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護衛アル9
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「ナナというのか。とにかく無事でよかったよ。」
「う、うん…」
「何も覚えていないというのは本当かい?」
「うん…」
朝日がのぼり、サイモン達が起きた頃、香織はナナを連れて一階に降りた。ビクビクしながら階段をおりていたナナだったが、アレクシスの姿がないのを確認するとほっと肩の力を抜いた。他のメンバーもアレクシスから話を聞いたのか、気を利かせて降りてこなかったようだ。
香織はサイモン達の分まで朝食を作り、ナナの紹介も兼ねて皆で食卓を囲んだ。
ナナに関する虚偽の報告を聞いたサイモンは、少女を気遣うように優しく声をかけた。
「お父さんやお母さんのことも…覚えていないのかい?」
「おとうさん、おかあさん…」
香織が聞けなかった事を、サイモンが優しく問いかける。香織は情報を与える事で記憶が蘇るのではと危惧していたのだが、今のところその兆候はない。家族に関する質問をしても、ナナはいまいちピンときていない様子だった。
「…覚えてない?」
「うん…」
「歳は?いくつ?」
「わかんない…」
「えっと、魔法で調べたんですけど、7歳みたいです。」
「7歳か…」
サイモンはナナが本来は12歳である事を知っている。職業柄人の顔を覚えるのが得意なサイモンは、ナナの異変に気がついていた。
「カオリ、ちょっといいかい?」
「あ、はい。」
「ナナ、ちょっと話すことがあるからカオリを少し借りていくよ。ミド、ファール。ナナをよろしく。」
「カオリおねえちゃん…」
「ごめんね、すぐ戻るから。」
不安そうに香織を見上げるナナに優しく声をかけ、香織とサイモンはダイニングを後にした。目が覚めてから初めて見たのが香織だったからか、ナナは香織によく懐いていた。二人きりでいる時は気がつかなかったが、ナナは人見知りをするタイプのようで、今朝も見知らぬ大人に囲まれ居心地悪そうに香織に寄り添っていた。
サイモンは香織を連れ、先日利用したばかりの商会の応接室に入った。
「ナナだけど…あれはカオリがやったの?」
「いえ…やってません。朝起きたらああなってて…私も記憶を消すことは考えていたんですけど、流石に若返らせるのは無理です。」
「7歳、か…確か12歳だったよね?」
「はい、そのはずです。」
「5歳も若返ってる…それに精神年齢も恐らくそれくらい。」
「そうですね。」
「心の傷もない、と…」
「はい。」
「なら、ナナの預け先があるんじゃないか?」
「え?」
「ほら、孤児院に入るのが難しかったのは、12歳という年齢と、喋れないという心の問題だろ?それがなくなった今、彼女の預け先を見つけるのは簡単だ。」
「確かに…そうですね。」
「わざわざカオリが故郷の村に戻る必要もないんじゃないか?」
「でも孤児院で…彼女は幸せになれるんでしょうか。」
「経済的に余裕のない孤児院は多いから…少しは苦労するだろうね。だけどそれは身寄りのない子供なら誰しも通る道さ。それよりもっと酷い生活をしているストリートチルドレンだっている。」
「そう…ですよね。でも…」
「何か気になることでもあるのかい?」
「うーん…お願いされてしまったんです。あの子を幸せにしてあげてって。」
「お願い?誰に?」
「…先代の…侍女達…?」
「んん?」
「いや、なんでもないです。それに私自信、彼女には幸せになってもらいたいと思ってるんです。まあ私の村に連れて行って必ず幸せになれるとは限りませんけど。」
「じゃあナナに決めてもらったらどうかな?」
「ナナちゃんにですか?」
「そう、隣街の孤児院に入るか、それとも君の故郷に行くか。」
「12歳の頃ならともかく、あんな小さい子に自分の将来を決めさせて良いものでしょうか…」
「どっちがより幸せになれるかなんて、誰にも分からない。だったら自分で決めさせたほうが、将来的にも納得できるんじゃないかな。」
「そう…ですね。じゃあ、本人に聞いてみます。」
「うん、それがいいよ。」
ーーーーーーーーー
「…おねえちゃんと、ずっと一緒にいられないの?」
「う、うん。そうなの。それで、どっちが良いかな…?」
サイモンとの話し合いの後、共同ダイニングに戻ってナナに先程の話をすると、ナナはみるみる不安定になった。涙目で香織の腕にしがみつき、離そうとしない。
