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■■■■■・■■■■■■■■が残したもの

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 魔力水……家の水道からは、ただの水が出ているのは叡智の書でわかっている。簡単に思いつくのは魔石を使って魔力水を作ることだけど、そんな簡単にうまくいくとは思えない。
 それができるならファルマーもそういうだろうし。
 しかしこの家の中で魔力があるものといえば魔石になる。魔石自体は現状無限に採集することができるので問題ないのだが、今の家では付けたり外したりしか、魔石を扱っていないので、なんとか加工しないといけないかもしれない。
 とりあえず水の入った容器の中に魔石を入れてみる。もしかしたら魔石の中の魔力がこの水に移るかもしれない。すぐに効果は出ないだろうがこのまま放置しておくことにした。

 翌日確認してみると、容器の中はなんの変化もないただの水のままで、奏は魔石自体を砕く方法を考えることにした。
 奏は魔石を割るために、出来ることをひととおり試してみた。高いところから落としてみたり、魔石どうしを当ててみたり、力いっぱいぶつけてみたり……。しかし結果は振るわず、魔石にはヒビどころか欠片すら落ちることは無かった。
 武器保管庫にあった、ごついハンマーを魔石の上に出しても割れることはなかった。

「硬い……! それにこのハンマーやっぱり重たい……!」

 ファルマーが帰ってからいくつか武器保管庫にあった武器の類を持ってみようとしたのだが、当然の事ながら使えるようにはなっていない。置いて壊れないのであればと、プルプル腕を震わせながらギリギリ浮かせたハンマーを、魔石の上になんとか移動し手を離したが、それでも魔石が砕けることはなく、危うく奏の足を下敷きにするところであった。

「なんとか粉々にしてみたいんだけど……なんかないかな……」

 奏がこの家の中の武器で使えるものは無いに等しい。ファルマーが持って来てくれた剣でさえ持てなかったのだ。
 唯一使えるのは包丁とかフライパンといった調理器具一色。これらは奏でも持てるのだがとても武器とはいえない。使えても不審者対策くらいなものだ。といってもそうそう不審者はこの家には来ないだろうけど。
 奏は台所に置いてある調理器具を眺めながら、使えそうなものがないか考えるが、なかなか思いつかないでいた。
 
「はぁ……。こんなおろし金で削れたら楽なのに……」

 奏の目の前には大根などをすりおろす用のおろし金があった。まだ何もすりおろしていない新品の物ではあるが、食品用の器具を使うのには抵抗があった。
 それでも他に道具がないのでしょうがないのだが……。
 ものは試しにと、魔石を手に取りおろし金にあてがう。

 ガリィ……!

「……は?」
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