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参集 2
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ようやく二人が落ち着き、フレデリクの許可を得てリアンはリシャールの隣に座りなおした。
リアンはリシャールの手を取り、離れがたいようにしっかりと手をつないだ。
リシャールはそんなリアンを潤んだような目で見つめ、まるで恋人同士のように寄り添った。
そんな何とも言えない空気が漂う中、話し合いが始まる。
レオンとリシャールの話を突き合せた結果、やはりレオンが匿っている女はリアンを殺したロザンナで間違いはないと判明した。
「……で、どうするつもりですか?」
フレデリクがリシャールに聞く。
その間もリアンはリシャールの手を握り離さなかった。
フレデリクはその様子に胸がもやもやとしたものの、二人の先ほどの様子を見ればこの悲しき二人を引き離すことなどできなかった。
「リアンの言う通りロザンナは騎士に引き渡します。もうこれ以上君を悲しませたくないから」
「リシャ様、ありがとうございます。リシャ様には幸せになってほしい……僕の分まで」
「リアン……。フレデリク殿、この度は連絡をいただき本当にありがとうございました。それでもしよければ彼を……シモン領へ招待したいのですが許していただけませんか?」
「待ってください! ミシェルは私の婚約者なんです!」
レオンは思わず叫んで立ちあがる。
「もうお前とは婚約を解消している」
フレデリクがレオンの発言を一刀両断する。
「ですが俺も騙されていたのです、解っていただけたでしょう⁈」
レオンの必死の声をフレデリクはふんといなすとリシャールの方へ顔を向けた。
「あなたの気持ちは痛いほどわかります。ですが、ミシェルは渡すことはできません」
「ですが! 彼の中身はリアンなのです! リアンのままならこちらで暮らすのは酷でしょう!」
「それは……」
「リシャ様……ありがとうございます。でもこの体はミシェル様のお身体なのです。だからあなたのもとに行くわけにはいかない。もう僕は十分です。リシャ様が僕を想い続けてくれたことを知って僕は本当に嬉しかった。あの女の事だけが心残りだったから……あんな人間がリシャ様の妻としておさまっているのではないかと心配だった」
「そんなわけないよ、冷たくなったリアンを抱きしめた時私も死んでしまいたかった。私さえ、あの女を連れてこなければ君をこんな目に合わせることはなかった。ごめん、リアン。私のせいだ、君を殺したのは私だ」
リシャールは床に跪き、ミシェルの手を自分の額に当てて謝罪した。
「リシャ様のせいじゃない。あの悪魔のような女が悪いんだから……リシャ様があの女と結婚してなくて本当に良かった」
「私とシモン領へ戻ってくれないか?」
「……僕のことを想ってくれるのはうれしい」
リアンは涙を落としリシャールの手を握り締める。
「でもまずあの女を捕まえて解決しないと。こんなチャンスはもうないかもしれないんだから」
「ああ、わかった。解決したらもっとゆっくり話そう」
リシャールは名残惜しそうにリアンの手の甲にキスをした。
「レオン様、協力してくれますか?」
「あ、ああ……もちろん」
レオンは目の前のことがいまだ信じられないというように呆然としたまま返事をした。
「そうだな、今後のことは後だ。まずはその罪人がまた逃げないよう捕らえなければならない」
フレデリクは二人の様子を見て複雑な思いを抱えながらそう言った。
リアンはリシャールの手を取り、離れがたいようにしっかりと手をつないだ。
リシャールはそんなリアンを潤んだような目で見つめ、まるで恋人同士のように寄り添った。
そんな何とも言えない空気が漂う中、話し合いが始まる。
レオンとリシャールの話を突き合せた結果、やはりレオンが匿っている女はリアンを殺したロザンナで間違いはないと判明した。
「……で、どうするつもりですか?」
フレデリクがリシャールに聞く。
その間もリアンはリシャールの手を握り離さなかった。
フレデリクはその様子に胸がもやもやとしたものの、二人の先ほどの様子を見ればこの悲しき二人を引き離すことなどできなかった。
「リアンの言う通りロザンナは騎士に引き渡します。もうこれ以上君を悲しませたくないから」
「リシャ様、ありがとうございます。リシャ様には幸せになってほしい……僕の分まで」
「リアン……。フレデリク殿、この度は連絡をいただき本当にありがとうございました。それでもしよければ彼を……シモン領へ招待したいのですが許していただけませんか?」
「待ってください! ミシェルは私の婚約者なんです!」
レオンは思わず叫んで立ちあがる。
「もうお前とは婚約を解消している」
フレデリクがレオンの発言を一刀両断する。
「ですが俺も騙されていたのです、解っていただけたでしょう⁈」
レオンの必死の声をフレデリクはふんといなすとリシャールの方へ顔を向けた。
「あなたの気持ちは痛いほどわかります。ですが、ミシェルは渡すことはできません」
「ですが! 彼の中身はリアンなのです! リアンのままならこちらで暮らすのは酷でしょう!」
「それは……」
「リシャ様……ありがとうございます。でもこの体はミシェル様のお身体なのです。だからあなたのもとに行くわけにはいかない。もう僕は十分です。リシャ様が僕を想い続けてくれたことを知って僕は本当に嬉しかった。あの女の事だけが心残りだったから……あんな人間がリシャ様の妻としておさまっているのではないかと心配だった」
「そんなわけないよ、冷たくなったリアンを抱きしめた時私も死んでしまいたかった。私さえ、あの女を連れてこなければ君をこんな目に合わせることはなかった。ごめん、リアン。私のせいだ、君を殺したのは私だ」
リシャールは床に跪き、ミシェルの手を自分の額に当てて謝罪した。
「リシャ様のせいじゃない。あの悪魔のような女が悪いんだから……リシャ様があの女と結婚してなくて本当に良かった」
「私とシモン領へ戻ってくれないか?」
「……僕のことを想ってくれるのはうれしい」
リアンは涙を落としリシャールの手を握り締める。
「でもまずあの女を捕まえて解決しないと。こんなチャンスはもうないかもしれないんだから」
「ああ、わかった。解決したらもっとゆっくり話そう」
リシャールは名残惜しそうにリアンの手の甲にキスをした。
「レオン様、協力してくれますか?」
「あ、ああ……もちろん」
レオンは目の前のことがいまだ信じられないというように呆然としたまま返事をした。
「そうだな、今後のことは後だ。まずはその罪人がまた逃げないよう捕らえなければならない」
フレデリクは二人の様子を見て複雑な思いを抱えながらそう言った。
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