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第一部 序章:羽搏くのはあなただけ
五話 城壁内
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うん。町中の見た目はこれまたテンプレの中世ヨーロッパの街並みに近い。違うところと言えば、家々の壁が真っ白であること。色合いだけは地中海っぽい。
そうして、歩いている男の子の肩に乗りながら街並みを眺めていたのだが、男の子がある大きな建物の前で止まった。その建物は窓枠を見る限り四階建てである。
それにしても、窓はそこまで透明ではないな。分厚くて濁っている。ガラスの製造技術はそこまで高くないらしい。まぁ、ワザとそうしているかもしれないのでハッキリとは分からないが。
そして、俺がその建物を観察していたら、男の子が大きな扉を開けて建物の中に入った。
喧騒が響く。
おお! これは冒険者ギルドというやつではないか。大剣を背中に携えて、上半身をほぼ覆わない金属プレートを身に付けていたり、盗賊っぽい恰好をしていたりしている。
また、魔法使いらしいローブと魔女帽子というべき鍔の広い三角帽子を身に着けている女性やシスター服の女性がいる。
うん、素晴らしい
ただ、俺は自分で動いているわけではなく、男の子の肩に乗って移動している。なので、直ぐにそれらは見えなくなった。
男の子が移動したのだ。
移動先はその建物の一階奥。広いエントランスから伸びていた細い木製の廊下を足音をたてずに、しかし、早歩きで進んでいく。そして、とある扉の前に止まって開く。
「がkらがからkrじゃkら」
そこはおっさんと小さなカウンターだけがあった。
男の子はそこへ向かい、近くにあった木箱を足台にしてそのおっさんと話す。それから魔力を放出して小さなポーチを取り出し、魔草をおっさんへと渡す。
おっさんはそれを丁寧に数えながら仕分けして、数分後、男の子に二言いった後、小さな銀色の貨幣を二枚、男の子に渡した。
おっさんの顔を窺う限りだと、優しい目と声音で男の子にその銀貨を渡していた。うん、子供が働いてるからこき働かされているのかと思ったけど、違うようだ。
たぶん。おっさんが営業スマイルをしている可能性も十分あるので断定は一切できない。
それから、男の子はその銀貨を再び小さなポーチへ入れて、ポーチを消した後、木箱から降りておっさんに一礼した。そしてそこから出て行った。
その後、男の子は、冒険者っぽい人たちになるべく迷惑にかからないように歩きながら建物から出て、今度は北方面へ向かっていった。
そこは住宅街だろうか。
美味しいご飯の匂いがする。ああ、文明的な匂いである。俺が食っていた生の虫や草とは違う火による文明の匂いがする。
男の子はそんな住宅街を十分近く歩く。所々で裏路地に入ったりしていて、ここの住宅街は結構複雑怪奇である。最初はシンプルだったが、増設に増設を重ねたって感じだ。
だが、ゴミなどは全く落ちてなく、綺麗であった。現代の地球のヨーロッパでも結構汚いのだが。
ここは綺麗好きの町なのだろうか。
そうして、男の子は十分近く歩いた後、とある店の前で止まる。匂いからするにパン屋さんだろうか。前世の家の近くにあったパン屋さんから漂うパンの匂いと同じ匂いがする。
ブラックな会社に行くときの唯一の楽しみがその匂いを楽しむことだったな、とふと思い出した。匂いは記憶と綿密に繋がっていたりする。
男の子は少しジャンプしてその店のドアノブを下げて、ドアを開く。
さらに、パンのいい香りがする。
「駆られあrらあrじゃr」
「あれら英稲荒jkえ」
男の子は慣れた足取りでカウンターに行き、ローブの懐から大きな銅貨を十二枚、取り出した。大きいと判断したのはさっきよりも小さな銀貨よりも二回りほど大きかったからだ。
そして男の子はカウンターにいる髭を蓄えたおっさんにその大銅貨を渡す。髭を蓄えたおっさんはそれを丁寧に数えた後、屈みこみ、そして男の子に黒いパンを渡した。
男の子はそれを受け取って両手に抱える。それから髭を蓄えたおっさんに元気の声を発した後、ドアの方へと行き、ジャンプしてドアノブを下げて、ドアを開きパン屋さんから出て行った。
そして男の子は今度は東側へ行く。
と、東側にはひときわ目立つ建物があった。
お城だ。
これでもかというくらいのファンタジー感がある白亜のお城があった。
だが、男の子はそれに頓着することなく駆け足で石畳の町を早歩きで移動する。男の子には見慣れた場所だから当たり前なんだが、感傷に浸りたい。
だけど、男の子から離れるのは何となく嫌なので、感傷に浸ることは諦める。そうなんだよな。何か、縁というか何というか、第一村人という事もあって、男の子に愛着が湧いているのか、離れようとは思えないんだよな。
まぁ、俺は不老らしいし。寄り道ぐらい問題ない。
と、そんな事を思っていたら、男の子が小さな家の前で止まった。
そして男の子の家なのかと思うほど、ドアノブが下にある扉を男の子は開き、家の中へ入っていった。
「彼ら毛ええrkヴぇ」
そして大きく叫ぶと、中から老人が出てきた。禿げていて、そのくせ灰の髭をたっぷりと蓄えた老人が出てきたのだ。
その老人は男の子を見て、微笑むと手招きする。
男の子はその手招きに従って老人の後について行き、そして机がある部屋についた。机の上には若干塩気の匂いが感じるスープが置いてあった。
なるほど、男の子はパンを朝食のためのパンを買っていたのか。
たぶん、そうなのだろう。
そして、男の子は大事そうに両手に抱えていた黒パンを机の上に置いた後、ローブを脱いだ。
