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セフィロト女子には、多数の石像と氷像が残されていた。もちろん、羅刹と化した柊木瑠璃が「テラーペトリファイ」や「コキュートス」で造り上げたものだ。俺のアイテムボックスにもそのうちのいくつかが収納されている。柊木瑠璃との戦闘中、「天の声」が「キャッチ」してアイテムボックスにしまえと言ったからその通りにしたのだ。
俺はてっきり、「天の声」がそう言ったのは石化や凍結を解除する手段があるからなのだと思っていた。
だが、

《亥ノ上直毅は、性格特性「妄想」「現実主義」「直感」「分析家」「慈愛」「智識」「正義感」「理想主義」や魔法適性「死霊」「援護」「次元」「氷」「回復」「造魔」「地」「呪術」を綜合して考察を重ねた結果、ひとつの結論に至った。石化とは文字通り身体が石と化すことである。一度石となった身体が元の身体に戻ることは、科学的にも魔法的にもありえない。凍りついた身体にもまったく同じことが当てはまる。これらの生徒たちの「石像」「氷像」は、かつて人体だった化石とただの凍死体であると考える他ないのである。》

「救いはねえのかよ……」

容赦のない「天の声」の言葉に、俺は苦い顔でつぶやいた。いくら俺が人間社会を寸断されたままにすると決めたとはいえ、好き好んで人を殺したいわけじゃない。同じように、命を救える相手がいれば(俺の側にリスクがない限り)可能な限り救うだろう。

だが、「天の声」の言うことはもっともに思えた。もともと隕石墜落後の世界にもゲームのような「状態異常」は存在しない。ゲームでなら、毒とか麻痺とか石化なんかは、専用の回復アイテムでたちどころに解除できる。しかしこの現実は、中途半端にゲーム的で、中途半端にリアルな仕様になっている。たしかに、完全に石と化したものは、もう疑いようなく石でしかない。死体に魂を戻して不死者にすることはできるのだが、石化させられたものたちはもはや死体ですらないただの化石で、俺の死霊魔法ではどうにもならない。石化した身体を元に戻そうと思ったら、時間を巻き戻してでもしない限りは無理だろう。

「ん、待てよ? 凍ってるほうはどうなんだ?」

《直毅は、考察をさらに進めることにした。》
《行動判定:成功S。》
《直毅は、魂がまだ残されている「氷像」であれば、凍結した死体を解凍した上で、魂を戻すことができることに気がついた。凍結により保存状態がよいため、亥ノ上雪乃の場合よりは、自我を取り戻せる可能性もある。》

というわけだったので、急ぎ氷像だけを集めてもらうことにした。
玄関の崩壊した――というか、建物の前側が崩落しているティファレト棟の大講堂に、十五体の氷像が集まった。そのうち魂が残っていたのは七体だけ。半数以下という厳しい数字だ。
俺が柊木瑠璃との決戦後にぶっ倒れたりせず、すぐに蘇生作業に入っていれば、もう何体か救える氷像があったかもしれない。……いや、よそう。俺だって間違いなく限界だったのだ。

蘇生は不可能だが、石像のほうも大講堂に集められた。もともと大講堂の中に石像が集中してたってのもあるが、外にあったものも一部の教師がこの講堂に運び込んでいたらしい。一般生徒は学生寮で待機するよう指示が出されているが、生き残った教職員は事後処理のために構内を駆けずり回ってる。そのたびに石化した生徒や同僚を見せつけられるのではたまらない。すでに死んでいるとはいえ、元同僚、元教え子だったものたちを風雨にさらしておくのも(台風は既に去って雨はやんだが)心情的に忍びないものがあったのだろう。
集められた石像は氷像より多く、数えてみると22体。そのうち約半数の10体の魂が、石化した身体の中に閉じ込められていた。
なお、柊木瑠璃が自分のアイテムボックスに収納していた石像・氷像は、柊木の死後半日経った頃に突如その死亡地点の周囲に現れたらしい。柊木瑠璃のアイテムボックスには石像・氷像以外にも溜め込んでいたアイテムが多数入っていたようだが、それらは学園側に回収されてしまったという。これらのアイテムの所有権については、厄介な交渉が必要になるかもしれない。セフィロト女子の戦力を使って獲得したアイテムなのだから学園のものだとも言えるだろうし、柊木瑠璃を倒したのは俺なのだからその所有物は俺のものだと主張することもできるだろう。まあ、よほど強力なものでもない限り、なるべく向こうに譲るつもりではいるけどな。柊木瑠璃が装備していた「追儺の太刀」「悪鬼の太刀」「唐獅子の三節棍」「仁王の薙刀」などの強力なアイテムは俺が戦闘終了時に回収したままで、学園側から返せとは言われてない。柊木瑠璃が装備していなかったアイテムはそれらに劣る可能性が高いから、学園側ともめてまで無理に取り上げる必要はないだろう。

