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第38話

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「ひとまずここには俺が閉じ込められていた棺桶と地面に描かれた魔法陣しかないみたいだな・・・」

グレイは部屋になっている場所に何か使える物が無いかを確認し呟く。

「この部屋の外がどうなっているかは分からないが、俺を拉致した連中がここに転送させたということは一人ではどうにもならない危険な場所ってことだからな・・・何か使える物があれば良かったんだが・・・」

無い物は仕方が無いとグレイは諦め、部屋の外に出ようと一つしかない鉄で出来た扉に向かって歩く。

しばらく、部屋の中を歩き回ったため、久しぶりに歩くときのふらつきは解消されていた。

グレイは扉の前に立ち止まり一度深呼吸を行う。

「・・・鍵とか掛かっていませんように」

もし鍵が掛かっていたらその時点で詰みである。

グレイはそう願いながら鉄扉に手を置き、力いっぱい押す。





ズズズ

大分開けていなかったのか鉄扉はゆっくりと開いていく。

(重い・・・だが、鍵が掛かっていなくて良かった)

ここから先は何があるか分からないため、声を出さずに頭の中で安堵の声を出す。

グレイが通れるくらいの隙間ができたため、警戒を充分にしながら顔を出す。

「・・・ふぅ。とりあえず何もいなそうだな」

部屋の外に出ると目に入ってきたのはグレイの両手を広げたくらいの直径の泉であった。

「水!!」

グレイは思わず、駆け寄る。

そして手ですくおうとして途中でやめる。

「・・・この水は飲んで大丈夫かな?明らかに怪しい感じだよな」

腹も減っていたが喉も乾いていたため直ぐにでも水を飲みたかったが何とか自制して行動を止めたグレイは泉の周りを調べ始めた。

「透き通るくらい綺麗な水だな・・・それに常に溢れ出ているみたいだ」

原理は分からないが中央からは水が溢れ出て泉の周囲にある穴からどこかに排出されているようだった。

「ん?もう一つ部屋があるな」

グレイは泉の水を飲んでいいか判断できなかったため、ひとまず断腸の思いで保留にし周りを観察すると先ほど出て来た部屋とは別の部屋があることに気が付いた。

直ぐに気が付かなかったのは周りの壁が光ってはいるものの光量が少なく、遠くまでは良く見えないからである。

グレイは頭の中で今いる場所の配置を思い浮かべながら一度このエリアを見回ることにする。

一度、先ほど出て来た鉄扉に戻ると、右手を置き反時計回りに歩いて行く。

「・・・階段だ。下に続いているようだな」

少し歩くと下に続く階段が目に入った。

そしてそのまま再度反時計回りに歩くと、

「・・・部屋だな」

今度はグレイが出て来た部屋とは違う部屋の鉄扉が現れた。

何故違うかが分かるというとグレイが出て来た扉は少しだけ開けたままになっているからだ。

今回の扉は閉まったままであった。

そして、再度歩き始める。

「・・・また階段か。今度は上に続いているようだな」

グレイは確認するとまたまた歩き始める。

「・・・ここは俺が出て来た部屋だな」

これで一周したことになる。

どうやらそこまでこのエリアは広くは無いようだ。

「このエリアは円形のような感じだな。ここから見て中央に謎の泉。そして右手に下に続く階段。左手に上に続く階段か。・・・さて、どうするか」

グレイはこのエリアの配置をイメージしながらこれからのことを考える。

「上に行くべきか下に行くべきかの判断材料がないな。そもそもここが地下何階なのか地上何階なのかも分からないし・・・まずは、部屋に行って見よう。構造的に俺が閉じ込められていた部屋のようなものが反対側にもあるのだろうからな」

グレイが結論を出すと、泉に向かって歩き出す。

「・・・飲みたい・・・が今は我慢だ・・・」

そして、泉を横目で見ながら真っすぐ進むともう一つの部屋に辿り着いた。

今度は先ほどとは違い鉄扉に取っ手があったため、グレイは両手で掴み力を込めて慎重に開け始める。

ズズズ

先ほどのイメージが残っているため必要そうな分の力を込めて開けるとスムーズに鉄扉が開いていく。

(もしなにかがいても引いて開けるなら致命傷にはならないだろう)

そう考えたグレイは鉄扉を90度になるまで開け、しばらくの間待つ。

(・・・大丈夫そうだな)

グレイは安全だと判断し、部屋の中に入っていく、

「・・・これはまた、冗談きついな」

目に入ってきたのは一体の骸骨であった。

グレイが入った鉄扉に体が向くように壁を背にして座っている。

「・・・大分時間が経っているみたいだな。肉片すら残っていない」

グレイは手がかりを探すため、この部屋に鎮座する骸骨に向かって近づくやいなや呟く。

骸骨はボロボロになっている衣服を着、帽子を被っている。

「ん?・・・背中に何かあるな」

グレイが骸骨を調べていると背中に何かがあることに気が付いた。

「すみません。失礼します」

グレイが一言断りを入れ背中にある物を取り出す。

「・・・本か」

取り出したものは本であった。

グレイは何か手がかりがあるかもと思い本の中身を確認する。

「相当古いな、気を付けないとボロボロになって崩れそうだ」

グレイは折角手に入れた手掛かりが無くなってしまうことを恐れ本を地面に置き、丁寧にめくっていった。

「・・・どうやらこの人の書いた日記の様だな。なになに・・・」

そこには色々書かれていたが、グレイはこの場所に関する情報に繋がるものを探して行く。

「あった。これだ」

グレイは日記の後ろから確認し、目的の場所を見つけると声に出して読み始める。

『●月〇日、前の日付の日記にも書いたが冒険者として順風満帆だった俺たちはいくつもの迷宮をクリアし、富と名声を欲しいままにした。正直、このまま過ごして行けば一生金には困らないだろうが仲間の提案で後世まで名を残すために『とこしえの迷宮』にチャレンジすることにした。いよいよ、明日がその日だ。正直ワクワクしてたまらない。いくら金や名声があったとしても俺は心の底から冒険者なのだろう。そのことに誇りを持つと共に『とこしえの迷宮』をクリアしたらこの日記も後世に語り継がれるかもしれないと考え、ニヤニヤと自然と笑みが零れる。明日は早い、もう寝るとしよう』

「・・・残りページからすると状況的に考えてここが『とこしえの迷宮』というところなんだろうな」

グレイはその名に心当たりは無かったが『迷宮』というものには聞き覚えがあった。

「たしか『迷宮』というのは魔物と言われる害獣が出たり、トラップが色々配置されていたりする場所だったよな」

グレイは思い出しながら呟く。

通常の動物は魔力を持たないが、『迷宮』に居る動物は魔力を持つらしい。

魔力を持つ動物・・・そのため、魔物と呼ばれる。

「『迷宮』が何故つくられたかは謎だが、確か魔物やトラップに守られた金銀財宝を隠すためという説が濃厚だったな。どうやらこの遺体の主はそういった『迷宮』をクリアして富と名声を得たらしいな」

ひとまず、得られる情報を整理した後、更に次のページを読み始めた。



『●月△日、とうとう『とこしえの迷宮』にやって来た。メンバーは俺も含めていつもの5人組だ。最初のメンバーのまま今までやってこれたことに俺は柄にもなく感謝した。・・・おっと日記を書いていると仲間から声がかかった。どうやらいよいよ迷宮の中に入る時間のようだ。明日以降はしばらくの間日記を書くことはできないだろうがここに抱負を綴ろう。【最後の大冒険を最高の形で終わらせ俺たちは伝説になる】』

『●月?日、『とこしえの迷宮』に入ってから何日が経ったのだろうか。数日のようにも数十日のようにも感じる。最難関と呼ばれる迷宮に相応しい魔物やトラップではあったが俺たちにとっては余裕と言ってもいいくらい順調に進めていた。レアアイテムや金銀財宝など所々で入手できたため、既に今まで手に入れて来た他の迷宮での儲けを軽く超える。気を張りつめて進んでいたが、『とこしえの迷宮』には地下20階毎にセーフティエリアがあることに気が付いてからはそれを目安に進行計画を立てるようになっていた。今は40階のセーフティエリアでこの日記を書いている』

