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柵の向こう側
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ペトリスは落とした魔物の肉片で柵に触れようとすると、さっきと同じような電撃音が響いて、手に持っていた肉片が真っ黒になるほど焦げていた。
「……あ、これぇ……味が変わってぇいけるかもぉ」
ペトリスは焦げついた肉の味が気にいったようで、持っていた肉片を一瞬でなくすと、引きずっていた二体を柵に押し付け、同じように焼いている。
(なんか、別のことに注意が向いてる……? 今のうちに対策を考えなきゃ……! ペトリスは美味しそうな匂いに釣られて来たって言ってたけど、何かあげたら満足してくれるのかな)
ペトリスが魔物の肉を食べている間に、奏はライアに言って冷蔵庫にある食べ物をいくつか持ってきてと伝える。
「マ、ママを置いていけないの……!」
「お願い。もしお腹が減っているだけだとしたら、満足して帰ってくれるかもしれない……。とりあえずあるだけ持ってきてもらえる?」
「で、でも……。わかったの。急いで戻ってくるの!」
ライアは駆け足で家の中に戻っていく。
「あらぁ? あの子はどこにいっちゃったのぉ?」
ライアの後ろ姿を見ていると、ペトリスから声をかけられた。慌てて柵の方を見てみると、柵の間からこちらを覗いていた。その背後には骨になってしまった魔物が転がっていた。
(あ、あれだけの量を一瞬で食べたっていうの!?)
「やっぱりぃ、一手間加えた方が美味しいのねぇ~。面倒くさすぎてぇ、滅多にしたくないけどねぇ」
指先についた血と脂を舐めながら、奏から視線を外そうとしない。背筋から嫌な汗がどっと溢れてくる。
「それにしてもぉ、ウチってばラッキーだよねぇ~。たまたま見つけたご馳走ばっかりの森に入れたと思ったらぁ、今度はこんな素敵な匂いを漂わせてるお家を見つけちゃうなんてぇ」
「げ、幻惑の森が……ご馳走?」
「そうだよぉ? ここにいるご飯たちはぁ、殺しても殺しても殺しても殺してもずっとウチを狙ってくれるんだぁ~。おかげでぇ、勝手にご飯の方から近づいてきてくれるんだものぉ~。まぁ、さっきまで争ってたっぽい大きいのを食べちゃったからぁ、今近寄ってくるのはぁ、多分いないだろうけどねぇ~」
「……あ、これぇ……味が変わってぇいけるかもぉ」
ペトリスは焦げついた肉の味が気にいったようで、持っていた肉片を一瞬でなくすと、引きずっていた二体を柵に押し付け、同じように焼いている。
(なんか、別のことに注意が向いてる……? 今のうちに対策を考えなきゃ……! ペトリスは美味しそうな匂いに釣られて来たって言ってたけど、何かあげたら満足してくれるのかな)
ペトリスが魔物の肉を食べている間に、奏はライアに言って冷蔵庫にある食べ物をいくつか持ってきてと伝える。
「マ、ママを置いていけないの……!」
「お願い。もしお腹が減っているだけだとしたら、満足して帰ってくれるかもしれない……。とりあえずあるだけ持ってきてもらえる?」
「で、でも……。わかったの。急いで戻ってくるの!」
ライアは駆け足で家の中に戻っていく。
「あらぁ? あの子はどこにいっちゃったのぉ?」
ライアの後ろ姿を見ていると、ペトリスから声をかけられた。慌てて柵の方を見てみると、柵の間からこちらを覗いていた。その背後には骨になってしまった魔物が転がっていた。
(あ、あれだけの量を一瞬で食べたっていうの!?)
「やっぱりぃ、一手間加えた方が美味しいのねぇ~。面倒くさすぎてぇ、滅多にしたくないけどねぇ」
指先についた血と脂を舐めながら、奏から視線を外そうとしない。背筋から嫌な汗がどっと溢れてくる。
「それにしてもぉ、ウチってばラッキーだよねぇ~。たまたま見つけたご馳走ばっかりの森に入れたと思ったらぁ、今度はこんな素敵な匂いを漂わせてるお家を見つけちゃうなんてぇ」
「げ、幻惑の森が……ご馳走?」
「そうだよぉ? ここにいるご飯たちはぁ、殺しても殺しても殺しても殺してもずっとウチを狙ってくれるんだぁ~。おかげでぇ、勝手にご飯の方から近づいてきてくれるんだものぉ~。まぁ、さっきまで争ってたっぽい大きいのを食べちゃったからぁ、今近寄ってくるのはぁ、多分いないだろうけどねぇ~」
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