2 / 49
第一章「天空よりくるもの」
天空よりくるもの
しおりを挟む
郊外の廃屋に拠点を構えていた盗賊団一味を一網打尽にし、彼女ら『ヒートストローク (熱情の意)』の面々が、本拠地である港街ブレストへの帰途に着いたのは、昼も過ぎ、日が次第に西へと傾き始めた時間帯となった。
数ヶ月前より麻薬の密売に関与していたという件の盗賊団の討伐依頼は、『ヒートストローク』のメンバーにして魔術師であるコノハのたっての希望により、相場を考えれば恐ろしく安い報酬で引き受けられた。
『またそうやって安請け合いをする』
パーティの金銭管理を一手に担う修道僧であるシャンが山のように不平を並べ立てる中、それでも結局は懐に余裕があるからという理由で立ち上がるあたりが、女性ばかりで構成されている、という珍しい事情を差し引いても、冒険者の店『鈴蘭亭』の看板冒険者として一目置かれる所以なのだろう。
冒険者というのは特定の組織や国に仕えることなく、様々な依頼を受けて報酬を得ている者たちの総称である。分かり易く言葉にするならば、『なんでも屋』といったところだろうか。冒険者への仕事の依頼は、全て『冒険者の店』と呼ばれる施設を通して行われる。
ヒートストロークが普段たむろしている『鈴蘭亭』は、そんな冒険者の店の中でも老舗のひとつだった。
そして今、遺跡の街ブレスト近郊にある平原を、彼女らは歩いていた。
先頭を歩いているのは、丈の短いローブを着て右手に木製の杖を持っている少女。後頭部でひとつに纏めて垂らした赤い髪と、エメラルドグリーンの瞳が印象的だ。軽やかにステップを刻んでいるこの少女が、魔術師のコノハ。魔術師とは、体内に誰しも持っているといわれる魔力を活性化させ、魔法と呼ばれる奇跡を使役するものたちの総称である。
「今日ばかりは一言言わせてくれ。魔法を撃つタイミングに関してつべこべ言うつもりはない。そんな高度な要求をしたところで、コノハに時間の管理ができるはずがないのはわかってる」
「ええっ? なんか言い方酷くない? 私はそこまでバカじゃありません」
コノハは歩調を緩めると、頬を膨らませて自分の少し後ろも歩く長身の女性──リンに話し掛ける。
二メートルに迫る長身。屈強な肉体と背中に生えた翼で空を翔ることができるリンは、金属製の鎧を着こんでいることからも分かるように、一行の主戦力でもあった。
「バカかどうかはこのさいどうでもいい」リンが後頭部を掻き毟ると、短い銀髪がサラリと舞った。「問題は魔法を放った場所だ。なんで俺のニメートルほど前で炸裂させたんだ? 突っ込むのが一秒早かったら、爆発の中心点にいたのは俺だった」
数秒考えた上で、「あはは、ゴメンね。あれ威嚇発砲だから」とコノハが舌を出した。
それはわかってる。わかってはいるがなんとも疲れる。そんな感じに脱力したリンを、一行の最後尾を歩いていた女性が声をかけて宥める。
「……まあまあ、いいではありませんか~。なんにせよ、依頼は無事に済ませることができたのですし。結果オーライではありませんか」
場を弛緩させる声音で同意したのは、長い耳と腰まで伸ばされた銀色の髪が印象的な美人。彼女はエルフ族のオルハ。エルフというのは森に住んでいる妖精族の一種で、人間より長命で見目麗しい容姿を持つ。
「結果だけを見れば確かにその通りだが、いい加減にしてもらわないと命がなくなる」
コノハの魔術師としての能力は誰の目から見ても一線級なのだが、些か唐突で考えなしなところがある。敢えて注文を出さなかったとはいえ撃つタイミングを考えて欲しいしというのがリンの本音だった。同時に、火力の調節も。
たった今言われたこともどこ吹く風。視線を正面に向け軽快なステップを刻むコノハに、リンが盛大な溜め息を落とした。
「……あらあら、あれは何かしら?」
