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11.人々は彼がその役割を全うすることを良しとしない
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ギルベルト様は、私を双方の軍事拠点を遠く眺めることができる高台にある屋敷へと連れてきました。 道中30分程度の行程ではありましたが、その間彼は黙ったまま。 それでも、脱力し一人で身体を満足に動かす事すら出来ない私を大切な姫君でも運ぶかのように、優しく抱きしめ運んでくださいました。
身体を預ける胸元は、記憶にあるものよりも広く逞しくなり、剣修行をしていてもしなやかで美しかった手は、大きく、太く、ゴツゴツと筋張ったものになり皮は分厚く硬く、気まぐれのように頬に触れられる手の感触は、ザラリとしていて少し力を入れられれば肌に痛みを感じるのです。
成長期と言うには済ませられない変化。 どんな日々を送っていたのかと考えるほどに、彼がどのような日々を送っているのかと考えもせず、離縁を突き付けてやるんだと勇んできた自分が恥ずかしくなると言うものです。
ですが、そこに愛情はあるのか? と言われれば、私自身「ある」とは、はっきりと言える訳ではありません。 好きで居続けるための出来事も無ければ、日々の生活に忙しくて彼に思いを寄せ甘い日々に夢見ることも無かったのですから。
それでも……権力を失いつつも彼が出来る最大の手札で守られていたと知れば、離縁を突きつけた挙句、再び王位継承者に戻るだろう彼に対して十二分な補償を求めることなど、出来るはずがありません。
そんな事を延々と悩みながら、私は1言も言葉をはっせず、また途中まで並走していた他の者達が去ってしまえばギルベルト様も何かを語る事はありませんでした。
辿り着いた屋敷はとても立派なものでした。 ここはどういう場なのでしょう? 声に出して聞くには身体がだるく、思考もボンヤリとしていて、下手に言葉を発してしまえば、彼の気遣いや優しさを無視した身勝手なものとなってしまいそうだからと、私はずっと黙りこんだままでした。
屋敷の前で、馬から私を下ろしたギルベルト様は、私の頭からご自身のマントをかぶせたのですが、マント越しに口づけされたような……。
「リシェ、大人しくしていなさい」
わずかに甘さの含んだ声に、返事をしようとすれば、それよりも早く奥の方から人が集まってくるのがわかりました。 人の流れる空気の様子、騒めき、こんな山の中なのにズイブンと人が多いようです。
ここは、彼のような地位ある者のために準備された場所ではあるのでしょう。
「まさか、殿下に来て頂けるなど想像もしておりませんでした。 おぃ、殿下の馬をお預かりしてお世話をしろ!! 殿下のために最も立派な部屋の準備を」
屋敷の主になるのでしょうか? 少々小太りの背の低い男は、武人と言う風には思えません。 家紋を身に着けていないところを見ると貴族ではないような? 私自身が社交会に出た事がないため、末端の貴族までは記憶にはないので何とも言えませんが、彼は商人でしょうか?
私の思考の横では、屋敷の者達は大慌てです。
「ですが旦那様、一番立派な部屋はその……」
侍女の視線が泳ぎ、やがて屋敷の奥から次々と貴族らしい身なりをしたものが顔を出し始めました。 視線を巡らせる限り5人の貴族と、同伴する女性を垣間見ることができます。 貴族は、上位貴族と呼ばれるいわゆる高額税を納める一族の者達。 一応有名どころは私であっても理解できます。 ギルベルト様に彼等は地面に膝をつけ、深く頭をさげました。
こんな場所で何をしていたかと思えば、顔を出さずに隠れておくべきなのでは? と思いましたが、
「殿下、そちらの幸運な令嬢は、どの一族の者でしょうか?」
貴族の1人が、声を上擦らせながらも尋ねてきたのです。
そうですね……。 彼が私以外の者に興味を持てば、それは無色である私との離縁と、彼等が望ましいとする相手との再婚するのでしょう。 何しろ拠点にいる女性達の大半は、相応な身分と、メジャーどころの加護と、使い勝手の良いギフトを持つ女性達なのですから、大変喜ばしい事であり、誰かを早々に特定できれば、色々と優位に働く事が出来ると言うものです。
「この者は、今回の戦争を裏で操っている戦争犯罪者に与する者。 そう、ヘルティが語っていた。 このものの発言によっては今後のこの戦場の行く末を決める。 最も粗末な部屋を準備し、人を近寄らせるな」
