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異世界生活:赤ん坊
閑話:手紙
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満天の星空の下に焚火がパチパチと静かに音を立てている。
また、そこには威厳や気品、そして理智を体現した女性が一人いた。
炎に照らされた瞳は万物を見通すほど澄んでいて、蜂蜜色の髪は艶やかに波打つ。そして精霊と見間違うほどの神秘的な容姿。
神話の一節である。
「さて、魔物除けの結界も張り終えた事だし、今朝に届いた手紙でも読むとするかの」
女性は近くに置いてあったカバンから手紙を取り出し、読みだした。
クラリス・ビブリオ殿
前略
貴女がこの手紙を呼んでいる時には、マキーナルト領は春を迎えている頃でしょう。私は数年に一度の近況報告として筆を執ります。
先ず、第一報告として三年前に四人目の子が産まれました。名前はセオドラー、男の子です。セオはそれはそれは可愛く、目に入れても痛くないほどです。泣く事がとても少なく、夜泣きで起こされた事はありません。とは言いつつ、私は出産直後に無理をしたせいで弱体化が長引き、セオが一歳になるまでは侍女のレモンが良く面倒を見てくれてたので、そんな機会無かったのですが。
一応書いておくけど、育児放棄はしていませんからね。貴女の性格だと、子供の事になると直ぐに視野が狭くなるので言っておきます。ったく、貴女のその性格で何度死にかけたか。今でも、思い出すのですからね。
「ふぅ、何時まであの話を蒸し返すつもりかの」
女性が苛立ちそうに呟く。
閑話休題。
セオはラインと同じで私に似たのか、とても穏やかな性格をしています。騒ぎ立てる事も少なく、兄弟喧嘩もしません。優しい心の持ち主で、ラインと馬が合うのかよく一緒にいます。ただ、二人とも大人しいとは言えません。
特にセオは子供たちの中で一番に手が掛かります。元気たっぷりエネルギッシュさが別ベクトルで動いています。
一つ、例を挙げると、セオはいつの間にか何処かに行ってしまいます。冒険心がとても高いのか、目を離した隙に直ぐにいなくなります。隠密系の固有能力を持っているおかげで、私やロイスでも探すのに少し手間取ります。家の侍女たちはもっと大変です。
更に最近は一人で何処へでも行けるようになったせいか、行動範囲がとても広くなり、探すのに一苦労です。それにセオは何処でも寝ます。自室、廊下、リビング、料理室、庭、屋根。本当にどこでも寝ます。どうやってそんな所に行ったのか分からない事もあります。
しかもセオはとても寝相が悪く、うつ伏せで寝ている事が多いので心配で心配で仕方がないのです。これは、今現在、最もマキーナルト家の大人達を悩ませている事の一つです。大人の目が届く場所で寝る事を言いつけているのですが、意味はないようです。
それと、何処にでもいます。“分身”を固有能力《ギフトスキル》として持っており、何故か常に発動しています。そのおかげで、書斎に一人、リビングに一人、庭に一人といった具合に同時間に何人ものセオが存在していて、どれが本体なのか探すのに苦労します。しかも、先に書いた隠密系の能力《スキル》は存在隠蔽も少し含んでいるので余計です。最近は、多量の魔力を中《あ》てることで分身をかき消すことができると分かったので、それで本体と区別しています。
これだけではないのですが、とても手が掛かる元気溢れるいい子なので一度、会いに来てください。
ああ、そう言えば貴女がセオの生誕祝いに贈ってきた無属性魔法大全をセオはとても気に入っていて、何処へ行くにも持ち歩いています。毎日毎日、辞書すら見劣りしてしまうあの分厚い本と睨めっこしています。あと、二歳の誕生日祝いに贈ってきた“白尋の目”をお風呂や食事、就寝の時まで肌身離さず身に着けるほど気に入っています。
ラインに関しても同様で、生誕祝いの森林動植物大全と二歳の時の“透遠の目”と四歳の時の“再起の筒”を常に持ち歩いています。
二人はユリシアとエドガーの本すら持ち歩いています。何というか上の二人と下の二人でバッサリと性質が違います。前者は戦士系で後者は学者系って感じです。
