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最終章「帰るべきトコロ」
失われた空中庭園②
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王城の内部に足を踏み入れる。傷みが少なかった外壁とは対照的に、内部は年月による侵食がかなり進んでいるようだった。
広いエントランスホールの左右に一つずつと、正面にも扉が備えられている。各々の扉に向かって敷かれている絨毯は、もともと鮮やかな赤色だったのだろうが、傷み汚れが激しくくすんだ茶色になっていた。
中央に存在している階段は手摺り部分が所々朽ちてしまっていて、今にも崩れ落ちそうだ。
「この階段、登れるの?」と不安げに声をあげたコノハを他所に、ルティスは階段を無視して裏手に回ると、絨毯をめくって床を探り始めた。
「上階は全て、ただの居住区なので、そちらに用はないのです。これからボクたちが目指すのは、浮遊石が存在している地下の方です」
やがて金属製の取っ手を探り当てたルティスが引っ張ると、床の一部が開いて中から下に伸びる螺旋状の階段が現れた。階段の取り囲んでいる円形の壁は、魔法の力により守られているのだろうか。風化している様子は一切ない。
底の方は見通せないほどの闇だったが、ルティスが先頭に立ち一段降りると、ぽわっと周囲が明るくなった。人の気配を感知して灯る魔法といったところだろうか。そのまま、ルティス、シャン、コノハ、オルハ、リンの順番で階段を降りていく。
降り切った場所は、白亜の壁に囲まれた、堅牢な造りの通路だった。壁は表面がつるっとした素材でできているが、材質まではよく分からない。通路は、大人数人が並べる程度の幅があり、まっすぐ長く伸びていた。
隊列を維持したまま進んでいく。次第に通路は、緩やかにカーブしながら下りになってくる。都市そのものの最深部に向かっているようだった。
「いよいよって雰囲気になってきたね……!」
固い表情で息を吐き、けれど、ちょっと弾んだ口調でコノハが言った。漂い始めた緊張感を、和ませようといういつもの気づかいだろうか。それでもなお緊張が解けない周囲の顔を見て、ルティスがふっと相好を崩した。
「大丈夫ですよ。ここは王城の地下にあたる場所。襲ってくる魔物などいません。もし、何かいるとしても、それは最深部にたどり着いてからです」
「だろうけどね」
一転して表情を引き締めたルティスを見て、警戒するようにリンがあたりに視線を配る。
「わずかに風が吹いている?」
右手をかざし、不思議そうな顔でコノハが首を傾げた。
「魔法の力で空気を循環させているのですよ。ここは地下なので、どうしても空気の流れが悪くなり淀んでしまいますからね。これも、浮遊石の魔力を利用したものです」
「へえ……。凄いんだねえ」
「確かに、ラガンは進んだ魔法文明を持ってこそいましたが、今となっては無用の長物。誰のためにもならない機能です」
そう、私の存在そのものも、また、とルティスは心中でのみ付け加えた。
そのとき不意に、落ち着いた雰囲気の男性の声が響きわたる。
──久々の客人といったところか。わが国の王城へようこそ。
「……聞こえましたか?」
とオルハが耳をそばだてると、
「ああ、聞こえた。というよりもこれは」
とリンが反応する。
「魔法を使って脳内に直接語りかけているみたい。ラガン王国がまだ健在だったころに、誰かが残していた音声でしょうね」
補足するようにコノハが説明を加えた。魔力反応があります、と。
「なるほど、魔法」とリンが頷いた。「つまり、この声の主は──」
「ええ。ボクの父なのです。ラガン王国最後の王。ブルーク・ポーター・フィンブレイド」
もちろん、既に亡くなっていますけどね、とルティスが寂しげに付け加える。
──ある日突然流行が始まった未知の疫病により、わが国の内部は疲弊しきった。有効な耐策を講じることができず、病の前に次々と民は倒れていった。収まることのない病の拡大。やがて私は、奴らが魔族だと知りつつも、助言を仰いでしまう。
「やはり国王も、後悔は抱えていたんだろうなあ」
「そうですね。色々な葛藤があったんだと思います」
その半分は、皮肉なことに自分のせいなんだけど、と、リンの言葉を聞きながらルティスは心中で思う。
「なあルティス。一つだけ聞いてもいいか?」
「はい、なんなりと」
「ラガン王国が持っている機能を全て停止させるんだ、とここに来る前言っていたが、具体的にどういった手順をふむんだ? ……こういった仮定の話はしたくないが、ルティスに万が一が起こるってことも有りうるからな。俺たちも一応、手順を把握しておくべきなんじゃないかと思うんだ」
少々バツが悪そうな声でリンが言う。そうですね、と同意した後で、ルティスは説明を始めた。
「この王城の最深部には、巨大な『浮遊石』が存在しています。という話は前にしましたね?」
リン以下四人が、順番に頷いた。
「この島を浮遊させ、また、ボクの手首にある宝石に魔力を供給する源となっている物です。その浮遊石に直接手を触れ、『滅びの言葉』を唱えることによって、魔力は完全に失われるのです」
「滅びの言葉?」
「そうです。ボクたち王族だけに伝わっている……ラガン王国そのものを、終焉に導く言葉」
──間違いを犯したという自覚は私にもある。どんな理由こそあれ、やはり邪な者に助言を仰ぐべきではなかったのだ。もし、この場所に汝らが来た目的が、ラガン王国が残してしまった脅威の排除にあるのなら、石に手を触れこの言葉を唱えてほしい。
『──すべてのものを、元ある姿へ』
その時、王の声とルティスの言葉が綺麗に揃った。
コノハがごくりと喉を鳴らした。彼女が生唾を飲んだ理由は二つあった。二人の声が綺麗に重なったとことともうひとつ。滅びの言葉というワードに感じた、言い知れぬ不安。
「浮遊石の魔力が損なわれたとき、この島は地に落ちます。おそらく、ゆっくりと、ではあると思いますが」
「それは、そうなんだろうね。浮遊石の魔力が無くなるんだから。でもさ、その時ルティスは、どうなってしまうの?」
「心配性なのですね、コノハは」と伏し目がちにルティスが笑う。「なにも心配はいらないのですよ。普通の人間の女の子に、戻るだけなのですから」
だが、コノハは見逃さなかった。『心配はいらない』という言葉とは裏腹に、瞬時に曇ったルティスの顔を。それはどこか、幼少期に祖父が見せた表情の変化とよく似ていた。いまさっき脳裏を過った不安が、更に色濃くなっていくと、胸の奥深いところがチリっと痛んだ。これが杞憂であればいいのに、とコノハは思う。
こんなの、思い違いなんだ。ルティスは親友なんだから、私に隠し事なんてあるはずがないんだ。
* * *
回廊は段々ときつめの下り勾配になっていく。やがてたどり着いた終着点は、真っ黒な床と天井で覆われた開けた空間だった。
「ここが最深部なの?」というコノハの質問に、ルティスが足を止め振り返って答える。「そうなのですよ」と。
材質は黒曜石かなにかだろうか。靴の裏で感じられる感触は極めて硬く、また、各々の顔が映りこむほどの光沢を備えている。
半球状の巨大な空間。部屋の中心部に浮かんでいるのは、ぼんやりとした空色の光を放っている菱形の巨大な石。石を取り囲むように、床と同じ材質であろう黒色の柱が何本も直立していた。柱の太さは、大人が抱えてようやく手が回る程度だろうか。それは、床と同色の天井まで届いていた。
また周囲の壁は、ガラスとは異なった透明度の高い材質でできており、外界の様子が見てとれた。
浮遊する大地を覆い隠している雲の切れ間から、ラインの街が遠く望めた。
街の所々から黒煙が立ち昇っている。果たしてどれだけの被害がでているのだろうか? リリアンは、カノンは無事だろうか? ルティスの手のひらも自然と汗ばむ。急がなければならない。
「これが、浮遊石なのね。なんて大きい」
浮遊石の大きさは、高さ数メートルほどはありそうだ。コノハはゆっくりと石の方に近づこうとして、「きゃっ!」と絹を裂くような甲高い悲鳴をあげた。
「コノハどうした!?」
コノハ同様周辺の捜索を始めていたリンが、彼女の側に駆け寄り、そして悲鳴の訳に気づく。
浮遊石の裏手、やや死角になった場所に、まるで血のように真っ赤な色をした、背もたれの付きの椅子が置かれていた。椅子の背後からは何本ものコードがのび、後ろに置かれた金属製の『箱』に連結されていた。
だが、コノハが悲鳴を上げた理由はそこではない。
椅子には、金髪碧眼の魔族が腰掛けていたのだ。
広いエントランスホールの左右に一つずつと、正面にも扉が備えられている。各々の扉に向かって敷かれている絨毯は、もともと鮮やかな赤色だったのだろうが、傷み汚れが激しくくすんだ茶色になっていた。
中央に存在している階段は手摺り部分が所々朽ちてしまっていて、今にも崩れ落ちそうだ。
「この階段、登れるの?」と不安げに声をあげたコノハを他所に、ルティスは階段を無視して裏手に回ると、絨毯をめくって床を探り始めた。
「上階は全て、ただの居住区なので、そちらに用はないのです。これからボクたちが目指すのは、浮遊石が存在している地下の方です」
やがて金属製の取っ手を探り当てたルティスが引っ張ると、床の一部が開いて中から下に伸びる螺旋状の階段が現れた。階段の取り囲んでいる円形の壁は、魔法の力により守られているのだろうか。風化している様子は一切ない。
底の方は見通せないほどの闇だったが、ルティスが先頭に立ち一段降りると、ぽわっと周囲が明るくなった。人の気配を感知して灯る魔法といったところだろうか。そのまま、ルティス、シャン、コノハ、オルハ、リンの順番で階段を降りていく。
降り切った場所は、白亜の壁に囲まれた、堅牢な造りの通路だった。壁は表面がつるっとした素材でできているが、材質まではよく分からない。通路は、大人数人が並べる程度の幅があり、まっすぐ長く伸びていた。
隊列を維持したまま進んでいく。次第に通路は、緩やかにカーブしながら下りになってくる。都市そのものの最深部に向かっているようだった。
「いよいよって雰囲気になってきたね……!」
固い表情で息を吐き、けれど、ちょっと弾んだ口調でコノハが言った。漂い始めた緊張感を、和ませようといういつもの気づかいだろうか。それでもなお緊張が解けない周囲の顔を見て、ルティスがふっと相好を崩した。
「大丈夫ですよ。ここは王城の地下にあたる場所。襲ってくる魔物などいません。もし、何かいるとしても、それは最深部にたどり着いてからです」
「だろうけどね」
一転して表情を引き締めたルティスを見て、警戒するようにリンがあたりに視線を配る。
「わずかに風が吹いている?」
右手をかざし、不思議そうな顔でコノハが首を傾げた。
「魔法の力で空気を循環させているのですよ。ここは地下なので、どうしても空気の流れが悪くなり淀んでしまいますからね。これも、浮遊石の魔力を利用したものです」
「へえ……。凄いんだねえ」
「確かに、ラガンは進んだ魔法文明を持ってこそいましたが、今となっては無用の長物。誰のためにもならない機能です」
そう、私の存在そのものも、また、とルティスは心中でのみ付け加えた。
そのとき不意に、落ち着いた雰囲気の男性の声が響きわたる。
──久々の客人といったところか。わが国の王城へようこそ。
「……聞こえましたか?」
とオルハが耳をそばだてると、
「ああ、聞こえた。というよりもこれは」
とリンが反応する。
「魔法を使って脳内に直接語りかけているみたい。ラガン王国がまだ健在だったころに、誰かが残していた音声でしょうね」
補足するようにコノハが説明を加えた。魔力反応があります、と。
「なるほど、魔法」とリンが頷いた。「つまり、この声の主は──」
「ええ。ボクの父なのです。ラガン王国最後の王。ブルーク・ポーター・フィンブレイド」
もちろん、既に亡くなっていますけどね、とルティスが寂しげに付け加える。
──ある日突然流行が始まった未知の疫病により、わが国の内部は疲弊しきった。有効な耐策を講じることができず、病の前に次々と民は倒れていった。収まることのない病の拡大。やがて私は、奴らが魔族だと知りつつも、助言を仰いでしまう。
「やはり国王も、後悔は抱えていたんだろうなあ」
「そうですね。色々な葛藤があったんだと思います」
その半分は、皮肉なことに自分のせいなんだけど、と、リンの言葉を聞きながらルティスは心中で思う。
「なあルティス。一つだけ聞いてもいいか?」
「はい、なんなりと」