ギルベルト様はそのように言いましたが、屋敷の主は狼狽え貴族達に視線で伺いをたてておりました。 王族、正しい道に戻るならギルベルト様は次期王。 彼がいくら最も粗末な部屋といってもそのようにしてよいのか? そう悩む気持ちはわかります。
ですが……。
連れていかれた先は豪華な部屋でした。 ただし、拷問設備のある部屋。 ギルベルト様の注文から外れているとかどうとかいうよりも、このような部屋が存在することにビックリです。
「お世話係をお付けします」
屋敷の主がいいました。
「必要ない。 近寄るなと俺はいったよな?」
「ですが、そのような不審者と2人にして、殿下に何かあっては大変です」
「俺の支配下にある者が、俺にどうできるというんだ」
そう告げたギルベルト様は私を大きなベッドの上に放り出します。 わずかに動くことも気怠く憂鬱ですが、それでも体をずらしそこにいる者達の様子を伺えば、怪訝と動揺を露わにしていました。
私はずっと女性文官用として渡されたローブ型の制服を着ているのですが、頭からギルベルト様のマントをかぶせられている状態で、誰もが私の顔を確認できずにいるのが、彼等の動揺を生み出しているのでしょう。
「部屋から出ていけ」
「食事や飲み物は如何いたしますか?」
「必要ない。 用事を終えれば、勝手に出て行かせてもらう」
「ご足労頂きながらおもてなしもせずに……それに、そちらの者もズイブンと弱っているではありませんか! せっかく取らえた戦争犯罪者をおめおめと殺すわけにはいかないのではありませんか?」
「必要ない。 死んだら、新しい手掛かりを捕まえればいいだけだ。 手がかりはあらゆるところにあるそうじゃないか」
屋敷の管理をしているらしい男の顔色が土色に代わっていました。
「さぁ、出ていけ。 これ以上邪魔をするようなら、オマエも共に」
備え付けられた拷問道具の1つである馬用の鞭を手に、ギルベルト様が笑って見せれば、私が倦怠感と共に体の自由を失ったように、管理人とその周囲にいる使用人がガクンと体のバランスを失い床に膝をついてしまいましt。
「は、い?」
「オマエごときが俺に頭も下げることなく、自分の意のままにさせようなどと許される訳がなかろう?」
ギルベルト様は不敵に笑いながら、管理人の頭を土で汚れたままの靴でグリグリと踏みつけます。
誰?
正直そう思わずにはいられません……。
「そんなつもりは……」
呻く声は管理人。 だけど膝をついてしまっているのは管理人の男だけではなく、侍女、そして奇妙なほどに恰幅の良い使用人達もだ。 その者達は床に額をつけるように伏せていました。 その顔色は悪く、汗がぽたぽたと落ちており、それがギルベルト様の力の一つと知らずに必死に立ち上がろうとしているかのように私の目には見えるのです。
「邪魔をすると言うことは、オマエも拷問を受ける立場にあると言うことか?」
「いえ……」
「まぁ、いい……、今はこのものから、話を聞きだす事を優先し、オマエ達の発言の意味は後程ユックリと問いただすことにしよう。 部屋から出ていけ」
跳ねるように立ち上がった彼等は、いったい何がとでもいうようにお互いの顔を見合せる。 そんな屋敷の者達にギルベルト様はもう1度言った。
「出ていけ」
それからしばらくすれば、外では馬が走り去る音が聞こえた。 仕事をさぼり、この屋敷で素敵な時間を送っていた事が気まずいと言う者もいるでしょう。 ですが、私達……いいえ、ギルベルト様の目的は別のところにあります。
戦争を長引かせようとしている黒幕は必ず存在している。 なぜなら、余りにも都合よく殺し合いが行われ、そして長期化するように足を引っ張られ、兵士が十分に動くことなく、2年経った今では戦える者は王都へと戻り、戦場には名誉を必要とする貴族、出会いが欲しい貴族、王都で目立つ行為をし過ぎ身を隠したいそんな戦争の役にも立たないもの達ばかりが送り込まれ。
それでも、負けない程度に戦は調整され小競り合いばかり続けられていたそうなのです。
この屋敷の管理を行っている男は、黒幕ではないものの、ソレに繋がっているのは確かであり、今回のギルベルト様の行動で彼は、裏で戦場を支配している者達に指示を仰ぐだろう、それを突き止めるようにと、アリーと銀狼の長に命じていたのでした。
「さぁ、後は報告を待つだけ。 リシェ……まずは風呂に入ろうか? その髪色は不快だ。 綺麗に洗い流してやろう」
