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15.夢だと思い込んだところで、それが夢になる訳もない(☆)
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「リ……エ、ル?」
ゼルは、乾いた声で呟いた。
魔物化した人間が、人の姿を保つ者などごくわずか。 それこそリエラが言ったように鱗が生え、骨が剥き出しとなり、イボカエルのような肌になる者もいる。 だが、大抵はその者の本質である獣や虫に変化する訳で、目の前のリエルのように怪しくも生々しい美貌の主へと変質する者等など、魔王ぐらいなのではないだろうか?
ゼルは、リエルに恐怖を覚え、そう変えてしまったことを心の中で嘆き、狼狽えていた。
戸惑いがちな弱弱しいゼルの呼びかけ。
リエルは甘いとろけそうな声で返した。
「なぁに?」
艶やかで色香漂う微笑み。
愛らしい桃色の唇は、血の色に変わっていた。
「その、身体の方は大丈夫なのですか?」
「うふふ、オカシナ事をいいますのね」
甘ったるくも甘えた声と、肌を撫でる指先。
リエルはそんな話し方をしない。 そう思いつつも、ソレがリエルでないとは言える訳がなく、ゼルは色を変えたリエルをリエルとして接する。
「なら、医師、いや……神官を呼ぼう」
「大げさですわ……私はただ……疼いてとてもツライお腹の中を、ゼルに何とかしていただきたいだけですのに……この場に他の者を呼ぶなんて言わないでくださいませ」
「それは……申し訳ありません……」
低い体温が、カーーーと上がっていくのが分かり、恥ずかしながらも子供の用に視線を逸らしてしまった。
「ゼル?」
呼びかけに振り向けば、血のように赤く染まった唇がすぐそばにあった。 赤く熟れた果実のようにそれは魅力的で、わずかに開かれた唇からのぞく舌先は堕落を誘う蛇のようだと、ゼルは息を飲んだ。
だめだ、誘いにのっては……。
だけれど、本人の意識が残っているとするなら、神力が消失しきればもとに戻る事を考えれば、安易に拒絶などできる訳などない。 拒絶されたと意識に残れば、避けられてしまうだろう。 だからと言って調子に乗り過ぎては、そんなことをするなんてと言われかねない。
どう、すれば……。
思わず、国王陛下を思い出し心の中で救いを求めるゼルだった。
「私のことを見て、私の事を考えて」
拗ねた様子に、ゼルの知っているリエルが垣間見えてほっとしたのも一瞬。 赤く艶めかしい唇が触れてくる。 それは、とても柔らかくそして冷たかった。 チロリと出された舌先が、唇をなめ、開くようにと促すように、突いてくる。 戸惑いながらわずかに唇を開けば、口内へと入ってきて舌先へと絡んできた。
甘い、甘い匂いが口の中から鼻腔をくすぐっていく。
ぬちゅぬちゅと音を立てる舌先は、ネットリと絡み合いゼルが躊躇う事を許さない。 添えられていると思われた手は、農作業を好む彼女の手とは思えぬほどに、滑らかで冷たく肌に吸い付くように胸を撫で、腹部を撫でてくる。 追い詰めると言うのとは違うリエルが与える優しい刺激は、少しだけもどかしい。
「リエル……」
つい、切なく名を呼んでしまえば、満足そうに優しい微笑みが向けられた。
「はい、どうしました?」
意地悪くも愛らしい笑い声。
そっと、1度果てた先端を手のひらで撫でられれば、ぞくっと背筋まで快感が走り、ビクンと硬さと大きさを増していく。 腰の部分にまたがるように膝で立ったリエルは恍惚とした声と笑みで甘く囁く。
「あぁ、素敵」
大きくなったゼルの肉棒を、蜜を溢れさせる割れ目をこすりつけるように押し付けてきた。 柔らかな肉の感触、そして、この先味わうだろう快感を思えば、唾液があふれ出し、ゴクリと喉を鳴らした。
