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レイモンドとエルマリア

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「君を抱いてしまう」 

「それは…」 

「困るだろう?貴族令嬢は結婚するとき証明書と共に婚家に入る。いくら相手が俺でも我慢のできない淫らな夫婦と世間で言われてしまう。茶会や夜会で笑われたくないだろう?堂々と君と入場したい」

 レイモンドはフェリシアを抱き上げ膝に乗せる。 

「だから軽い口づけだけにする」

 レイモンドはフェリシアの頬をつつみ唇を合わせる。 

「愛しているから大切にしたい」 

「私も…愛してる」


 レイモンドは人目を避けてフェリシアの部屋のテラスから一階のテラスへ移動し、薄暗い庭を進む。

 数日前に犯した使用人がレイモンドの相手をするようになった。金もねだらず言いなりの女が待つ場所へ向かう。 

「レイモンド様」

 レイモンドは辺りをうかがいながら腰ひもを緩める。 物陰に立つ女の頭を掴み跪かせて顔を股間に押し付ける。 

「舐めろ」

 女はきざし始めた陰茎を頬張り懸命に頭を動かす。 

「くっ…フェリシア…フェリシア…もっと吸ってくれ…舌を這わせろ」

 レイモンドは女の頭を掴み喉奥まで陰茎を入れ込み引いてを繰り返し、快感に酔う。 

「ああ…いいぞ」

 興奮したレイモンドは掴んだ頭に向かって腰を振り何度も喉奥を突いて子種を吐き出した。 

「ぐっ…く…飲め…」

 口から陰茎を抜いたレイモンドは咳き込む女の体を掴み引き上げ顔を壁に押しつけてスカートをめくり乱暴に下着を下ろし、秘所に陰茎を突き入れた。 

「あ!んん!」 

「口を押さえろ…声を出すな」

 濡れた秘所は簡単にレイモンドを受け入れ締め付ける。欲望のままに腰を振り女の顔が壁に擦られても気にせず乱暴に最奥まで突いた。 

「くっ…ああ…フェリシア…フェリシア…君の中に出す」

 レイモンドはまぶたを閉じてフェリシアの桃色の髪が乱れ喘ぐ様を想像し腰を振る。衣擦れと尻を打つ音が物陰に広がる。 

「くっ」

 思いのままにならない状況と若い衝動に負けたレイモンドは女を突き上げ、中へ子種を吐き出した。 

「あ…くっ…フェリシア…」 

「レイモ…ンドさ…ま…あん…あ…熱い…」 

女の声に我に返ったレイモンドはすぐに陰茎を抜いた。 

「…避妊薬を飲めよ…孕んだら殺す」 

「…承知…しま…した」

 女の返事にレイモンドは服を直しその場を去った。 



「ハウンド、ここまでする?」 

「用心です、エルマリア様。犯人が見つかるまでは耐えてください」 

ザザがいるのに騎士をつけるなんて…ナイフを手に背後から襲われるの? 

「レイモンド様は先に向かわれました」 

「そう」

 後ろを歩く騎士が気になるけど仕方ないわね。 昨日と同じ道を歩くとジェイコブと話した木の下にテーブルが置かれていた。その上には茶器もある。 

「エルマリア様、私はここで」 

「ええ」

 ハウンドが邸に向かい離れていく。 

「あなたはフローレン侯爵家に長くいるのかしら?」

 私は顔を傾けて後ろを歩く騎士に尋ねる。騎士にしてはずいぶん顔が綺麗だわ。こういう男性を宛てがえば私が喜ぶと思ったのかしら? 男爵令嬢の信者なら面倒だわ。 

「十年前からお世話になっております」

 十年…ザザと同じね… 日傘を差すザザを見上げてもいつもの無表情のままなにも言わない。 

「ダダと言います」

 その名を聞いてこの男の背景を悟った。 

「そう…」

 特に話すことはないから会話を止める。 ザザと同じ、元奴隷なら男爵令嬢は近づいていないと思うわ。 

「エルマリア」

 レイモンドが近づく私を見つめて立ち上がる。上品な所作で私の手を取り甲に唇をあてた。

 挨拶だとしても嫌悪感が湧く。

 侯爵を若くした美男子だけど性根の悪さを知ったあとでは心が拒否してしまう…けど微笑んで答える。 

「ごきげんよう、レイモンド様」

 会話は久しぶりですね、と嫌みを言わなかった私は大人ね。 

「座ろう」

 婚約時のように接する男に警戒する。 

「我が家の使用人が君にひどいことをしたと聞いた。申し訳なかった」 

「侯爵閣下にも謝罪は貰いましたわ」

 自分の行いは謝らないのね。 

「父上から君を大切にしろと言われていたのに私は自分の心に逆らえずにいた」 

私は用意されていた紅茶を口に含み飲み込む。 

「私はフェリシアを愛している」 

「そうですか。では離婚ですのね?」

 やっぱり馬鹿な男ね。 

「それは…エルマリア…私の頼みを聞いてくれないか?」 

「頼み?」 

「両家の共同事業が利益を上げ…子爵が満足するような収益を得たら…君とは別れたい」 

「なんて自分勝手な…」

 私はレイモンドを見つめてわざと涙を落とす。 高位貴族の令息とは相手のことなど考えないのね。 

「君は若く美しい…すぐに次の嫁ぎ先が」 

「あなたと結婚しました。誰が傷物の令嬢を望みますか?年の離れた男性の後妻になれと言いますのね?お話は終わりですか?私は…傷が浅いうちにシモンズへ戻ります」

 レイモンド・フローレン…人を馬鹿にするのもいい加減にして。正直に話せば私が頷くと思うなんて…軽く見られているのね。私はまだ純潔…もう一度、医師から証明書を出してもらえばそれなりの家に嫁げるだろうけど…私の目的はシモンズに戻らないことよ。 

「シモンズ子爵には莫大な財産があるだろう?君の嫁ぎ先の心配はいらないと思うが…純潔も散らしていない…」 

「そう…ですわね。フローレン侯爵家に馬鹿にされた子爵家は莫大な財産を持っていてもなにも言えないと?」 

「…」

 どう答えていいのか考える時点で肯定しているのよ。顔は父親、頭は母親に似たのね。 

「レイモンド様、王孫の尊い血をお持ちのあなたならシモンズの金などなくても窮状を越えられますわ」

 無理だと知っていて言っているけど。 

「なぜ…シモンズが子爵位のままでいるのかご存知?」

 この王国は金を積めば爵位を買える。それは莫大な額で誰も成したことはないけど…昨年の水害で国が窮地に陥ったとき、父はかなりの金を国に献上した。公爵家でさえその額を越えられなかった。父に助けられた国王は爵位の叙爵を提案したけど断った。 

「いくら爵位が高くても爵位は金を生みません」

 領地民からの納税で足りない分は働かなくては金は増えない。 

「そんなことを俺が知らないとでも…?馬鹿にしているのか?」 

「先に馬鹿にしたのはあなたです。堂々と私に嘘を吐き…未来は幸せなのだと期待させたわ!」 

レイモンドに感情をぶつけるのは初めてだった。 

「婚約時に男爵令嬢の存在をその気持ちを聞いていたら私は傷つかなかった。この婚約を父は受けなかった」

 真実を知るまで幸せになれると思わせたあなたが嫌いよ。 

「そんなに俺のことが好きだったのか?」

 だから…その思考がなぞよ。好きか嫌いかと聞かれたら…今なら嫌いと言えるわ。前ならどちらでもないと答える。 

「答えを求めますの?」

 子供のように嫌いよなんて言いたくないわ。察しなさいよ。




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