697 / 794
学院編 14
525 悪役令嬢は特技を活かす
しおりを挟む
「これが孫のキースです。王立学院の魔法科に入ったばかりだというのに、もうめきめきと上達しているんですよ」
魔導師団長は得意げにキースの肩を押して自分の前に立たせた。
「おじい様、僕はまだ……」
「卒業後は宮廷魔導士になって、ゆくゆくはわしの後を継ぐことになるでしょうな。はっはっは」
高笑いした祖父を迷惑そうに見て、キースは話し相手に愛想笑いをした。正面にいるのは初対面の貴族夫妻とその娘、確か古い家柄の伯爵家だ。娘もどこかで見た顔だ。
「キースさんは、今日はお一人ですの?」
「え?」
「ハーリオン家のエミリー様とご一緒だとばかり思っておりましたのに。学院でも仲が良いと評判ですもの」
「あ、ええと……」
自分が失敗したせいで、アスタシフォンから帰れなくなっているなどとは、祖父がいる手前口が裂けても言えない。キースは視線を彷徨わせ、令嬢はそれを勝手に解釈した。
「痴話喧嘩は先に謝った方が勝ちですわよ。いつまでも意地を張っていると、子供じみていると思われて嫌われるのですわ」
「はあ……」
別に喧嘩はしていないのだが、期末試験の頃から気まずいのは確かだ。暗い表情のキースを励まそうと、令嬢はにっこりと微笑んだ。
「私も、年下の婚約者が熱を出して、今日は来ておりませんの。……ですから」
「キース」
二人の会話に割り込むように、エンウィ伯爵が声をかけた。不機嫌を隠そうともしない彼に、キースは無言で怯えた。
「話し中のところ悪いね。……用事を思い出した。一緒に来てくれるな?」
新年パーティーを抜け出さなければいけない用事とは何なのか。嫌な予感がした。
「おじい様……僕は……」
「いいか。お前にとって人生最大のチャンスなんだぞ?」
低い声でその場に縛り付けられ身動きが取れない。会話をしていた貴族一家は、二人の様子を見て遠巻きにして去って行った。キースは会場の片隅で祖父に睨まれたままだ。
「僕は……自分で、自分自身の力でチャンスを掴みたいんです」
「馬鹿なことを」
「エミリーさんや、他の皆を犠牲にして掴む栄光なんて、意味がありません!」
一歩踏み出すと足がビリビリと痺れた。祖父が使った魔法の反動が身体に伝わる。魔力を放ちながら痛みに耐えて走り出す。
「くっ」
「待て!キース!」
少年の背中には祖父の嗄れ声が届かなかった。
◆◆◆
猛烈な臭いに耐え、門を越えて王宮内に入ったジュリアは、本当に魚を納品に行くチェルシーと別れ、一人で宮殿の庭を歩き回っていた。厨房は外から回り、建物の中には入れなかったのだ。
「困ったな。どっから入ったらいいんだろ?」
ふと見ると、どことなく見覚えのある高い木が目に入った。珍しく幹の下の方にも太い枝が伸びている。
「あー、これこれ!」
以前マリナのふりをしてドレスを着て窓から出ようとし、結局ドレスを脱いで下着姿でこの木を伝って下りたのだ。
――アレックスに見られたんだっけ。……なしなし!あんなの忘れる!
あの時は下りやすい木だった。数年経って少し高さがあるが、上れないわけではなさそうだ。バルコニーに入りさえすれば、どこか一部屋くらい窓の鍵が開いていてもよさそうなものである。ジュリアはその可能性にかけることにした。
少し木登りを始めたところで、どこからか犬が走ってきた。
――まずい!この臭いに気づいたんだ!
木の上にいるジュリアに盛んに吠えている。
「ったく、どこの子?躾が良すぎるんだけど?」
兵士が集まる前に上りきらなければ。早く中に入ってレナードを探し、無茶なことをしでかすまえに説得するのだ。
――こんなところで時間を取ってる暇はないの!
次の枝を掴み、左足をかけた瞬間、
「ぅああ!」
脆くなっていた樹皮がはがれ、ジュリアは足場を失って宙づりになった。掴んでいる枝は細く、自分の体重を支えられるか分からない。案の定、見つめる先の枝は大きくしなり、少しずつミシミシと音を立てていた。
――ヤバい。落ちる!!