ギルベルト様は優しくいいますが、それでも私の知っている彼とは全く違っていて、私は戸惑いながらも、まるで酔いに浮かされたように、甘い思いと共に頷いてしまっていたのです。
身体を預ける胸元は、記憶にあるものよりも広く逞しくなり、剣修行をしていてもしなやかで美しかった手は、大きく、太く、ゴツゴツと筋張ったものになり皮は分厚く硬く、気まぐれのように頬に触れられる手の感触は、ザラリとしていて少し力を入れられれば肌に痛みを感じるのです。
成長期と言うには済ませられない変化。 どんな日々を送っていたのかと考えるほどに、彼がどのような日々を送っているのかと考えもせず、離縁を突き付けてやるんだと勇んできた自分が恥ずかしくなると言うものです。
ですが、そこに愛情はあるのか? と言われれば、私自身「ある」とは、はっきりと言える訳ではありません。 好きで居続けるための出来事も無ければ、日々の生活に忙しくて彼に思いを寄せ甘い日々に夢見ることも無かったのですから。
それでも……権力を失いつつも彼が出来る最大の手札で守られていたと知れば、離縁を突きつけた挙句、再び王位継承者に戻るだろう彼に対して十二分な補償を求めることなど、出来るはずがありません。
そんな事を延々と悩みながら、私は1言も言葉をはっせず、また途中まで並走していた他の者達が去ってしまえばギルベルト様も何かを語る事はありませんでした。
辿り着いた屋敷はとても立派なものでした。 ここはどういう場なのでしょう? 声に出して聞くには身体がだるく、思考もボンヤリとしていて、下手に言葉を発してしまえば、彼の気遣いや優しさを無視した身勝手なものとなってしまいそうだからと、私はずっと黙りこんだままでした。
屋敷の前で、馬から私を下ろしたギルベルト様は、私の頭からご自身のマントをかぶせたのですが、マント越しに口づけされたような……。
「リシェ、大人しくしていなさい」
わずかに甘さの含んだ声に、返事をしようとすれば、それよりも早く奥の方から人が集まってくるのがわかりました。 人の流れる空気の様子、騒めき、こんな山の中なのにズイブンと人が多いようです。
ここは、彼のような地位ある者のために準備された場所ではあるのでしょう。
「まさか、殿下に来て頂けるなど想像もしておりませんでした。 おぃ、殿下の馬をお預かりしてお世話をしろ!! 殿下のために最も立派な部屋の準備を」
屋敷の主になるのでしょうか? 少々小太りの背の低い男は、武人と言う風には思えません。 家紋を身に着けていないところを見ると貴族ではないような? 私自身が社交会に出た事がないため、末端の貴族までは記憶にはないので何とも言えませんが、彼は商人でしょうか?
私の思考の横では、屋敷の者達は大慌てです。
「ですが旦那様、一番立派な部屋はその……」
侍女の視線が泳ぎ、やがて屋敷の奥から次々と貴族らしい身なりをしたものが顔を出し始めました。 視線を巡らせる限り5人の貴族と、同伴する女性を垣間見ることができます。 貴族は、上位貴族と呼ばれるいわゆる高額税を納める一族の者達。 一応有名どころは私であっても理解できます。 ギルベルト様に彼等は地面に膝をつけ、深く頭をさげました。
こんな場所で何をしていたかと思えば、顔を出さずに隠れておくべきなのでは? と思いましたが、
「殿下、そちらの幸運な令嬢は、どの一族の者でしょうか?」
貴族の1人が、声を上擦らせながらも尋ねてきたのです。
そうですね……。 彼が私以外の者に興味を持てば、それは無色である私との離縁と、彼等が望ましいとする相手との再婚するのでしょう。 何しろ拠点にいる女性達の大半は、相応な身分と、メジャーどころの加護と、使い勝手の良いギフトを持つ女性達なのですから、大変喜ばしい事であり、誰かを早々に特定できれば、色々と優位に働く事が出来ると言うものです。
「この者は、今回の戦争を裏で操っている戦争犯罪者に与する者。 そう、ヘルティが語っていた。 このものの発言によっては今後のこの戦場の行く末を決める。 最も粗末な部屋を準備し、人を近寄らせるな」
ギルベルト様はそのように言いましたが、屋敷の主は狼狽え貴族達に視線で伺いをたてておりました。 王族、正しい道に戻るならギルベルト様は次期王。 彼がいくら最も粗末な部屋といってもそのようにしてよいのか? そう悩む気持ちはわかります。
ですが……。
