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勇者という問題
戦いのバトンは俺じゃなく…
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“ドゴォォォォンッ!!”
“ぐぅぅおおおおッッ!?”
ナックルコングの巨体が揺らいだ。
側面からの強力な一撃。
ナックルコングは耐えられず、殴られた方向に倒れた。
「……」
その一撃を繰り出したのは、ヘビのリーダーのオロチ…
足に強化魔法をかけ、遠き場所から疾走。
徐々にナックルコングと距離をつめながら速度を上げ…
ナックルコングと後一歩にまで近づいた時には、その巨体を吹き飛ばすほどの強力な一撃と化していた。
“ぐるるるぅっっ…”
いきなり現れた乱入者に対して警戒の目を向けながら立ち上がるナックルコング。
「…流石だな、オロチの一撃を受けて立ち上がるか」
“ぐぉぉおッ!”
「そのぐらいで騒ぐな。自然界ではおかしな事ではなかろう…弱肉強食、油断大敵と言うしな」
“ぐぅぅうう!!”
言葉が通じるとは思っていないが…
その瞳から、俺より強い奴はいない…さっきのは何かの間違いだと言っているのが読み取れた。
「…なるほど…お前、今まで自分より強い存在に合わずに…いや、見かけたことすらないのか…何とも哀れだな」
どうやら、このモンスターは今まで自分より強いモンスターを見かけたことすらないようだ。
「どこから来たかは知らんが…これも、勇者による影響か?……まぁ、今はどうでも良いのだが……」
“ぐぅぅおおおおッッ!!”
「おぉっ、オロチとやる気か?…ナイトメアミストの援護を失ったお前など、オロチの足元にも及ばないんだが…わからんか」
今まで自分より強い存在がいなかった以上、逃げるなんて選択肢が出てこんのだろう…可哀想なことだ。
「…王よ、ここは私が」
「許可する。あの世間知らずのモンスターに教えてやれ…上には上がいるとな」
“ぐぅっおおおおおおお!!”
ドンドンドンドンッ!とドラミングをして威嚇するナックルコング。
あれだけの巨大がドラミングをするんだ。
並大抵の威嚇とは非じゃないが…
そんなことしていて、大丈夫なのか?
オロチは、すでにお前の足元だぞ?
「…恵まれた体ですね…ですが、だからこそ相手が悪い」
オロチは手に魔力を流し、魔力の爪を生成。
「…しっかりと…最後の時間を噛みしめなさい」
“ザザッ…!…ザザッ…!…ザザッ…!…ザザッ…!…ザザッ…!”
蛇が体にまとわりつくように足から腰、胴体腕、頭と駆け上る。
その際に、魔力の爪で引っ掻き傷をつけながら…
“ぐふっ…ぐふるっるっるるっ”
笑ったような鳴き声。
どうやらあまりにも手応えのない攻撃に対して馬鹿にしているようだ。
…もはや手遅れというのに…
“ぐぅるるおおおおおお!!”
お返しと言わんばかりに拳を叩きつける。
確かに舐められてもおかしくはないだろう。
それだけ、目に見える威力が異なるのだから…
最初の攻撃以外、ただ攻撃を交わすだけのオロチ…
何度も巨大な拳を叩きつけるナックルコングは自分の方が優位だと思っているだろう。
だが…
“…ぐぉぉっ?”
「………」
ナックルコングは唖然としていた。
オロチがナックルコングの一撃を受け止めた事を…
何故、自分の叩きつけた拳が、こんな小さな人間に受け止められているのか…と。
「…まだ、気がつきませんか?…あなたの自慢の体は、どんどん動かなくなっていることに」
“…ッ…”
「…まぁ…説明なんて必要はないでしょう…あなたは現在進行形で、私の毒に体を侵されているのですから……そのまま体の全て…苦しみながら活動を停止させなさい」
“ぐががががっぁ…ぁぁあああっ…ぉ…ぁぁぁ……ごぁっ…ぉっ………”
苦しむように悶えながら、徐々に動きが鈍くなり…
ズドォォォンっ…!…と地に伏したナックルコング…
自分がどんな攻撃をされたかわからぬまま…
強者である弱者はその命の終わりを迎えた。
“ぐぅぅおおおおッッ!?”
