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五章 動乱
十六話 気持ち悪いっ!
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まるで、聖域を彩るかのように氷の華が咲き誇る。声なき断末魔が一瞬で凍り付き、動かぬ氷像と成り果てる。
そして純白の翼を携えた人型を閉じ込めた氷の華へ、
「死にさなさいッ!」
一閃。
レイピアが突き刺さり、純白の翼の人型――天使が粉々に砕け散る。
「ふぅ、これで最後かしら」
ピッとレイピアについた氷を払い、金属糸で編まれた灰色のベルトに納刀する。
イザベラだ。
イザベラは銀縁の片眼鏡をつけている紫水晶の右目を眇める。片眼鏡に重なっている橙のレンズが輝く。
「あそこね」
イザベラは高く跳躍すると、黒のブーツの底から青白い光を波打たせ、空中を駆ける。
ここは天獄界という異世界の天界という場所らしい。天使たちを尋問して聞き出したのだ。
幾重にも重なっている天界で、イザベラは上を目指す。ヘレナの反応が一番近いからだ。
ただ、上の階層へ行けば行くほど、階層間の隔たりが強くなっていた。そのため、隔たりを無理やり壊して移動するのが難しく、空間的な隔たりが薄い場所を探していたのだった。
最初に降り立った階層から上に進むこと七階層。
最初は見渡す限り寒気がするほど清らかな純白の世界だったが、今はところどころに宮殿やら神殿やらが見えていた。
もちろん、その宮殿や神殿も薄ら寒いものではあったが、ともかくそれらが見られるようになってから、天使を自称する者たちが現れ、イザベラを問答無用で殺そうとしてきた。
最初からイザベラといった存在を知っていたかのように殺意を放っていた。しかも、天使たちがイザベラを見て、「いい母体だ」など、「孕ませて自らのモノにしよう」などと虫唾が走ることを言った。
つまるところ、イザベラは思わず近くにあった神殿や宮殿ごと天使たちを氷漬けにし、粉々に砕いてしまったのだ。
拷問して情報を聞き出そうとしたのに、なんという失敗。そう思いながらも、一方でそれでよかったのではないかと思っていたりもする。
なぜなら、
「あれから多くの自称天使たちが現れるようになったわね」
わらわらと天使たちがイザベラの前に現れたからだ。それにより、多くの情報を手に入れることができた。
ただ、その反面、時間をくってしまった。
イザベラはそのすべての天使たちと戦っても負けることないが、体力には限界がある。無尽蔵に動ける体はしていないので。
結局、休んだり隠れたりしている間に、五日も過ぎてしまった。もうすぐ六日近くになるか。ヘレナ達の反応はまだあるが、安心はできない。
一刻も早く見つけなけらばとイザベラは疲れてきた体に鞭を打ち、一層早く空を駆ける。
「本当はフテラ・エレフセリアがあれば良かったのだけれども……」
小型飛行幻想具、フテラ・エレフセリア。つまるところメーヴ〇である。風の谷である。
それがあれば休みながら高速移動ができるのだが、つい先日消滅したヴァイス・ヴァールの基幹部分の再開発をするための補填に、動力などを分解してしまったため、今は使えない状態なのだ。
あと少し手をつけるのを遅くしていれば……と若干悔やむが、イザベラは首を横に振る。考えても詮無き事。
「よし、ここね」
と、イザベラが空中で立ち止まった。
真下には聖堂と思しき大きく美しい建造物があり、そこから続々と天使が飛び出てきた。イザベラに向けて強烈な殺気をぶつけている。
しかし、イザベラはどこ吹く風。片眼鏡に空色のレンズを重ねると、顎に手をあててふむふむと頷く。
理知的で少し近寄りがたい雰囲気から、好きな物に夢中になる子供のような雰囲気へと変わる。
「なるほどね。あの聖堂はこの階層を安定化させる役割があるのね。他にも、神の悪意……なるほど。自称天使たちを監視する役割ね」
と、イザベラが目を細める。
その視線の先には、両目を眼帯で多い、六対十二翼の翼を生やし、赤い蛇がドグロをまいた剣を握りしめた天使がいた。
「今までの奴らとは桁違いだわ」