「ラガン王国が持っている機能を全て停止させるんだ、とここに来る前言っていたが、具体的にどういった手順をふむんだ? ……こういった仮定の話はしたくないが、ルティスに万が一が起こるってことも有りうるからな。俺たちも一応、手順を把握しておくべきなんじゃないかと思うんだ」
少々バツが悪そうな声でリンが言う。そうですね、と同意した後で、ルティスは説明を始めた。
「この王城の最深部には、巨大な『浮遊石』が存在しています。という話は前にしましたね?」
リン以下四人が、順番に頷いた。
「この島を浮遊させ、また、ボクの手首にある宝石に魔力を供給する源となっている物です。その浮遊石に直接手を触れ、『滅びの言葉』を唱えることによって、魔力は完全に失われるのです」
「滅びの言葉?」
「そうです。ボクたち王族だけに伝わっている……ラガン王国そのものを、終焉に導く言葉」
──間違いを犯したという自覚は私にもある。どんな理由こそあれ、やはり邪な者に助言を仰ぐべきではなかったのだ。もし、この場所に汝らが来た目的が、ラガン王国が残してしまった脅威の排除にあるのなら、石に手を触れこの言葉を唱えてほしい。
『──すべてのものを、元ある姿へ』
その時、王の声とルティスの言葉が綺麗に揃った。
コノハがごくりと喉を鳴らした。彼女が生唾を飲んだ理由は二つあった。二人の声が綺麗に重なったとことともうひとつ。滅びの言葉というワードに感じた、言い知れぬ不安。
「浮遊石の魔力が損なわれたとき、この島は地に落ちます。おそらく、ゆっくりと、ではあると思いますが」
「それは、そうなんだろうね。浮遊石の魔力が無くなるんだから。でもさ、その時ルティスは、どうなってしまうの?」
「心配性なのですね、コノハは」と伏し目がちにルティスが笑う。「なにも心配はいらないのですよ。普通の人間の女の子に、戻るだけなのですから」
だが、コノハは見逃さなかった。『心配はいらない』という言葉とは裏腹に、瞬時に曇ったルティスの顔を。それはどこか、幼少期に祖父が見せた表情の変化とよく似ていた。いまさっき脳裏を過った不安が、更に色濃くなっていくと、胸の奥深いところがチリっと痛んだ。これが杞憂であればいいのに、とコノハは思う。
こんなの、思い違いなんだ。ルティスは親友なんだから、私に隠し事なんてあるはずがないんだ。
* * *
回廊は段々ときつめの下り勾配になっていく。やがてたどり着いた終着点は、真っ黒な床と天井で覆われた開けた空間だった。
「ここが最深部なの?」というコノハの質問に、ルティスが足を止め振り返って答える。「そうなのですよ」と。
材質は黒曜石かなにかだろうか。靴の裏で感じられる感触は極めて硬く、また、各々の顔が映りこむほどの光沢を備えている。
半球状の巨大な空間。部屋の中心部に浮かんでいるのは、ぼんやりとした空色の光を放っている菱形の巨大な石。石を取り囲むように、床と同じ材質であろう黒色の柱が何本も直立していた。柱の太さは、大人が抱えてようやく手が回る程度だろうか。それは、床と同色の天井まで届いていた。
また周囲の壁は、ガラスとは異なった透明度の高い材質でできており、外界の様子が見てとれた。
浮遊する大地を覆い隠している雲の切れ間から、ラインの街が遠く望めた。
街の所々から黒煙が立ち昇っている。果たしてどれだけの被害がでているのだろうか? リリアンは、カノンは無事だろうか? ルティスの手のひらも自然と汗ばむ。急がなければならない。
「これが、浮遊石なのね。なんて大きい」
浮遊石の大きさは、高さ数メートルほどはありそうだ。コノハはゆっくりと石の方に近づこうとして、「きゃっ!」と絹を裂くような甲高い悲鳴をあげた。
「コノハどうした!?」
コノハ同様周辺の捜索を始めていたリンが、彼女の側に駆け寄り、そして悲鳴の訳に気づく。
浮遊石の裏手、やや死角になった場所に、まるで血のように真っ赤な色をした、背もたれの付きの椅子が置かれていた。椅子の背後からは何本ものコードがのび、後ろに置かれた金属製の『箱』に連結されていた。
だが、コノハが悲鳴を上げた理由はそこではない。
椅子には、金髪碧眼の魔族が腰掛けていたのだ。
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