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第五章 桜とさくらの根深汁
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「まったくもぉ、おタキさんの悪いとこだよ。しゃあねぇから俺が折れてやる。そっちは任せな! 感謝しろよ」
よしよし、これで必要なものは揃った。あとは……
「あっ」
川上に小さく、彦さんの猪牙舟が見えた。客を一人乗せている。
「なぁ、おタキさん。協力したお礼に、って言ったらアレだけどよ……」
「彦一郎とどうなってるのか教えてくれねぇ? もう、ただの仕事関係の知り合いって仲じゃねぇんだろ」
好奇心で目を輝かせる男達。
アタシは言ってやった。
「どうもなってません。これからも、大して変わらないわ」
呆気に取られる男達を残して、アタシは舟着場へ急いだ。
舟着場には既に父と母がいた。母がアタシに気付く。
「おタキ、昨日、彦さんと何を話したんだい?」
「姉さんから聞いてない? アタシ、金吾さんから料理の依頼を受けたの。それの相談」
母は頷いた。
「それは知ってるよ。私達の許可も無く引き受けたのもね。あなたったら、何度言っても分からないのだから。まぁ、いいわ。おユキの見合い相手だもの。むしろ、協力するわよ」
諦めるのに慣れてきた母。父は振り返らないが、なんとなくアタシを肯定してくれているように感じる。
こりゃ、失敗なんてとても出来ないな。
よしよし、これで必要なものは揃った。あとは……
「あっ」
川上に小さく、彦さんの猪牙舟が見えた。客を一人乗せている。
「なぁ、おタキさん。協力したお礼に、って言ったらアレだけどよ……」
「彦一郎とどうなってるのか教えてくれねぇ? もう、ただの仕事関係の知り合いって仲じゃねぇんだろ」
好奇心で目を輝かせる男達。
アタシは言ってやった。
「どうもなってません。これからも、大して変わらないわ」
呆気に取られる男達を残して、アタシは舟着場へ急いだ。
舟着場には既に父と母がいた。母がアタシに気付く。
「おタキ、昨日、彦さんと何を話したんだい?」
「姉さんから聞いてない? アタシ、金吾さんから料理の依頼を受けたの。それの相談」
母は頷いた。
「それは知ってるよ。私達の許可も無く引き受けたのもね。あなたったら、何度言っても分からないのだから。まぁ、いいわ。おユキの見合い相手だもの。むしろ、協力するわよ」
諦めるのに慣れてきた母。父は振り返らないが、なんとなくアタシを肯定してくれているように感じる。
こりゃ、失敗なんてとても出来ないな。
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