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決戦の舞踏会

03.つかの間の休息2※

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 アルヴィンが私の顎を取って、自分の方に向ける。
「リーディア、よそ見するな」
「アルヴィン……」
 アルヴィンは裸の私の体をそっと撫でる。
「あっ……」
 アルヴィンの手は、大きく、暖かい。

 アルヴィンの手や唇の感触が、なんだか心地よくて、うっとりしてくる。
 アルヴィンは私の胸元に触れた。
「うん……アルヴィン…………」
 手のひら全体でやわやわと乳肉を揉まれる。
 その手が乳首に触れると、私は「あっ」と声を上げてしまった。

「気持ちいいか?リーディア、乳首が立ってきているぞ」
 アルヴィンは意地が悪い微笑みを浮かべ、私に囁いてくる。

 アルヴィンが私の快感を煽るように私もアルヴィンを楽しませねばならない。
 何せ、我々に許された時間は三十分。
 いや、十分経過したから、あと二十分だ。

「わざわざ、言わんでも……」「恥ずかしいからやめてくださいよ」よりは、アルヴィンの反応がいい、
「だって……アルヴィンが、触るから……」
 を選んで答えた。

 アルヴィンは私の返事に気を良くしたようで、さらに胸を揉んで、
「かわいいな、リーディア」
 そう言うと、私の胸に吸い付く。
「あっ……アルヴィン………」
「リーディア、綺麗だ」
 とアルヴィンもそれっぽい口説き文句を吐く。

 体が熱くなって、特に足の付け根辺りがしゅんとうずいてくる。それに気づくと急に私は落ち着かなくなってきた。
 アルヴィンは私のそこに触れた。
「あっ……」
「リーディア、濡れている」
 などと恥ずかしいことを言うアルヴィンは滅多にお目にかかれないくらい上機嫌に笑っている。

 楽しそうだなぁ。
 水を差すのもどうかと思って、アルヴィンが好きそうな、
「いや、恥ずかしい……」
 と言ってやった。
 本当に恥ずかしいのと、本気で感じてきたので頬が赤らむ。

「リーディア……」
 アルヴィンはさらに嬉しそうに微笑み、私のヴァギナに触れた。
 同衾を開始した当初は触れられると痛みを感じた場所が、熱く濡れてぬめっている。アルヴィンの指に愛液がしたたる。
「くぅ、ん……」
 中に指を入れられても、その指をゆっくりと動かされても、気持ちいいだけだ。
 アルヴィンはさらに指を二本に増やして、膣を掻き回す。
「リーディア」
 アルヴィンは私の名を呼ぶと、キスしてきた。
 ぐちゅぐちゅとわざと音を立てるような淫らなキスだ。
 淫音に私達の気分は高まっていく。

 相変わらず彼の指は膣を刺激している。
 私は手を伸ばして、アルヴィンのナニに触れた。
 そっとしごくと、
「……っ」
 彼は小さく声を上げる。
 先端から汁が漏れている。

 アルヴィンは目のきわをほんの少し赤らめて、私に尋ねた。
「リーディア、いいか?」
 砂時計に視線を走らせると、時はあと十分。
 なかなかいいペースだ。

 私は両手を広げて、彼に言う。
「来て、アルヴィン」
 アルヴィンは微笑むと、私を抱きしめた。


 私はアルヴィンが初めての男なので、アルヴィンの局所について評価出来ない。
 ただ初めて見た時、アルヴィンの臨戦態勢のブツは「絶対に無理」というサイズだったが、今の私はゆっくりと入ってくるそれを恍惚として受け入れる。
 ずっくりずっくりとアルヴィンの男根が私の中を押し開いてゆく。
 男性は性器の摩擦により快感を得る。
 だから本来ガッと突っ込んでズコズコしたいものらしいが、アルヴィンは気遣いの出来る男である。
 アルヴィンは私の息づかいに合わせるように、ゆっくりと腰を沈める。
 そしてそっと腰を動かし、抽挿を始める。
 自分の膣が彼のたぎったものでいっぱいになる。
「あっ……アルヴィン」

 彼の腰使いは次第に激しくなるが、もう痛いとは感じない。
 ただ気持ちよくて、そして苦しい。
 その苦しさは、何故か不快ではなく快感に直結する。
 モノの本で読んだ『おかしくなりそうな快感』というのが、昔はなんだか分からなかったが、今はそうとしか言い様がないなと思う。
 おかしくなりそう。
 私も彼の動きに合わせて腰を動かす。
 アルヴィンはますます激しく腰を打ち付ける。

 彼に揺さぶられながら、私はふと、思った。
 この男の腕に抱かれた女性は何人くらいいたのだろう?
 どんな女性だったのだろうか?
 アルヴィンもわざわざ女性遍歴を私に話して聞かせるほど野暮ではないため、まったく分からない。
 騎士団の憂さ晴らしといえば、娼館通いである。
 アルヴィンもそういった場所に通ったのだろうな……うん。
 男性団員はことあるごとに娼館に連れ立っていくため、行かない男は「付き合いが悪い」と陰口たたかれる始末だ。
 ゴーラン騎士団の中に団長であるアルヴィンの陰口たたく肝の据わった団員がいるとは思えないが、男性にとっては一番人気、不動の地位にある娯楽だ。
 彼女達相手に彼はどんな風に楽しんだのだろう。
 それともどこかの町になじみの女性がいたのだろうか?

 彼から私はどんな風に見えているのだろうか?

 嫉妬にかられる私の心を知ってか知らずか、アルヴィンは私を抱きしめた。
「リーディア、愛している」
 この男にしては珍しい、とろけるような声で囁かれる。

 その一言で機嫌を直す私は案外単純に出来ていると思う。
「私もです、アルヴィン」

 すぐに私達は上り詰めて。
 二十九分で、フィニッシュ。
 射精の瞬間にアルヴィンは膣からペニスを引き抜いて、私の腹に精をこぼした。
 子作りから始まった私達の関係だが、今すぐの妊娠は望ましくない。
 そこで不完全ながら私達は避妊している。

 砂時計は全て落ちきっていた。
 ハアハアと荒く、二人で息を吐きながら、抱きしめ合う。
 一分だけじっと抱き合った後、私達は互いの体を離し、後片付けに励んだ。

 全て終わった後、
「寝ますか?」
「そうだな、おやすみ、リーディア」
「おやすみなさい。アルヴィン」
 と私達は並んで横になった。
 冬の寒さもアルヴィンと一緒なら、嬉しいものだ。
 私達は体を寄せ合う。

 締めて三十五分。
 時間ぴったり。
 何事も予定どおり行くと気分が良いものだ。
 今日も一日よく働いた。
 満足して、寝る。



 アルヴィンがこっそりため息をついて「王都についたら朝までだ。絶対やる」と呟いたことを、私は知らない。
 そして王都で我らを待ち受けるもののことを、私達はまだ知らない。
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