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せ、政略結婚か!!???!(2)

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車は私の家の前を通り過ぎ、しばらく進んで路肩に停車した。寒い日だったので車は止めても暖房は入ったまま。奥さんは私に突然こう切り出した。

「あなたさ、息子(店長)のことどう思う?」
「どう…………ってなんですか…?」

質問の意味がわからない。私からすると店長は店長で、それ以上でもそれ以下でもない。嫌だとかいいとか言う以前に「店長」以外の存在にはなれないのである。でもはっきりそう言えるわけもなく困惑している私に、奥さんは重ねて「嫌だと思う?」と聞いてくる。

「こんなこと言って仕事を辞められたら困るんだけどね。それが、いつか来るとは思ってたんだけど、もう全然来ないから。跡取りも必要だし、代々続いた家を息子の代で終わりにするわけにはいかないのよね」

ーーーも、もしかしてこの流れは。

「お嫁に来てほしいのよ、あなたに」

よ、嫁-----ッ!!!!!!!いきなり何を言うんですか!!???!!??正気とは思えない。このときの私は信じられなさ過ぎて魂が抜けた顔をしてたんじゃないかと思う。驚きすぎて二の句が継げない(こういうこと本当にあるんだな…)私に、追い打ちの一言。

「まだ息子は全然知らないんだけど先に言っとこうと思って」

せ、政略結婚か!!???もしこれに私が「わかりました」と答えていたら店長は母親が決めた人と結婚するなんていったい何時代の話だよ?もうあと数年で平成が終わろうとしているときに!!!!!(当時)

「ほら、結婚すれば子供ができるじゃない?そしたら跡継ぎになれるから」

勝手に話を進めないでください(切実)。大体、店長は私より20歳以上年上である。今の時代お父さんぐらいでもおかしくないし、実際店長の年齢は父に近い。同い年だって合わない時は合わないんだし、私は年の差婚を別にいいんじゃないかと思ってる人間だけど、それが店長となれば話は別である。

「ああ、そういえばあなた今恋人はいるの?」

その質問遅くないですか!!!いやこの場合、いないからいいってもんでもないんだけども。まさかこの時代に恋愛すっ飛ばしていきなり結婚を持ち掛けられるとは思わなかった。私、人知れずピンチに。(泣きたい)

私は大いに困りながらもとりあえずの事実として、恋人はいないが今は(誰であっても)結婚を考えられないことを一生懸命伝えた。これは嘘でもなんでもなく実際にそうで、このとき家を建てたいと色んなところに住宅ローンの申し込みをしては駄目、しては駄目を繰り返していて、それでもどうにかして女でも家を建てられないかと必死に模索していたときだったのだ。このときは会社のお昼休みにも家を建てるためにどんな方法があるか、どんなところが可能性があるか、毎日毎日それをメモしながら血眼になって住宅ローンの申し込み先を探していたほどだったので、隕石レベルで予測不可能にブチ当たってきた結婚話なんて引き受けられるわけがない!!!

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