そろそろ港街ブレストまで数キロメートルという場所まで来たとき、オルハが緊張感を漂わせ、けれど、それを感じさせない間延びした口調で言った。エルフ族である彼女は視力に優れている上、野伏としての技能もあるため勘が鋭い。
ただし今回ばかりは、オルハだけではなく全員が異常にきがついた。声に釣られて向けた視線の先、遥か遠方よりこちらに向かって飛んでくる飛行船の姿が見えた。
「飛行船か」
初めて見たな、と内心で思いつつ、オルハの隣にいたシャンが呟く。
左右に大きな翼を備え、翼の中央部分に一つずつプロペラを備えてこそいるが、それはあくまでも補助の推進力。メインの動力は、近年市場に出回り始めた希少な金属、浮遊石の物体を浮かせる魔力にある。その為まだまだ各国でも配備が始まったばかりであり、彼女らもその姿を見るのは初めてだ。
それから程なくして、飛行船は一行の上空へ差し掛かった。巨大な船体が彼女らの眼前に晒されると、あたりは一瞬だけ暗くなった。
「ひゃあ~でっかいなぁ~」
コノハが驚きの声を上げた直後、耳をつんざくような爆発音が大気を震わし、飛行船の船底付近で火球が爆ぜた。今のって、魔法なんじゃ? コノハが爆音に耳を塞いで瞳を眇めるなか、船底からもうもうと黒煙が噴出し始めた。
一方で視力の良いオルハは、何が起きているのか見定めようと飛行船の様子を凝視し続けている。
飛行船は煙を吐き出しながらも、速度を緩めることなく接近してくる。穴の開いた船底から、大小様々な積荷が落下してくるのが見えた。
「伏せろ!」
とリンが叫び、
「うわっ……危ないなぁ!」
コノハは不満を漏らしつつも、身を屈め直撃を受けないよう落下物の動きに目を凝らす。
一歩身を引いた場所から様子を伺っていたシャンは、いつでも不可視の障壁の魔法を展開できるよう精神を集中していた。
頭部を庇いながら、リンは視線を配って状況を確認する。飛行船は噴煙を上げながらも、南の空へと消えていった。
「……ディルガライス帝国の飛行船でしたねぇ。紋章が描かれているのが見えました」
「結構な高空を飛んでいただろう? よく、あの状況でそこまで確認できたな」
「……いえいえ~」
エルフ族であるオルハの視力のよさに、リンは内心で舌を巻く。
ディルガライス帝国。港街ブレストが存在しているエストリア王国とかつて一戦を交えた間柄にある軍事国家である。領空侵犯ともいえるこの行為が、新たな戦乱の火種にならねばよいが、とリンは思う。
改めて周辺の様子をうかがうと、家財道具に木片、木箱など様々な物が散乱していた。
「それにしても危ないですねえ。色んなものを落として行って」
なにかお宝があるかもしれない、と思ったのだろう。あげた不満の声とはウラハラに嬉々として周辺の捜索を始めたシャンだったが、落下物の大半は損傷が酷く使い物になりそうにない。
ややあって退屈そうな表情に変わると、四角い箱状の物体を探し腰を下ろした。
「……あらあら大変、女の子」
その時、大変、というわりには、緊迫感の無い声が上がる。
オルハの声にリンが近づいてみると、落下物と思われる木箱の上に、少女が仰向けの体勢で倒れていた。背中まで伸ばされた髪の色は鮮やかな翡翠色。十五歳くらいだろうか。整った顔だちをしており体格は全体的に華奢だ。
「わ~~!! 人だ! 飛行船から落ちたんだ! 動かないけど……死んでるのかな……」
「うるさいコノハ。ちょっと黙ってろ」
好奇心旺盛な瞳を輝かせて覗き込んできたコノハを窘め、リンは少女を抱き起こしてみる。
口元に耳を寄せてみると、スー……ハー……スー……ハー……という呼吸音が聞こえる。あまり発育のよくない少女の胸に手を当ててみるが、心臓も普通に動いていた。
爆発の衝撃だろうか。裾が僅かに焦げた丈の長いドレスの生地はあまり見たことのないものだ。全体的に艶がある、とでもいうべきか。だが、何よりも驚くのは──。
「外傷がまったくありませんね。翡翠色の髪といい、何処か不健康な色白の肌といい、この少女は本当にヒト族なのでしょうか?」
