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魔法薬の調合

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 アフィラーディ王国。
 大陸の中央に存在する巨大国家で、その土地を統治しているのは歴代の王族たちである。王国周辺は山や海で覆われており、物流も盛んで比較的安全な国とされている。国を守るのは王国が誇る騎士団と、魔術省の魔術師達によって、今現在も秩序が保たれている。
 数多くの種族が共に生活をしており、他国とも仲違いすることなく、王族は立派にその勤めを果たしていた。
 そんな王国の騎士団のいる詰所の中で、団長であるガリウスは部下が持ってきた書類を確認していた。
 書類の内容は勇者について。
 現在、確認しているだけでも九人の勇者が異世界からこの世界を救うために召喚されている。勇者の中には魔女を討伐するために動くものもいれば、国の庇護下に入って研究する者もいる。全ての勇者がアフィラーディ王国に属しているわけではないので、詳細のわからない勇者もいるが、諜報員によって大体は確認されていた。
 その中でも勇者マコトだけは、他の勇者よりも積極的に魔女の足元へと近づいてきている。

「マコト殿は順調に目的地まで向かわれているのだな……」

 勇者マコトは一番最初にこの世界に召喚された勇者で、行先がわからないところを最初に衛兵が保護した。
 最初は上等な装備や服装をしていて、この王国のことも知らない様子だったので警戒していたのだが、詳しく内容を聞いたことで勇者かもしれないという疑いがかけられた。その後、ガリウス含む王国の上層部とのやり取りの末、最初の勇者として認定された。
 しばらく知識を得るために王国で過ごしていた勇者マコトは国からの援助を受け、魔女が巣食う魔境へと向かってもらっていた。騎士団からも魔術省からも、実力者を数人ずつ彼の旅に同行させている。
 現在勇者マコトが目指しているのは、王国から西の方にある【最果ての墳墓】という魔境の一つ。そこには【死霊の魔女】がいるという情報が上がっていた。
 【最果ての墳墓】は元々普通の共同墓地だったのだが、魔女が住み着いたことにより供養された死者の遺体がアンデットへと変貌し、その軍勢は日を追うごとに勢力を拡大していた。
 王国の近くにあることから早急に対処する必要があるのだが、倒しても倒しても復活するアンデットの軍勢に王国側は次第に疲弊していく。
 他国との戦争がないとはいえ、王国の騎士達は西側で今も溢れてくるアンデットを倒すことに集中しているが、向こうは疲れ知らずの死の軍団。持久戦になると不利になるのはこちら側だった。
 最近は勇者マコトの活躍でアンデットの数が減ってきていることから、騎士達にも余裕が生まれ始めていた。
 本来であれば団長であるガリウスも討伐に参加したかったのだが、王国の守りを薄くするわけにはいかないとの理由で戦線には向かわずに残っている。
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