「いいか?」
身体を抱き上げ横にさせようとすれば、微笑みと共に口づけをし、濡れた花弁の入り口を押し付けてきた。
「り、える……」
ゼルは息を飲む。
今のリエルが普通でない状況で、ソレをなんとかして改善しなければならない。 そんな思考はどこかに消え去ってしまったゼルは、衝動的にリエルを押し倒した。
「リエル、私が……」
ゼルの身体の下には、髪色を銀色に戻したリエルがすーすーと規則正しい寝息と、満足そうな笑みを浮かべ眠っていた。
「ぇ? リエル……さん?」
拍子抜けと言うかなんというか……。
むにむにと頬を触ってみれば、えへっへへとか平和そうに笑いだし、ゼルは大きな溜息をつき、大きくなったままの自分のモノを眺めて途方に暮れた。
リエルの幸せそうな顔を見て、頬に口づける。 残念がっていいのか、安堵していいのか……少しだけ考えて声に出した。
「戻ってよかった……うん、よかった……」
リエルは雨の匂いをふくむ風が肌を撫でる感触で目を覚ました。
外は日の出を前にした闇の色。
日の出前のその時間は、最も暗いと言われている。 そんな時間に目を覚ますのは、前世から続く習慣であり、牢の中であっても変わることは無かった。 それでも、今日だけは習慣で目を覚ましたと言うよりも、お腹が空いて目を覚ましていた。
そして、眠っていたにもかかわらず、身体が疲れ切っている事に小さく呻き、口の中で呟く。
「ダルイ……夢見が……悪かったせい??」
自分らしくもない行為を思い出せば顔が熱くなる。 ベッドの中で身体を丸めれば、自分が裸であることに気づいた。
「よ、よ、欲求不満か!!」
絞り出すような激しい自己突っ込み。
「むぅ……」
夢はどこまでも卑猥なもので、それも相手があり得ないと言うか、そういう対象として使うには申し訳ないほどに良い人だった訳で……、
相手に触れた感触。
甘い口づけ。
辛そうに身もだえる夢の中の彼は、どこまでも色っぽかった。
「例え夢だったとしても、申し訳ない……のぉあぁああああああああ!!」
「どうされたのですか? リエル様」
女性の声が聞こえて、私は停止する。
私の記憶をたどれば、ここは牢のはずだ。 そして、レギーナ王宮で私を名で呼ぶものは少なく、大抵の者は私を『田舎者』と呼んでいた。 例え、感情のこもらぬ淡々とした口調であっても『リエル様』等と呼ぶ者などいない。
硬直した状態で、状況を理解しよう、整理しようと考えれば、自分が眠っていた寝床が恐ろしく心地よく贅沢なものだと理解した。
被っている上掛けの中から、外を覗き見れば仮面をかぶったメイドが見えギョッとした。 闇夜の白仮面などホラーでしかない。
「どこ、ここ!!」
「記憶の混乱が見られるようですね。 医師をお呼びしますか?」
メイドの1人が、私を無視して別のメイドに声をかける。
「いえ、少し様子を見ましょう。 アナタは陛下に……無事、目を覚まされたと報告してください」
そう告げる声はとても落ち着いた声だった。 そして、その声は私に向けられる。
「もう少し、お眠りになりますか? リエル様。 それとも、お食事になさいますか?」
言われて自分が空腹なことを理解する。
「ご飯、頂けますか?」
「では、すぐに準備をさせます。 その間、その……お風呂に入られませんか?」
仮面で隠れた女性の声が、戸惑っているのが分かった。
気怠い身体で風呂に入るのはとても面倒だけど、入らないとなぁ……そう思っていたし、目の前のメイドも入ることを前提に準備をしている。
「よし! スッキリしよう」
ベッドから出ると、全裸で、畑仕事をしても日焼けだけはしない白い肌は、アチコチ赤く跡がついていて、声にならない叫びをあげる。