「直毅さん、氷像化された生徒は助かるかもしれないというのは本当ですか?」

と、隣にやってきた北条真那が聞いてくる。
真那の他にも、俺の眷属である西園寺芳乃、千南咲希、立花香織、絹村美久、長澤忍も、それぞれ複数人で慎重に氷像をここに運び入れてくれていた。もし運搬途中に氷像を傷つけたりした場合、蘇生後どんなことになるかは想像もしたくない。回復魔法でうまくくっつけばいいが、そうはいかないおそれもある。
俺の隣にはベルベットと母親がいる。不死者である母親は身体能力が強化されているので重量物の運搬には向いてるが、力が強い分うっかり氷像を壊してしまうかもしれなかったので、今は待機してもらってる。ベルベットはふんぞり返ってサボってるだけだけどな。

「助かる、というのは語弊があるな。死霊魔法で不死者として蘇らせるだけだ。端的にいえば、俺の母さんみたいな状態になる」

俺が母親をちらりと見て言うと、真那が顔を曇らせた。が、顔を曇らせること自体が俺や母親に失礼だとでも思ったのか、すぐに表情を取り繕う。

「それでも、このまま非業の死を遂げるよりはずっといいと思います」

そう言いながらも、真那の口調には隠しきれない葛藤がにじんでいた。周りにいる他の眷属たちも、顔には出さないまでもがっかりした気配を見せている。

「こんなふうに凍ったり石化したりした人間を生き返らせるのは不可能だ。石化したほうはどうあがいても無理なんだが、凍ってるほうは死体の保存状態がいいからな。母さんよりはいくらか自我を保った状態で不死者化できるはずだ」

もっとも、柊木瑠璃は彼女らに恐怖を与えて徐々に石化・凍結し、そこから生じた負の感情を羅刹と化すための糧としていた。つまり、石像・氷像と化した彼女らは、精神的にも相当なダメージを負ってるはずだ。ベルベットによれば、魂を蝕まれ、発狂している可能性まであるという。そうだった場合、なまじ蘇生しようとするほうが残酷なのかもしれなかった。
一応、「天の声」と相談(?)して、「トランキライズ」「リヴァイヴ・ソウル」という精神や魂のダメージを回復する魔法を用意はしたが、これ一発で精神や魂が全快するというような都合のいい魔法ではないらしい。
さらに言えば、精神に傷を負っているのは何も氷像化したものたちに限らない。教職員や生徒たちのダメージだって相当なもののはずだ。あとで魔法をかけて回るつもりでいるが、早めに精神科医やカウンセラーの手配をする必要もあるだろう。白魔術師である学園長なら優秀な心理療法家を知ってたりするのかもしれないので、そこは要相談だな。

俺がそんなことを考えていると、後ろから慌ただしい足音が聞こえてきた。

「お、お待ちなさい!」

そう言って氷像の並ぶ大講堂に駆け込んできたのは学園長だった。自然色のローブをはだけさせ、息を切らせて俺に言う。

「救世主様! いったい何をなさるおつもりです!?」
「何って……石化はともかく、凍らされたほうは蘇生の余地があるからやってみようとしてる」

学園長は俺が何度抗議しても俺のことを救世主と呼んでくる。俺は根負けしてもう呼びたいように呼ばせることにした。実際、セフィロト女子内で俺の印象をよくする効果はあるだろう。もちろん担がれないように注意する必要はあるが。

