チャロアと99人の魔法使い

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　やがて、イオラおじいさんは「そろそろ帰かえらなくては」と、家いえ の外そとに出でました。
　東ひがしの森から、太陽たいようが顔かおを出だし始はじめています。

「チャロア、いいかい」
「なあに。イオラおじいちゃん」

　イオラおじいさんはしゃがみこむと、チャロアの目をじっと見つめます。

「チャロアはまっすぐな、いい子だね。おまえさんなら、きっとすてきな魔法使まほうつかいになれるよ」

　それは、サンタクロースさんがくれた言葉ことばと同おなじでした。

「この町は今いま、元気げんきがない。でも、そんなことは関係かんけいないよ。自分じぶんの気持きもちを大切たいせつに。そして、ゆめをしんじるんだよ」
「『ゆめをしんじる』……？」

　チャロアが首くびをかしげると、イオラおじいさんはにっこりとわらいました。

「たとえみんなが『できっこない』と言いったとしても、『きっとできる』って思おもうことが大切たいせつだよ。それが『しんじる』ことだ」
「うん……」

　チャロアは、ずっとふしぎに思おもっていたことを、イオラおじいさんにたずねました。

「ねえ、サンタクロースさんは、どうしておとなになっても魔法まほうを使つかえるのかな？」

　イオラおじいさんは、首くびを横よこにふりました。

「それは、わしにもわからない。かれがどこのだれなのか、みんな知らない。でも、かれはまちがいなく、魔法使まほうつかいだ。わしたちとちがう何なにかを、かれは持もっているんだろう」

　それを聞きいたチャロアは、にっこりとわらいました。

「ありがとう、イオラおじいちゃん。ぼく、サンタクロースさんみたいになれるようにがんばるよ！」

　元気げんきを取とりもどしたチャロアを見て、イオラおじいさんもうれしそうにほほえみました。