感じ取れる力に少しだけ冷や汗をかきながら、しかしイザベラはやはりどこ吹く風。
ふっとその両目眼帯の天使から視線を外すと、聖堂のてっぺんを見下ろす。見定める。
「フゥゥゥゥゥ」
深く息を吐く。青白い魔力を迸らせると、瞑目。一瞬を研ぎ澄まし、ゆっくりと呼吸する。
そして、両腰に差していた二本のレイピアを目にも止まらなぬ速さで抜き去り、
「ハァァァッッッ!!!」
二連撃の突きを聖堂に向けて放つ。
すれば、その放たれたレイピアの鋭さがそのまま二つの青白い魔力の極光となって、聖堂を貫く。全てを消滅させる。
聖堂から這い出ていた大半の天使たちがその青白い極光に飲まれ消滅した。両目眼帯の天使はどうにか生き延びたようだが、それでもかなりの傷を負っている。
同時にイザベラの直ぐ頭上の虚空が歪み、割れた。階層同士の隔たりが不安定化し、薄くなってきたのだ。
ただ、自浄作用が働いているのか、徐々に割れた虚空がもとに戻り始めていた。
「なら、これね」
そう言いながらイザベラは、もとに戻る虚空へ向かって懐から取り出した短剣を投擲する。
突き刺さると短剣は青白い光を放ち、パキパキと虚空を凍らせていく。
そして割れていた虚空が全て凍てつき、もとに戻らなくなる。
「弾けなさい」
白衣をはためかせ、華麗にフィンガースナップ。
虚空を凍らせていた氷がダイヤモンドダストとなり、弾けた。同時に、虚空が完全に割れた。壊れた。
そしてイザベラは、傷を癒し鬼の形相で向かってくる両目眼帯の天使に向かって紅い宝珠を三つほど落とす。
すればそれは、両目眼帯の天使の目の前で大爆発を起こす。地上で放たれれば、半径一キロメートルを吹き飛ばすほどの大爆発だ。
「さて、次にいるといいのだけれども」
イザベラは一瞥もせず、青白い光を波打たせながら空を駆け、割れた虚空へと飛び込んだ。
そして追いかけるように、血だらけの両目眼帯の天使が猛烈な殺気を噴き上げながら、飛び込んだ。
Φ
「っと」
鯨の顎をかたどったような門から、杏が現れた。純白の大地に着地した杏は、辺りを見渡す。
ここは敵地。天獄界。
「たぶん、天界だろう。バエルが召喚したのは天使だけだしな。それに如何にもな建物があるしな」
杏は魔力を注ぎ強化した蒼炎の瞳で、十数キロ先に見える厳かで神聖な神殿を見定める。同時に ≪直観≫の補助具である大剣の柄を握りしめ、瞑目する。
「分からんが、目指すはあれでいいらしい」
持っている情報が少ないため、≪直観≫も精度高く発動しない。あくまで≪直観≫は異常に精度が高い未来予測であり、予知ではない。
なので、ぶちのめす敵はどこだと≪直観≫で探せば、たぶん神殿の向こうとしか分からなかったのだ。
「まぁ、しらみつぶしに破壊しまくれば、黒幕も現れるだろう。どうせこんな場所にいるやつだ。自尊心が高いに決まっている」
そんな偏見の元、杏はニィッと口角を上げる。
そして片手を神殿の方へかざすと、圧倒的な炎を手のひらに集める。収束させ、圧縮し、収束させ、圧縮し。
手のひらの前に恒星のごとく白く輝いた炎の球体が現れた。
杏はそれを握りしめる。すると白炎の球体は一筋の白炎へと姿を変え、杏はそれを槍投げ選手のように振りかぶる。
「ハァッ!」
そして杏は一筋の白炎としたそれを、神殿に向かって投擲した。
豪速で放たれた一筋の白炎は残像を残しながら、一秒、二秒……数十秒後、神殿に着弾した。
「よし」
杏のガッツポーズとともに、燦然と輝く光が天界を染め上げる。神殿に着弾した一筋の白炎が爆発したのだ。
だがしかし、爆発音は響かない。
爆発したそれは、大きな白炎へと変わり、膨れ上がる。神殿はもちろん、周囲のあらゆる全てを飲み込む。
そして数秒後、何事もなかったかのように消え去った。静寂だけが残った。
「……何もないな」
後欠片も残らず消え去った神殿の跡地を見ながら、杏はポツリと呟く。ただ、遠目だけでの判断では確度は低いので、トッと跳躍し爆炎を足元で放ちながら、高速で神殿の跡地へ移動する。
≪直観≫と己の感覚、経験による警戒を怠ることなく、杏は神殿の跡地に着地した。
「……やはり何もない――」