「リエル様?」
「わ、わわああわ、ち、近寄らないで!! 私、妙な病気に!!」
「……落ち着いてくださいリエル様」
ギュッと抱きしめられ、背中を撫でられた。 私はもう十分に大人と言って良い年齢なのだけど、レギーナ国の人間は全般的に小柄で、逆にオルグレン国は全般的に大柄で、夜のガラスに映し出された姿は大人になだめられる子供のようだった。
「ぇ、あ、その……はい……」
少しずつだけど、私は夢だと思い込みたかった出来事が現実であると理解できていった。
「その……これは、病気じゃない?」
「……えぇ、病気ではございません。 途中からサワリが見られた様子で、お眠りになられている間、勝手ではございますが神官と医師に状態を見てもらいましたが、オカシイところは全くございませんでした」
「なら……」
この赤い跡は? と聞こうとしたが、身体中を舐められ吸われ、その感覚に甘く悶えていた自分を思い出す。
「私が隠れる穴、どっかにありませんか?」
「は、い? 穴はございませんが、お風呂に入られませんか? 眠っている間に軽く体を拭かせていただこうとしたのですが……勝手に触るなと坊ちゃんが……」
うん、なんか穴は軽く流されたな。
深い溜息を仮面のメイドがつくが、私の言動が原因では……ないですよね?
「えっと、坊ちゃんって……その、ゼル……様?」
「えぇ……、無茶をさせてしまったようで、申し訳ありません。 今まで世話役のメイド達すら側に寄せることを嫌った方でして、女性の扱い方を知らないと言うべきか……」
メイドさんは再び深い溜息をつき項垂れた。
「お手伝いをさせていただきますので、食事の前にお風呂に入ってしまいましょうか?」
困惑交じりの優しい女性の口調に、私は従うことにした。
徐々に記憶は繋がりだしてはいるけれど、説明が欲しい。 今後の身の安全を保障して欲しい。 どう生きていけばいいのか示して欲しい。
私の本能は、庇護者を渇望していた。
ゼルは、乾いた声で呟いた。
魔物化した人間が、人の姿を保つ者などごくわずか。 それこそリエラが言ったように鱗が生え、骨が剥き出しとなり、イボカエルのような肌になる者もいる。 だが、大抵はその者の本質である獣や虫に変化する訳で、目の前のリエルのように怪しくも生々しい美貌の主へと変質する者等など、魔王ぐらいなのではないだろうか?
ゼルは、リエルに恐怖を覚え、そう変えてしまったことを心の中で嘆き、狼狽えていた。
戸惑いがちな弱弱しいゼルの呼びかけ。
リエルは甘いとろけそうな声で返した。
「なぁに?」
艶やかで色香漂う微笑み。
愛らしい桃色の唇は、血の色に変わっていた。
「その、身体の方は大丈夫なのですか?」
「うふふ、オカシナ事をいいますのね」
甘ったるくも甘えた声と、肌を撫でる指先。
リエルはそんな話し方をしない。 そう思いつつも、ソレがリエルでないとは言える訳がなく、ゼルは色を変えたリエルをリエルとして接する。
「なら、医師、いや……神官を呼ぼう」
「大げさですわ……私はただ……疼いてとてもツライお腹の中を、ゼルに何とかしていただきたいだけですのに……この場に他の者を呼ぶなんて言わないでくださいませ」
「それは……申し訳ありません……」
低い体温が、カーーーと上がっていくのが分かり、恥ずかしながらも子供の用に視線を逸らしてしまった。
「ゼル?」
呼びかけに振り向けば、血のように赤く染まった唇がすぐそばにあった。 赤く熟れた果実のようにそれは魅力的で、わずかに開かれた唇からのぞく舌先は堕落を誘う蛇のようだと、ゼルは息を飲んだ。
だめだ、誘いにのっては……。