連れていかれた先は豪華な部屋でした。 ただし、拷問設備のある部屋。 ギルベルト様の注文から外れているとかどうとかいうよりも、このような部屋が存在することにビックリです。
「お世話係をお付けします」
屋敷の主がいいました。
「必要ない。 近寄るなと俺はいったよな?」
「ですが、そのような不審者と2人にして、殿下に何かあっては大変です」
「俺の支配下にある者が、俺にどうできるというんだ」
そう告げたギルベルト様は私を大きなベッドの上に放り出します。 わずかに動くことも気怠く憂鬱ですが、それでも体をずらしそこにいる者達の様子を伺えば、怪訝と動揺を露わにしていました。
私はずっと女性文官用として渡されたローブ型の制服を着ているのですが、頭からギルベルト様のマントをかぶせられている状態で、誰もが私の顔を確認できずにいるのが、彼等の動揺を生み出しているのでしょう。
「部屋から出ていけ」
「食事や飲み物は如何いたしますか?」
「必要ない。 用事を終えれば、勝手に出て行かせてもらう」
「ご足労頂きながらおもてなしもせずに……それに、そちらの者もズイブンと弱っているではありませんか! せっかく取らえた戦争犯罪者をおめおめと殺すわけにはいかないのではありませんか?」
「必要ない。 死んだら、新しい手掛かりを捕まえればいいだけだ。 手がかりはあらゆるところにあるそうじゃないか」
屋敷の管理をしているらしい男の顔色が土色に代わっていました。
「さぁ、出ていけ。 これ以上邪魔をするようなら、オマエも共に」
備え付けられた拷問道具の1つである馬用の鞭を手に、ギルベルト様が笑って見せれば、私が倦怠感と共に体の自由を失ったように、管理人とその周囲にいる使用人がガクンと体のバランスを失い床に膝をついてしまいましt。
「は、い?」
「オマエごときが俺に頭も下げることなく、自分の意のままにさせようなどと許される訳がなかろう?」
ギルベルト様は不敵に笑いながら、管理人の頭を土で汚れたままの靴でグリグリと踏みつけます。
誰?
正直そう思わずにはいられません……。
「そんなつもりは……」
呻く声は管理人。 だけど膝をついてしまっているのは管理人の男だけではなく、侍女、そして奇妙なほどに恰幅の良い使用人達もだ。 その者達は床に額をつけるように伏せていました。 その顔色は悪く、汗がぽたぽたと落ちており、それがギルベルト様の力の一つと知らずに必死に立ち上がろうとしているかのように私の目には見えるのです。
「邪魔をすると言うことは、オマエも拷問を受ける立場にあると言うことか?」
「いえ……」
「まぁ、いい……、今はこのものから、話を聞きだす事を優先し、オマエ達の発言の意味は後程ユックリと問いただすことにしよう。 部屋から出ていけ」
跳ねるように立ち上がった彼等は、いったい何がとでもいうようにお互いの顔を見合せる。 そんな屋敷の者達にギルベルト様はもう1度言った。
「出ていけ」
それからしばらくすれば、外では馬が走り去る音が聞こえた。 仕事をさぼり、この屋敷で素敵な時間を送っていた事が気まずいと言う者もいるでしょう。 ですが、私達……いいえ、ギルベルト様の目的は別のところにあります。
戦争を長引かせようとしている黒幕は必ず存在している。 なぜなら、余りにも都合よく殺し合いが行われ、そして長期化するように足を引っ張られ、兵士が十分に動くことなく、2年経った今では戦える者は王都へと戻り、戦場には名誉を必要とする貴族、出会いが欲しい貴族、王都で目立つ行為をし過ぎ身を隠したいそんな戦争の役にも立たないもの達ばかりが送り込まれ。
それでも、負けない程度に戦は調整され小競り合いばかり続けられていたそうなのです。
この屋敷の管理を行っている男は、黒幕ではないものの、ソレに繋がっているのは確かであり、今回のギルベルト様の行動で彼は、裏で戦場を支配している者達に指示を仰ぐだろう、それを突き止めるようにと、アリーと銀狼の長に命じていたのでした。
「さぁ、後は報告を待つだけ。 リシェ……まずは風呂に入ろうか? その髪色は不快だ。 綺麗に洗い流してやろう」
ギルベルト様は優しくいいますが、それでも私の知っている彼とは全く違っていて、私は戸惑いながらも、まるで酔いに浮かされたように、甘い思いと共に頷いてしまっていたのです。
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