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03 魔王の恍惚

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「やめ、て、いや、んっ、……あぁん!」
魔王の昂りを己の中に感じ、乙女はびくびくと震えて身体をしならせる。ぐったりしてうつ伏せになり、金色の長い髪がベッドに広がった。
「挿れただけでイッたのか?この淫乱が!」
「あっ、だ、めっ、動いちゃ、やだぁ」
乙女の懇願を聞き入れず、魔王は容赦なく腰を振り始める。ぬちゃぬちゃと卑猥な音が響く。暗い石造りの部屋は、魔王が乙女を監禁している牢だ。いくら助けを呼んでも、誰も来やしない。ドレスを破かれ全裸にされた乙女は、黒いベッドの上で四つん這いにされ、後ろから突き上げられていた。
「や、は、ぁあ、……ひゃ、ああっ、や、やだぁ」
「嫌がっている割には、身体は随分素直だぞ。……いやらしいな」
魔王の指が敏感な芽を捏ねる。息も絶え絶えの乙女は、はくはくと口を動かした。
「ら、……らめ、えっ、そこ、いじっちゃ、やあぁ!」
「ドロドロだな。ここがいいのか」
「く、くる、……なん、か、きちゃうっ!……ぁああああ!」

   ◇◇◇

ガタン。
バシュ。

「ヴィル!お前はまた、何て真似をしてくれたんだ!」
補佐官に白い目を向けられ、魔王フュルヒテゴットは涙目になった。床に散らばった幻影石の破片を大事そうに手でかき集め、再生を試みるが石は元に戻らない。
「朝からンなもん見るなと、何度言ったら分かるんですか!この変態魔王が!」
金色の瞳を怒りで燃え立たせ、腰に手を当てた秘書官は主君を叱責した。
「いいか、ヴィル。これは言わば予習、俺の初……コホン、乙女を攫うという魔王らしい所業を完璧にするための」
「単なる玩具にするために、人間を攫ってくるのですか?」
「魔王×乙女シリーズは幻影石の最高峰、オークシリーズより人気があるんだぞ。その主人公のモデルたる俺が、未だに童貞だなんてあり得ないだろう!」
「……随分はっきり言いますね」
「この際、相手が人間の女でも構わん。今晩のうちに攫ってきて、明日は俺の恐ろしさをその身体にじっくり教え込ませてやる!」
拳を握りしめ、少しだけ尖った牙を見せて叫ぶ主君に、ヴィルは何も言えなくなった。
「……そうですか。私はご一緒いたしませんから、どうぞご自由に。あ、言っておきますが、今の幻影石の女優は私の祖母の同級生ですよ。陛下は熟女がお好きなんですね」

バン。
幾分乱暴に閉められたドアが音を立てた。
フュルヒテゴットは衝撃の事実に泣きそうだった。清らかな処女だと思っていた幻影石の乙女は熟女どころか老女だった。
「道理で、身体が熱くならないはずだ……」
気を取り直して別の幻影石を見ようと箱から取り出した。魔力を与えるとすぐに周りの景色が変わる。銀髪の男が現れ、魔王は彼に感情移入しようと集中した。

   ◇◇◇

「ご主人様、どうか御慈悲を……」
縋りつくメイドを膝で蹴り、銀髪の男はにやりと笑った。年若いメイドの足がミニスカートのメイド服から見える。白いエプロンで隠れてはいるが、中に着ている黒のワンピースはかなり胸元が大きく開いて、豊かな胸の谷間が晒されていた。
「次しくじったら、私の言うことを聞くと約束しただろう?」
「は……はい……何でもいたします」
床に膝を折り、メイドは主人に平伏した。肩までの黒い真っ直ぐな髪が床についた。スカートが短すぎて後ろから下着が見えている。

ベルトを自分で外し、前を寛げてメイドの鼻先につきつけた。
「……どうすればいいか、分かるな?」
「あの……私……」
「分かるな?」
強い調子で言われ、メイドはぎゅっと目を閉じてから、小さな赤い舌を出した。たどたどしく舌を這わせる。
「咥えろ」
「ご主人様……はぁ……む、無理れすっ……ふぅ、口に、はいらら……んぐぅ!」
メイドの黒い髪を掴むように頭を押さえ、主人は彼女の口に剛直を押し込んだ。

   ◇◇◇

「陛下ぁ~、出発のお支度が……あれ?」
魔王を呼びに来た従者の狼男は、目の前の惨状を見て固まった。
床には砕けた幻影石が転がり、室内には雄のにおいが漂っている。鼻がいい彼には耐えがたい。
「おえっぷ、なんなんですか、陛下!やりすぎですよ!幻影石の見すぎだって、ヴィルも心配していたでしょ!」
目の前の長椅子に横たわった魔王は、目を虚ろにして自らの中心を握りしめ、
「ああ……いい……」
と恍惚の表情を浮かべた。
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