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てんやわんやの新たな日常
四六時中暇さえあれば近くにいたので、多少慣れました:Younger sister
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「できた」
「どんな感……すごっ」
俺はライン兄さんの手元を覗く。そこには素人目でも素晴らしいとしか言いようがない絵があった。
一本の鉛筆モドキ――鉛を使用してない――で描かれたその絵は、けれど写真のようにリアルで、それでいて風情があった。
まず、ブラウ。ぷにぷに肌に柔らかな感触。か弱そうなイメージに、けれどすくすくと育つであろう温かさを感じる。
肌の質感はリアルで、光の当たり具合に陰影がまさに俺の視界に映る通り。けど、よくよく見てみると実際の陰影とずれていたりする。けど、それがリアル感がある。
ブラウの方を見ながら、寝息を立てるアテナ母さんは、まさにアテナ母さんといった感じ。優しく温かく、それでいて強くちょっとだけ頑固。
鉛筆モドキだから、緑がかった金髪の色なんて普通は分からないのに、何故かそれが想起できてしまう髪質。たぶん、アテナ母さんを見たことがない人がこの絵を見ても、金髪と答えるだろう。そんな気がする。
また、ここ一時間近くずっとアテナ母さんとブラウを近くで眺めているユリシア姉さん。音を立てずに移動して顔を覗き込んでいたりするが、よく飽きないなと思う。
まぁそれは兎も角、そんなユリシア姉さんも描かれている。本物のよりも少しだけ目元が柔らかく描かれているが、内面を表しているのだろう。
ユリシア姉さんって、確かに口より手が先に出るし、強引なところもあるし、キツメなイメージを持ちやすいけど、けど、本当に優しいんだよな。優しさの表現を知らなかったり、自分独自だったりするからアレだけど。
ここ最近はお淑やかに……いや、死之行進で無理して戦ってたわ。戦う気満々だったわ。戦うのは好きなんだよな、ユリシア姉さん。
バトルジャンキーだったけ。戦いの最中は物凄い怖いし、狂気を感じるけど、アランやソフィアによると治らない病気みたいなもんだし、個々の性格で上手く付き合うだけ、と言っていた。
何でも、そもそもロイス父さんもそっちの気があるんだそう。今は領主だからなるべく抑えてるけど、それでも戦うのは好きらしいし。
遺伝かな。遺伝じゃないよ、遺伝だよ。たぶん、遺伝なんだろう。遺伝ならしょうがない。
……けど、ブラウはそうでない方が嬉しいな。そうであっても嬉しいけど、流石にユリシア姉さんがもう一人って疲れるし。
「それ、どうするの?」
「……う~ん。適当に描いたからね。納得いかない部分もあるしなぁ」
「いいじゃん、納得いかなくて。これから毎日絵を描いて、ブラウの記録を付けたら? ライン兄さんって記録付けるの得意でしょ?」
動物とか植物とか。
家もアルにリュネ、ケン、ミズチにユキがいるし、それ以外にも色々な動物がいる。まぁ、大抵の動物はアテナ母さんが作った動物専用の異空間にいるのだが。
どっちにしろ、ライン兄さんは記録をつけるのが得意だし、毎日の気づきが多い。小さい変化にも気が付く。
ちょっと、そのライン兄さんの力も借りたいし。ブラウの性格はもちろん、病気等々も把握しておきたいし。アテナ母さんの事もある。
「まぁそうだけど……うん、確かにそうかも。記録っていうのはちょっとアレだけど、毎日一枚描くってのはいい。うん、いい」
「そう? じゃあ、毎日それを見せてもらってもいい?」
「うん、いいよ」
俺たちはブラウとアテナ母さんを起こさない様に小声で話し合う。すると、ユリシア姉さんがこっちを向いて、スススと近づいてくる。
「何こそこそ話してるのよ?」
「しっ、もう少し小さく」
「……何よ」
ユリシア姉さんがぶすっとした表情をする。
「いや、もう少しで起きるんだよ」
「起きる? 一時間前に寝たばっかりじゃない」
「だからだよ。大体、そのくら――」
と、小さい声でちょっと語気を強くした瞬間。
「……ぅ……う……うぁわぁぁぁぁぁ~~~!」
パチクリと目を覚ましたブラウが数テンポ遅れた後泣き始めた。
「あちゃ~。泣いちゃったか」
「ちょ、セオ。どうするのよっ!」
「……とりあえずアテナ母さんが起きると思うから、落ち着かせといて。俺はちょっとおむつを引っ張り出すから」
うんちの臭いはしないが、たぶんおしっこで泣いているはずだ。一時間前にミルク飲んだしどちらにしても取り出した方がいい。
「ッ、ぶ、ブラウっ」
あ、アテナ母さんが起きた。まだ一時間しか寝れてないのに。早くしよ。っというかレモンよ、早く帰ってきて。エドガー兄さんでもいい。
「ああ、ブラウ。ブラウっ」
「か、母さん。何で泣いてるのっ!」
ユリシア姉さんが慌てる。泣いてるブラウをあやしながら、なのに自分も泣いているアテナ母さんを前におろおろする。っというか、つられて少しだけ泣いてる。
そういえば、ユリシア姉さんは初めてみるっけ。大抵夜だしな。アテナ母さんがこうなっちゃうの。昼間にこうなるのは、たぶんレモンがいないからだろうな。
悔しいけど、こういうケアはレモンが一番うまいらしいし。
それにいつもはとある薬草茶を飲むとある程度落ち着くんだけど、レモンしかそのお茶を淹れられないしな。教えてもらったけど、たぶん習得するのに五年近くかかりそうだった。
そもそもレモンがいないこんな時のために保温の魔法を掛けて保存してたんだけど、それもつい一時間半前に使い切っちゃったし。
……ああ、どうも適当な事を考えてないと、ユリシア姉さんみたいに泣いてしまいそうだ。いくら精神が前世を含んでいても、やっぱり体が子供だからな。脳も子供だし。
……ふぅ。よし。
俺はユリシア姉さんから教わった、人を落ち着かせる声音を意識する。
「泣いちゃうもんなの。アテナ母さんの手を握ってて」
「ひっ、え、ぅ、ええっ!」
「そう。ゆっくり抱きしめる感じで」
目に涙を溜めながらもユリシア姉さんはバッと高めのベッドに上り、アテナ母さんをひしっと抱きつく。ついでに、ブラウもにだ。
……ああ、ベッド高めにしたからそのぶん台を置いておいた方が良かったな。ユリシア姉さんの飛び乗り方、すごく怖かったし。
「……ゆりしあ、ぶらう」
……あ、うん、よし。アテナ母さん、だいぶ落ち着いてきた。
「ああ、それとライン兄さんはそっちにある鈴の玩具をとって。気に入りだから」
「え、あ、どっちっ?」
「布が巻いてる方。そっちじゃないと怖がるから」
俺は箪笥から布おむつを引っ張り出す。ついでに大き目のふかふかタオルと、柔らかな繊細タオルもだ。
分身を召喚し、温かいお湯を作ってもらう。桶は、うん、分身が“宝物袋”から出すだろう。
お尻を拭いた方がいいし。
「ぶ、ブラウ。ほ、ほら。鈴、鈴だよ」
「うぅぅうぅ……ううぅぅぅ……」
お、ブラウもちょっと落ち着いた。これなら容易くおむつを取り換えられるだろう。泣いてる時に取り換えると、精神的に凄く疲れるし。
俺は高くなってるベッドによじ登り、ユリシア姉さんの方を向く。
「ユリシア姉さん、そのままアテナ母さんの腕握れる?」
「う、うん」
ユリシア姉さんはコクリと頷く。
「じゃあ、俺の動きに合わせて。……アテナ母さん、アテナ母さん」
「……セオ?」
「セオだよ。ブラウをほら、ここに降ろして。落ち着いて」
「……分かったわ」
よし、取り出した大き目のふかふかタオルの上にブラウを寝かせてくれた。ふかふかタオルはブラウのお気になのだ。
すかさず、ユリシア姉さんに抱きつくように命じる。
これでアテナ母さんの両手がふさがった。
「ライン兄さんはそのままブラウの気を引いてて。といっても反射行動しかできないから……いや、何でもない」
「……続ければいいんだね」
「うん」
俺はそう頷きながら、パチンパチンとブラウの服のスナップボタンを外していく。このスナップボタンは俺が再現した。
普通のボタンだと外れたときに誤飲の恐れがあって怖いし、だからといってボタンがないとおむつを変えたりするときに手間がかかる。
なるべく手間は減らしたかったし。
……そういえば、これの技術登録してないな……
そんな事を考えながら無心でおむつを取り換えていく。
やっぱりおしっこだった。まぁブラウはうんち出にくいしな。二日に一回おきだし。
そんな事を考えながらやっぱり無心で取り換えていく。無心の方が精神的負担が少ないことをつい最近知ったのだ。
それから、柔らかで繊細なタオルを分身に用意してもらったお湯で濡らし、優しくゆっくり一度撫でた後、布おむつを再び巻いて、横に回し……スナップボタンを止めて。
よし、できた。
「……ぅ? ……うっうっ!」
声にならない声でブラウが笑う。まだ生理的微笑だけだと思ったけど……まぁ一ヶ月経ってるし、社会的微笑もあるかな。
それを確認したら、ライン兄さんに目配せして、ブラウの相手を少しだけ頼む。
「アテナ母さん、ブラウは泣き止んだよ。ほら、ね」
「……ええ」
「安心して。俺もユリシア姉さんもライン兄さんもいるから。大丈夫」
「……ええ、ええ」
しっかり目を見つめて、それでニコパーと微笑む。すると少し釣りあがっていた目が垂れ、アテナ母さんは柔らかく頷く。ひしっと抱きついているユリシア姉さんのおかげもあるだろう。
「じゃあ、ブラウと一緒に横になろう」
「ええ……」
アテナ母さんはブラウの頭を撫でると、横になる。すると直ぐに寝息を立てて寝てしまった。
……相当疲れているんだろう。
と、それを見計らってか。
「本当に申し訳ございません」
「謝らなくていいよ。それよりもそっちは大丈夫?」
「はい。つつがなく終了しました」
少しだけ疲れた様子のレモンが入ってきた。
……あ、ユリシア姉さんとライン兄さんが一緒に寝ちゃった。
皆穏やかで可愛い寝顔だ。〝想起〟で写真を撮っておこ。
「どんな感……すごっ」
俺はライン兄さんの手元を覗く。そこには素人目でも素晴らしいとしか言いようがない絵があった。
一本の鉛筆モドキ――鉛を使用してない――で描かれたその絵は、けれど写真のようにリアルで、それでいて風情があった。
まず、ブラウ。ぷにぷに肌に柔らかな感触。か弱そうなイメージに、けれどすくすくと育つであろう温かさを感じる。
肌の質感はリアルで、光の当たり具合に陰影がまさに俺の視界に映る通り。けど、よくよく見てみると実際の陰影とずれていたりする。けど、それがリアル感がある。
ブラウの方を見ながら、寝息を立てるアテナ母さんは、まさにアテナ母さんといった感じ。優しく温かく、それでいて強くちょっとだけ頑固。
鉛筆モドキだから、緑がかった金髪の色なんて普通は分からないのに、何故かそれが想起できてしまう髪質。たぶん、アテナ母さんを見たことがない人がこの絵を見ても、金髪と答えるだろう。そんな気がする。
また、ここ一時間近くずっとアテナ母さんとブラウを近くで眺めているユリシア姉さん。音を立てずに移動して顔を覗き込んでいたりするが、よく飽きないなと思う。
まぁそれは兎も角、そんなユリシア姉さんも描かれている。本物のよりも少しだけ目元が柔らかく描かれているが、内面を表しているのだろう。
ユリシア姉さんって、確かに口より手が先に出るし、強引なところもあるし、キツメなイメージを持ちやすいけど、けど、本当に優しいんだよな。優しさの表現を知らなかったり、自分独自だったりするからアレだけど。
ここ最近はお淑やかに……いや、死之行進で無理して戦ってたわ。戦う気満々だったわ。戦うのは好きなんだよな、ユリシア姉さん。
バトルジャンキーだったけ。戦いの最中は物凄い怖いし、狂気を感じるけど、アランやソフィアによると治らない病気みたいなもんだし、個々の性格で上手く付き合うだけ、と言っていた。
何でも、そもそもロイス父さんもそっちの気があるんだそう。今は領主だからなるべく抑えてるけど、それでも戦うのは好きらしいし。
遺伝かな。遺伝じゃないよ、遺伝だよ。たぶん、遺伝なんだろう。遺伝ならしょうがない。
……けど、ブラウはそうでない方が嬉しいな。そうであっても嬉しいけど、流石にユリシア姉さんがもう一人って疲れるし。
「それ、どうするの?」
「……う~ん。適当に描いたからね。納得いかない部分もあるしなぁ」
「いいじゃん、納得いかなくて。これから毎日絵を描いて、ブラウの記録を付けたら? ライン兄さんって記録付けるの得意でしょ?」
動物とか植物とか。
家もアルにリュネ、ケン、ミズチにユキがいるし、それ以外にも色々な動物がいる。まぁ、大抵の動物はアテナ母さんが作った動物専用の異空間にいるのだが。
どっちにしろ、ライン兄さんは記録をつけるのが得意だし、毎日の気づきが多い。小さい変化にも気が付く。
ちょっと、そのライン兄さんの力も借りたいし。ブラウの性格はもちろん、病気等々も把握しておきたいし。アテナ母さんの事もある。
「まぁそうだけど……うん、確かにそうかも。記録っていうのはちょっとアレだけど、毎日一枚描くってのはいい。うん、いい」
「そう? じゃあ、毎日それを見せてもらってもいい?」
「うん、いいよ」
俺たちはブラウとアテナ母さんを起こさない様に小声で話し合う。すると、ユリシア姉さんがこっちを向いて、スススと近づいてくる。
「何こそこそ話してるのよ?」
「しっ、もう少し小さく」
「……何よ」
ユリシア姉さんがぶすっとした表情をする。
「いや、もう少しで起きるんだよ」
「起きる? 一時間前に寝たばっかりじゃない」
「だからだよ。大体、そのくら――」
と、小さい声でちょっと語気を強くした瞬間。
「……ぅ……う……うぁわぁぁぁぁぁ~~~!」
パチクリと目を覚ましたブラウが数テンポ遅れた後泣き始めた。
「あちゃ~。泣いちゃったか」
「ちょ、セオ。どうするのよっ!」
「……とりあえずアテナ母さんが起きると思うから、落ち着かせといて。俺はちょっとおむつを引っ張り出すから」
うんちの臭いはしないが、たぶんおしっこで泣いているはずだ。一時間前にミルク飲んだしどちらにしても取り出した方がいい。
「ッ、ぶ、ブラウっ」
あ、アテナ母さんが起きた。まだ一時間しか寝れてないのに。早くしよ。っというかレモンよ、早く帰ってきて。エドガー兄さんでもいい。
「ああ、ブラウ。ブラウっ」
「か、母さん。何で泣いてるのっ!」
ユリシア姉さんが慌てる。泣いてるブラウをあやしながら、なのに自分も泣いているアテナ母さんを前におろおろする。っというか、つられて少しだけ泣いてる。
そういえば、ユリシア姉さんは初めてみるっけ。大抵夜だしな。アテナ母さんがこうなっちゃうの。昼間にこうなるのは、たぶんレモンがいないからだろうな。
悔しいけど、こういうケアはレモンが一番うまいらしいし。
それにいつもはとある薬草茶を飲むとある程度落ち着くんだけど、レモンしかそのお茶を淹れられないしな。教えてもらったけど、たぶん習得するのに五年近くかかりそうだった。
そもそもレモンがいないこんな時のために保温の魔法を掛けて保存してたんだけど、それもつい一時間半前に使い切っちゃったし。
……ああ、どうも適当な事を考えてないと、ユリシア姉さんみたいに泣いてしまいそうだ。いくら精神が前世を含んでいても、やっぱり体が子供だからな。脳も子供だし。
……ふぅ。よし。
俺はユリシア姉さんから教わった、人を落ち着かせる声音を意識する。
「泣いちゃうもんなの。アテナ母さんの手を握ってて」
「ひっ、え、ぅ、ええっ!」
「そう。ゆっくり抱きしめる感じで」
目に涙を溜めながらもユリシア姉さんはバッと高めのベッドに上り、アテナ母さんをひしっと抱きつく。ついでに、ブラウもにだ。
……ああ、ベッド高めにしたからそのぶん台を置いておいた方が良かったな。ユリシア姉さんの飛び乗り方、すごく怖かったし。
「……ゆりしあ、ぶらう」
……あ、うん、よし。アテナ母さん、だいぶ落ち着いてきた。
「ああ、それとライン兄さんはそっちにある鈴の玩具をとって。気に入りだから」
「え、あ、どっちっ?」
「布が巻いてる方。そっちじゃないと怖がるから」
俺は箪笥から布おむつを引っ張り出す。ついでに大き目のふかふかタオルと、柔らかな繊細タオルもだ。
分身を召喚し、温かいお湯を作ってもらう。桶は、うん、分身が“宝物袋”から出すだろう。
お尻を拭いた方がいいし。
「ぶ、ブラウ。ほ、ほら。鈴、鈴だよ」
「うぅぅうぅ……ううぅぅぅ……」
お、ブラウもちょっと落ち着いた。これなら容易くおむつを取り換えられるだろう。泣いてる時に取り換えると、精神的に凄く疲れるし。
俺は高くなってるベッドによじ登り、ユリシア姉さんの方を向く。
「ユリシア姉さん、そのままアテナ母さんの腕握れる?」
「う、うん」
ユリシア姉さんはコクリと頷く。
「じゃあ、俺の動きに合わせて。……アテナ母さん、アテナ母さん」
「……セオ?」
「セオだよ。ブラウをほら、ここに降ろして。落ち着いて」
「……分かったわ」
よし、取り出した大き目のふかふかタオルの上にブラウを寝かせてくれた。ふかふかタオルはブラウのお気になのだ。
すかさず、ユリシア姉さんに抱きつくように命じる。
これでアテナ母さんの両手がふさがった。
「ライン兄さんはそのままブラウの気を引いてて。といっても反射行動しかできないから……いや、何でもない」
「……続ければいいんだね」
「うん」
俺はそう頷きながら、パチンパチンとブラウの服のスナップボタンを外していく。このスナップボタンは俺が再現した。
普通のボタンだと外れたときに誤飲の恐れがあって怖いし、だからといってボタンがないとおむつを変えたりするときに手間がかかる。
なるべく手間は減らしたかったし。
……そういえば、これの技術登録してないな……
そんな事を考えながら無心でおむつを取り換えていく。
やっぱりおしっこだった。まぁブラウはうんち出にくいしな。二日に一回おきだし。
そんな事を考えながらやっぱり無心で取り換えていく。無心の方が精神的負担が少ないことをつい最近知ったのだ。
それから、柔らかで繊細なタオルを分身に用意してもらったお湯で濡らし、優しくゆっくり一度撫でた後、布おむつを再び巻いて、横に回し……スナップボタンを止めて。
よし、できた。
「……ぅ? ……うっうっ!」
声にならない声でブラウが笑う。まだ生理的微笑だけだと思ったけど……まぁ一ヶ月経ってるし、社会的微笑もあるかな。
それを確認したら、ライン兄さんに目配せして、ブラウの相手を少しだけ頼む。
「アテナ母さん、ブラウは泣き止んだよ。ほら、ね」
「……ええ」
「安心して。俺もユリシア姉さんもライン兄さんもいるから。大丈夫」
「……ええ、ええ」
しっかり目を見つめて、それでニコパーと微笑む。すると少し釣りあがっていた目が垂れ、アテナ母さんは柔らかく頷く。ひしっと抱きついているユリシア姉さんのおかげもあるだろう。
「じゃあ、ブラウと一緒に横になろう」
「ええ……」
アテナ母さんはブラウの頭を撫でると、横になる。すると直ぐに寝息を立てて寝てしまった。
……相当疲れているんだろう。
と、それを見計らってか。
「本当に申し訳ございません」
「謝らなくていいよ。それよりもそっちは大丈夫?」
「はい。つつがなく終了しました」
少しだけ疲れた様子のレモンが入ってきた。
……あ、ユリシア姉さんとライン兄さんが一緒に寝ちゃった。
皆穏やかで可愛い寝顔だ。〝想起〟で写真を撮っておこ。
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