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第二部 七章:四日間
十五話 破邪剣改造
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「だが、安心しろ。今回の件で分かる通り破邪剣は厄介な代物でしかない。高々、魔物を滅するのに特化した剣を持っているだけで、魔人たちがうじゃうじゃと湧いて襲ってくる。というか、魔人だけじゃなくて本能的に悟っているのか魔物も湧いてくる。厄介でしかない」
女神が授けた剣だというのに何て言い草なんだろう。
ウォーリアズ王国の辺境伯であるエーレがそう言うのは良いのだろうかと思ってしまう。
「で、面倒なので我が持つ破邪剣は破邪剣では無くしてしまった。我の三世代前、つまり我の曾お爺様の時なのだが」
「んなぁ!」
ライゼはシアンさんから渡された白パンをちぎりながら素っ頓狂な声を上げてしまった。パンが皿に落ちる。
ついでに、俺もびっくりして無視する様に見ていなかったエーレを思わず見てしまった。尻尾をダンっと動かしてしまった。
「ハハ、ライゼ殿ならず、ヘルメス殿も驚くとは、これは面白い」
そしてエーレは快闊に笑い声をあげた。
俺はしまったと思った。ライゼは一瞬だけ、恥ずかしそうに目を伏せた後、少しだけ首を傾げた。
「……ヘルメスはトカゲですよ?」
「よいよい、我はヘルメス殿が高い知性を持ち、我の言葉を理解していることを知っている」
ライゼがバッと俺の方を見る。
俺は、プイッとそっぽを向いた。話のを忘れてた。報連相はしっかりしろとレーラーに言われてたのに、やべ。
『ヘルメス、どういう事かな?』
『どうもこうもない。お前があの時倒れた後、安全を確保するためにある程度の意思疎通は必要だったんだ。後、エーレは俺が知性を持っていることは知っているが、〝思念を伝える魔法〟は知らないはずだ。直感とかそういう理不尽が泣ければ』
『……まぁ、分かったよ』
そんな会話を寸瞬の間に行い、ライゼは直ぐにエーレの方へ向いた。
また、シアンの方をチラリと見たが、まぁ大丈夫だろうと頷いた。そもそも子鬼人であるライゼと辺境伯のエーレが同じ席に着くこと自体無礼というか恥に値する。それを見せているのだから、シアンというメイドはそうとう信頼できるのだろう。
「……ちょっとヘルメスは特別な種なのです」
「うむ。詳しくは聞かん。それより、続きを話すが良いか?」
「はい、お願いします」
ライゼはホークとナイフでお肉を上品に切りながら、それを切り分けた白パンの上に乗せて食べる。
水が入ったガラスのコップをあおる。
エーレはそんなライゼの様子に対して目くじらを立てる事もなく、淡々と話を進める。
「うむ。でだ、この破邪剣は本来の力を別のものへと変換したため、本来の力はもうない。つまり、この破邪剣を奪ったところで勇者の剣は破壊できん。それを知った数匹の魔人は情報拡散のために逃がしたから、たぶん我が領地が襲われることはもうないだろう」
その内の一匹をライゼが殺した気がするが、黙っておいた方がいいだろう。
「……あの、どうやって女神様が宿した力を弄ったのですか?」
「そもそも我が領地は、百数年前くらいに冒険者だった曾お爺様が魔物の大侵攻を食い止め、被害を防いだ功績としてウォーリアズ国王に賜ったのだが、その際曾お爺様は破邪剣を己の相棒として使っていたらしい。どうやって手に入れたかは知らないが」
勇者の話は神話の話に近い。
流れ流れて、どこかの人族の手に渡る事もおかしくはないだろう。破邪剣に関する情報を伝達できないらしいし。
「で、曾お爺様は何というか、頭がおかしかったのだろう。領地経営が面倒臭くて、万全に使えないような力を持つ破邪剣を弄って領地経営の手助けにするようにとある森人の魔法使いに頼んだらしい。女神様から授かった剣を弄るという発想が思い浮かぶ当たり、そうとう変だったのだろう」
「あの、それって次期領主を決めるための……」
ライゼは少しだけ上目遣いで訊ねる。
エーレは大雑把に頷く。
「うむ、そうだ。それにそれだけじゃない。魔物が入りにくい結界を張ったり、他にも士気を高める能力に変換したらしい。その変換した森人の魔法使いは女神の力に干渉できるくらいには力があったらしいが、それでも変換時にロスが出たらしくてな。最大の出力は下がっておる」
「……サポート側に能力を振ったってことですか」
「そういう事だの」
……ライゼは幾つかの疑問を解消しながらも、少しだけ眉を顰めている。
俺も同じ思いだ。
「……あの、その森人の名前ってわかりますか?」
「いや、分からん。どうも曾お爺様の知り合いだったらしいのだが、本人が名前を知られたくないといって黙っていたらしい。ただ、とても寝相が悪くて寝起きも悪い森人というどうでも良い情報は残っているな」
「……そうですか」
ライゼは更に眉を顰める。それどころか、唇もおかしな感じに曲げ、腕を組む。
俺もチロチロと舌を出しながら、首を捻る。
何か一人だけ思い辺りがあるんだよな。
まぁ、いいか。
「まぁ、話は逸れたが、魔人がこの領地を襲った経緯はこんな感じだな。魔人たちに壊された街道や封鎖された街道が解放されたらしいから、あと数日で王国軍から援助が来るだろう。たっぷりと搾り取って我が領地の再建をするつもりだ」
