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1st EPISODE::星の少ない街を王女は駆けるが悩みは尽きない
GO TO HEAVEN
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ミコが呆然としている間にクルマは大通りから脇の小道へ、で、大通りへまた戻り急カーブしUターン、また小道から小道へ。
そんな風に繰り返す。
「ってかマジでよく眠れる…」
「お兄様にとってはなんてことないことですから」
「あっ…そう…ですか……あの、なんでヘブンに?」
「おやすみにならないのであれば順を追って説明を少々しましょうか?」
「え? いま!? この状況で!?」
「ええ」
不思議そうにミコを見つめ返すカノン。
このオンナも相当に麻痺している。
会話するのもままならない状況で説明とは…それでも早く聞きたいという気持ちもミコにはあった。
わけも分からず見知らぬ人のクルマで、ヘブンと呼ばれる悪名高い街へ連れていかれるってそれもう拉致被害と同じだから、と。
いろいろな諸事情で犯罪件数の多いこの街の中でもその割合を大きく占めるのが、へブンだから。
「わ、わかった。じゃあお願い」
「はい」
ギュギュギュっ。左への急カーブ。シートに押し付けられる身体。
「ミコ様は、ロザリアと呼ばれる世界において絶対的に君臨する王家筋、つまり王女であるという話は先程一緒にいた、スカしたナルシズムだけが取り柄の男に聞かされましたね」
「は? ええ、はい」
聞かされてはいるがミコ自身理解しているわけではない。
話が荒唐無稽すぎてどう答えていいかさえわからない。
「ろ、ロザリアって…なに? なんか上位世界とか言ってたけど……何がなにやら」
「この世界と繋がっている数多の異なる世界、異世界の者達はそれを総称してマルチヴァースとか多元界などと呼びますが、それを統治している、と思い込んでいる上位世界です」
カノンは即答して時計を見た。
0時28分。
そしてすぐにミコに視線を移す。
「記憶は、まだ戻らないのですね。
時間差があるのか……まあいいでしょう」
ため息混じり。
何か残念そうな雰囲気。
勝手に落胆されても……と胸の奥がキリキリっと痛むミコ。
「前方、犬です! いやオオカミか……? でかい」
運転手が叫ぶ。
フロントガラスの向こう側。
確かに犬らしきモノが向かってきている。
そして、デカイ。見る見る近づいてきて目前で飛び上がる犬。
一瞬見えたその姿は2メートルはありそうだった。
「……普通の犬ではなさそうですね」
カノンが小さく呟くとクルマの上部で爆音のような音。
犬が上に乗っている。
蛇行しながら猛スピードで走る車上に乗ってるだけでも凄いのに攻撃を加えてきている。
カノンがゆっくりとウインドウを開ける。
ドレスの裾を捲し上げると太ももにピストル。
峰不二子的なアレ。
「え……えええ……!?」
驚愕と恐怖で青ざめるミコ。
お構いなしにカノンは窓の外に上半身を投げ出し車上へと発泡。
もう街中でこれは立派な事件です! アワアワとなるミコ。
「落ち着いてください。ミコ様。すぐ済むので、話の続きが気になるでしょうが」
「いやいやそんなんいまいいからーー!」
「え? いいんですか? 続き、気にならないのですか?」
「そうゆうい……」
ミコが蒼白になってツッコミいれようとした矢先にカノンに巨大な犬が襲いかかる。
牙を剥いて大口。深緑色のヨダレを撒き散らす。
噛まれたら骨まで砕けそう。そして噛まれているカノン。
「いやああああああ~~!」
ミコの叫びに混じって鈍く低い金属音。
後ろに吹き飛んでいく犬の影。
カノンが犬がの口の中に手を突っ込んだまま発泡。見事に吹き飛ばした。
腕に少々傷。流れる血は気にしない。
「ジタバタと動き回る犬をおとなしくさせるなら噛ませるのが一番です。覚えておいてくださいね」
拳銃を直しながらしれっと言うカノン。
――いやいや覚えといても使う時ないでしょ!? てかそんな時は来て欲しくないです!
と、ミコはガクガク震えている。
なにこれ? 映画の撮影?
「まずいっすね。犬、増えました。追ってきます」
振り返ると猛スピードで犬が三匹走ってきている。
さっきと同じぐらいの大きさ。
もう追いつかれそうだ。
その時、一匹が跳ね上がりそのまま空中で変化する。
ヒトガタへ。まさに人の形。頭部は犬のままだけど、それもゆっくり人の顔へと。
「んなあああああ~~」
ミコが変な声を発して窓に頭をぶつける。
ヒトガタになった犬はガッチリとドアを掴んでいる。
「振り落とせます?」
カノンは冷静だ。運転席からの返答は……
「穴です!」
運転席から声がカットイン。まったく関係ない答え。
「穴……?」
目を若干細めてカノンは前方を凝視した。
ヘッドライトに照らされるアスファルト。
前を走るクルマもなく、周りのビルとか閉まったショップのライト、街灯が煌めいている。
いやいやいやいやいやいや穴ってなんだよぉぉ!
激しく揺れる車内で頭を抱えるミコ。
犬の次は穴!?
この街の道路に穴!?
まあもっと言えば今日はずっと深い穴に落ちていってるような気分だ、ミコ。
まだ落ちてる。落ち続けてる。一体どこまで深い穴なのか・・・一瞬妄想にふけりそうになるが、
ーーリアルを見よう。穴だ。穴なんだ。
もうこの世界は自分の知る世界とすでに違っているのかもしれないと若干の戸惑いを見せながら
その穴へとまっしぐらに、フルスロットルで、突き進んでいくだけ。
それにしても・・・穴?
その穴はどこに? と同じように凝視していたミコは不思議に思う。
見通しはいい。どこにも穴なんか……と思った瞬間、前方に黒く澱んだ球体に深い紫の光がバチバチとスパークするように点滅している。
さらによく見るとその球体から両側に伸びるようにしてでている……脚? どデカい人の脚?
いやしかしゆうに10メートルはある。
なんのモニュメントだ。
クルマが近づくにつれ球体の上に鈍く照らされて女体のようなものが。
巨乳だ。柔肌に2つぽっこりと山のように。
つまりはそのまんま女体。
深夜の大通りの真ん中に巨大な女体。
ビルの谷間に巨大な女体。裸、巨乳だ。
その股の部分が……穴だ。
もう目眩しかしない。
そんな風に繰り返す。
「ってかマジでよく眠れる…」
「お兄様にとってはなんてことないことですから」
「あっ…そう…ですか……あの、なんでヘブンに?」
「おやすみにならないのであれば順を追って説明を少々しましょうか?」
「え? いま!? この状況で!?」
「ええ」
不思議そうにミコを見つめ返すカノン。
このオンナも相当に麻痺している。
会話するのもままならない状況で説明とは…それでも早く聞きたいという気持ちもミコにはあった。
わけも分からず見知らぬ人のクルマで、ヘブンと呼ばれる悪名高い街へ連れていかれるってそれもう拉致被害と同じだから、と。
いろいろな諸事情で犯罪件数の多いこの街の中でもその割合を大きく占めるのが、へブンだから。
「わ、わかった。じゃあお願い」
「はい」
ギュギュギュっ。左への急カーブ。シートに押し付けられる身体。
「ミコ様は、ロザリアと呼ばれる世界において絶対的に君臨する王家筋、つまり王女であるという話は先程一緒にいた、スカしたナルシズムだけが取り柄の男に聞かされましたね」
「は? ええ、はい」
聞かされてはいるがミコ自身理解しているわけではない。
話が荒唐無稽すぎてどう答えていいかさえわからない。
「ろ、ロザリアって…なに? なんか上位世界とか言ってたけど……何がなにやら」
「この世界と繋がっている数多の異なる世界、異世界の者達はそれを総称してマルチヴァースとか多元界などと呼びますが、それを統治している、と思い込んでいる上位世界です」
カノンは即答して時計を見た。
0時28分。
そしてすぐにミコに視線を移す。
「記憶は、まだ戻らないのですね。
時間差があるのか……まあいいでしょう」
ため息混じり。
何か残念そうな雰囲気。
勝手に落胆されても……と胸の奥がキリキリっと痛むミコ。
「前方、犬です! いやオオカミか……? でかい」
運転手が叫ぶ。
フロントガラスの向こう側。
確かに犬らしきモノが向かってきている。
そして、デカイ。見る見る近づいてきて目前で飛び上がる犬。
一瞬見えたその姿は2メートルはありそうだった。
「……普通の犬ではなさそうですね」
カノンが小さく呟くとクルマの上部で爆音のような音。
犬が上に乗っている。
蛇行しながら猛スピードで走る車上に乗ってるだけでも凄いのに攻撃を加えてきている。
カノンがゆっくりとウインドウを開ける。
ドレスの裾を捲し上げると太ももにピストル。
峰不二子的なアレ。
「え……えええ……!?」
驚愕と恐怖で青ざめるミコ。
お構いなしにカノンは窓の外に上半身を投げ出し車上へと発泡。
もう街中でこれは立派な事件です! アワアワとなるミコ。
「落ち着いてください。ミコ様。すぐ済むので、話の続きが気になるでしょうが」
「いやいやそんなんいまいいからーー!」
「え? いいんですか? 続き、気にならないのですか?」
「そうゆうい……」
ミコが蒼白になってツッコミいれようとした矢先にカノンに巨大な犬が襲いかかる。
牙を剥いて大口。深緑色のヨダレを撒き散らす。
噛まれたら骨まで砕けそう。そして噛まれているカノン。
「いやああああああ~~!」
ミコの叫びに混じって鈍く低い金属音。
後ろに吹き飛んでいく犬の影。
カノンが犬がの口の中に手を突っ込んだまま発泡。見事に吹き飛ばした。
腕に少々傷。流れる血は気にしない。
「ジタバタと動き回る犬をおとなしくさせるなら噛ませるのが一番です。覚えておいてくださいね」
拳銃を直しながらしれっと言うカノン。
――いやいや覚えといても使う時ないでしょ!? てかそんな時は来て欲しくないです!
と、ミコはガクガク震えている。
なにこれ? 映画の撮影?
「まずいっすね。犬、増えました。追ってきます」
振り返ると猛スピードで犬が三匹走ってきている。
さっきと同じぐらいの大きさ。
もう追いつかれそうだ。
その時、一匹が跳ね上がりそのまま空中で変化する。
ヒトガタへ。まさに人の形。頭部は犬のままだけど、それもゆっくり人の顔へと。
「んなあああああ~~」
ミコが変な声を発して窓に頭をぶつける。
ヒトガタになった犬はガッチリとドアを掴んでいる。
「振り落とせます?」
カノンは冷静だ。運転席からの返答は……
「穴です!」
運転席から声がカットイン。まったく関係ない答え。
「穴……?」
目を若干細めてカノンは前方を凝視した。
ヘッドライトに照らされるアスファルト。
前を走るクルマもなく、周りのビルとか閉まったショップのライト、街灯が煌めいている。
いやいやいやいやいやいや穴ってなんだよぉぉ!
激しく揺れる車内で頭を抱えるミコ。
犬の次は穴!?
この街の道路に穴!?
まあもっと言えば今日はずっと深い穴に落ちていってるような気分だ、ミコ。
まだ落ちてる。落ち続けてる。一体どこまで深い穴なのか・・・一瞬妄想にふけりそうになるが、
ーーリアルを見よう。穴だ。穴なんだ。
もうこの世界は自分の知る世界とすでに違っているのかもしれないと若干の戸惑いを見せながら
その穴へとまっしぐらに、フルスロットルで、突き進んでいくだけ。
それにしても・・・穴?
その穴はどこに? と同じように凝視していたミコは不思議に思う。
見通しはいい。どこにも穴なんか……と思った瞬間、前方に黒く澱んだ球体に深い紫の光がバチバチとスパークするように点滅している。
さらによく見るとその球体から両側に伸びるようにしてでている……脚? どデカい人の脚?
いやしかしゆうに10メートルはある。
なんのモニュメントだ。
クルマが近づくにつれ球体の上に鈍く照らされて女体のようなものが。
巨乳だ。柔肌に2つぽっこりと山のように。
つまりはそのまんま女体。
深夜の大通りの真ん中に巨大な女体。
ビルの谷間に巨大な女体。裸、巨乳だ。
その股の部分が……穴だ。
もう目眩しかしない。
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