だけれど、本人の意識が残っているとするなら、神力が消失しきればもとに戻る事を考えれば、安易に拒絶などできる訳などない。 拒絶されたと意識に残れば、避けられてしまうだろう。 だからと言って調子に乗り過ぎては、そんなことをするなんてと言われかねない。
どう、すれば……。
思わず、国王陛下を思い出し心の中で救いを求めるゼルだった。
「私のことを見て、私の事を考えて」
拗ねた様子に、ゼルの知っているリエルが垣間見えてほっとしたのも一瞬。 赤く艶めかしい唇が触れてくる。 それは、とても柔らかくそして冷たかった。 チロリと出された舌先が、唇をなめ、開くようにと促すように、突いてくる。 戸惑いながらわずかに唇を開けば、口内へと入ってきて舌先へと絡んできた。
甘い、甘い匂いが口の中から鼻腔をくすぐっていく。
ぬちゅぬちゅと音を立てる舌先は、ネットリと絡み合いゼルが躊躇う事を許さない。 添えられていると思われた手は、農作業を好む彼女の手とは思えぬほどに、滑らかで冷たく肌に吸い付くように胸を撫で、腹部を撫でてくる。 追い詰めると言うのとは違うリエルが与える優しい刺激は、少しだけもどかしい。
「リエル……」
つい、切なく名を呼んでしまえば、満足そうに優しい微笑みが向けられた。
「はい、どうしました?」
意地悪くも愛らしい笑い声。
そっと、1度果てた先端を手のひらで撫でられれば、ぞくっと背筋まで快感が走り、ビクンと硬さと大きさを増していく。 腰の部分にまたがるように膝で立ったリエルは恍惚とした声と笑みで甘く囁く。
「あぁ、素敵」
大きくなったゼルの肉棒を、蜜を溢れさせる割れ目をこすりつけるように押し付けてきた。 柔らかな肉の感触、そして、この先味わうだろう快感を思えば、唾液があふれ出し、ゴクリと喉を鳴らした。
「いいか?」
身体を抱き上げ横にさせようとすれば、微笑みと共に口づけをし、濡れた花弁の入り口を押し付けてきた。
「り、える……」
ゼルは息を飲む。
今のリエルが普通でない状況で、ソレをなんとかして改善しなければならない。 そんな思考はどこかに消え去ってしまったゼルは、衝動的にリエルを押し倒した。
「リエル、私が……」
ゼルの身体の下には、髪色を銀色に戻したリエルがすーすーと規則正しい寝息と、満足そうな笑みを浮かべ眠っていた。
「ぇ? リエル……さん?」
拍子抜けと言うかなんというか……。
むにむにと頬を触ってみれば、えへっへへとか平和そうに笑いだし、ゼルは大きな溜息をつき、大きくなったままの自分のモノを眺めて途方に暮れた。
リエルの幸せそうな顔を見て、頬に口づける。 残念がっていいのか、安堵していいのか……少しだけ考えて声に出した。
「戻ってよかった……うん、よかった……」
リエルは雨の匂いをふくむ風が肌を撫でる感触で目を覚ました。
外は日の出を前にした闇の色。
日の出前のその時間は、最も暗いと言われている。 そんな時間に目を覚ますのは、前世から続く習慣であり、牢の中であっても変わることは無かった。 それでも、今日だけは習慣で目を覚ましたと言うよりも、お腹が空いて目を覚ましていた。
そして、眠っていたにもかかわらず、身体が疲れ切っている事に小さく呻き、口の中で呟く。
「ダルイ……夢見が……悪かったせい??」
自分らしくもない行為を思い出せば顔が熱くなる。 ベッドの中で身体を丸めれば、自分が裸であることに気づいた。
「よ、よ、欲求不満か!!」
絞り出すような激しい自己突っ込み。
「むぅ……」
夢はどこまでも卑猥なもので、それも相手があり得ないと言うか、そういう対象として使うには申し訳ないほどに良い人だった訳で……、
相手に触れた感触。
甘い口づけ。
辛そうに身もだえる夢の中の彼は、どこまでも色っぽかった。
「例え夢だったとしても、申し訳ない……のぉあぁああああああああ!!」