ただ、後者の二人は前者より厄介です。知的好奇心がとても旺盛で、何々攻撃や何故何故攻撃を乱発して、それを受け止めるのにとても苦労します。正しい知識や思考力を培って欲しいので、私達大人は丁寧に、そして対等の姿勢を以って質問に答えたり、教えたりしているのですが、如何せん、自分の得意分野以外だと一般教養でしか対応できないので、苦労します。それを何とか解決しようとしているうちに、子供たちはどの大人がどの分野が得意か判ってきたらしく、最近は質問する内容で相手を選んでいます。これには大人たち一同が情けない気持ちになりました。
あと、意外とアグレッシブにあちこち動き回ります。聞き分けは良いので危ない所にはいかないのですが、それでも何かあるか分かりませんし大変です。
上の二人についても触れておきましょう。
エドガーは天職もあってか、ロイスとの稽古でメキメキと剣の腕を上げてます。これはユリシアも同様で、守護兵団との組手で勝つことが多くなってきました。それ故か、二人とも調子に乗っている時期があったのですが、それを見咎めたロイスがアランに頼んで、鼻っぱしらを折った出来事がありました。二人とも久々に号泣しており、良い思い出として残っています。
その後は二人とも謙虚さというか、常に上を意識し、下にも警戒を持つようになったので良い機会だと考えています。
それと洗礼で判ったのですが、エドガーは土と水と氷、ユリシアは風と火と雷に魔法適性がありました。なので、二人にはそれらの魔法を中心に教えているのですが、二人ともじっとしているのが苦手で、魔法の授業に身が入っていません。何とか楽しさを感じて欲しく、あれやこれやとやっているのですが、今のところ二人が興味を持ったのは身体強化系だけで、何ともうまく行きません。
まぁ、そんな感じで子供たちは元気にすくすくと成長しています。
また、上の二人は貴女にまた会いたいと言っていますし、下の二人も贈り物のお礼がしたいと言っています。
なので、近いうちにこっちに来ませんか? 来るのなら、収穫祭までに来てくれると嬉しいです。
素敵な旅を祈っています。
草々不一
アテナ・マキーナルト
PS
セオが魔道言語を用いた魔法、魔術を開発しました。本人は発見したと言っていますがそういう事です。簡単な資料を付け加えたので読んで下さい。
また、そこには威厳や気品、そして理智を体現した女性が一人いた。
炎に照らされた瞳は万物を見通すほど澄んでいて、蜂蜜色の髪は艶やかに波打つ。そして精霊と見間違うほどの神秘的な容姿。
神話の一節である。
「さて、魔物除けの結界も張り終えた事だし、今朝に届いた手紙でも読むとするかの」
女性は近くに置いてあったカバンから手紙を取り出し、読みだした。
クラリス・ビブリオ殿
前略
貴女がこの手紙を呼んでいる時には、マキーナルト領は春を迎えている頃でしょう。私は数年に一度の近況報告として筆を執ります。
先ず、第一報告として三年前に四人目の子が産まれました。名前はセオドラー、男の子です。セオはそれはそれは可愛く、目に入れても痛くないほどです。泣く事がとても少なく、夜泣きで起こされた事はありません。とは言いつつ、私は出産直後に無理をしたせいで弱体化が長引き、セオが一歳になるまでは侍女のレモンが良く面倒を見てくれてたので、そんな機会無かったのですが。
一応書いておくけど、育児放棄はしていませんからね。貴女の性格だと、子供の事になると直ぐに視野が狭くなるので言っておきます。ったく、貴女のその性格で何度死にかけたか。今でも、思い出すのですからね。
「ふぅ、何時まであの話を蒸し返すつもりかの」
女性が苛立ちそうに呟く。
閑話休題。
セオはラインと同じで私に似たのか、とても穏やかな性格をしています。騒ぎ立てる事も少なく、兄弟喧嘩もしません。優しい心の持ち主で、ラインと馬が合うのかよく一緒にいます。ただ、二人とも大人しいとは言えません。
特にセオは子供たちの中で一番に手が掛かります。元気たっぷりエネルギッシュさが別ベクトルで動いています。
一つ、例を挙げると、セオはいつの間にか何処かに行ってしまいます。冒険心がとても高いのか、目を離した隙に直ぐにいなくなります。隠密系の固有能力を持っているおかげで、私やロイスでも探すのに少し手間取ります。家の侍女たちはもっと大変です。