「なるほど。この迷宮は地下にできているということだな。まだ続きがあるということは少なくとも地下40階ではないということか」

グレイは更に日記を読んでいく。


『地下60階。もはや日付が分からないので何階にいるかを日付代わりに書くことにした。っと、そんなことより大問題が起きた。食料と水が尽きたのだ。今から60階分を戻る体力も無く、絶望しかなかった。・・・が、俺たちの中で最も食いしん坊のラックが得たいが知れないため手をつけなかったセーフティエリアの中央に溢れている泉の水をとうとう飲んだ。そうしたらどうだ、ラックの奴が喉が潤うだけではなく、腹も満たされたというではないか。半信半疑で俺たちも飲んでみると本当だった。それどころか傷まで癒えるではないか。俺たちはこの泉の水を【万能水】と呼ぶことにし、各々持てるだけ持って先に進むことにした』

「良かった。あの泉の水は飲めるみたいだな」

グレイは恐らく今いるのがセーフティエリアなのだと理解し、中央にあった泉が飲めることに安堵した。

この日記に書いてあることが正しいなら喉が潤うだけでなく腹も満たされ、さらには傷も癒えるらしい。

すぐに泉の水を飲みたかったがぐっと堪え、先を読み進める。

『地下80階。ここに来るまでの間に激レアアイテムを入手することができた!正直興奮が納まらない!!それは、腕輪の形をしていて、あらゆるものを【格納】でき、出したい時に【展開】することができる魔道具だ。これがあれば、今まで持ち運べなかったアイテム類を全て持ってくることができる。面白いことに、これは人と格納場所が結びついており、仲間たちそれぞれが腕輪を装着して【格納】した物は他の物が出すことが出来ないのだ。このアイテムの入手により、一度迷宮をクリアしたら再度回ってアイテム類を全て回収しようという話やこれがあればということで色々と盛り上がった』

『地下100階。・・・気を抜いていたわけではなかったが94階でまず、ラックが死んだ。そして、96階で俺たちの紅一点であるユーリが死んだ。俺たちは断腸の思いで先に進み、ここまでやって来た。地下80階での楽しい盛り上がりはまるで嘘であったかのように意気消沈し誰も何も話さなかった。2人を失い、3人になった俺たちには地上へ戻る選択肢は無かった。単純に生きて出られないこともあったが、何よりも最後まで進んでやろうという気持ちが心の奥底にあったからであった』

『地下100階-2回目。どうやら次の階がこの迷宮の終わりのようだった。というのも次に進む階段が見当たらなかったからである。だが、最後の試練は今まで以上に難関であった。俺たちのリーダーであり、心の支柱でもあるザックが死んでしまったのだ。あの試練を超えられる者などいるはずがない。残った俺とバーダムは命からがら逃げだし、このセーフティエリアに戻って来たのであった』

『地下100階-3回目。寝て起きたらバーダムの奴が居なくなっていた。やけになって地上に向かったのだろう。さて、俺はどうするか・・・』

『地下100階-?回目。心が折れた俺は日記など書いても仕方が無いと思うようになっていたが、最期に記すことにした。俺は、トラップや魔物に殺されるのも嫌なので餓死することを選んだ。もう何日も泉の水を飲んでいない。既に文字を書くのも一苦労である。歴史に名を残すなどということなど夢を見ずこの迷宮になど挑まなければ良かった。もし、ここまでたどり着いてこの日記を読んでいる者がいるのであれば、どうか俺たちの無念を晴らしてほしい・・・ああ。仲間たちが笑顔で呼んでいる』

最後の文字は丁寧な文字とは異なりかなり乱れていた。

「・・・辛かったろうな」

グレイは目を閉じ、この日記に書かれていた5人の冒険者の事を思った。

そして、続きは無いだろうと思いながらも何となく次のページを確認する。

「ん・・・これは・・・腕輪か」

そこには、日記をくりぬくようにして銀色の腕輪が納められていた。

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