(困ったな…刷り込みなのかなあ…)
記憶をなくしている状態で初めて会ったのが香織だ。そのせいでナナは、雛鳥が親に懐くように香織に依存してしまっているのかもしれない。
香織は子供嫌いというわけでは決してないが、特別子供が好きというわけでもなかった。それに香織は基本的に旅を続ける予定だ。小さな子供を同伴させることは香織にも、ナナ自身にも負担が大きかった。
「おねえちゃんとずっと一緒にいたい…だめなの?」
「ナナちゃん、私は旅の途中なの。小さなナナちゃんを、危険な場所に連れて行くわけにはいかないでしょ?」
「ナナ、頑張る…おねえちゃんと一緒に行きたい…」
「うーん…」
このナナの予想外な抵抗に、香織もサイモンも困り果てていた。まさか、行き先を決めてもらう前の段階で躓くとは思ってもみなかったのだ。香織はサイモンに助けを求める視線を向けたが、首を横に振られ、撃沈した。
「だったら尚更、俺たちの村に連れて行けばいい。」
「アル。おはよう、起きてたの?」
「ああ。上で話聞いてた。」
困り果てた香織に助け舟を出したのは、階段を降りてきたアルだった。見知らぬ大人の姿を見て、ナナは駄々をこねるのを一旦止め、香織の背中に隠れた。
「ナナちゃん。この人はアルって言って…私のお兄ちゃんみたいな人なの。」
「おねえちゃんの、おにいちゃん?」
「そうだよ。」
「アル、おにいちゃん…」
「そうそう。」
姉と慕っている者が兄と慕っている者。それはつまり、ナナの兄みたいなもの。ナナの頭はそう結論付けたようだった。警戒をやめ、香織の背中から出てきたナナは、再び香織の腕に捕まった。
「ナナ。孤児院かカオリの村か。選べないのか?」
「…選べない、行きたくない…」
「それだと多数決で決めることになるぞ。多分大半の奴がナナを孤児院に入れたほうがいいと思っている。それだとカオリには二度と会えないと思っていい。」
「そんなの、やだ…行きたくない…」
「でもカオリの村に住んでいれば、カオリは帰ってくる。また会えるんだぞ。」
「また…会えるの?」
「そうだ。俺達の故郷だからな。旅をしてたって帰郷くらいするさ。お前が村に慣れるまで、しばらく滞在だってしてやる。」
「う、うん…」
「何も覚えていないというのは本当かい?」
「うん…」
朝日がのぼり、サイモン達が起きた頃、香織はナナを連れて一階に降りた。ビクビクしながら階段をおりていたナナだったが、アレクシスの姿がないのを確認するとほっと肩の力を抜いた。他のメンバーもアレクシスから話を聞いたのか、気を利かせて降りてこなかったようだ。
香織はサイモン達の分まで朝食を作り、ナナの紹介も兼ねて皆で食卓を囲んだ。
ナナに関する虚偽の報告を聞いたサイモンは、少女を気遣うように優しく声をかけた。
「お父さんやお母さんのことも…覚えていないのかい?」
「おとうさん、おかあさん…」
香織が聞けなかった事を、サイモンが優しく問いかける。香織は情報を与える事で記憶が蘇るのではと危惧していたのだが、今のところその兆候はない。家族に関する質問をしても、ナナはいまいちピンときていない様子だった。
「…覚えてない?」
「うん…」
「歳は?いくつ?」
「わかんない…」
「えっと、魔法で調べたんですけど、7歳みたいです。」
「7歳か…」
サイモンはナナが本来は12歳である事を知っている。職業柄人の顔を覚えるのが得意なサイモンは、ナナの異変に気がついていた。
「カオリ、ちょっといいかい?」
「あ、はい。」
「ナナ、ちょっと話すことがあるからカオリを少し借りていくよ。ミド、ファール。ナナをよろしく。」
「カオリおねえちゃん…」
「ごめんね、すぐ戻るから。」
不安そうに香織を見上げるナナに優しく声をかけ、香織とサイモンはダイニングを後にした。目が覚めてから初めて見たのが香織だったからか、ナナは香織によく懐いていた。二人きりでいる時は気がつかなかったが、ナナは人見知りをするタイプのようで、今朝も見知らぬ大人に囲まれ居心地悪そうに香織に寄り添っていた。
サイモンは香織を連れ、先日利用したばかりの商会の応接室に入った。
「ナナだけど…あれはカオリがやったの?」
「いえ…やってません。朝起きたらああなってて…私も記憶を消すことは考えていたんですけど、流石に若返らせるのは無理です。」
「7歳、か…確か12歳だったよね?」
「はい、そのはずです。」
「5歳も若返ってる…それに精神年齢も恐らくそれくらい。」
「そうですね。」
「心の傷もない、と…」
「はい。」
「なら、ナナの預け先があるんじゃないか?」
「え?」
「ほら、孤児院に入るのが難しかったのは、12歳という年齢と、喋れないという心の問題だろ?それがなくなった今、彼女の預け先を見つけるのは簡単だ。」
「確かに…そうですね。」
「わざわざカオリが故郷の村に戻る必要もないんじゃないか?」
「でも孤児院で…彼女は幸せになれるんでしょうか。」
「経済的に余裕のない孤児院は多いから…少しは苦労するだろうね。だけどそれは身寄りのない子供なら誰しも通る道さ。それよりもっと酷い生活をしているストリートチルドレンだっている。」
「そう…ですよね。でも…」
「何か気になることでもあるのかい?」
「うーん…お願いされてしまったんです。あの子を幸せにしてあげてって。」
「お願い?誰に?」
「…先代の…侍女達…?」
「んん?」
「いや、なんでもないです。それに私自信、彼女には幸せになってもらいたいと思ってるんです。まあ私の村に連れて行って必ず幸せになれるとは限りませんけど。」
「じゃあナナに決めてもらったらどうかな?」
「ナナちゃんにですか?」
「そう、隣街の孤児院に入るか、それとも君の故郷に行くか。」
「12歳の頃ならともかく、あんな小さい子に自分の将来を決めさせて良いものでしょうか…」
「どっちがより幸せになれるかなんて、誰にも分からない。だったら自分で決めさせたほうが、将来的にも納得できるんじゃないかな。」
「そう…ですね。じゃあ、本人に聞いてみます。」
「うん、それがいいよ。」
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「…おねえちゃんと、ずっと一緒にいられないの?」
「う、うん。そうなの。それで、どっちが良いかな…?」
サイモンとの話し合いの後、共同ダイニングに戻ってナナに先程の話をすると、ナナはみるみる不安定になった。涙目で香織の腕にしがみつき、離そうとしない。
(困ったな…刷り込みなのかなあ…)
記憶をなくしている状態で初めて会ったのが香織だ。そのせいでナナは、雛鳥が親に懐くように香織に依存してしまっているのかもしれない。
香織は子供嫌いというわけでは決してないが、特別子供が好きというわけでもなかった。それに香織は基本的に旅を続ける予定だ。小さな子供を同伴させることは香織にも、ナナ自身にも負担が大きかった。
「おねえちゃんとずっと一緒にいたい…だめなの?」
「ナナちゃん、私は旅の途中なの。小さなナナちゃんを、危険な場所に連れて行くわけにはいかないでしょ?」
「ナナ、頑張る…おねえちゃんと一緒に行きたい…」
「うーん…」
このナナの予想外な抵抗に、香織もサイモンも困り果てていた。まさか、行き先を決めてもらう前の段階で躓くとは思ってもみなかったのだ。香織はサイモンに助けを求める視線を向けたが、首を横に振られ、撃沈した。
「だったら尚更、俺たちの村に連れて行けばいい。」
「アル。おはよう、起きてたの?」
「ああ。上で話聞いてた。」
困り果てた香織に助け舟を出したのは、階段を降りてきたアルだった。見知らぬ大人の姿を見て、ナナは駄々をこねるのを一旦止め、香織の背中に隠れた。
「ナナちゃん。この人はアルって言って…私のお兄ちゃんみたいな人なの。」
「おねえちゃんの、おにいちゃん?」
「そうだよ。」
「アル、おにいちゃん…」
「そうそう。」
姉と慕っている者が兄と慕っている者。それはつまり、ナナの兄みたいなもの。ナナの頭はそう結論付けたようだった。警戒をやめ、香織の背中から出てきたナナは、再び香織の腕に捕まった。
「ナナ。孤児院かカオリの村か。選べないのか?」
「…選べない、行きたくない…」
「それだと多数決で決めることになるぞ。多分大半の奴がナナを孤児院に入れたほうがいいと思っている。それだとカオリには二度と会えないと思っていい。」
「そんなの、やだ…行きたくない…」
「でもカオリの村に住んでいれば、カオリは帰ってくる。また会えるんだぞ。」
「また…会えるの?」
「そうだ。俺達の故郷だからな。旅をしてたって帰郷くらいするさ。お前が村に慣れるまで、しばらく滞在だってしてやる。」
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