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ライアとの日常
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胡麻とオリーブ、胡椒の手入れまで済んだ奏は、次に創造花である砂糖と塩の様子を見ることにした。
開花まで少し時間のかかった塩と砂糖のお花は、どちらも同じ白い花びらを咲かせることに成功していた。一見どっちも同じお花に見えるけど、よく見ると花びらの数が塩のお花は四枚、砂糖のお花は五枚と枚数が違うようだ。
香りも砂糖の方は甘い蜜のような匂いを出しているが、塩の方はあまり強い匂いを出していない。
「これは……実がいずれできるのかな?」
奏は叡智の書を取り出して砂糖と塩のお花を調べていく。
【シュガーフラワー】
糖分を多く含んだ植物。その花びらは程よい甘味になり、実には濃厚な糖を含んでいる。
【ソルティフラワー】
塩分を多く含んだ植物。その花びらは程よい塩分を含み、実を乾燥させると塩が摂れる。
「これは……なんともストレートなお花が……」
奏は試しにシュガーフラワーを一輪摘むと、その花びらを口に含んだ。何度か噛んでみるとほんのりと甘みを感じる。果物ほど強いものではないが、シンプルな甘味は何かに使えそうだった。その次にソルティフラワーを口に含んでみると、こちらはお菓子を食べた時に指についた塩を舐めているくらいの、薄い塩味が口の中に広がる。
後は実をつけるのを待っていれば、ちゃんとした砂糖と塩が手に入るだろう。
魔力水を撒いてくれていたライアも側にいたので、奏は残っていたシュガーフラワーの花びらをライアにもあげてみる。
「あまいはなびら……ふしぎなかんじなの。でも、ライアはもものほうがすきなの」
不思議な表情を浮かべていたライアだったが、あげた花びらは全部食べるようだ。ちゃんと両手で持って離そうとしない。
ひとまずこれで簡単な調味料は集まったと思う。他にも必要なものはあるけど、それはおいおいゆっくり考えればいいとして、今は魔力土と植物の様子を確認することと、魔力水の増産を始めないといけなかった。
家の外にある植物も、中にある万能鉢の世話も、最近ではライアが率先して世話をしてくれるようになったので、奏はだいぶ楽ができるようになっている。もちろんライアに全部任せたりはしていないけど、ライアが世話を始めると、お花も野菜もいろんな植物の様子がより瑞々しくなったように感じていた。
(植物の精霊だからか、私よりも管理が行き届いている気がするのよね。でもおかげで魔力水の製造に集中できるから、いてくれて助かってるけどね)
今魔力水は魔法薬を生成するためではなく、植物を育てるために使うことがメインになっている。実際怪我をするシチュエーションが起こることも滅多にない。
ライアも最初の頃に比べるとよく飲むようになったので、いつもより多く作る必要があった。
上位魔力水の方が美味しいとライアが言っていた。上位魔力水は魔石の粉末を溶かした上でウルタナ草を加えてよく煮詰める必要がある。そのため、完成するまで結構時間がかかってしまうのだ。
魔石も削る必要があるので、最近ではこれにばっかり手をかけてしまっていた。
「ライアできたよー?」
「はーいなの! すぐいくのー!」
ライアはご飯もしっかり食べるようになり、ツルでの移動もどんどん早くなっているように見える。あんなに小さかったライアも、少しずつ成長しているようだ。
ライアと一緒にお花や野菜の世話をしながら、奏はライアとの生活を楽しんでいた。
開花まで少し時間のかかった塩と砂糖のお花は、どちらも同じ白い花びらを咲かせることに成功していた。一見どっちも同じお花に見えるけど、よく見ると花びらの数が塩のお花は四枚、砂糖のお花は五枚と枚数が違うようだ。
香りも砂糖の方は甘い蜜のような匂いを出しているが、塩の方はあまり強い匂いを出していない。
「これは……実がいずれできるのかな?」
奏は叡智の書を取り出して砂糖と塩のお花を調べていく。
【シュガーフラワー】
糖分を多く含んだ植物。その花びらは程よい甘味になり、実には濃厚な糖を含んでいる。
【ソルティフラワー】
塩分を多く含んだ植物。その花びらは程よい塩分を含み、実を乾燥させると塩が摂れる。
「これは……なんともストレートなお花が……」
奏は試しにシュガーフラワーを一輪摘むと、その花びらを口に含んだ。何度か噛んでみるとほんのりと甘みを感じる。果物ほど強いものではないが、シンプルな甘味は何かに使えそうだった。その次にソルティフラワーを口に含んでみると、こちらはお菓子を食べた時に指についた塩を舐めているくらいの、薄い塩味が口の中に広がる。
後は実をつけるのを待っていれば、ちゃんとした砂糖と塩が手に入るだろう。
魔力水を撒いてくれていたライアも側にいたので、奏は残っていたシュガーフラワーの花びらをライアにもあげてみる。
「あまいはなびら……ふしぎなかんじなの。でも、ライアはもものほうがすきなの」
不思議な表情を浮かべていたライアだったが、あげた花びらは全部食べるようだ。ちゃんと両手で持って離そうとしない。
ひとまずこれで簡単な調味料は集まったと思う。他にも必要なものはあるけど、それはおいおいゆっくり考えればいいとして、今は魔力土と植物の様子を確認することと、魔力水の増産を始めないといけなかった。
家の外にある植物も、中にある万能鉢の世話も、最近ではライアが率先して世話をしてくれるようになったので、奏はだいぶ楽ができるようになっている。もちろんライアに全部任せたりはしていないけど、ライアが世話を始めると、お花も野菜もいろんな植物の様子がより瑞々しくなったように感じていた。
(植物の精霊だからか、私よりも管理が行き届いている気がするのよね。でもおかげで魔力水の製造に集中できるから、いてくれて助かってるけどね)
今魔力水は魔法薬を生成するためではなく、植物を育てるために使うことがメインになっている。実際怪我をするシチュエーションが起こることも滅多にない。
ライアも最初の頃に比べるとよく飲むようになったので、いつもより多く作る必要があった。
上位魔力水の方が美味しいとライアが言っていた。上位魔力水は魔石の粉末を溶かした上でウルタナ草を加えてよく煮詰める必要がある。そのため、完成するまで結構時間がかかってしまうのだ。
魔石も削る必要があるので、最近ではこれにばっかり手をかけてしまっていた。
「ライアできたよー?」
「はーいなの! すぐいくのー!」
ライアはご飯もしっかり食べるようになり、ツルでの移動もどんどん早くなっているように見える。あんなに小さかったライアも、少しずつ成長しているようだ。
ライアと一緒にお花や野菜の世話をしながら、奏はライアとの生活を楽しんでいた。
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