ナックルコングの巨体が揺らいだ。
側面からの強力な一撃。
ナックルコングは耐えられず、殴られた方向に倒れた。
「……」
その一撃を繰り出したのは、ヘビのリーダーのオロチ…
足に強化魔法をかけ、遠き場所から疾走。
徐々にナックルコングと距離をつめながら速度を上げ…
ナックルコングと後一歩にまで近づいた時には、その巨体を吹き飛ばすほどの強力な一撃と化していた。
“ぐるるるぅっっ…”
いきなり現れた乱入者に対して警戒の目を向けながら立ち上がるナックルコング。
「…流石だな、オロチの一撃を受けて立ち上がるか」
“ぐぉぉおッ!”
「そのぐらいで騒ぐな。自然界ではおかしな事ではなかろう…弱肉強食、油断大敵と言うしな」
“ぐぅぅうう!!”
言葉が通じるとは思っていないが…
その瞳から、俺より強い奴はいない…さっきのは何かの間違いだと言っているのが読み取れた。
「…なるほど…お前、今まで自分より強い存在に合わずに…いや、見かけたことすらないのか…何とも哀れだな」
どうやら、このモンスターは今まで自分より強いモンスターを見かけたことすらないようだ。
「どこから来たかは知らんが…これも、勇者による影響か?……まぁ、今はどうでも良いのだが……」
“ぐぅぅおおおおッッ!!”
「おぉっ、オロチとやる気か?…ナイトメアミストの援護を失ったお前など、オロチの足元にも及ばないんだが…わからんか」
今まで自分より強い存在がいなかった以上、逃げるなんて選択肢が出てこんのだろう…可哀想なことだ。
「…王よ、ここは私が」
「許可する。あの世間知らずのモンスターに教えてやれ…上には上がいるとな」
“ぐぅっおおおおおおお!!”
ドンドンドンドンッ!とドラミングをして威嚇するナックルコング。
あれだけの巨大がドラミングをするんだ。
並大抵の威嚇とは非じゃないが…
そんなことしていて、大丈夫なのか?
オロチは、すでにお前の足元だぞ?
「…恵まれた体ですね…ですが、だからこそ相手が悪い」
オロチは手に魔力を流し、魔力の爪を生成。
「…しっかりと…最後の時間を噛みしめなさい」
“ザザッ…!…ザザッ…!…ザザッ…!…ザザッ…!…ザザッ…!”
蛇が体にまとわりつくように足から腰、胴体腕、頭と駆け上る。
その際に、魔力の爪で引っ掻き傷をつけながら…
“ぐふっ…ぐふるっるっるるっ”
笑ったような鳴き声。
どうやらあまりにも手応えのない攻撃に対して馬鹿にしているようだ。
…もはや手遅れというのに…
“ぐぅるるおおおおおお!!”
お返しと言わんばかりに拳を叩きつける。
確かに舐められてもおかしくはないだろう。
それだけ、目に見える威力が異なるのだから…
最初の攻撃以外、ただ攻撃を交わすだけのオロチ…
何度も巨大な拳を叩きつけるナックルコングは自分の方が優位だと思っているだろう。
だが…
“…ぐぉぉっ?”
「………」
ナックルコングは唖然としていた。
オロチがナックルコングの一撃を受け止めた事を…
何故、自分の叩きつけた拳が、こんな小さな人間に受け止められているのか…と。
「…まだ、気がつきませんか?…あなたの自慢の体は、どんどん動かなくなっていることに」
“…ッ…”
「…まぁ…説明なんて必要はないでしょう…あなたは現在進行形で、私の毒に体を侵されているのですから……そのまま体の全て…苦しみながら活動を停止させなさい」
“ぐががががっぁ…ぁぁあああっ…ぉ…ぁぁぁ……ごぁっ…ぉっ………”
苦しむように悶えながら、徐々に動きが鈍くなり…
ズドォォォンっ…!…と地に伏したナックルコング…
自分がどんな攻撃をされたかわからぬまま…
強者である弱者はその命の終わりを迎えた。
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