「蘇生というのは、どういう状態のことをおっしゃっておられるのですか?」

俺は、今真那たちにしたのと同じ説明を繰り返す。

「そ、それは蘇生とは言いません! 屍鬼かゾンビではありませんか!」
「まあな」

学園長の言った通り、俺がこれからやろうとしてるのは「不死者化」であって、字義通りの「蘇生」ではない。ひょっとしたら人を生き返らせる魔法もあるんじゃないかと思ったのだが、「天の声」によれば残念ながらそういった魔法はないらしい。

「だが、このまま死んでいくよりはいいんじゃないか?」
「そんな黒魔術のようなことは到底容認できません! 魂を冒涜する行為です!」
「そんなの誰が決めたんだ? それから、俺の行為をあんたに容認してもらう必要はない。あんただって、これからのことを思えばセフィロト女子の戦力が増えるに越したことはないはずだ」
「……戦力がほしいのは、わたしではなく救世主様のほうでしょう」
「あんただって本当はわかってるんだろう? 今はそんな綺麗事を言ってられる状況じゃない。あんたはすべてを俺のせいにして、自分の果たすべき責任から逃避しようとしてるだけだ。そのほうが、あんたの手が汚れないで済むからな」
「ち、違うわ……」
「断言できないってことは、心にやましいところがあるってことだ」

俺は言葉を重ねるが、学園長はそれでも首を縦に振らない。
さて、どうするか。
俺が反対を押し切って氷像の不死者化をしたところで、学園長にそれを止めるすべはない。実際に凍りついた教師や生徒が動き出したら、なし崩し的にその存在を認めざるをえなくなるはずだ。この一件だけで学園長が俺に敵対するハラを決められるとも思えない。
しかしそれでも、この場で必要性を認めさせておいたほうが今後の展開が何かと円滑になることはまちがいないだろう。情理を尽くして説得するという手もあるし、逆に逆らっても無駄だと思わざるをないように脅しをかける方法もある。俺を神輿みこしに担ぐのが学園長の狙いなら、一度ガツンと脅しておいたほうがいいのかもな。だが、そういう強圧的な手段は往々にして反発を生むものだ。もしやるなら、中途半端なものではなく、心から震え上がるような脅しをかける必要があるだろう。
俺が悩み始めたところで、「天の声」が言ってくる。

《亥ノ上直毅は、二つの選択肢に直面する。》
《選択肢A:直毅はベルベットに命じて、氷像・石像に閉じ込められたすべての魂を喰らわせる。ベルベットは悪魔としての力を爆発的に高めることができる。直毅は性格特性「邪神崇拝」を獲得するほか、種族「羅刹」獲得への残りカウントが1となる。ベルベットの力の一部が還流して、魔法をより直感的に扱うことができるようになる。》
《選択肢B:直毅は学園長を説得し、氷像化した人間を不死者化すると同時に、石像に閉じ込められたすべての魂を捧げて魔法「サモン:エンジェル」を使用する。強力な天使が召喚されるとともに、捧げられた魂の安寧が保証される。直毅は関連する複数の性格特性が強化されるほか、種族「使徒」を獲得する。》

なるほど、そうきたか。
ベルベットの強化は魅力的だが、同時に俺自身が「羅刹」の一歩手前の状態になってしまうようだ。「羅刹」となることにどんなデメリットがあるかは不明だが、柊木瑠璃の様子を見る限りどうせろくなものではないだろう。ただし「羅刹」の強力さは身をもって知っている。
一方、選択肢Bでは、どうやら天使なる存在を喚び出せるらしい。召喚の代価の大きさを思えば、ベルベットに匹敵する力をもつと見ていいだろう。加えて、解凍した不死者を七人確保でき、俺自身もそれなりに強化される。
選択肢Aではまず間違いなく学園長を敵に回すが、その対策はどうするつもりなんだろうか。強力になったベルベットの力で支配すれば済むということか。ある意味では手っ取り早く、確実な手段だといえなくもない。
選択肢Bでは、学園長との対立は回避できる。対立したところで脅威になるとは思えないものの、彼女はセフィロト女子OGの魔女ネットワークの主宰者でもある。もし積極的な協力を得られれば、この先の展開が少しは楽になるはずだ。

注意すべきは、この二つの選択肢は等価だということだ。
一見すると選択肢Bが無難そうに見えるが、その分将来的にはリスクを伴う可能性が高い。
以前は選択肢をさらに掘り下げることに成功したが、今回はこれ以上の情報は得られないようだった。

俺はしばし悩んだ。
沈黙した俺に、学園長や眷属たちが怯えや恐れを含んだ目を向けてくる。ひきこもりだった俺は他人から注目されるのが嫌いだが、性格特性が強化された今では気にならない。むしろ、俺を見つめる彼女らのほうが俺のことを畏れているようだ。「カリスマ」や「圧倒」といった性格特性が仕事をしてるのかもしれないな。

隣に立つベルベットだけは、選択肢を脳内で秤にかける俺を興味深そうに見つめてくる。
ベルベットは、柊木瑠璃戦で不可欠の働きをしてくれた。だが、決め手になったとまでは言えなかった。柊木瑠璃の「死配シハイ凶壇キョウダン」を封じるのに精一杯で、結局は俺が直接柊木瑠璃の肉体を滅ぼす必要に迫られた。もしベルベットの力をさらに高められるというのなら、今度同じような事態があった場合には戦いをベルベットに丸投げできるだろう。いくら性格特性が強化されたとはいえ、俺は好き好んで前線で戦いたいとは思わない。その意味で、ベルベットを強化できる選択肢Aはやはり魅力的ではあった。ベルベットの力が還流して俺自身の魔法が強化されるというのも大きな利点だ。

だが同時に、俺は選択肢Aに潜む別の欠点にも気がついた。選択肢Aには、これといって目新しい情報が含まれていないのだ。ベルベットの強化や俺の羅刹化はこれまでに得た情報の延長線上にある展開であり、強力ではあってもサプライズはない。言い換えれば、すでに得られた以上の情報を得られない選択肢になっている。
一方、選択肢Bには「サモン:エンジェル」による天使召喚や種族「使徒」といったこれまでにない情報が提示されている。捧げる魂の数を考えると召喚される天使はベルベットと同等程度の力だと思われるが、そうだとしても戦力が単純に二倍になるのだし、天使には悪魔にはできない何かができるのかもしれない。
ただし、選択肢Aにおいては強化されたベルベットは現状のベルベットを大きく凌ぐ力を単独でもつことになる。現在のベルベットの戦闘力を100とし、選択肢Aではその戦闘力が200になると仮定しよう。選択肢Bで得られる戦力は(強化されない)ベルベット100+召喚される天使100=200と見ることができるが、これはあくまでも合計で200ということであり、単体戦力としてはベルベット=天使=100でしかない。逆に、選択肢Aでの戦力は強化されたベルベットの200のみだが、この場合の200は単体戦力としての200である。ロールプレイングゲーム風にいうならば、レベル50の魔法使いと僧侶のペアよりも、レベル100の魔法使い一人のほうがより強力な敵に対抗できる。ただし、現実はロープレではない。戦力を二つに分ける必要が生じることもあるだろう。その場合には、戦闘力100の天使と悪魔がいたほうが使い勝手はいいはずだ。
俺は参考までに聞いてみる。

「なあ、ベルベット」
「なんじゃ、マスター」
「ベルベットの戦闘力を100とした場合、俺の戦闘力はどんなもんだろうな?」
「ふむ……。悪魔と人間とで単純には比べられぬが、わらわが百ならば、マスターは十といったところであろう」
「結構差があるもんなんだな。っていうかそれでどうして俺に従ってるんだ?」
「悪魔である妾は、純粋に存在の濃度によって強さが決まっておる。妾より『薄い』相手は完封できるが、逆に妾より『濃い』相手には抗う程度のことしかできぬ。しかし人間であるマスターは十の力で百を覆すことも可能じゃ。悪魔が人間に召喚者に従うのはおのれにはない人間のそうした可能性を欲するからじゃ。一方、人間のほうでもおのれより弱い悪魔を召喚したところで大して嬉しくもあるまい。悪魔召喚とは、互いの存在のありようが異なるがゆえに成り立つ契約であるということじゃ」
「これから先、ベルベット以上の悪魔に出くわす可能性はあるか?」
「限りなく低いじゃろうな。現在の妾は人の身で召喚できる理論的な限界に近い存在じゃ」
「たとえば、羅刹と化した柊木瑠璃が召喚魔法を覚えていて、セフィロト女子のすべての人間を生贄に捧げて悪魔召喚を試みたとしたら?」
「ラセツといったか。あの状態はすでに半ば悪魔となっておる。悪魔に従う悪魔はおらぬ。かといって人のままでは、たとえ覚醒者であろうとマスターが捧げた以上の生贄を捧げて召喚者本人が無事で済むとは思えぬな」
「だとすると、ベルベットの戦闘力を現状以上にする旨味は薄いってことか?」

俺が聞くと、ベルベットがにやりと笑った。

「ほう? 妾におかわり・・・・れるというのか? それは魅力的な話じゃが、マスターとてそんなことをすれば正気ではおれなくなろうぞ? 冥府魔道まっしぐらの道を歩むことになるであろうが……それでもよいのか?」
「思った以上にヤバそうだな」

一見すると、選択肢Aがハイリスクハイリターン、選択肢Bがローリスクローリターンなのだが、忘れてはいけない。以前の選択でも同じようなことを考えた。それなら犠牲を先払いすることでのちの安全を買おうという結論に至り、ベルベットを喚び出したのだ。
しかし、じゃあ犠牲を払った分、のちの犠牲が減ったかというと、そうでもない。強くなった俺に脅威を感じた柊木瑠璃は力を欲し、セフィロト女子は大きな犠牲を払うことになった。たしかに俺は・・犠牲を払わずに済んだが、そのツケは他者に増幅された形でなすりつけられた格好だ。
さらに言えば、俺は羅刹化した柊木瑠璃というギリギリ勝てるように調整・・された「強敵」を倒すことで、飛躍的に力を増している。戦闘中には、柊木瑠璃が大きな代償を払って手に入れた強力な技や魔法や性格特性を、吸血という極めてお手軽な手段でごっそりといただいた。柊木瑠璃がセフィロト女子の覚醒者を駆使してかき集めた強力なアイテムの一部もまた、俺のアイテムボックスの中に収まっている。
つまりこの結果は、俺にとってはこれ以上を望めないほどの超ハイリターンになっている。犠牲になったものことを抜きにすれば、笑いが止まらないと言っていい成果だろう。「天の声」の提示した選択肢は、ひねくれた形ではあるが、きちんと結果にはつながっているのだ。

極論を言えば、二つの選択肢が等価だとするのなら、コイン投げで選んだところで期待値は同じになるはずだ。いや、「天の声」が決めきれない部分を俺の裁量に任せているわけだから、さすがにコイン投げでは決めないけどな。りんごを5個もらえるが300円失う選択肢とみかんを7個もらえるが450円失う選択肢があったとすれば、俺はりんごとみかんのどちらがほしいかは選べるし、出費をどこまで許容するかも(ある程度は)選べるのだ。

自分の判断に自信が持てるとは言い難かったが、俺は情報を得ることを優先することにした。
つまりは選択肢Bを選ぶってことだ。選択肢Bには、《直毅は学園長を説得し、氷像化した人間を不死者化すると同時に、石像に閉じ込められたすべての魂を捧げて魔法「サモン:エンジェル」を使用する。強力な天使が召喚されるとともに、捧げられた魂の安寧が保証される。直毅は関連する複数の性格特性が強化されるほか、種族「使徒」を獲得する。》などとある。

さて、まずはどう学園長を説得したものか?
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