「情報、感謝いたします。それで私はどういった扱いになっているのですのか?」
軽食を食べ終わったライゼは、出されたタオルで口を拭いた後背筋を伸ばしてエーレの方を見た。
シアンが自然にライゼの邪魔にならないように、お皿などを下げていく。
女神が授けた剣だというのに何て言い草なんだろう。
ウォーリアズ王国の辺境伯であるエーレがそう言うのは良いのだろうかと思ってしまう。
「で、面倒なので我が持つ破邪剣は破邪剣では無くしてしまった。我の三世代前、つまり我の曾お爺様の時なのだが」
「んなぁ!」
ライゼはシアンさんから渡された白パンをちぎりながら素っ頓狂な声を上げてしまった。パンが皿に落ちる。
ついでに、俺もびっくりして無視する様に見ていなかったエーレを思わず見てしまった。尻尾をダンっと動かしてしまった。
「ハハ、ライゼ殿ならず、ヘルメス殿も驚くとは、これは面白い」
そしてエーレは快闊に笑い声をあげた。
俺はしまったと思った。ライゼは一瞬だけ、恥ずかしそうに目を伏せた後、少しだけ首を傾げた。
「……ヘルメスはトカゲですよ?」
「よいよい、我はヘルメス殿が高い知性を持ち、我の言葉を理解していることを知っている」
ライゼがバッと俺の方を見る。
俺は、プイッとそっぽを向いた。話のを忘れてた。報連相はしっかりしろとレーラーに言われてたのに、やべ。
『ヘルメス、どういう事かな?』
『どうもこうもない。お前があの時倒れた後、安全を確保するためにある程度の意思疎通は必要だったんだ。後、エーレは俺が知性を持っていることは知っているが、〝思念を伝える魔法〟は知らないはずだ。直感とかそういう理不尽が泣ければ』
『……まぁ、分かったよ』
そんな会話を寸瞬の間に行い、ライゼは直ぐにエーレの方へ向いた。
また、シアンの方をチラリと見たが、まぁ大丈夫だろうと頷いた。そもそも子鬼人であるライゼと辺境伯のエーレが同じ席に着くこと自体無礼というか恥に値する。それを見せているのだから、シアンというメイドはそうとう信頼できるのだろう。
「……ちょっとヘルメスは特別な種なのです」
「うむ。詳しくは聞かん。それより、続きを話すが良いか?」
「はい、お願いします」
ライゼはホークとナイフでお肉を上品に切りながら、それを切り分けた白パンの上に乗せて食べる。
水が入ったガラスのコップをあおる。
エーレはそんなライゼの様子に対して目くじらを立てる事もなく、淡々と話を進める。
「うむ。でだ、この破邪剣は本来の力を別のものへと変換したため、本来の力はもうない。つまり、この破邪剣を奪ったところで勇者の剣は破壊できん。それを知った数匹の魔人は情報拡散のために逃がしたから、たぶん我が領地が襲われることはもうないだろう」
その内の一匹をライゼが殺した気がするが、黙っておいた方がいいだろう。
「……あの、どうやって女神様が宿した力を弄ったのですか?」
「そもそも我が領地は、百数年前くらいに冒険者だった曾お爺様が魔物の大侵攻を食い止め、被害を防いだ功績としてウォーリアズ国王に賜ったのだが、その際曾お爺様は破邪剣を己の相棒として使っていたらしい。どうやって手に入れたかは知らないが」
勇者の話は神話の話に近い。
流れ流れて、どこかの人族の手に渡る事もおかしくはないだろう。破邪剣に関する情報を伝達できないらしいし。
「で、曾お爺様は何というか、頭がおかしかったのだろう。領地経営が面倒臭くて、万全に使えないような力を持つ破邪剣を弄って領地経営の手助けにするようにとある森人の魔法使いに頼んだらしい。女神様から授かった剣を弄るという発想が思い浮かぶ当たり、そうとう変だったのだろう」
「あの、それって次期領主を決めるための……」
ライゼは少しだけ上目遣いで訊ねる。
エーレは大雑把に頷く。
「うむ、そうだ。それにそれだけじゃない。魔物が入りにくい結界を張ったり、他にも士気を高める能力に変換したらしい。その変換した森人の魔法使いは女神の力に干渉できるくらいには力があったらしいが、それでも変換時にロスが出たらしくてな。最大の出力は下がっておる」
「……サポート側に能力を振ったってことですか」
「そういう事だの」
……ライゼは幾つかの疑問を解消しながらも、少しだけ眉を顰めている。
俺も同じ思いだ。
「……あの、その森人の名前ってわかりますか?」
「いや、分からん。どうも曾お爺様の知り合いだったらしいのだが、本人が名前を知られたくないといって黙っていたらしい。ただ、とても寝相が悪くて寝起きも悪い森人というどうでも良い情報は残っているな」
「……そうですか」
ライゼは更に眉を顰める。それどころか、唇もおかしな感じに曲げ、腕を組む。
俺もチロチロと舌を出しながら、首を捻る。
何か一人だけ思い辺りがあるんだよな。
まぁ、いいか。
「まぁ、話は逸れたが、魔人がこの領地を襲った経緯はこんな感じだな。魔人たちに壊された街道や封鎖された街道が解放されたらしいから、あと数日で王国軍から援助が来るだろう。たっぷりと搾り取って我が領地の再建をするつもりだ」
「情報、感謝いたします。それで私はどういった扱いになっているのですのか?」
軽食を食べ終わったライゼは、出されたタオルで口を拭いた後背筋を伸ばしてエーレの方を見た。
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