ゼロワン

じゅしふぉん

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リモーター

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「お疲れさん」
デバッグ用転送装置を開け、バディであるデバッガーに声をかける。無事に戻ってきた事にホッとしたが、何だか様子がおかしい。
「どうした?」
プログラム保存作業の手を止める。
「何でもない。お疲れ」
向けられた背中は拒絶の様で、見送る事しか出来なかった。

リアルは0と1に置き換えられない。感情というバグだらけだ。だから苦しく、楽しい。世界には光が溢れ、美しい。
「でもなぁ…」
静かなバーに、氷の音が響く。カウンター越しに友人が視線をよこした。何でもないと首を振る。
バディとなって半年。机上で除ききれない虫を探すセンスは素晴らしい。遠隔操作リモートのしがいもある。
ただ、気になるのは転送装置を開けた瞬間の希望と絶望が交錯する瞳だ。
ウイスキーを飲み干して会計を済ませ、バーを出た。

どう接していいのか、正直分からなくなる。
寒風に吹かれ、私は彼を思う。
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