慎重に見渡し、敵の痕跡がないと判断した杏が、もう一度≪直観≫で敵の位置を大まかに探ろうとしたとき、
『品がないお嬢さん』
「ッ!」
杏の目の前に一匹のハエが現れた。杏は反射的にそれを炎で焼き尽くす。
しかし、意味はない。
『礼儀がなっていない。天使たる私奴を尋ねるときは、まずは畏み厳かに礼をすべきでしょうに』
無数のハエがどこからともなく湧き出てきた。羽音が声となって響く。
無数のハエに杏は思わず顔をしかめる。虫は嫌いではないが、ハエが目の前で集まっているのには、流石に寒気が走る。
ただ、杏はそれでも冷静を保つ。≪直観≫で燃やしても意味がないと感じ取り、様子を探るために言葉を返す。
「……だから礼をしただろ? 人でなしに尋ねるときはそれで十分だ」
『それは失礼した。あなたに礼儀を求めた私奴が悪かった。許しましょう』
紳士的な男性の声。普通の人間が響かせれば、イケボと言われるかもしれないそれは、しかし嫌悪感しか感じない。
甘ったるくグジグジと腐ったような声だ。
目の前に無数のハエがいるからそう思うのか、それとも元々そんな声なのか。
まぁ、どちらにせよ。
「見つけたぞ」
僅かばかりの会話の間に、杏は数百以上の≪直観≫を行使した。郭やティーガンから教えてもらった知識を頼りに声の主が誰であるかを特定をし、次に目の前にハエから声の主の居場所を特定する。
どこにいるか? という問をより詳しく細分化し、全てに正誤をつけて消去法で割り出した。
「シッ」
杏は大剣を上段に構え、無数のハエの大群へ振り下ろした。大剣から炎が吹き出し、渦巻き、ハエたちを閉じ込める。
燃やし尽くすと、そのまま杏は右足を軸に回転。大剣を回す。
遠心力に逆らうことなく左足を右手側に踏み出し、踏み込むと今度は左足を軸に回転。
≪白焔≫を纏わせた大剣を虚空へ薙ぐ。
ガキンッと音が響いた。結界によって大剣が阻まれたのだ。
そして結界が揺らめき、巨大な黒のウジ虫が杏の目の前に現れた。先ほどの神殿を丸呑みにできるほど巨大なウジ虫だ。
黒のウジ虫の口と思しき場所が開く。果実が腐ったような甘ったるい臭いを放つ瘴気が流れ出す。
「チィッ!」
その瘴気とともに、無数のウジ虫が這い出てきた。杏はあまりの悍ましさに鳥肌を立たせながらその場を飛びのく。
「気持ち悪いっ!」
杏は嫌悪感を隠そうともせず、紅蓮の炎を這い出てきたウジ虫に向けて放つ。しかし、数が多すぎて燃やし尽くすことができない。
火力を上げようにも、甘ったるい臭いの瘴気が魔力を減衰させているらしく、一定以上の火力を出せない。
仕方なく、杏は数十メートルほど距離を取る。
「ッ」
冷や汗を垂らす。
動けない。動いてはならない。
≪直観≫が、経験が、そう伝える。動けば、悪手だと。
キッと蒼炎の瞳を細め、大剣の柄を握り構え、魔力を練り上げる。≪直観≫で急襲を警戒し、極限に集中する。
目の前の光景を睨む。
巨大な黒のウジ虫から這い出てきたウジ虫は、うねうねと這いずり回り徐々に床らしくものを創っていく。
蠢くウジ虫の床は段差をいくつもつくり、やがてその頂点らしき場所にウジ虫の玉座を創り出す。全てがウジ虫だけで作られている。
吐き気を催すその光景に杏は僅かに顔をしかめる。
その時、
『今度は行儀がよいですね』
無数に集まったハエが巨大な黒のウジ虫の口から現れ、ウジ虫の玉座の前をサーっと通る。
次の瞬間、
「褒めて差し上げましょう」
「なら、死んでくれッ!」
法衣にも似た漆黒の紳士服を纏った白髪の中年が玉座に座っていた。
グジュグジュ腐ったような液体が入っているワイングラスを片手に持ち、優雅に膝を組んで座っている。
深緑が混じった茶色の瞳。目元のウジ虫らしき刺青が歪んでいる。無造作に伸ばされた髪には、手のひらサイズのハエの翅が飾ってある。
背中には三対六翼のハエの翅が生えていた。
ワイングラスに入っていた形容しがたい液体で唇を湿らせた中年が、口をゆっくりと開く。嫌悪感しか感じない声を響かせる。
「ようこそ、天界の最上へ。私奴の名はベルゼブブ。天界を支配する王の――」
「御託などどうでもいいッッ!!」