少女が無事である事にリンが安堵すると、隣にやってきたシャンが、少女の様子をうかがいながら疑問をのべた。人間の他にも、エルフや天翼族、小人族らをひっくるめてヒト族と呼ばれているが、この少女はそれら何れにも該当しない特徴を持っていた。
髪の色が緑じゃなければ、普通の人間と変わらないのだがな、とリンは思う。それにしても、だ。落ち方が良かったのだろうか? 呼吸も実に穏やかで、まるで眠っているようにしか見えない。
「オルハ。この少女が落ちてくるところ見えてたのか?」
「……地面に衝突する寸前だけ、でしたけれども」
肩越しに後方で状況を見守っていたオルハに確認すると、平然とした口調で彼女が答える。
そうか、見えていたのか。それにしては落ち着き払っているんだな、という皮肉はすんでの所で飲み干した。
「おかしいんだよな。飛行船から落ちたのであれば、怪我ひとつ無いなんてこと、あるわけないだろう」
当然の疑問をリンが口すると、
「ここに、あるじゃないですか」
と、悪びれる様子もなくシャンが言う。
「いや、そうなんだけどさ……」
いつも通りの横柄なシャンの反応に、リンは閉口した。
「とはいえ、このままにはしておけない。外傷はなくても、骨折や見えない部分の怪我があるかもしれないからな。とりあえず、リオーネの診療所に連れていこう」
リンが提案すると、メンバーの三人は反対することなく頷いた。
この不思議な少女との出会いが、この先『ヒートストローク』の面々が巻き込まれていく壮大な事件の序章であることを、この時の彼女らは──まだ知らなかった。
数ヶ月前より麻薬の密売に関与していたという件の盗賊団の討伐依頼は、『ヒートストローク』のメンバーにして魔術師であるコノハのたっての希望により、相場を考えれば恐ろしく安い報酬で引き受けられた。
『またそうやって安請け合いをする』
パーティの金銭管理を一手に担う修道僧であるシャンが山のように不平を並べ立てる中、それでも結局は懐に余裕があるからという理由で立ち上がるあたりが、女性ばかりで構成されている、という珍しい事情を差し引いても、冒険者の店『鈴蘭亭』の看板冒険者として一目置かれる所以なのだろう。
冒険者というのは特定の組織や国に仕えることなく、様々な依頼を受けて報酬を得ている者たちの総称である。分かり易く言葉にするならば、『なんでも屋』といったところだろうか。冒険者への仕事の依頼は、全て『冒険者の店』と呼ばれる施設を通して行われる。
ヒートストロークが普段たむろしている『鈴蘭亭』は、そんな冒険者の店の中でも老舗のひとつだった。
そして今、遺跡の街ブレスト近郊にある平原を、彼女らは歩いていた。
先頭を歩いているのは、丈の短いローブを着て右手に木製の杖を持っている少女。後頭部でひとつに纏めて垂らした赤い髪と、エメラルドグリーンの瞳が印象的だ。軽やかにステップを刻んでいるこの少女が、魔術師のコノハ。魔術師とは、体内に誰しも持っているといわれる魔力を活性化させ、魔法と呼ばれる奇跡を使役するものたちの総称である。
「今日ばかりは一言言わせてくれ。魔法を撃つタイミングに関してつべこべ言うつもりはない。そんな高度な要求をしたところで、コノハに時間の管理ができるはずがないのはわかってる」
「ええっ? なんか言い方酷くない? 私はそこまでバカじゃありません」
コノハは歩調を緩めると、頬を膨らませて自分の少し後ろも歩く長身の女性──リンに話し掛ける。
二メートルに迫る長身。屈強な肉体と背中に生えた翼で空を翔ることができるリンは、金属製の鎧を着こんでいることからも分かるように、一行の主戦力でもあった。
「バカかどうかはこのさいどうでもいい」リンが後頭部を掻き毟ると、短い銀髪がサラリと舞った。「問題は魔法を放った場所だ。なんで俺のニメートルほど前で炸裂させたんだ? 突っ込むのが一秒早かったら、爆発の中心点にいたのは俺だった」
数秒考えた上で、「あはは、ゴメンね。あれ威嚇発砲だから」とコノハが舌を出した。
それはわかってる。わかってはいるがなんとも疲れる。そんな感じに脱力したリンを、一行の最後尾を歩いていた女性が声をかけて宥める。
「……まあまあ、いいではありませんか~。なんにせよ、依頼は無事に済ませることができたのですし。結果オーライではありませんか」
場を弛緩させる声音で同意したのは、長い耳と腰まで伸ばされた銀色の髪が印象的な美人。彼女はエルフ族のオルハ。エルフというのは森に住んでいる妖精族の一種で、人間より長命で見目麗しい容姿を持つ。
「結果だけを見れば確かにその通りだが、いい加減にしてもらわないと命がなくなる」
コノハの魔術師としての能力は誰の目から見ても一線級なのだが、些か唐突で考えなしなところがある。敢えて注文を出さなかったとはいえ撃つタイミングを考えて欲しいしというのがリンの本音だった。同時に、火力の調節も。
たった今言われたこともどこ吹く風。視線を正面に向け軽快なステップを刻むコノハに、リンが盛大な溜め息を落とした。
「……あらあら、あれは何かしら?」
そろそろ港街ブレストまで数キロメートルという場所まで来たとき、オルハが緊張感を漂わせ、けれど、それを感じさせない間延びした口調で言った。エルフ族である彼女は視力に優れている上、野伏としての技能もあるため勘が鋭い。
ただし今回ばかりは、オルハだけではなく全員が異常にきがついた。声に釣られて向けた視線の先、遥か遠方よりこちらに向かって飛んでくる飛行船の姿が見えた。
「飛行船か」
初めて見たな、と内心で思いつつ、オルハの隣にいたシャンが呟く。
左右に大きな翼を備え、翼の中央部分に一つずつプロペラを備えてこそいるが、それはあくまでも補助の推進力。メインの動力は、近年市場に出回り始めた希少な金属、浮遊石の物体を浮かせる魔力にある。その為まだまだ各国でも配備が始まったばかりであり、彼女らもその姿を見るのは初めてだ。
それから程なくして、飛行船は一行の上空へ差し掛かった。巨大な船体が彼女らの眼前に晒されると、あたりは一瞬だけ暗くなった。
「ひゃあ~でっかいなぁ~」
コノハが驚きの声を上げた直後、耳をつんざくような爆発音が大気を震わし、飛行船の船底付近で火球が爆ぜた。今のって、魔法なんじゃ? コノハが爆音に耳を塞いで瞳を眇めるなか、船底からもうもうと黒煙が噴出し始めた。
一方で視力の良いオルハは、何が起きているのか見定めようと飛行船の様子を凝視し続けている。
飛行船は煙を吐き出しながらも、速度を緩めることなく接近してくる。穴の開いた船底から、大小様々な積荷が落下してくるのが見えた。
「伏せろ!」
とリンが叫び、
「うわっ……危ないなぁ!」
コノハは不満を漏らしつつも、身を屈め直撃を受けないよう落下物の動きに目を凝らす。
一歩身を引いた場所から様子を伺っていたシャンは、いつでも不可視の障壁の魔法を展開できるよう精神を集中していた。
頭部を庇いながら、リンは視線を配って状況を確認する。飛行船は噴煙を上げながらも、南の空へと消えていった。
「……ディルガライス帝国の飛行船でしたねぇ。紋章が描かれているのが見えました」
「結構な高空を飛んでいただろう? よく、あの状況でそこまで確認できたな」
「……いえいえ~」
エルフ族であるオルハの視力のよさに、リンは内心で舌を巻く。
ディルガライス帝国。港街ブレストが存在しているエストリア王国とかつて一戦を交えた間柄にある軍事国家である。領空侵犯ともいえるこの行為が、新たな戦乱の火種にならねばよいが、とリンは思う。
改めて周辺の様子をうかがうと、家財道具に木片、木箱など様々な物が散乱していた。
「それにしても危ないですねえ。色んなものを落として行って」