地面に激突する痛みを予感し、固く目を閉じたジュリアだったが、いつになっても衝撃はやってこなかった。
「……ん?」
片目を開けて見れば、自分は見慣れない部屋にいた。膝をついているふわふわの豪華な絨毯と天蓋つきのベッドを見る限り、最高級の調度品を揃えた客用寝室のようだ。
「あっれえ?」
「すみません!」
すぐに背後から謝罪の言葉が聞こえ、声の主が誰だか確認する間でもなく、彼が土下座のままジュリアの前にスライディングしてきた。
「キース……」
「ジュリアさんが木から落ちそうになっていたので、つい、転移魔法を」
「いやあ、ありがと。助かったよー」
「へ?怒ってないんですか?僕、また、知らないところへ転移したのに」
「ぜーんぜん?つか、ここ、多分王宮のどこかでしょ?この柱とかシャンデリアが殿下の部屋のと似てるもん。中に入りたかったから丁度良かったよ」
キースの両手を両手で掴み、満面の笑みでぶんぶんと手を上下させる。キースは何故感謝されているのか分からないといった顔だ。
「中に入りたかった?招待されていたのではないのですか?」
「まっさかー。今回はウチは誰も参加してないよ。お父様もいないしさ」
「そうだったんですね。僕はてっきり、パーティーが嫌で逃げ出すところだったのかと」
普段の自分がどう思われているか、ジュリアはほんのりと感じ取ったが、キースには悪気がないようなので黙っていることにした。ここで魔導士の彼に会えたのは天の采配、自分は幸運の持ち主だと言っていい。助力を頼むべきだろう。
「あのさ、キースは会場にいたんだよね?」
「はい。祖父と共に参加していましたが……」
「レナードを見なかった?」
「レナード君……剣技科の彼ですよね?騎士階級では招待を受けていないのではありませんか?」
「違うよ。何だろ、王宮で兵士のバイトしてんの」
「ばい……?」
「あー、えっと、兵士の見習いとして働いてるらしいんだ。ちょっと話があってさ。見たら捕まえておきたいっていうか」
暗殺者として乗り込んでいるとは言えない。キースを余計なことに巻き込んでしまう。それに、彼の口から誰かに伝わらないとも限らない。
「彼は剣の腕も三年生に引けを取らず、優秀だと聞いています。見習いに選ばれるのも頷けますね。でも、会場にいたのは古株の兵士ばかりでしたよ。それこそ、僕のおじい様と顔なじみのような。持ち場がどこか聞いていないんですか?」
「聞いてないよ。ねえ、今晩は国王陛下もセドリック殿下も、ずっとパーティー会場にいると思う?」
「どうでしょうね。マリナさんがいらした時は、殿下はずっと会場で踊っていらっしゃいましたが、今回はお相手が違うとの話ですし。……アイリーンが相手では、すぐにダンスをやめてしまうのではないかと」
「アイリーン……やっぱり筋書きは変えられないか」
ジュリアが目を細めた時、下からダンスの音楽が聞こえてきた。
「いよいよ始まったようですね」
――ダンスを一曲終えるまでは、少なくとも陛下も殿下も会場にいる。暗殺者が狙うならそこだ!
ジュリアは柔らかい絨毯を蹴って立ち上がり、驚くキースを残して大広間を目指した。
魔導師団長は得意げにキースの肩を押して自分の前に立たせた。
「おじい様、僕はまだ……」
「卒業後は宮廷魔導士になって、ゆくゆくはわしの後を継ぐことになるでしょうな。はっはっは」
高笑いした祖父を迷惑そうに見て、キースは話し相手に愛想笑いをした。正面にいるのは初対面の貴族夫妻とその娘、確か古い家柄の伯爵家だ。娘もどこかで見た顔だ。
「キースさんは、今日はお一人ですの?」
「え?」
「ハーリオン家のエミリー様とご一緒だとばかり思っておりましたのに。学院でも仲が良いと評判ですもの」
「あ、ええと……」
自分が失敗したせいで、アスタシフォンから帰れなくなっているなどとは、祖父がいる手前口が裂けても言えない。キースは視線を彷徨わせ、令嬢はそれを勝手に解釈した。
「痴話喧嘩は先に謝った方が勝ちですわよ。いつまでも意地を張っていると、子供じみていると思われて嫌われるのですわ」
「はあ……」
別に喧嘩はしていないのだが、期末試験の頃から気まずいのは確かだ。暗い表情のキースを励まそうと、令嬢はにっこりと微笑んだ。
「私も、年下の婚約者が熱を出して、今日は来ておりませんの。……ですから」
「キース」
二人の会話に割り込むように、エンウィ伯爵が声をかけた。不機嫌を隠そうともしない彼に、キースは無言で怯えた。
「話し中のところ悪いね。……用事を思い出した。一緒に来てくれるな?」
新年パーティーを抜け出さなければいけない用事とは何なのか。嫌な予感がした。
「おじい様……僕は……」
「いいか。お前にとって人生最大のチャンスなんだぞ?」
低い声でその場に縛り付けられ身動きが取れない。会話をしていた貴族一家は、二人の様子を見て遠巻きにして去って行った。キースは会場の片隅で祖父に睨まれたままだ。
「僕は……自分で、自分自身の力でチャンスを掴みたいんです」
「馬鹿なことを」
「エミリーさんや、他の皆を犠牲にして掴む栄光なんて、意味がありません!」
一歩踏み出すと足がビリビリと痺れた。祖父が使った魔法の反動が身体に伝わる。魔力を放ちながら痛みに耐えて走り出す。
「くっ」
「待て!キース!」
少年の背中には祖父の嗄れ声が届かなかった。
◆◆◆
猛烈な臭いに耐え、門を越えて王宮内に入ったジュリアは、本当に魚を納品に行くチェルシーと別れ、一人で宮殿の庭を歩き回っていた。厨房は外から回り、建物の中には入れなかったのだ。
「困ったな。どっから入ったらいいんだろ?」
ふと見ると、どことなく見覚えのある高い木が目に入った。珍しく幹の下の方にも太い枝が伸びている。
「あー、これこれ!」
以前マリナのふりをしてドレスを着て窓から出ようとし、結局ドレスを脱いで下着姿でこの木を伝って下りたのだ。
――アレックスに見られたんだっけ。……なしなし!あんなの忘れる!
