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謁見
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「ベルザイオ王国に栄華を、国王陛下」
「ああ、レイモンド。暗い顔だな」
トマークタスは結婚式で見たときよりも窶れたレイモンドに声をかけた。
ソロモンとレイモンドはトマークタスに呼ばれ、王宮の謁見室にいる。
「そんなことはございません、陛下」
無言のレイモンドに代わり、ソロモンが答えた。
「ソロモン、息子の顔をよく見ろ。血色も悪い…美男が台無しだぞ……今さらシモンズの令嬢を探して…なにをしている?」
トマークタス・ベルザイオはソファに深く座りながら立ち尽くしている二人を見ている。
「…川辺に上がった遺体など見るからそんな顔になるんだぞ…ははっ」
レイモンドはきつく目蓋を閉じて吐き気を耐える。
「アイザックは違うと言っているが…水死体はなぁ…酷いものだからな…エルマリアかもしれないし違うかもしれない…私は違うと思うがな」
レイモンドは濃緑の瞳を見開き、祖父であるトマークタスを見る。
「なにか知っているのですか?」
「ん?」
トマークタスはあごひげを撫でながら口角を上げてレイモンドを見ている。
「お前がエルマリア・シモンズを探して歩いていることか?ソロモン、息子を管理しないのか?貧民街にまで足を運ぶとは…女王に知られたらどうする?」
「申し訳ありません、陛下。国を離れる息子の最後の願いと言われて許してしまった…私の落ち度です」
「…夫が四人もいるが悋気の激しい女だ…向こうに行ったら気をつけろよ。レイモンド…切られるぞ」
トマークタスは股間を指さし横に振る。
「探すな…アイザックがいつか見つけるだろう…ははは!アイザックめ…面白い奴だ…今頃親心などが芽生えたとはな」
機嫌のいいトマークタスの言葉にソロモンとレイモンドは首を傾げる。
「ソロモン、面白い顔をするな…笑ってしまうぞ…だからお前は無能と言う。アイザックが娘を溺愛しているなどあるわけがなかろう?皆を騙してなぁ…」
「エルマリアは溺愛されていると…」
「ははっレイモンド、それは世間に広まっている認識だ。アイザックが広めて本人もそう見えるよう行動しただけで溺愛していると思わせたんだ。な?フローレンでは勝てんだろう?」
レイモンドは隣に立つソロモンを見るが濃緑の視線はトマークタスにあり、頬がひきつっていた。
「鉱山か…宝が眠っていたか…惜しかったなぁ」
フローレン侯爵家が所有していた鉱山は今はシモンズ子爵家が採掘をはじめ、質のいい透明なダイヤモンドが出たと話が広がっていた。
「…もとは陛下の鉱山…腹が立たないのですか?」
レイモンドの言葉にトマークタスは膝を叩いて笑う。
「ははっ悔しいぞ!だがフローレンの顛末の方が面白くてな!まったく!描いたように動きおって」
「お祖父様!趣味が悪い!」
レイモンドは頭に血が上りトマークタスに向けて声を上げた。
「結婚式ではすでにシモンズの思惑を知っていながら!…私は孫ですよ…なんの情もないのですか…」
「ない」
レイモンドは視線を床からトマークタスに移す。その顔は不遜に笑っていた。
「血が繋がっているからといって、なぜ情が湧くと考える?私が情を持っているのは昔からの旧友くらいだぞ。お前などに冷酷と罵られてもなんとも思わん。レイモンド、エルマリア・シモンズは愛されずに育った。アイザックの駒として教育を受け、来る相手に文句をつけさせない令嬢になったが…アイザックから逃げようとしていたんだ」
「逃げ…?」
「ああ…拉致ではないぞ…私の想像では奴隷だった男と恋仲だな…手を取り合って逃げた…ふむ…アイザックから逃げた先は希望ではなく絶望…そこで献身的に侍る男に心が向かう…ありきたりだな…ははは」
「陛下、我らを苦しめるために呼んだのではないでしょう?」
ソロモンはトマークタスの話を聞いていられず先を進める。
「…だからつまらんと言うんだ。杖さえアイザックを選ぶ…レイモンド…結婚式が早まった。半月後首都を発て」
レイモンドは急激に冷えていく体に立っているのがやっとなほど視界が暗くなる。
「…承知しました」
トマークタスはレイモンドの返事を聞いて頷き、背もたれに預けていた体を起こして膝に肘をついて両手を組む。