中年――ベルゼブブの言葉を遮り、杏は≪灼熱≫で火炎弾を放つ。≪直観≫で常にタイミングを図っていたのだ。
しかし、
「先ほどの嗟嘆は取り消しましょう、サル」
「こちらもお前の褒めなぞ願い下げだッッッ!!!」
床のウジ虫が触手のように伸び、火炎弾を防ぐ。表面のウジ虫は燃えるが、直ぐに他のウジ虫が喰らう。
杏は止まらない。
「〝紅炎解放〟!」
祈力による第一昇華、〝紅炎解放〟を叫ぶと、自身を一条の炎と化し、〝焔転〟する。
現るは優雅に玉座に座るベルゼブブの背後。
「後ろを取るとは、失礼極まりない」
「貴様に弁える礼など一切ないッ!!」
背後を振り返ることもなくベルゼブブは、ウジ虫が連なった触手を杏へ伸ばす。
杏は全身を炎で猛らせ、触手のウジ虫を全て焼却。それどころか、玉座のウジ虫も床のウジ虫へ紅蓮の炎を放つ。ベルゼブブさえも飲み込む。
だが、しかし、一言呟かれる。
「喰らえ」
「ッ!!」
地面から巨大なウジ虫の口が現れる。杏は〝焔転〟でその場を飛び退く。
地面から現れた巨大なウジ虫は、ベルゼブブも含め、燃え上がる全てを飲み込む。
そして数秒後、その巨大なウジ虫はホロホロと灰となって崩壊し、中からウジ虫の玉座に座ったベルゼブブが現れた。
次の瞬間、
「ッ!!??」
四方八方。
足元、頭上、左右前面背後から、巨大なウジ虫が転移の如く現れ、杏に襲い掛かる。
≪直観≫の警戒すらすり抜けて急襲してきた巨大なウジ虫に杏は驚愕しながらも、直ぐに≪灼熱≫と≪白焔≫を圧縮した白炎の球体を頭上へ放つ。
同時に、〝焔転〟を発動し、ウジ虫が消え去った頭上から脱出する。
「さて、フルコースの始まりです」
「天使かッッ!!」
ベルゼブブが手をすり合わせながらそういえば、数千の数の天使が杏の周囲に現れる。ベルゼブブが転移で呼び寄せたのだろう。
それらの天使が同時に純白の翼を羽ばたかせる。
天使の羽が散ると同時に、天の裁きと錯覚するほどの無数の閃光が杏に向かって放たれる。光線の檻だ。
「クッ」
杏は灼熱の炎を大剣に纏わせ、光線の格子を切り裂こうとするが、流石に数千を超えているため間に合わない。
光線が着弾する直前で、身体を炎と化し物理的には透過させるが、魂魄にもダメージがあるらしい。
対混沌の妄執魔法外装の魂魄防御を突破して、杏の魂魄を削ってくる。
杏は耐える。魔力と祈力を練り上げる。
光線の檻が消えた。
「〝蒼焔解放〟ッッッ!!!」
杏の身体から蒼炎が噴き上げる。
祈力による第二昇華を発動した杏は、先ほどとは段違いの〝焔転〟を持って周囲にいた天使数十体を一瞬で切り刻む。
血しぶきを上げた天使たちの血肉は、地に落ち、そしてウジ虫たちが群がり直ぐに消え去る。
それを傍目に杏は身体から噴き上げる蒼炎を切り離し、いくつもの球体を作り上げていく。
蒼炎の〝焔星〟だ。
数十にも上る〝焔星〟を、一気に展開する。仲間が一瞬で切り刻まれたことにより動揺する天使たちの蒼炎の熱線で焼き払っていく。
天使たちは慌てて〝焔星〟に対処しようとする。
だから、天使たちの意識が杏から逸れた。
杏は悠然と玉座に座っているベルゼブブへ〝焔転〟する。圧縮した蒼炎を大剣に纏わせ、ベルゼブブに振り下ろす。
「燃えろッッッ!!」
「最後のオードブルが残っていますよ」
だが、杏が斬ったのはベルゼブブではなく天使。ベルゼブブが〝焔星〟によって死んだ天使を盾に使ったのだ。
そのままベルゼブブは玉座と床のウジ虫に包まれ、一瞬で遠くへ移動する。
追おうにも、
「ベルゼブブ様に何をしているッ!!」
「死にさらせッッッ!!」
〝焔星〟による熱線を潜り抜けた天使たちが杏を囲う。
しかも、いつの間にか天使たちは深緑混じりの茶色の光を纏っていた。先ほどまでとは桁違いの存在感を放っていた。
ベルゼブブが手をすり合わせながら、朗々と言う。
「次はスープでございます」
古参の吸血鬼を超える存在感を放つ天使たちが、音の壁を余裕で突破して杏に迫る。
魂魄だけを切り裂く光の剣を杏へ振り下ろす。あらゆる防御を透過する攻撃。
≪直観≫でその攻撃を見抜いた杏は高速で思考を回転させていく。
(回避するより、防御する方が消費が少ないッッ!!)