あの時は下りやすい木だった。数年経って少し高さがあるが、上れないわけではなさそうだ。バルコニーに入りさえすれば、どこか一部屋くらい窓の鍵が開いていてもよさそうなものである。ジュリアはその可能性にかけることにした。
少し木登りを始めたところで、どこからか犬が走ってきた。
――まずい!この臭いに気づいたんだ!
木の上にいるジュリアに盛んに吠えている。
「ったく、どこの子?躾が良すぎるんだけど?」
兵士が集まる前に上りきらなければ。早く中に入ってレナードを探し、無茶なことをしでかすまえに説得するのだ。
――こんなところで時間を取ってる暇はないの!
次の枝を掴み、左足をかけた瞬間、
「ぅああ!」
脆くなっていた樹皮がはがれ、ジュリアは足場を失って宙づりになった。掴んでいる枝は細く、自分の体重を支えられるか分からない。案の定、見つめる先の枝は大きくしなり、少しずつミシミシと音を立てていた。
――ヤバい。落ちる!!
地面に激突する痛みを予感し、固く目を閉じたジュリアだったが、いつになっても衝撃はやってこなかった。
「……ん?」
片目を開けて見れば、自分は見慣れない部屋にいた。膝をついているふわふわの豪華な絨毯と天蓋つきのベッドを見る限り、最高級の調度品を揃えた客用寝室のようだ。
「あっれえ?」
「すみません!」
すぐに背後から謝罪の言葉が聞こえ、声の主が誰だか確認する間でもなく、彼が土下座のままジュリアの前にスライディングしてきた。
「キース……」
「ジュリアさんが木から落ちそうになっていたので、つい、転移魔法を」
「いやあ、ありがと。助かったよー」
「へ?怒ってないんですか?僕、また、知らないところへ転移したのに」
「ぜーんぜん?つか、ここ、多分王宮のどこかでしょ?この柱とかシャンデリアが殿下の部屋のと似てるもん。中に入りたかったから丁度良かったよ」
キースの両手を両手で掴み、満面の笑みでぶんぶんと手を上下させる。キースは何故感謝されているのか分からないといった顔だ。
「中に入りたかった?招待されていたのではないのですか?」
「まっさかー。今回はウチは誰も参加してないよ。お父様もいないしさ」
「そうだったんですね。僕はてっきり、パーティーが嫌で逃げ出すところだったのかと」
普段の自分がどう思われているか、ジュリアはほんのりと感じ取ったが、キースには悪気がないようなので黙っていることにした。ここで魔導士の彼に会えたのは天の采配、自分は幸運の持ち主だと言っていい。助力を頼むべきだろう。
「あのさ、キースは会場にいたんだよね?」
「はい。祖父と共に参加していましたが……」
「レナードを見なかった?」
「レナード君……剣技科の彼ですよね?騎士階級では招待を受けていないのではありませんか?」
「違うよ。何だろ、王宮で兵士のバイトしてんの」
「ばい……?」
「あー、えっと、兵士の見習いとして働いてるらしいんだ。ちょっと話があってさ。見たら捕まえておきたいっていうか」
暗殺者として乗り込んでいるとは言えない。キースを余計なことに巻き込んでしまう。それに、彼の口から誰かに伝わらないとも限らない。
「彼は剣の腕も三年生に引けを取らず、優秀だと聞いています。見習いに選ばれるのも頷けますね。でも、会場にいたのは古株の兵士ばかりでしたよ。それこそ、僕のおじい様と顔なじみのような。持ち場がどこか聞いていないんですか?」
「聞いてないよ。ねえ、今晩は国王陛下もセドリック殿下も、ずっとパーティー会場にいると思う?」
「どうでしょうね。マリナさんがいらした時は、殿下はずっと会場で踊っていらっしゃいましたが、今回はお相手が違うとの話ですし。……アイリーンが相手では、すぐにダンスをやめてしまうのではないかと」
「アイリーン……やっぱり筋書きは変えられないか」
ジュリアが目を細めた時、下からダンスの音楽が聞こえてきた。
「いよいよ始まったようですね」
――ダンスを一曲終えるまでは、少なくとも陛下も殿下も会場にいる。暗殺者が狙うならそこだ!