なにかお宝があるかもしれない、と思ったのだろう。あげた不満の声とはウラハラに嬉々として周辺の捜索を始めたシャンだったが、落下物の大半は損傷が酷く使い物になりそうにない。
ややあって退屈そうな表情に変わると、四角い箱状の物体を探し腰を下ろした。
「……あらあら大変、女の子」
その時、大変、というわりには、緊迫感の無い声が上がる。
オルハの声にリンが近づいてみると、落下物と思われる木箱の上に、少女が仰向けの体勢で倒れていた。背中まで伸ばされた髪の色は鮮やかな翡翠色。十五歳くらいだろうか。整った顔だちをしており体格は全体的に華奢だ。
「わ~~!! 人だ! 飛行船から落ちたんだ! 動かないけど……死んでるのかな……」
「うるさいコノハ。ちょっと黙ってろ」
好奇心旺盛な瞳を輝かせて覗き込んできたコノハを窘め、リンは少女を抱き起こしてみる。
口元に耳を寄せてみると、スー……ハー……スー……ハー……という呼吸音が聞こえる。あまり発育のよくない少女の胸に手を当ててみるが、心臓も普通に動いていた。
爆発の衝撃だろうか。裾が僅かに焦げた丈の長いドレスの生地はあまり見たことのないものだ。全体的に艶がある、とでもいうべきか。だが、何よりも驚くのは──。
「外傷がまったくありませんね。翡翠色の髪といい、何処か不健康な色白の肌といい、この少女は本当にヒト族なのでしょうか?」
少女が無事である事にリンが安堵すると、隣にやってきたシャンが、少女の様子をうかがいながら疑問をのべた。人間の他にも、エルフや天翼族、小人族らをひっくるめてヒト族と呼ばれているが、この少女はそれら何れにも該当しない特徴を持っていた。
髪の色が緑じゃなければ、普通の人間と変わらないのだがな、とリンは思う。それにしても、だ。落ち方が良かったのだろうか? 呼吸も実に穏やかで、まるで眠っているようにしか見えない。
「オルハ。この少女が落ちてくるところ見えてたのか?」
「……地面に衝突する寸前だけ、でしたけれども」
肩越しに後方で状況を見守っていたオルハに確認すると、平然とした口調で彼女が答える。
そうか、見えていたのか。それにしては落ち着き払っているんだな、という皮肉はすんでの所で飲み干した。
「おかしいんだよな。飛行船から落ちたのであれば、怪我ひとつ無いなんてこと、あるわけないだろう」
当然の疑問をリンが口すると、
「ここに、あるじゃないですか」
と、悪びれる様子もなくシャンが言う。
「いや、そうなんだけどさ……」
いつも通りの横柄なシャンの反応に、リンは閉口した。
「とはいえ、このままにはしておけない。外傷はなくても、骨折や見えない部分の怪我があるかもしれないからな。とりあえず、リオーネの診療所に連れていこう」
リンが提案すると、メンバーの三人は反対することなく頷いた。
この不思議な少女との出会いが、この先『ヒートストローク』の面々が巻き込まれていく壮大な事件の序章であることを、この時の彼女らは──まだ知らなかった。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
裏切りの代償
志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。
家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。
連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。
しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。
他サイトでも掲載しています。
R15を保険で追加しました。
表紙は写真AC様よりダウンロードしました。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる