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緑川、人類の運命を背負う
天界製はモノが違う
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おお、すっげーー…。
神の世界の朝焼けがあまりに素晴らしくて涙が溢れた。
なにこれ、夢の中かもしれないけれど。
見渡す限り黄金色に輝く雲海、その中に島が浮いている。
綺麗すぎんだろー……。
神々しい光の中、傍の木からヘパイストスは何かの実をブチっともぎ取って口に入れる。「おう、お前も食っとけや」言われて真似した。「うまいな。あんまり甘くないけど」
こんなこと佐伯ちゃんの前でしたら叱られそうだなー。
佐伯ちゃん…
『社長、行儀悪い!』
『いいじゃん、他人の土地じゃないし』
『私は行儀悪いって言ったんです! 仮にも社長ですよ? わきまえてください!』
『ハイハイ…。佐伯ちゃんも食べて見りゃいいのに。ほら』
『いりませんっ』バシッ…。
あのおかっぱ……ボブヘアーが懐かしい…。もう二度と会えねえのかなあ。
「さ、取りかかるとすっか」
ヘパイストスは工房で作業に入った。「なんだこりゃ」スマホの液晶パネルを外しさらに分解してくと中の回路がむき出しになる。
「ああん? 小難しいニューロンだな。こんなもん作れって? ゼウスの奴どうしようもねえな」
スマホの内部…見るだけでわかるのか?
今日は傍観者。作業をじっと見つめた。
カンカン…。
ダイナミックに金属の塊を打ち込んでいく。
普通のカナヅチだが、それはただのカナヅチじゃない。
え!?
一度打つたびそれらしいフォルムに仕上がっていく。
ええ、なんでー?
写メ写メ……。あ、そっか。
この工程をビデオ撮影したいがスマホが一台しかない。
「できたぜ」
あっという間に!
すげー金ピカのスマホ……。
カシャカシャ……。
シャッター音もちょっと違う。
クォシャ、みたいな篭った音だ。
「ほら、どうだ」
自分の顔が豪華金ピカのスマホに映ってた。
「ええ、どうなってんの、これ」回路とか無くね?
「どうなってって。お前の道具じゃねーか」
そうだけど……聞きたいのは……動力源はどうなってるんだ?
何を電源にしてるんだ?
「こんなもん残してどうするんだろうなあ」
ヘパイストスは画像を眺め首を傾げた。パリピが聞いたら馬鹿にされそうな台詞だ。
写真撮って楽しいという感覚がないのか。
「ダメだよ、そんなつまんないこと言っちゃ」
ゼウスみたいに盛り上がらなきゃ。
「ああん?」
「……思うんだけど、お前ら何も書いたり形に残したりしないんだな」
「書く? そりゃそうだろう。そんなもの残して人間の手に渡ったらどうすんだ」
え?
「何でも使い方ってもんがあるんだ。未熟な生物に道具の作り方見せるわけにいかんだろう」
……!?
何だよ、設計図は全部頭の中にあるってことか?
よくわからん…。
たしかに悪用されちゃ困るが、それは21世紀でも同じだ。
「よし、できたぞ。届けに行こう」
ヘパイストスは自作スマホをゼウスに届けた。
最高神は喜んで、周りに綺麗どころを集めて撮影会を始めた。
「おお、これはいいのう、ほれ、こっちに来なさい」
画像編集アプリもつけたようだ。
神らは自分の画像をいじって遊んでいる。
どこの世界も同じだな、パリピはやっぱこうじゃなきゃ…。
「何が面白いのかねえ…」ヘパイストスは首をかしげる。
それにしても不思議だ。
科学とも魔法とも言えないあの技は何なんだ。
設計図がなくてもコピーは簡単にできるのか。
元のスマホに入ってる膨大なデータをいじったりはしてないようだが。
それはここでは禁忌なのだろうか。
神の世界の朝焼けがあまりに素晴らしくて涙が溢れた。
なにこれ、夢の中かもしれないけれど。
見渡す限り黄金色に輝く雲海、その中に島が浮いている。
綺麗すぎんだろー……。
神々しい光の中、傍の木からヘパイストスは何かの実をブチっともぎ取って口に入れる。「おう、お前も食っとけや」言われて真似した。「うまいな。あんまり甘くないけど」
こんなこと佐伯ちゃんの前でしたら叱られそうだなー。
佐伯ちゃん…
『社長、行儀悪い!』
『いいじゃん、他人の土地じゃないし』
『私は行儀悪いって言ったんです! 仮にも社長ですよ? わきまえてください!』
『ハイハイ…。佐伯ちゃんも食べて見りゃいいのに。ほら』
『いりませんっ』バシッ…。
あのおかっぱ……ボブヘアーが懐かしい…。もう二度と会えねえのかなあ。
「さ、取りかかるとすっか」
ヘパイストスは工房で作業に入った。「なんだこりゃ」スマホの液晶パネルを外しさらに分解してくと中の回路がむき出しになる。
「ああん? 小難しいニューロンだな。こんなもん作れって? ゼウスの奴どうしようもねえな」
スマホの内部…見るだけでわかるのか?
今日は傍観者。作業をじっと見つめた。
カンカン…。
ダイナミックに金属の塊を打ち込んでいく。
普通のカナヅチだが、それはただのカナヅチじゃない。
え!?
一度打つたびそれらしいフォルムに仕上がっていく。
ええ、なんでー?
写メ写メ……。あ、そっか。
この工程をビデオ撮影したいがスマホが一台しかない。
「できたぜ」
あっという間に!
すげー金ピカのスマホ……。
カシャカシャ……。
シャッター音もちょっと違う。
クォシャ、みたいな篭った音だ。
「ほら、どうだ」
自分の顔が豪華金ピカのスマホに映ってた。
「ええ、どうなってんの、これ」回路とか無くね?
「どうなってって。お前の道具じゃねーか」
そうだけど……聞きたいのは……動力源はどうなってるんだ?
何を電源にしてるんだ?
「こんなもん残してどうするんだろうなあ」
ヘパイストスは画像を眺め首を傾げた。パリピが聞いたら馬鹿にされそうな台詞だ。
写真撮って楽しいという感覚がないのか。
「ダメだよ、そんなつまんないこと言っちゃ」
ゼウスみたいに盛り上がらなきゃ。
「ああん?」
「……思うんだけど、お前ら何も書いたり形に残したりしないんだな」
「書く? そりゃそうだろう。そんなもの残して人間の手に渡ったらどうすんだ」
え?
「何でも使い方ってもんがあるんだ。未熟な生物に道具の作り方見せるわけにいかんだろう」
……!?
何だよ、設計図は全部頭の中にあるってことか?
よくわからん…。
たしかに悪用されちゃ困るが、それは21世紀でも同じだ。
「よし、できたぞ。届けに行こう」
ヘパイストスは自作スマホをゼウスに届けた。
最高神は喜んで、周りに綺麗どころを集めて撮影会を始めた。
「おお、これはいいのう、ほれ、こっちに来なさい」
画像編集アプリもつけたようだ。
神らは自分の画像をいじって遊んでいる。
どこの世界も同じだな、パリピはやっぱこうじゃなきゃ…。
「何が面白いのかねえ…」ヘパイストスは首をかしげる。
それにしても不思議だ。
科学とも魔法とも言えないあの技は何なんだ。
設計図がなくてもコピーは簡単にできるのか。
元のスマホに入ってる膨大なデータをいじったりはしてないようだが。
それはここでは禁忌なのだろうか。
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