「どうされたのですか? リエル様」
女性の声が聞こえて、私は停止する。
私の記憶をたどれば、ここは牢のはずだ。 そして、レギーナ王宮で私を名で呼ぶものは少なく、大抵の者は私を『田舎者』と呼んでいた。 例え、感情のこもらぬ淡々とした口調であっても『リエル様』等と呼ぶ者などいない。
硬直した状態で、状況を理解しよう、整理しようと考えれば、自分が眠っていた寝床が恐ろしく心地よく贅沢なものだと理解した。
被っている上掛けの中から、外を覗き見れば仮面をかぶったメイドが見えギョッとした。 闇夜の白仮面などホラーでしかない。
「どこ、ここ!!」
「記憶の混乱が見られるようですね。 医師をお呼びしますか?」
メイドの1人が、私を無視して別のメイドに声をかける。
「いえ、少し様子を見ましょう。 アナタは陛下に……無事、目を覚まされたと報告してください」
そう告げる声はとても落ち着いた声だった。 そして、その声は私に向けられる。
「もう少し、お眠りになりますか? リエル様。 それとも、お食事になさいますか?」
言われて自分が空腹なことを理解する。
「ご飯、頂けますか?」
「では、すぐに準備をさせます。 その間、その……お風呂に入られませんか?」
仮面で隠れた女性の声が、戸惑っているのが分かった。
気怠い身体で風呂に入るのはとても面倒だけど、入らないとなぁ……そう思っていたし、目の前のメイドも入ることを前提に準備をしている。
「よし! スッキリしよう」
ベッドから出ると、全裸で、畑仕事をしても日焼けだけはしない白い肌は、アチコチ赤く跡がついていて、声にならない叫びをあげる。
「リエル様?」
「わ、わわああわ、ち、近寄らないで!! 私、妙な病気に!!」
「……落ち着いてくださいリエル様」
ギュッと抱きしめられ、背中を撫でられた。 私はもう十分に大人と言って良い年齢なのだけど、レギーナ国の人間は全般的に小柄で、逆にオルグレン国は全般的に大柄で、夜のガラスに映し出された姿は大人になだめられる子供のようだった。
「ぇ、あ、その……はい……」
少しずつだけど、私は夢だと思い込みたかった出来事が現実であると理解できていった。
「その……これは、病気じゃない?」
「……えぇ、病気ではございません。 途中からサワリが見られた様子で、お眠りになられている間、勝手ではございますが神官と医師に状態を見てもらいましたが、オカシイところは全くございませんでした」
「なら……」
この赤い跡は? と聞こうとしたが、身体中を舐められ吸われ、その感覚に甘く悶えていた自分を思い出す。
「私が隠れる穴、どっかにありませんか?」
「は、い? 穴はございませんが、お風呂に入られませんか? 眠っている間に軽く体を拭かせていただこうとしたのですが……勝手に触るなと坊ちゃんが……」
うん、なんか穴は軽く流されたな。
深い溜息を仮面のメイドがつくが、私の言動が原因では……ないですよね?
「えっと、坊ちゃんって……その、ゼル……様?」
「えぇ……、無茶をさせてしまったようで、申し訳ありません。 今まで世話役のメイド達すら側に寄せることを嫌った方でして、女性の扱い方を知らないと言うべきか……」
メイドさんは再び深い溜息をつき項垂れた。
「お手伝いをさせていただきますので、食事の前にお風呂に入ってしまいましょうか?」
困惑交じりの優しい女性の口調に、私は従うことにした。
徐々に記憶は繋がりだしてはいるけれど、説明が欲しい。 今後の身の安全を保障して欲しい。 どう生きていけばいいのか示して欲しい。
私の本能は、庇護者を渇望していた。
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