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第324話
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「・・・どうぞこちらへ」
思った以上に長い間歩かされた後、ようやく運営が部屋の扉を開ける。
「ありがとうございます」
グレイは礼を言うと、運営に案内された控室に入る。
「では、しばらくお待ち下さい」
パタン
運営はそう言うと、扉を占める。
中に残されたグレイは控室にあるベンチに座りあたりを見回した。
サイズとしてはグレイの寮の寝室くらいだろう。
試合が始まるまでの間いるだけなので殺風景ではあるが、グレイにはその感じが丁度落ち着く。
『やれやれ、簡素な部屋だな』
ずっと姿を隠していたイズがグレイの左肩から飛び立ち話しやすいように正面に来る。
「それはそうだが、俺には落ち着くな」
グレイはベンチに深く腰掛け、リラックスしようと力を抜き、目を瞑る。
『・・・』
イズはそんなグレイの姿を見て続けて言おうと思った事を飲み込んだ。
(明らかにグレイが貴族で無いからこのような部屋に呼んだに違いないが今のグレイにわざわざ言うことでは無いな)
『まだ試合まで時間もある。少しでもリラックスしておくと良いさ』
変わりに別のことをグレイに告げる。
「ああ。ありがとう」
目を瞑ったまま答えるグレイ。
しばらくの間部屋には静寂が訪れた。
ガチャ
「っ!?」
唐突であった。
なんの脈絡も無く扉の鍵が掛けられる音が響く。
瞑想していたグレイが慌てて目を開け、立ち上がる。
そして、扉に駆け寄ろうとした時であった。
『御来場の皆様っ!大変長らくお待たせ致しましたっ!!そしではこれより【魔法武闘会】を開催致します!!』
「「「ワァァァァァ!!!」」」
控室の音声伝達機から【魔法武闘会】開催の案内が聞こえてきたのは。
「くっ!」
グレイは嫌な予感が全身を支配するのを感じ、扉に慌てて走り寄る。
ガチャガチャ
嫌な予感は的中し、扉はびくとも動かない。
『・・・やられたな・・・』
イズがグレイの様子を見てポツリと呟く。
「・・・ああ。まさか、こんな手を使ってくるとはな・・・」
イズの言葉にグレイは困ったように呟く。
完全に締め出しを食らってしまった。
罠に嵌められたのだ。
そして、今の状況になって初めて理解した。
ここに来るまでやけに長い間歩かされたのは全員がそうではなくグレイだけだったのだと。
そしてそれは【魔法武闘会】に参加させないためであることは明白であった。
『扉は厚いし蹴破るのは無理そうだぞ。そして、近くに誰もいないだろうから助けも期待できない。どうする?』
イズが冷静にグレイにどうするかを問う。
「・・・どうもこうも打つ手はないだろうさ・・・せっかく今日の日の為に整えたっていうのに残念だ」
グレイは諦めたようにベンチに座り、乾いた声で笑った。
思った以上に長い間歩かされた後、ようやく運営が部屋の扉を開ける。
「ありがとうございます」
グレイは礼を言うと、運営に案内された控室に入る。
「では、しばらくお待ち下さい」
パタン
運営はそう言うと、扉を占める。
中に残されたグレイは控室にあるベンチに座りあたりを見回した。
サイズとしてはグレイの寮の寝室くらいだろう。
試合が始まるまでの間いるだけなので殺風景ではあるが、グレイにはその感じが丁度落ち着く。
『やれやれ、簡素な部屋だな』
ずっと姿を隠していたイズがグレイの左肩から飛び立ち話しやすいように正面に来る。
「それはそうだが、俺には落ち着くな」
グレイはベンチに深く腰掛け、リラックスしようと力を抜き、目を瞑る。
『・・・』
イズはそんなグレイの姿を見て続けて言おうと思った事を飲み込んだ。
(明らかにグレイが貴族で無いからこのような部屋に呼んだに違いないが今のグレイにわざわざ言うことでは無いな)
『まだ試合まで時間もある。少しでもリラックスしておくと良いさ』
変わりに別のことをグレイに告げる。
「ああ。ありがとう」
目を瞑ったまま答えるグレイ。
しばらくの間部屋には静寂が訪れた。
ガチャ
「っ!?」
唐突であった。
なんの脈絡も無く扉の鍵が掛けられる音が響く。
瞑想していたグレイが慌てて目を開け、立ち上がる。
そして、扉に駆け寄ろうとした時であった。
『御来場の皆様っ!大変長らくお待たせ致しましたっ!!そしではこれより【魔法武闘会】を開催致します!!』
「「「ワァァァァァ!!!」」」
控室の音声伝達機から【魔法武闘会】開催の案内が聞こえてきたのは。
「くっ!」
グレイは嫌な予感が全身を支配するのを感じ、扉に慌てて走り寄る。
ガチャガチャ
嫌な予感は的中し、扉はびくとも動かない。
『・・・やられたな・・・』
イズがグレイの様子を見てポツリと呟く。
「・・・ああ。まさか、こんな手を使ってくるとはな・・・」
イズの言葉にグレイは困ったように呟く。
完全に締め出しを食らってしまった。
罠に嵌められたのだ。
そして、今の状況になって初めて理解した。
ここに来るまでやけに長い間歩かされたのは全員がそうではなくグレイだけだったのだと。
そしてそれは【魔法武闘会】に参加させないためであることは明白であった。
『扉は厚いし蹴破るのは無理そうだぞ。そして、近くに誰もいないだろうから助けも期待できない。どうする?』
イズが冷静にグレイにどうするかを問う。
「・・・どうもこうも打つ手はないだろうさ・・・せっかく今日の日の為に整えたっていうのに残念だ」
グレイは諦めたようにベンチに座り、乾いた声で笑った。
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