俺は上手い具合に動いて、ローブから男の子の服へと乗り移る。うん、“隠密”のお陰かバレていないな。
そして男の子と老人は食卓について食事を始めた。
そうして、歩いている男の子の肩に乗りながら街並みを眺めていたのだが、男の子がある大きな建物の前で止まった。その建物は窓枠を見る限り四階建てである。
それにしても、窓はそこまで透明ではないな。分厚くて濁っている。ガラスの製造技術はそこまで高くないらしい。まぁ、ワザとそうしているかもしれないのでハッキリとは分からないが。
そして、俺がその建物を観察していたら、男の子が大きな扉を開けて建物の中に入った。
喧騒が響く。
おお! これは冒険者ギルドというやつではないか。大剣を背中に携えて、上半身をほぼ覆わない金属プレートを身に付けていたり、盗賊っぽい恰好をしていたりしている。
また、魔法使いらしいローブと魔女帽子というべき鍔の広い三角帽子を身に着けている女性やシスター服の女性がいる。
うん、素晴らしい
ただ、俺は自分で動いているわけではなく、男の子の肩に乗って移動している。なので、直ぐにそれらは見えなくなった。
男の子が移動したのだ。
移動先はその建物の一階奥。広いエントランスから伸びていた細い木製の廊下を足音をたてずに、しかし、早歩きで進んでいく。そして、とある扉の前に止まって開く。
「がkらがからkrじゃkら」
そこはおっさんと小さなカウンターだけがあった。
男の子はそこへ向かい、近くにあった木箱を足台にしてそのおっさんと話す。それから魔力を放出して小さなポーチを取り出し、魔草をおっさんへと渡す。
おっさんはそれを丁寧に数えながら仕分けして、数分後、男の子に二言いった後、小さな銀色の貨幣を二枚、男の子に渡した。
おっさんの顔を窺う限りだと、優しい目と声音で男の子にその銀貨を渡していた。うん、子供が働いてるからこき働かされているのかと思ったけど、違うようだ。
たぶん。おっさんが営業スマイルをしている可能性も十分あるので断定は一切できない。
それから、男の子はその銀貨を再び小さなポーチへ入れて、ポーチを消した後、木箱から降りておっさんに一礼した。そしてそこから出て行った。
その後、男の子は、冒険者っぽい人たちになるべく迷惑にかからないように歩きながら建物から出て、今度は北方面へ向かっていった。
そこは住宅街だろうか。
美味しいご飯の匂いがする。ああ、文明的な匂いである。俺が食っていた生の虫や草とは違う火による文明の匂いがする。
男の子はそんな住宅街を十分近く歩く。所々で裏路地に入ったりしていて、ここの住宅街は結構複雑怪奇である。最初はシンプルだったが、増設に増設を重ねたって感じだ。
だが、ゴミなどは全く落ちてなく、綺麗であった。現代の地球のヨーロッパでも結構汚いのだが。
ここは綺麗好きの町なのだろうか。
そうして、男の子は十分近く歩いた後、とある店の前で止まる。匂いからするにパン屋さんだろうか。前世の家の近くにあったパン屋さんから漂うパンの匂いと同じ匂いがする。
ブラックな会社に行くときの唯一の楽しみがその匂いを楽しむことだったな、とふと思い出した。匂いは記憶と綿密に繋がっていたりする。
男の子は少しジャンプしてその店のドアノブを下げて、ドアを開く。
さらに、パンのいい香りがする。
「駆られあrらあrじゃr」
「あれら英稲荒jkえ」
男の子は慣れた足取りでカウンターに行き、ローブの懐から大きな銅貨を十二枚、取り出した。大きいと判断したのはさっきよりも小さな銀貨よりも二回りほど大きかったからだ。
そして男の子はカウンターにいる髭を蓄えたおっさんにその大銅貨を渡す。髭を蓄えたおっさんはそれを丁寧に数えた後、屈みこみ、そして男の子に黒いパンを渡した。
男の子はそれを受け取って両手に抱える。それから髭を蓄えたおっさんに元気の声を発した後、ドアの方へと行き、ジャンプしてドアノブを下げて、ドアを開きパン屋さんから出て行った。
そして男の子は今度は東側へ行く。
と、東側にはひときわ目立つ建物があった。
お城だ。
これでもかというくらいのファンタジー感がある白亜のお城があった。
だが、男の子はそれに頓着することなく駆け足で石畳の町を早歩きで移動する。男の子には見慣れた場所だから当たり前なんだが、感傷に浸りたい。
だけど、男の子から離れるのは何となく嫌なので、感傷に浸ることは諦める。そうなんだよな。何か、縁というか何というか、第一村人という事もあって、男の子に愛着が湧いているのか、離れようとは思えないんだよな。
まぁ、俺は不老らしいし。寄り道ぐらい問題ない。
と、そんな事を思っていたら、男の子が小さな家の前で止まった。
そして男の子の家なのかと思うほど、ドアノブが下にある扉を男の子は開き、家の中へ入っていった。
「彼ら毛ええrkヴぇ」
そして大きく叫ぶと、中から老人が出てきた。禿げていて、そのくせ灰の髭をたっぷりと蓄えた老人が出てきたのだ。
その老人は男の子を見て、微笑むと手招きする。
男の子はその手招きに従って老人の後について行き、そして机がある部屋についた。机の上には若干塩気の匂いが感じるスープが置いてあった。
なるほど、男の子はパンを朝食のためのパンを買っていたのか。
たぶん、そうなのだろう。
そして、男の子は大事そうに両手に抱えていた黒パンを机の上に置いた後、ローブを脱いだ。
俺は上手い具合に動いて、ローブから男の子の服へと乗り移る。うん、“隠密”のお陰かバレていないな。
そして男の子と老人は食卓について食事を始めた。
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