痛みを耐える精神的消耗を無視してそう判断した杏は、肉を切らせて骨を切る精神で大剣を横薙ぎに振ろうとして、
「いえ、もうシャーベットの時間よ」
杏に襲い掛かろうとしていた天使たちが全て凍り付いた。
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公開可能情報
フルコース:西洋料理の一連の料理。一般にオードブルで始まり、スープ、魚料理、肉料理(ロースト以外)、ソルベ、ローストの肉料理、サラダ、甘味・果物、コーヒーの順で出される。ただし、デザートの前にチーズが入ったり、肉料理が一回など、場合によりけり。
〝蒼焔解放〟:祈力による第二昇華。滅茶苦茶強くなる。
そして純白の翼を携えた人型を閉じ込めた氷の華へ、
「死にさなさいッ!」
一閃。
レイピアが突き刺さり、純白の翼の人型――天使が粉々に砕け散る。
「ふぅ、これで最後かしら」
ピッとレイピアについた氷を払い、金属糸で編まれた灰色のベルトに納刀する。
イザベラだ。
イザベラは銀縁の片眼鏡をつけている紫水晶の右目を眇める。片眼鏡に重なっている橙のレンズが輝く。
「あそこね」
イザベラは高く跳躍すると、黒のブーツの底から青白い光を波打たせ、空中を駆ける。
ここは天獄界という異世界の天界という場所らしい。天使たちを尋問して聞き出したのだ。
幾重にも重なっている天界で、イザベラは上を目指す。ヘレナの反応が一番近いからだ。
ただ、上の階層へ行けば行くほど、階層間の隔たりが強くなっていた。そのため、隔たりを無理やり壊して移動するのが難しく、空間的な隔たりが薄い場所を探していたのだった。
最初に降り立った階層から上に進むこと七階層。
最初は見渡す限り寒気がするほど清らかな純白の世界だったが、今はところどころに宮殿やら神殿やらが見えていた。
もちろん、その宮殿や神殿も薄ら寒いものではあったが、ともかくそれらが見られるようになってから、天使を自称する者たちが現れ、イザベラを問答無用で殺そうとしてきた。
最初からイザベラといった存在を知っていたかのように殺意を放っていた。しかも、天使たちがイザベラを見て、「いい母体だ」など、「孕ませて自らのモノにしよう」などと虫唾が走ることを言った。
つまるところ、イザベラは思わず近くにあった神殿や宮殿ごと天使たちを氷漬けにし、粉々に砕いてしまったのだ。
拷問して情報を聞き出そうとしたのに、なんという失敗。そう思いながらも、一方でそれでよかったのではないかと思っていたりもする。
なぜなら、
「あれから多くの自称天使たちが現れるようになったわね」
わらわらと天使たちがイザベラの前に現れたからだ。それにより、多くの情報を手に入れることができた。
ただ、その反面、時間をくってしまった。
イザベラはそのすべての天使たちと戦っても負けることないが、体力には限界がある。無尽蔵に動ける体はしていないので。
結局、休んだり隠れたりしている間に、五日も過ぎてしまった。もうすぐ六日近くになるか。ヘレナ達の反応はまだあるが、安心はできない。
一刻も早く見つけなけらばとイザベラは疲れてきた体に鞭を打ち、一層早く空を駆ける。
「本当はフテラ・エレフセリアがあれば良かったのだけれども……」
小型飛行幻想具、フテラ・エレフセリア。つまるところメーヴ〇である。風の谷である。
それがあれば休みながら高速移動ができるのだが、つい先日消滅したヴァイス・ヴァールの基幹部分の再開発をするための補填に、動力などを分解してしまったため、今は使えない状態なのだ。
あと少し手をつけるのを遅くしていれば……と若干悔やむが、イザベラは首を横に振る。考えても詮無き事。
「よし、ここね」
と、イザベラが空中で立ち止まった。
真下には聖堂と思しき大きく美しい建造物があり、そこから続々と天使が飛び出てきた。イザベラに向けて強烈な殺気をぶつけている。
しかし、イザベラはどこ吹く風。片眼鏡に空色のレンズを重ねると、顎に手をあててふむふむと頷く。
理知的で少し近寄りがたい雰囲気から、好きな物に夢中になる子供のような雰囲気へと変わる。
「なるほどね。あの聖堂はこの階層を安定化させる役割があるのね。他にも、神の悪意……なるほど。自称天使たちを監視する役割ね」
と、イザベラが目を細める。
その視線の先には、両目を眼帯で多い、六対十二翼の翼を生やし、赤い蛇がドグロをまいた剣を握りしめた天使がいた。
「今までの奴らとは桁違いだわ」
感じ取れる力に少しだけ冷や汗をかきながら、しかしイザベラはやはりどこ吹く風。
ふっとその両目眼帯の天使から視線を外すと、聖堂のてっぺんを見下ろす。見定める。
「フゥゥゥゥゥ」
深く息を吐く。青白い魔力を迸らせると、瞑目。一瞬を研ぎ澄まし、ゆっくりと呼吸する。
そして、両腰に差していた二本のレイピアを目にも止まらなぬ速さで抜き去り、
「ハァァァッッッ!!!」
二連撃の突きを聖堂に向けて放つ。
すれば、その放たれたレイピアの鋭さがそのまま二つの青白い魔力の極光となって、聖堂を貫く。全てを消滅させる。
聖堂から這い出ていた大半の天使たちがその青白い極光に飲まれ消滅した。両目眼帯の天使はどうにか生き延びたようだが、それでもかなりの傷を負っている。
同時にイザベラの直ぐ頭上の虚空が歪み、割れた。階層同士の隔たりが不安定化し、薄くなってきたのだ。
ただ、自浄作用が働いているのか、徐々に割れた虚空がもとに戻り始めていた。
「なら、これね」
そう言いながらイザベラは、もとに戻る虚空へ向かって懐から取り出した短剣を投擲する。
突き刺さると短剣は青白い光を放ち、パキパキと虚空を凍らせていく。
そして割れていた虚空が全て凍てつき、もとに戻らなくなる。
「弾けなさい」
白衣をはためかせ、華麗にフィンガースナップ。
虚空を凍らせていた氷がダイヤモンドダストとなり、弾けた。同時に、虚空が完全に割れた。壊れた。
そしてイザベラは、傷を癒し鬼の形相で向かってくる両目眼帯の天使に向かって紅い宝珠を三つほど落とす。
すればそれは、両目眼帯の天使の目の前で大爆発を起こす。地上で放たれれば、半径一キロメートルを吹き飛ばすほどの大爆発だ。
「さて、次にいるといいのだけれども」
イザベラは一瞥もせず、青白い光を波打たせながら空を駆け、割れた虚空へと飛び込んだ。
そして追いかけるように、血だらけの両目眼帯の天使が猛烈な殺気を噴き上げながら、飛び込んだ。
Φ
「っと」
鯨の顎をかたどったような門から、杏が現れた。純白の大地に着地した杏は、辺りを見渡す。
ここは敵地。天獄界。
「たぶん、天界だろう。バエルが召喚したのは天使だけだしな。それに如何にもな建物があるしな」
杏は魔力を注ぎ強化した蒼炎の瞳で、十数キロ先に見える厳かで神聖な神殿を見定める。同時に ≪直観≫の補助具である大剣の柄を握りしめ、瞑目する。
「分からんが、目指すはあれでいいらしい」
持っている情報が少ないため、≪直観≫も精度高く発動しない。あくまで≪直観≫は異常に精度が高い未来予測であり、予知ではない。
なので、ぶちのめす敵はどこだと≪直観≫で探せば、たぶん神殿の向こうとしか分からなかったのだ。
「まぁ、しらみつぶしに破壊しまくれば、黒幕も現れるだろう。どうせこんな場所にいるやつだ。自尊心が高いに決まっている」
そんな偏見の元、杏はニィッと口角を上げる。
そして片手を神殿の方へかざすと、圧倒的な炎を手のひらに集める。収束させ、圧縮し、収束させ、圧縮し。
手のひらの前に恒星のごとく白く輝いた炎の球体が現れた。
杏はそれを握りしめる。すると白炎の球体は一筋の白炎へと姿を変え、杏はそれを槍投げ選手のように振りかぶる。
「ハァッ!」
そして杏は一筋の白炎としたそれを、神殿に向かって投擲した。
豪速で放たれた一筋の白炎は残像を残しながら、一秒、二秒……数十秒後、神殿に着弾した。
「よし」
杏のガッツポーズとともに、燦然と輝く光が天界を染め上げる。神殿に着弾した一筋の白炎が爆発したのだ。
だがしかし、爆発音は響かない。
爆発したそれは、大きな白炎へと変わり、膨れ上がる。神殿はもちろん、周囲のあらゆる全てを飲み込む。
そして数秒後、何事もなかったかのように消え去った。静寂だけが残った。
「……何もないな」
後欠片も残らず消え去った神殿の跡地を見ながら、杏はポツリと呟く。ただ、遠目だけでの判断では確度は低いので、トッと跳躍し爆炎を足元で放ちながら、高速で神殿の跡地へ移動する。
≪直観≫と己の感覚、経験による警戒を怠ることなく、杏は神殿の跡地に着地した。
「……やはり何もない――」
慎重に見渡し、敵の痕跡がないと判断した杏が、もう一度≪直観≫で敵の位置を大まかに探ろうとしたとき、
『品がないお嬢さん』
「ッ!」
杏の目の前に一匹のハエが現れた。杏は反射的にそれを炎で焼き尽くす。
しかし、意味はない。
『礼儀がなっていない。天使たる私奴を尋ねるときは、まずは畏み厳かに礼をすべきでしょうに』
無数のハエがどこからともなく湧き出てきた。羽音が声となって響く。
無数のハエに杏は思わず顔をしかめる。虫は嫌いではないが、ハエが目の前で集まっているのには、流石に寒気が走る。
ただ、杏はそれでも冷静を保つ。≪直観≫で燃やしても意味がないと感じ取り、様子を探るために言葉を返す。
「……だから礼をしただろ? 人でなしに尋ねるときはそれで十分だ」
『それは失礼した。あなたに礼儀を求めた私奴が悪かった。許しましょう』
紳士的な男性の声。普通の人間が響かせれば、イケボと言われるかもしれないそれは、しかし嫌悪感しか感じない。
甘ったるくグジグジと腐ったような声だ。
目の前に無数のハエがいるからそう思うのか、それとも元々そんな声なのか。
まぁ、どちらにせよ。
「見つけたぞ」
僅かばかりの会話の間に、杏は数百以上の≪直観≫を行使した。郭やティーガンから教えてもらった知識を頼りに声の主が誰であるかを特定をし、次に目の前にハエから声の主の居場所を特定する。
どこにいるか? という問をより詳しく細分化し、全てに正誤をつけて消去法で割り出した。
「シッ」
杏は大剣を上段に構え、無数のハエの大群へ振り下ろした。大剣から炎が吹き出し、渦巻き、ハエたちを閉じ込める。
燃やし尽くすと、そのまま杏は右足を軸に回転。大剣を回す。
遠心力に逆らうことなく左足を右手側に踏み出し、踏み込むと今度は左足を軸に回転。
≪白焔≫を纏わせた大剣を虚空へ薙ぐ。
ガキンッと音が響いた。結界によって大剣が阻まれたのだ。
そして結界が揺らめき、巨大な黒のウジ虫が杏の目の前に現れた。先ほどの神殿を丸呑みにできるほど巨大なウジ虫だ。
黒のウジ虫の口と思しき場所が開く。果実が腐ったような甘ったるい臭いを放つ瘴気が流れ出す。
「チィッ!」
その瘴気とともに、無数のウジ虫が這い出てきた。杏はあまりの悍ましさに鳥肌を立たせながらその場を飛びのく。
「気持ち悪いっ!」
杏は嫌悪感を隠そうともせず、紅蓮の炎を這い出てきたウジ虫に向けて放つ。しかし、数が多すぎて燃やし尽くすことができない。
火力を上げようにも、甘ったるい臭いの瘴気が魔力を減衰させているらしく、一定以上の火力を出せない。
仕方なく、杏は数十メートルほど距離を取る。
「ッ」
冷や汗を垂らす。
動けない。動いてはならない。
≪直観≫が、経験が、そう伝える。動けば、悪手だと。
キッと蒼炎の瞳を細め、大剣の柄を握り構え、魔力を練り上げる。≪直観≫で急襲を警戒し、極限に集中する。
目の前の光景を睨む。
巨大な黒のウジ虫から這い出てきたウジ虫は、うねうねと這いずり回り徐々に床らしくものを創っていく。
蠢くウジ虫の床は段差をいくつもつくり、やがてその頂点らしき場所にウジ虫の玉座を創り出す。全てがウジ虫だけで作られている。
吐き気を催すその光景に杏は僅かに顔をしかめる。
その時、
『今度は行儀がよいですね』
無数に集まったハエが巨大な黒のウジ虫の口から現れ、ウジ虫の玉座の前をサーっと通る。
次の瞬間、
「褒めて差し上げましょう」
「なら、死んでくれッ!」
法衣にも似た漆黒の紳士服を纏った白髪の中年が玉座に座っていた。
グジュグジュ腐ったような液体が入っているワイングラスを片手に持ち、優雅に膝を組んで座っている。
深緑が混じった茶色の瞳。目元のウジ虫らしき刺青が歪んでいる。無造作に伸ばされた髪には、手のひらサイズのハエの翅が飾ってある。
背中には三対六翼のハエの翅が生えていた。
ワイングラスに入っていた形容しがたい液体で唇を湿らせた中年が、口をゆっくりと開く。嫌悪感しか感じない声を響かせる。
「ようこそ、天界の最上へ。私奴の名はベルゼブブ。天界を支配する王の――」
「御託などどうでもいいッッ!!」
中年――ベルゼブブの言葉を遮り、杏は≪灼熱≫で火炎弾を放つ。≪直観≫で常にタイミングを図っていたのだ。
しかし、
「先ほどの嗟嘆は取り消しましょう、サル」
「こちらもお前の褒めなぞ願い下げだッッッ!!!」
床のウジ虫が触手のように伸び、火炎弾を防ぐ。表面のウジ虫は燃えるが、直ぐに他のウジ虫が喰らう。
杏は止まらない。
「〝紅炎解放〟!」
祈力による第一昇華、〝紅炎解放〟を叫ぶと、自身を一条の炎と化し、〝焔転〟する。
現るは優雅に玉座に座るベルゼブブの背後。
「後ろを取るとは、失礼極まりない」
「貴様に弁える礼など一切ないッ!!」
背後を振り返ることもなくベルゼブブは、ウジ虫が連なった触手を杏へ伸ばす。
杏は全身を炎で猛らせ、触手のウジ虫を全て焼却。それどころか、玉座のウジ虫も床のウジ虫へ紅蓮の炎を放つ。ベルゼブブさえも飲み込む。
だが、しかし、一言呟かれる。
「喰らえ」
「ッ!!」
地面から巨大なウジ虫の口が現れる。杏は〝焔転〟でその場を飛び退く。
地面から現れた巨大なウジ虫は、ベルゼブブも含め、燃え上がる全てを飲み込む。
そして数秒後、その巨大なウジ虫はホロホロと灰となって崩壊し、中からウジ虫の玉座に座ったベルゼブブが現れた。
次の瞬間、
「ッ!!??」
四方八方。
足元、頭上、左右前面背後から、巨大なウジ虫が転移の如く現れ、杏に襲い掛かる。
≪直観≫の警戒すらすり抜けて急襲してきた巨大なウジ虫に杏は驚愕しながらも、直ぐに≪灼熱≫と≪白焔≫を圧縮した白炎の球体を頭上へ放つ。
同時に、〝焔転〟を発動し、ウジ虫が消え去った頭上から脱出する。
「さて、フルコースの始まりです」
「天使かッッ!!」
ベルゼブブが手をすり合わせながらそういえば、数千の数の天使が杏の周囲に現れる。ベルゼブブが転移で呼び寄せたのだろう。
それらの天使が同時に純白の翼を羽ばたかせる。
天使の羽が散ると同時に、天の裁きと錯覚するほどの無数の閃光が杏に向かって放たれる。光線の檻だ。
「クッ」
杏は灼熱の炎を大剣に纏わせ、光線の格子を切り裂こうとするが、流石に数千を超えているため間に合わない。
光線が着弾する直前で、身体を炎と化し物理的には透過させるが、魂魄にもダメージがあるらしい。
対混沌の妄執魔法外装の魂魄防御を突破して、杏の魂魄を削ってくる。
杏は耐える。魔力と祈力を練り上げる。
光線の檻が消えた。
「〝蒼焔解放〟ッッッ!!!」
杏の身体から蒼炎が噴き上げる。
祈力による第二昇華を発動した杏は、先ほどとは段違いの〝焔転〟を持って周囲にいた天使数十体を一瞬で切り刻む。
血しぶきを上げた天使たちの血肉は、地に落ち、そしてウジ虫たちが群がり直ぐに消え去る。
それを傍目に杏は身体から噴き上げる蒼炎を切り離し、いくつもの球体を作り上げていく。
蒼炎の〝焔星〟だ。
数十にも上る〝焔星〟を、一気に展開する。仲間が一瞬で切り刻まれたことにより動揺する天使たちの蒼炎の熱線で焼き払っていく。
天使たちは慌てて〝焔星〟に対処しようとする。
だから、天使たちの意識が杏から逸れた。
杏は悠然と玉座に座っているベルゼブブへ〝焔転〟する。圧縮した蒼炎を大剣に纏わせ、ベルゼブブに振り下ろす。
「燃えろッッッ!!」
「最後のオードブルが残っていますよ」
だが、杏が斬ったのはベルゼブブではなく天使。ベルゼブブが〝焔星〟によって死んだ天使を盾に使ったのだ。
そのままベルゼブブは玉座と床のウジ虫に包まれ、一瞬で遠くへ移動する。
追おうにも、
「ベルゼブブ様に何をしているッ!!」
「死にさらせッッッ!!」
〝焔星〟による熱線を潜り抜けた天使たちが杏を囲う。
しかも、いつの間にか天使たちは深緑混じりの茶色の光を纏っていた。先ほどまでとは桁違いの存在感を放っていた。
ベルゼブブが手をすり合わせながら、朗々と言う。
「次はスープでございます」
古参の吸血鬼を超える存在感を放つ天使たちが、音の壁を余裕で突破して杏に迫る。
魂魄だけを切り裂く光の剣を杏へ振り下ろす。あらゆる防御を透過する攻撃。
≪直観≫でその攻撃を見抜いた杏は高速で思考を回転させていく。
(回避するより、防御する方が消費が少ないッッ!!)
痛みを耐える精神的消耗を無視してそう判断した杏は、肉を切らせて骨を切る精神で大剣を横薙ぎに振ろうとして、
「いえ、もうシャーベットの時間よ」
杏に襲い掛かろうとしていた天使たちが全て凍り付いた。
======================================
公開可能情報
フルコース:西洋料理の一連の料理。一般にオードブルで始まり、スープ、魚料理、肉料理(ロースト以外)、ソルベ、ローストの肉料理、サラダ、甘味・果物、コーヒーの順で出される。ただし、デザートの前にチーズが入ったり、肉料理が一回など、場合によりけり。
〝蒼焔解放〟:祈力による第二昇華。滅茶苦茶強くなる。
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