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誤って招ばれた少女
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奏が一番最初に入った扉は、入り口すぐにある扉。扉自体は特別変な形、模様が描かれていることはなく、一見普通の家にあるような扉と変わりない。
(……何が出てきても驚かないぞ)
意を決して扉を開く。勢い良くバーンっといった感じではなく、少しずつ開けるように……。
キィィィィ……という音を立てながら開いた扉の先には……トイレがあった。しかも洋式トイレだった。
驚かないようにしていた奏であったが、まさかのものが置かれていたため、少し硬直してしまうものの、トイレを見て急に尿意が迫ってくるのを感じ、誰もいないのはわかってはいるが扉をそっと閉めて鍵をかけた。
……。
トイレを調べても日本のものと形にさほど違うところはなさそうで、さっきキッチンでも見た石が、水を流して綺麗にしてくれた。ライフラインはこの石が重要そうだった。トイレのそばにも独立洗面台が設置されていて、ここでもスイッチ一つで水が流れる。
ポケットに入っていたハンカチを使って手を拭きながら奏は隣の扉へと向かう。
次の扉も一応、用心しながら開いたのだが、そこにはタオル生地の布が積まれた棚に、一つの大きな箱。その先にも扉があるので開けてみると、なんとお風呂があった。
お風呂場にはシャワーと浴槽が設置されていて、今までと同じように石がセットされている。大きな箱にも石が三つセットされているだけで、今のところこの箱が何に使うものなのかはわからない。
試しにまずお風呂にあるスイッチを押すと、お湯がシャワーから出てきた。浴槽のスイッチは、そのままお湯がゆっくりと溜まっていく。水の出し方だけが違うが、日本のお風呂と変わらない。
(ちゃんとお湯が出てきてお風呂が使える……。ならあの箱はもしかして……?)
奏は大きな箱の方へ向かい、良く観察してみた。蓋のようなものが付いていて、開くと中に何かを入れることができそうなスペースがある。先ほど使ったハンカチを入れ、スイッチを入れると箱の中に水が溜まっていき、渦を巻いてハンカチが中で暴れている。
(やっぱり、これは洗濯機なのね……)
ものの数分で洗い終わったようで、取り出すと乾いた状態のハンカチを取り出すことができた。
ハンカチに傷んだ様子もなく、なぜかシワもひとつも見当たらない。まるで買った状態のものが出てきたようだった。
この部屋で見るところはもうないと判断し、奏は部屋を出る。
次がこの一面の壁に対して最後の扉。中を覗くと大きなベットが二つ置かれていた。柔らかな布団と、身体が沈み込むほどふかふかなマットレスが、緊張感を和らげた。
(この家には誰か住んでいたのかな……? それにしても、家のサイズと扉の位置と部屋の間取りが全く一致してないのが気持ち悪いけど……)
この家の外観と間取りが違うこともそうだったのだが、扉同士の距離が近いのに対して、部屋の広さが全くあっていない。まるでそこだけ違う空間に繋がっているかのような不思議な感覚だった。
ベットのある部屋の棚を開くと、寝巻きのようなものが置かれていた。
(トイレ・お風呂・寝室……。これって、ここに住めるんじゃない? キッチンもあるし、食料問題さえなんとかできれば、わざわざ危険を冒して魔女の元に向かわなくても……。私の他に九人すでに退治に向かっているっぽいし、私は多分間違って召喚された感じだし……)
そもそも奏に戦闘能力なんて無いに等しい。動けない・走れない・体力ないの三拍子が揃っている奏は、体育の授業では下から数えた方が早いくらい成績が悪い。他の九人はどうかわからないが、少なくとも奏よりは動ける九人だと思っている。
(うん。ここまで完備されてるなら、他の人が魔女を倒すのを待っていた方が無難な気がしてきた……)
奏は外に出るのを諦め、家でしばらく生活してみることを決めた。
(……何が出てきても驚かないぞ)
意を決して扉を開く。勢い良くバーンっといった感じではなく、少しずつ開けるように……。
キィィィィ……という音を立てながら開いた扉の先には……トイレがあった。しかも洋式トイレだった。
驚かないようにしていた奏であったが、まさかのものが置かれていたため、少し硬直してしまうものの、トイレを見て急に尿意が迫ってくるのを感じ、誰もいないのはわかってはいるが扉をそっと閉めて鍵をかけた。
……。
トイレを調べても日本のものと形にさほど違うところはなさそうで、さっきキッチンでも見た石が、水を流して綺麗にしてくれた。ライフラインはこの石が重要そうだった。トイレのそばにも独立洗面台が設置されていて、ここでもスイッチ一つで水が流れる。
ポケットに入っていたハンカチを使って手を拭きながら奏は隣の扉へと向かう。
次の扉も一応、用心しながら開いたのだが、そこにはタオル生地の布が積まれた棚に、一つの大きな箱。その先にも扉があるので開けてみると、なんとお風呂があった。
お風呂場にはシャワーと浴槽が設置されていて、今までと同じように石がセットされている。大きな箱にも石が三つセットされているだけで、今のところこの箱が何に使うものなのかはわからない。
試しにまずお風呂にあるスイッチを押すと、お湯がシャワーから出てきた。浴槽のスイッチは、そのままお湯がゆっくりと溜まっていく。水の出し方だけが違うが、日本のお風呂と変わらない。
(ちゃんとお湯が出てきてお風呂が使える……。ならあの箱はもしかして……?)
奏は大きな箱の方へ向かい、良く観察してみた。蓋のようなものが付いていて、開くと中に何かを入れることができそうなスペースがある。先ほど使ったハンカチを入れ、スイッチを入れると箱の中に水が溜まっていき、渦を巻いてハンカチが中で暴れている。
(やっぱり、これは洗濯機なのね……)
ものの数分で洗い終わったようで、取り出すと乾いた状態のハンカチを取り出すことができた。
ハンカチに傷んだ様子もなく、なぜかシワもひとつも見当たらない。まるで買った状態のものが出てきたようだった。
この部屋で見るところはもうないと判断し、奏は部屋を出る。
次がこの一面の壁に対して最後の扉。中を覗くと大きなベットが二つ置かれていた。柔らかな布団と、身体が沈み込むほどふかふかなマットレスが、緊張感を和らげた。
(この家には誰か住んでいたのかな……? それにしても、家のサイズと扉の位置と部屋の間取りが全く一致してないのが気持ち悪いけど……)
この家の外観と間取りが違うこともそうだったのだが、扉同士の距離が近いのに対して、部屋の広さが全くあっていない。まるでそこだけ違う空間に繋がっているかのような不思議な感覚だった。
ベットのある部屋の棚を開くと、寝巻きのようなものが置かれていた。
(トイレ・お風呂・寝室……。これって、ここに住めるんじゃない? キッチンもあるし、食料問題さえなんとかできれば、わざわざ危険を冒して魔女の元に向かわなくても……。私の他に九人すでに退治に向かっているっぽいし、私は多分間違って召喚された感じだし……)
そもそも奏に戦闘能力なんて無いに等しい。動けない・走れない・体力ないの三拍子が揃っている奏は、体育の授業では下から数えた方が早いくらい成績が悪い。他の九人はどうかわからないが、少なくとも奏よりは動ける九人だと思っている。
(うん。ここまで完備されてるなら、他の人が魔女を倒すのを待っていた方が無難な気がしてきた……)
奏は外に出るのを諦め、家でしばらく生活してみることを決めた。
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