐き出す。
「っ、ふ……」
やがて、淡い吐息と共に顔が離れていった。
薄い唇に朱色が乗っている。一瞬旭陽の血かと思ったが、真っ赤な舌が出てきて唇を拭えば違うことに気付いた。
……もしかして、俺の血か?
「は……似合っ、てんじゃ、ねえか……」
ふらついていた瞳が、ふと俺の耳朶で焦点が合う。
とろりと甘く黄金が綻び、ちぅとあまやかな音を立てて目尻に吸い付かれた。
「似合……?」
何のことだ?
旭陽の視線をなぞって、自分の耳朶に触れる。こつ、と硬い感触が指に触れた。
「……?」
じんじんと痛んでいた場所だ。どんどん熱が増して、焼け付くような高熱を帯びつつある。
「――どうした……よろこべ、よ」
まだ息を切らしている男が、震える指でその場所をなぞってくる。
「っん……!」
途端にびりりと快感が走って、思わず背筋を軽く反らしていた。
俺の反応を見て、旭陽が愉しそうに瞳を細める。
「か、らだは……分かってんじゃ、ねえ、っか……」
顔を寄せて、ぺろりと唇を舐め上げられた。
「っ」
驚きと喜びに身が揺れた拍子に、黄金の中に俺の耳元が映り込む。
耳朶の中心から、赤い血が流れている。
傷が見えるはずの場所は覆われて、多分旭陽が噛み付いたであろう跡は見えない。
傷口であろう場所に、鮮やかな赤の珠が煌いていた。
「お、まえ、だけなの……なま、いきだろ……おれ、の、証も……はめてやらねえ、と、なァ?」
金色と赤い珠が嵌まった手首を軽く揺らして、旭陽が双眸を細める。
旭陽の腕と首に嵌めた、腕輪とネックレス――原種トレントの樹液に血を垂らした時の色だと、煌く珠の色彩で抱いた既視感を理解した。
「……旭陽。お前、さっき……どこ、行ってたん、だ」
声がさっきとは比べ物にならないほど震える。腕も、もしかすると全身が。
俺の反応は気にせず、激しい絶頂の疲労と機嫌の良さで一層垂れた目尻をゆっくりと揺らした男が頬を擦り寄せてきた。
「おまえが、おれに嵌めたいってねだってきたのと同じもん……取りに、いってた」
見りゃ分かるだろ、と言いたげに旭陽が喉を鳴らす。
そういえば、赤い珠の後ろに金色の留め具が見えていたかもしれない。
頭の一部が麻痺したような感覚の中、ぼんやりと思い出す。
実際は、理解が追いつかずに思考が空ぶっていた。
あれって、権力でも金でも手に入らないって言ってなかったか。
祭りの時期もとっくに過ぎてるはずなのに、どうやって入手してきたんだ。
同じ……おなじ? 一緒が、よかったのか。
似たような別物だと、やだった?
俺がお前に嵌めたの、旭陽が俺のものだって主張で、拘束の証だぞ。
――旭陽も、俺に、同じことしたかった?
そんなわけない。でも、違うなら、どういう。
混乱しているのに、心臓がバクバクと暴れ出す。全身が熱い。
真っ赤な顔になっているであろう俺に、旭陽が微かに喉を鳴らした。
ど、どういうことなんだ。これも揶揄ってきてるのか?
でも、さっき、イきっ放しでふらふらだったのに俺のおねだりに応えようとしてくれてた……
混乱と狂喜のあまり、目の前がくらくらしてくる。
ふらつきそうになった俺の鼻先に、かりりと甘く旭陽が歯を食い込ませてきた。
「ぁ、きら……っ、言、……こと、ねえの」
言う……こと? なに……
ぐらつく意識の中、弧を描いている唇を追う。そっと前に動いていった顔が、自分の指先に触れた。
いや、旭陽の指が何か摘んでる……キスしたのは、其れに対してだ。
金色の台座に嵌まった、鮮やかな赤の――
「な、あ。あき、らぁ……おれに、言うこと、ねえ?」
甘く黄金をしならせた男が小首を傾げた拍子に、褐色の肌を射干玉が滑った。
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