「レイモンド、正直に答えてくれ…謎がなぁ…結婚の仕度金を多めにやるから教えてくれ」
真剣な表情をするトマークタスにレイモンドは唾液を飲み込む。
「なんですか?」
「男爵令嬢の純潔はお前が奪ったのか?夜な夜な忍んだと聞いたぞ」
「…陛下がそんなことを気にするとは…」
トマークタスの問いに声を出したのはソロモンだった。
「だってなぁ…貴族令嬢に純潔の証明書は必須…発行後に手を出すなら理解できるがなぁ…あの娘が使用人に抱かれたとも考えにくい…あの娘は侯爵夫人の座を狙っていたからなぁ」
「私は決して奪っていません」
レイモンドは真剣に答える。
「ふむ…くくくっ…ならば…ふむ…ははは!面白い!面白い男を雇っていたな!ソロモン」
「陛下…?」
気が触れたようなトマークタスにソロモンは眉間にしわを寄せる。
「男…?ザザのことですか?」
トマークタスの言葉にソロモンはザザだと察する。
「ああ!まぁ…本人が白状しなければわからんことだが…私の予想は当たっているだろうな」
満足そうな顔をしながらあご髭を撫でるトマークタスは笑む。
「レイモンド、変な顔をするな。男は地図と睡眠薬を置いて消えた…わざわざ意味深なものをな…エルマリアに使った?いや…エルマリアには男が必要だった…あれは深窓の令嬢だ…逃げるにも限度がある…アイザックが未だ見つけられないのは男のせいだ」
ソロモンはトマークタスの言葉を聞いて無意識に一歩足を進め近づく。
「なぜ…そこまで詳しく…」
ザザの残した荷物の中身を知る者は限られていた。 トマークタスはソロモンを無視して話を続ける。
「睡眠薬だ…くく…可愛い主を害する元凶…鉢を落としたり毒を盛ったりな…男は報復をした。これが私の考えだ。ははは、可哀想な男爵令嬢だなぁ…夜な夜な忍ぶレイモンドを待ちながら知らぬ間に純潔を奪われていたとは…愉快愉快。懸命に侯爵家に取り入った結果がこれだ。人とはまさに滑稽で面白い」
「陛下!」
ソロモンは耐えられず声を上げた。
「…ア…アプソが…陛下の…」
「正解だなぁ」
ソロモンはフローレン侯爵邸内の出来事をすべて知っているようなトマークタスを見て消去法でアプソを導きだした。
「父上…アプソが陛下側の…」
「ははっ使える男だろう?優秀だったろう?人を送ることなど他愛もない…と思っていたがな…シモンズ子爵家は違うぞ…あそこには入れられなかった。ソロモン、裏切ったなど思うなよ。フローレン侯爵家は私が与えたのだ…文句は言わせん」
トマークタスは笑みを消していた。
「アプソを解雇してもいい。私の近くで働いてもらうかな。フローレン侯爵家に不利になるようなことは命じてないぞ。ただ私の求める情報を送るだけだ」
「アプソはシモンズ子爵の思惑を…」
ソロモンはそこが気になった。知っていてなにも言わなかったなら悪意を感じる。
「…ふむ…私は話してないな…そんなことを話してアプソがお前に助言でもしろ…つまらんだろ。だが、優秀だ…レイモンドの愚行にこの結末は予想していたかもな」
ソロモンは叫びだしたかった。望まぬ結婚と望まぬ妻と望まぬ爵位に囲まれ、トマークタスの手のひらでいいように転がされる自身の人生を嘆きたくなった。
「ソロモン、アンジェルを修道院に送っていいぞ」
トマークタスの言葉にソロモンは顔を上げる。
「…なんだかな…憐れに見えてきた…アンジェルが選んだお前が憐れだ…が…面倒を厭うてこうなったがな」
トマークタスの言う通り、ソロモンはアンジェルと向き合うことをしなかった。ただ機嫌をとって夫婦を続けていただけだった。それが楽だった。
「…あれを愛せと?無理を仰る」
ソロモンの本音にトマークタスは微笑んだ。
「ははっ愛せるところを探したか?なにかあるだろ…ないか…ははは」
笑うトマークタスを見ながらレイモンドは声を発した。
「奴がフェリシアを抱いた?」
「…陰茎を入れんでも処女膜は破れる…大男だったんだろう?さぞ指は長いだろうしな…いや…張り型か?本人に聞かねばわからんな…ふむ…破瓜の血はどう処理した…?」
トマークタスは自身の頬を指で叩き思考する。そんな国王を目の前にしているソロモンはフェリシアのことなどどうでもよかった。
「!…月の物か…ははっ!その時だな!それしかない!痛みや違和感も誤魔化せるか…抱いてはないぞ!張り型だな!ははは!」