ジュリアは柔らかい絨毯を蹴って立ち上がり、驚くキースを残して大広間を目指した。
0
お気に入りに追加
750
あなたにおすすめの小説
魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!
蒼乃ロゼ
恋愛
「リュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」
「「……は?」」
どうやら原作では魔性の女だったらしい、リュミネーヴァ。
しかし彼女の中身は、前世でストーカーに命を絶たれ、乙女ゲーム『光が世界を満たすまで』通称ヒカミタの世界に転生してきた人物。
前世での最期の記憶から、男性が苦手。
初めは男性を目にするだけでも体が震えるありさま。
リュミネーヴァが具体的にどんな悪行をするのか分からず、ただ自分として、在るがままを生きてきた。
当然、物語が原作どおりにいくはずもなく。
おまけに実は、本編前にあたる時期からフラグを折っていて……?
攻略キャラを全力回避していたら、魔性違いで謎のキャラから溺愛モードが始まるお話。
ファンタジー要素も多めです。
※なろう様にも掲載中
※短編【転生先は『乙女ゲーでしょ』~】の元ネタです。どちらを先に読んでもお話は分かりますので、ご安心ください。
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
転生したら攻略対象者の母親(王妃)でした
黒木寿々
恋愛
我儘な公爵令嬢リザベル・フォリス、7歳。弟が産まれたことで前世の記憶を思い出したけど、この世界って前世でハマっていた乙女ゲームの世界!?私の未来って物凄く性悪な王妃様じゃん!
しかもゲーム本編が始まる時点ですでに亡くなってるし・・・。
ゲームの中ではことごとく酷いことをしていたみたいだけど、私はそんなことしない!
清く正しい心で、未来の息子(攻略対象者)を愛でまくるぞ!!!
*R15は保険です。小説家になろう様でも掲載しています。
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
そして乙女ゲームは始まらなかった
お好み焼き
恋愛
気付いたら9歳の悪役令嬢に転生してました。前世でプレイした乙女ゲームの悪役キャラです。悪役令嬢なのでなにか悪さをしないといけないのでしょうか?しかし私には誰かをいじめる趣味も性癖もありません。むしろ苦しんでいる人を見ると胸が重くなります。
一体私は何をしたらいいのでしょうか?
悪役令嬢なので舞台である学園に行きません!
神々廻
恋愛
ある日、前世でプレイしていた乙女ゲーに転生した事に気付いたアリサ・モニーク。この乙女ゲーは悪役令嬢にハッピーエンドはない。そして、ことあるイベント事に死んでしまう.......
だが、ここは乙女ゲーの世界だが自由に動ける!よし、学園に行かなければ婚約破棄はされても死にはしないのでは!?
全8話完結 完結保証!!
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
盲目のラスボス令嬢に転生しましたが幼馴染のヤンデレに溺愛されてるので幸せです
斎藤樹
恋愛
事故で盲目となってしまったローナだったが、その時の衝撃によって自分の前世を思い出した。
思い出してみてわかったのは、自分が転生してしまったここが乙女ゲームの世界だということ。
さらに転生した人物は、"ラスボス令嬢"と呼ばれた性悪な登場人物、ローナ・リーヴェ。
彼女に待ち受けるのは、嫉妬に狂った末に起こる"断罪劇"。
そんなの絶対に嫌!
というかそもそも私は、ローナが性悪になる原因の王太子との婚約破棄なんかどうだっていい!
私が好きなのは、幼馴染の彼なのだから。
ということで、どうやら既にローナの事を悪く思ってない幼馴染と甘酸っぱい青春を始めようと思ったのだけどーー
あ、あれ?なんでまだ王子様との婚約が破棄されてないの?
ゲームじゃ兄との関係って最悪じゃなかったっけ?
この年下男子が出てくるのだいぶ先じゃなかった?
なんかやけにこの人、私に構ってくるような……というか。
なんか……幼馴染、ヤンデる…………?
「カクヨム」様にて同名義で投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる