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第5話

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「うーん、詳しくと言われてもねー。何ていったらいいか・・・」



あたしがみんなの質問にどう答えたらいいか迷っていると外から馬のいななきが聞こえてきた。



「ヒヒーン」



「あっ、もう迎えの人が来ちゃった」



「迎え?」



母が不思議がる。



「うん。世界大会出場者は試合開始の十日前から会場に入って、いろいろ手続きがあるらしいの。家まで迎えが来るって言ってたんだけど・・・。あたしが家に着くのが遅かったみたいね。予定では一日泊まっていけるはずだったのに・・・。」



「お姉ちゃん、せっかく久しぶりに帰って来たのにもう行っちゃうの?」



あたしが愚痴をこぼすとシベハが間髪入れずに聞いてくる。



「えっ、ええ。そうなるわね・・・」



悲しそうな妹の顔に目を向けないようにしてあたしは答えた。だって、悲しむ顔なんて見たら辛いんだもん。あたしって人の感情変化に敏感だから。             



「これ、シベハやマーヘンだって忙しい中帰ってきてくれたんじゃぞ。あまり、マーヘンを困らしちゃいかん」



「・・・はい」



祖父がシベハを嗜める。



「ごめんね、お姉ちゃん」



「あは、あはは。いいのよシベハ、私の方こそごめんね。ゆっくりしていらねなくて」



「ううん。今度帰る時はゆっくりしていってね」



シベハがあたしに謝って来てくれた。なにはともあれ、よーし、ナイス爺ちゃん。このままじゃ、不完全燃焼になるところだったわ。



トントントン



ちょうどその時誰かがドアをたたいた。あーあ、もう家の前まで来ちゃった。



「はーい、どなたですか?」



母が来訪者に声を掛けながらドアまで歩いていく。



「私は国王から派遣されたものです。マーヘン様をお向かいに上がりました」



緊張しているのだろうか、何やら強ばった声が返された。あーあ、本当に来るのはやいなー。まあ、待ちに待った世界大会に出れるんだから良しとするかな。



「はーい。今開けます」



母が鍵を開ける。



ガチャ



それからまもなくしてドアがゆっくりと内側に開けられた。

ドアの向こう側に立っていたのは案の定、王国に仕える者であった。・・・

まあ、これで違ったら殴ってただろうけど・・・。全身を赤色に染めた動きやすそうな服を着ている。服装で目立つ点と言えば“袈裟”をつけているところだろう。

王国に仕えるものの証である。色によって階級があるらしい。今尋ねてきた男は黄色で統一されている。



どの色の“袈裟”も変わりなく、王国の象徴である“獅子”が刺繍されている。

ちょうどいいから、あとで誰かに階級の色について聞いてみよーっと。



身長はあたしぐらいで体格はあまりよくないわね。武器も持ってないみたいだし。まっ、海術士やらルフトだったら武器を持っていようがいまいが関係ないんだけどね。



「ねえ、すぐに行かないと行けないの?」
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