愉快そうなトマークタスにレイモンドは顔を青ざめ、ソロモンはため息を吐いた。
「いやー…謎が解けた解けた…スッキリした…久しぶりに熟睡できそうだ」
「ああ、レイモンド。暗い顔だな」
トマークタスは結婚式で見たときよりも窶れたレイモンドに声をかけた。
ソロモンとレイモンドはトマークタスに呼ばれ、王宮の謁見室にいる。
「そんなことはございません、陛下」
無言のレイモンドに代わり、ソロモンが答えた。
「ソロモン、息子の顔をよく見ろ。血色も悪い…美男が台無しだぞ……今さらシモンズの令嬢を探して…なにをしている?」
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「アイザックは違うと言っているが…水死体はなぁ…酷いものだからな…エルマリアかもしれないし違うかもしれない…私は違うと思うがな」
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「なにか知っているのですか?」
「ん?」
トマークタスはあごひげを撫でながら口角を上げてレイモンドを見ている。
「お前がエルマリア・シモンズを探して歩いていることか?ソロモン、息子を管理しないのか?貧民街にまで足を運ぶとは…女王に知られたらどうする?」
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トマークタスは股間を指さし横に振る。
「探すな…アイザックがいつか見つけるだろう…ははは!アイザックめ…面白い奴だ…今頃親心などが芽生えたとはな」
機嫌のいいトマークタスの言葉にソロモンとレイモンドは首を傾げる。
「ソロモン、面白い顔をするな…笑ってしまうぞ…だからお前は無能と言う。アイザックが娘を溺愛しているなどあるわけがなかろう?皆を騙してなぁ…」
「エルマリアは溺愛されていると…」
「ははっレイモンド、それは世間に広まっている認識だ。アイザックが広めて本人もそう見えるよう行動しただけで溺愛していると思わせたんだ。な?フローレンでは勝てんだろう?」
レイモンドは隣に立つソロモンを見るが濃緑の視線はトマークタスにあり、頬がひきつっていた。
「鉱山か…宝が眠っていたか…惜しかったなぁ」
フローレン侯爵家が所有していた鉱山は今はシモンズ子爵家が採掘をはじめ、質のいい透明なダイヤモンドが出たと話が広がっていた。
「…もとは陛下の鉱山…腹が立たないのですか?」
レイモンドの言葉にトマークタスは膝を叩いて笑う。
「ははっ悔しいぞ!だがフローレンの顛末の方が面白くてな!まったく!描いたように動きおって」
「お祖父様!趣味が悪い!」
レイモンドは頭に血が上りトマークタスに向けて声を上げた。
「結婚式ではすでにシモンズの思惑を知っていながら!…私は孫ですよ…なんの情もないのですか…」
「ない」
レイモンドは視線を床からトマークタスに移す。その顔は不遜に笑っていた。
「血が繋がっているからといって、なぜ情が湧くと考える?私が情を持っているのは昔からの旧友くらいだぞ。お前などに冷酷と罵られてもなんとも思わん。レイモンド、エルマリア・シモンズは愛されずに育った。アイザックの駒として教育を受け、来る相手に文句をつけさせない令嬢になったが…アイザックから逃げようとしていたんだ」
「逃げ…?」
「ああ…拉致ではないぞ…私の想像では奴隷だった男と恋仲だな…手を取り合って逃げた…ふむ…アイザックから逃げた先は希望ではなく絶望…そこで献身的に侍る男に心が向かう…ありきたりだな…ははは」
「陛下、我らを苦しめるために呼んだのではないでしょう?」
ソロモンはトマークタスの話を聞いていられず先を進める。
「…だからつまらんと言うんだ。杖さえアイザックを選ぶ…レイモンド…結婚式が早まった。半月後首都を発て」
レイモンドは急激に冷えていく体に立っているのがやっとなほど視界が暗くなる。
「…承知しました」
トマークタスはレイモンドの返事を聞いて頷き、背もたれに預けていた体を起こして膝に肘をついて両手を組む。
「レイモンド、正直に答えてくれ…謎がなぁ…結婚の仕度金を多めにやるから教えてくれ」
真剣な表情をするトマークタスにレイモンドは唾液を飲み込む。
「なんですか?」
「男爵令嬢の純潔はお前が奪ったのか?夜な夜な忍んだと聞いたぞ」
「…陛下がそんなことを気にするとは…」
トマークタスの問いに声を出したのはソロモンだった。
「だってなぁ…貴族令嬢に純潔の証明書は必須…発行後に手を出すなら理解できるがなぁ…あの娘が使用人に抱かれたとも考えにくい…あの娘は侯爵夫人の座を狙っていたからなぁ」
「私は決して奪っていません」
レイモンドは真剣に答える。
「ふむ…くくくっ…ならば…ふむ…ははは!面白い!面白い男を雇っていたな!ソロモン」
「陛下…?」
気が触れたようなトマークタスにソロモンは眉間にしわを寄せる。
「男…?ザザのことですか?」
トマークタスの言葉にソロモンはザザだと察する。
「ああ!まぁ…本人が白状しなければわからんことだが…私の予想は当たっているだろうな」
満足そうな顔をしながらあご髭を撫でるトマークタスは笑む。
「レイモンド、変な顔をするな。男は地図と睡眠薬を置いて消えた…わざわざ意味深なものをな…エルマリアに使った?いや…エルマリアには男が必要だった…あれは深窓の令嬢だ…逃げるにも限度がある…アイザックが未だ見つけられないのは男のせいだ」
ソロモンはトマークタスの言葉を聞いて無意識に一歩足を進め近づく。
「なぜ…そこまで詳しく…」
ザザの残した荷物の中身を知る者は限られていた。 トマークタスはソロモンを無視して話を続ける。
「睡眠薬だ…くく…可愛い主を害する元凶…鉢を落としたり毒を盛ったりな…男は報復をした。これが私の考えだ。ははは、可哀想な男爵令嬢だなぁ…夜な夜な忍ぶレイモンドを待ちながら知らぬ間に純潔を奪われていたとは…愉快愉快。懸命に侯爵家に取り入った結果がこれだ。人とはまさに滑稽で面白い」
「陛下!」
ソロモンは耐えられず声を上げた。
「…ア…アプソが…陛下の…」
「正解だなぁ」
ソロモンはフローレン侯爵邸内の出来事をすべて知っているようなトマークタスを見て消去法でアプソを導きだした。
「父上…アプソが陛下側の…」
「ははっ使える男だろう?優秀だったろう?人を送ることなど他愛もない…と思っていたがな…シモンズ子爵家は違うぞ…あそこには入れられなかった。ソロモン、裏切ったなど思うなよ。フローレン侯爵家は私が与えたのだ…文句は言わせん」
トマークタスは笑みを消していた。
「アプソを解雇してもいい。私の近くで働いてもらうかな。フローレン侯爵家に不利になるようなことは命じてないぞ。ただ私の求める情報を送るだけだ」
「アプソはシモンズ子爵の思惑を…」
ソロモンはそこが気になった。知っていてなにも言わなかったなら悪意を感じる。
「…ふむ…私は話してないな…そんなことを話してアプソがお前に助言でもしろ…つまらんだろ。だが、優秀だ…レイモンドの愚行にこの結末は予想していたかもな」
ソロモンは叫びだしたかった。望まぬ結婚と望まぬ妻と望まぬ爵位に囲まれ、トマークタスの手のひらでいいように転がされる自身の人生を嘆きたくなった。
「ソロモン、アンジェルを修道院に送っていいぞ」
トマークタスの言葉にソロモンは顔を上げる。
「…なんだかな…憐れに見えてきた…アンジェルが選んだお前が憐れだ…が…面倒を厭うてこうなったがな」
トマークタスの言う通り、ソロモンはアンジェルと向き合うことをしなかった。ただ機嫌をとって夫婦を続けていただけだった。それが楽だった。
「…あれを愛せと?無理を仰る」
ソロモンの本音にトマークタスは微笑んだ。
「ははっ愛せるところを探したか?なにかあるだろ…ないか…ははは」
笑うトマークタスを見ながらレイモンドは声を発した。
「奴がフェリシアを抱いた?」
「…陰茎を入れんでも処女膜は破れる…大男だったんだろう?さぞ指は長いだろうしな…いや…張り型か?本人に聞かねばわからんな…ふむ…破瓜の血はどう処理した…?」
トマークタスは自身の頬を指で叩き思考する。そんな国王を目の前にしているソロモンはフェリシアのことなどどうでもよかった。
「!…月の物か…ははっ!その時だな!それしかない!痛みや違和感も誤魔化せるか…抱いてはないぞ!張り型だな!ははは!」
愉快そうなトマークタスにレイモンドは顔を青ざめ、ソロモンはため息を吐いた。
「いやー…謎が解けた解けた…スッキリした…久しぶりに熟睡できそうだ」
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