6 / 13
せ、政略結婚か!!???!(2)
しおりを挟む
車は私の家の前を通り過ぎ、しばらく進んで路肩に停車した。寒い日だったので車は止めても暖房は入ったまま。奥さんは私に突然こう切り出した。
「あなたさ、息子(店長)のことどう思う?」
「どう…………ってなんですか…?」
質問の意味がわからない。私からすると店長は店長で、それ以上でもそれ以下でもない。嫌だとかいいとか言う以前に「店長」以外の存在にはなれないのである。でもはっきりそう言えるわけもなく困惑している私に、奥さんは重ねて「嫌だと思う?」と聞いてくる。
「こんなこと言って仕事を辞められたら困るんだけどね。それが、いつか来るとは思ってたんだけど、もう全然来ないから。跡取りも必要だし、代々続いた家を息子の代で終わりにするわけにはいかないのよね」
ーーーも、もしかしてこの流れは。
「お嫁に来てほしいのよ、あなたに」
よ、嫁-----ッ!!!!!!!いきなり何を言うんですか!!???!!??正気とは思えない。このときの私は信じられなさ過ぎて魂が抜けた顔をしてたんじゃないかと思う。驚きすぎて二の句が継げない(こういうこと本当にあるんだな…)私に、追い打ちの一言。
「まだ息子は全然知らないんだけど先に言っとこうと思って」
せ、政略結婚か!!???もしこれに私が「わかりました」と答えていたら店長は母親が決めた人と結婚するなんていったい何時代の話だよ?もうあと数年で平成が終わろうとしているときに!!!!!(当時)
「ほら、結婚すれば子供ができるじゃない?そしたら跡継ぎになれるから」
勝手に話を進めないでください(切実)。大体、店長は私より20歳以上年上である。今の時代お父さんぐらいでもおかしくないし、実際店長の年齢は父に近い。同い年だって合わない時は合わないんだし、私は年の差婚を別にいいんじゃないかと思ってる人間だけど、それが店長となれば話は別である。
「ああ、そういえばあなた今恋人はいるの?」
その質問遅くないですか!!!いやこの場合、いないからいいってもんでもないんだけども。まさかこの時代に恋愛すっ飛ばしていきなり結婚を持ち掛けられるとは思わなかった。私、人知れずピンチに。(泣きたい)
私は大いに困りながらもとりあえずの事実として、恋人はいないが今は(誰であっても)結婚を考えられないことを一生懸命伝えた。これは嘘でもなんでもなく実際にそうで、このとき家を建てたいと色んなところに住宅ローンの申し込みをしては駄目、しては駄目を繰り返していて、それでもどうにかして女でも家を建てられないかと必死に模索していたときだったのだ。このときは会社のお昼休みにも家を建てるためにどんな方法があるか、どんなところが可能性があるか、毎日毎日それをメモしながら血眼になって住宅ローンの申し込み先を探していたほどだったので、隕石レベルで予測不可能にブチ当たってきた結婚話なんて引き受けられるわけがない!!!
「あなたさ、息子(店長)のことどう思う?」
「どう…………ってなんですか…?」
質問の意味がわからない。私からすると店長は店長で、それ以上でもそれ以下でもない。嫌だとかいいとか言う以前に「店長」以外の存在にはなれないのである。でもはっきりそう言えるわけもなく困惑している私に、奥さんは重ねて「嫌だと思う?」と聞いてくる。
「こんなこと言って仕事を辞められたら困るんだけどね。それが、いつか来るとは思ってたんだけど、もう全然来ないから。跡取りも必要だし、代々続いた家を息子の代で終わりにするわけにはいかないのよね」
ーーーも、もしかしてこの流れは。
「お嫁に来てほしいのよ、あなたに」
よ、嫁-----ッ!!!!!!!いきなり何を言うんですか!!???!!??正気とは思えない。このときの私は信じられなさ過ぎて魂が抜けた顔をしてたんじゃないかと思う。驚きすぎて二の句が継げない(こういうこと本当にあるんだな…)私に、追い打ちの一言。
「まだ息子は全然知らないんだけど先に言っとこうと思って」
せ、政略結婚か!!???もしこれに私が「わかりました」と答えていたら店長は母親が決めた人と結婚するなんていったい何時代の話だよ?もうあと数年で平成が終わろうとしているときに!!!!!(当時)
「ほら、結婚すれば子供ができるじゃない?そしたら跡継ぎになれるから」
勝手に話を進めないでください(切実)。大体、店長は私より20歳以上年上である。今の時代お父さんぐらいでもおかしくないし、実際店長の年齢は父に近い。同い年だって合わない時は合わないんだし、私は年の差婚を別にいいんじゃないかと思ってる人間だけど、それが店長となれば話は別である。