更に最近は一人で何処へでも行けるようになったせいか、行動範囲がとても広くなり、探すのに一苦労です。それにセオは何処でも寝ます。自室、廊下、リビング、料理室、庭、屋根。本当にどこでも寝ます。どうやってそんな所に行ったのか分からない事もあります。
しかもセオはとても寝相が悪く、うつ伏せで寝ている事が多いので心配で心配で仕方がないのです。これは、今現在、最もマキーナルト家の大人達を悩ませている事の一つです。大人の目が届く場所で寝る事を言いつけているのですが、意味はないようです。
それと、何処にでもいます。“分身”を固有能力《ギフトスキル》として持っており、何故か常に発動しています。そのおかげで、書斎に一人、リビングに一人、庭に一人といった具合に同時間に何人ものセオが存在していて、どれが本体なのか探すのに苦労します。しかも、先に書いた隠密系の能力《スキル》は存在隠蔽も少し含んでいるので余計です。最近は、多量の魔力を中《あ》てることで分身をかき消すことができると分かったので、それで本体と区別しています。
これだけではないのですが、とても手が掛かる元気溢れるいい子なので一度、会いに来てください。
ああ、そう言えば貴女がセオの生誕祝いに贈ってきた無属性魔法大全をセオはとても気に入っていて、何処へ行くにも持ち歩いています。毎日毎日、辞書すら見劣りしてしまうあの分厚い本と睨めっこしています。あと、二歳の誕生日祝いに贈ってきた“白尋の目”をお風呂や食事、就寝の時まで肌身離さず身に着けるほど気に入っています。
ラインに関しても同様で、生誕祝いの森林動植物大全と二歳の時の“透遠の目”と四歳の時の“再起の筒”を常に持ち歩いています。
二人はユリシアとエドガーの本すら持ち歩いています。何というか上の二人と下の二人でバッサリと性質が違います。前者は戦士系で後者は学者系って感じです。
ただ、後者の二人は前者より厄介です。知的好奇心がとても旺盛で、何々攻撃や何故何故攻撃を乱発して、それを受け止めるのにとても苦労します。正しい知識や思考力を培って欲しいので、私達大人は丁寧に、そして対等の姿勢を以って質問に答えたり、教えたりしているのですが、如何せん、自分の得意分野以外だと一般教養でしか対応できないので、苦労します。それを何とか解決しようとしているうちに、子供たちはどの大人がどの分野が得意か判ってきたらしく、最近は質問する内容で相手を選んでいます。これには大人たち一同が情けない気持ちになりました。
あと、意外とアグレッシブにあちこち動き回ります。聞き分けは良いので危ない所にはいかないのですが、それでも何かあるか分かりませんし大変です。
上の二人についても触れておきましょう。
エドガーは天職もあってか、ロイスとの稽古でメキメキと剣の腕を上げてます。これはユリシアも同様で、守護兵団との組手で勝つことが多くなってきました。それ故か、二人とも調子に乗っている時期があったのですが、それを見咎めたロイスがアランに頼んで、鼻っぱしらを折った出来事がありました。二人とも久々に号泣しており、良い思い出として残っています。
その後は二人とも謙虚さというか、常に上を意識し、下にも警戒を持つようになったので良い機会だと考えています。
それと洗礼で判ったのですが、エドガーは土と水と氷、ユリシアは風と火と雷に魔法適性がありました。なので、二人にはそれらの魔法を中心に教えているのですが、二人ともじっとしているのが苦手で、魔法の授業に身が入っていません。何とか楽しさを感じて欲しく、あれやこれやとやっているのですが、今のところ二人が興味を持ったのは身体強化系だけで、何ともうまく行きません。
まぁ、そんな感じで子供たちは元気にすくすくと成長しています。
また、上の二人は貴女にまた会いたいと言っていますし、下の二人も贈り物のお礼がしたいと言っています。
なので、近いうちにこっちに来ませんか? 来るのなら、収穫祭までに来てくれると嬉しいです。
素敵な旅を祈っています。
草々不一
アテナ・マキーナルト
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セオが魔道言語を用いた魔法、魔術を開発しました。本人は発見したと言っていますがそういう事です。簡単な資料を付け加えたので読んで下さい。
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