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6.蛍光灯の灯火
しおりを挟む「こんなにも沢山のご馳走を貰ったのに、僕は君に対して何もお礼が出来ない。本当に申し訳ない」
「良いのよ。私が急に誘ったんだし」
「でも、、」
「貴方は食べるだけで良いの。貴方が食べる姿を見ることが出来れば、私はそれで満足なの。貴方の食べる姿が、私の心の空腹を満たしてくれるんだわ」
「アンナ、お返しさせてくれ」
高原はアンナの背中に手を回し、体を引き寄せた。
そして、二人は蛍光灯の眩い灯の下、抱擁を交わした。
長い抱擁の後、アンナは高原の首に手を回して、一旦上半身を高原から離し、自らの顔と高原の顔が向き合うようにした。
「本気の恋は私を臆病にさせる。でも」と言うとアンナは高原の耳元に口を寄せ、「遊びの恋は私を悪女にさせるの」と囁いた。まるで、昼間に職員室で声をかけた時のように。
高原の全身の力が抜け、膝から崩れ落ちていく。
時計が0時を告げ、クリスマスが幕を開けた。
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