「ああ、そういえばあなた今恋人はいるの?」
その質問遅くないですか!!!いやこの場合、いないからいいってもんでもないんだけども。まさかこの時代に恋愛すっ飛ばしていきなり結婚を持ち掛けられるとは思わなかった。私、人知れずピンチに。(泣きたい)
私は大いに困りながらもとりあえずの事実として、恋人はいないが今は(誰であっても)結婚を考えられないことを一生懸命伝えた。これは嘘でもなんでもなく実際にそうで、このとき家を建てたいと色んなところに住宅ローンの申し込みをしては駄目、しては駄目を繰り返していて、それでもどうにかして女でも家を建てられないかと必死に模索していたときだったのだ。このときは会社のお昼休みにも家を建てるためにどんな方法があるか、どんなところが可能性があるか、毎日毎日それをメモしながら血眼になって住宅ローンの申し込み先を探していたほどだったので、隕石レベルで予測不可能にブチ当たってきた結婚話なんて引き受けられるわけがない!!!
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
「神の子はただの生贄」人間らしさとは何か
陽乃 さくら
エッセイ・ノンフィクション
世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)信者の子供達は二世と呼ばれる。
その中でも、合同結婚式により結婚し産まれた子供を『祝福二世』、信仰する前に結婚した両親の下に生まれた子供を『信仰二世』と呼ぶ。
統一教会の信仰二世として育った主人公・咲の、壮絶な半生を送りつつも、力強く生きていく姿をリアルにまとめた、一部ノンフィクション作品。
幼少期からの洗脳により、日本で生きていくための社会性の欠落、コミュニケーション能力にも乏しく、仮面を被るように生きてきた咲が、多くの精神疾患と向き合い、彼女なりに成長していく姿を書き記すことで、統一教会だけではなく、多くの宗教被害について、ぜひ皆さんにも考えていただくきっかけになればと思います。
子宮頸がんになりまして
☆よこやん☆
エッセイ・ノンフィクション
がんが見つかったのは30歳。さあこれから結婚、出産を本格的に考え始めた矢先の出来事でした。
今若い世代から増えている子宮頸がん。
当時の闘病、心情などを描いていきます。
怪獣ディメチに喰われていくママさん
雪乃
エッセイ・ノンフィクション
これは私の母と私達家族に現実に起こっている日常。
『まさか私達の母親が認知症になるなんて!?』
受け入れられない想いと受け入れるしかない現実。
准看護師として多くの認知症の患者さんを看てきたというのに、自身の親となれば全く以って情けなく素直に受け入れられないもの。
また実際認知症に喰われていく母自身の葛藤。
不定期ですがそんな気持ちを綴っていきます。
短い文章ですが、その中に私達の色々な気持を織り込んでいきます。
突っ込みあり、笑いそして悔しさと悲しみ、病に喰われていく母への怒りにも似た葛藤と偶のデトックス閑話。
そしてこのお話の終わりは……考えたくないですね。
Breathe 〜僕の生きてきた時間〜
いろすどりあ
エッセイ・ノンフィクション
この物語は事実に基づいたフィクションです。
『僕』はごく平凡な家庭に生まれ、ごく普通の生活を送ってきた。…あの時までは。
幸せな日々を送ることができますように…
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
天空からのメッセージ vol.88 ~魂の旅路~
天空の愛
エッセイ・ノンフィクション
そのために、シナリオを描き
そのために、親を選び
そのために、命をいただき
そのために、助けられて
そのために、生かされ
そのために、すべてに感謝し
そのためを、全うする
そのためは、すべて内側にある
「カクヨム」「エブリスタ」「小説家になろう」「アルファポリス」「ハーメルン」の比較と考察(サイト比較エッセイシリーズ③連載)
源公子
エッセイ・ノンフィクション
カクヨム・エブリスタ・小説家になろう・アルファポリス・ハーメルン。五つのサイトに全ての(一部載せられなかった作品あり)作品を掲載して比較した。各サイトは、私のホームズさんをどう評価したのか?そして各サイトの光と闇。これから新しいサイトを開拓したい方向け。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる