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2章 

31.彼女の身に起こった変化 02

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「私、コウがいること忘れてた。 浄化されていない? どこか欠けたりしてない? 大丈夫?」

「……その言い方だとオレ自体がケガレのようで複雑なのだが……」

「……そっか……もし浄化されたとしても、本体は残るか……」

 真面目にそう言いながら安堵すれば、呆れた様子で私を見ながら抱きしめてきた。

「何?」

「むしろ増殖し続けるケガレの調整にちょうどいい。 増やすだけなら感情のままに身を任せれば、あれらは容易に増えていき、何時でもオレを取り込もうとする」

「そういうものなんだ……だから最初、聖水を必要としたんだね」

「そういうことだ」

 何時もは2時間ほどかかる結界作業に付け加え浄化作業までを10分で追えてしまった私は、目の前の男をチラリとながめて微笑む。

「ご機嫌だな」

「うん、なんかすごく調子が良くて、朝食、何かリクエストある?」

 シバラク考え込んだものの、応えは短かった。

「……任せる」

 そう告げてくるので、ワインを飲んで飲み損ねたカボチャスープを温め、昨日のバケットを切る。 バケットに乗せる、アボカドディップ、キャベツの千切り、ハム、干しベリー入りクリームチーズ、はちみつ、などを準備し、そしてオムレツとベーコンを焼き朝食の支度を終えた。

「豪華だな」

「そうでもないでしょ? 残りものをベースにしているし。 お昼に何かリクエストがあったら言ってね」

「……米……はあるか?」

「あるよ~」

「他国から仕入れなければ無い物なのに、珍しいな」

「聞いといて何よソレ」

 私は笑う。 ここでは、前世の生活になるべく近づけようとする、先代の苦労がアチコチに存在しており、感謝しかない。 とは言え、村の人達はパン食なので基本はパンですけどね。

「米を使うものなら何でもいい?」

「任せる」

 何を作ろうかと考える。 晴れた日であれば外でお弁当をもって出かけるのも楽しい、2人と言う機会に炊き込みご飯を作ろうか? 丼物、炒飯、オムライス 色々考えていれば、私の中でオムライスは外せないとなった。

 色々考えていれば、ソレを誤解したコウが言う。

「無理はしなくていい」

「違うわよ。 色々と考えて楽しんでいるの。 だって誰かのために料理をするのって、楽しいでしょう?」

「それは……知らんな」

 苦笑交じりに返された。

 まぁ、それもそうかと、

「そういうものよ」

「なるほど……」

「コウは、今日は何をして過ごす? やる事がないならココの書庫に色々な文献があって楽しいわよ? 美味しいハーブティを入れるから、ユックリしたらどう?」

「そういうのも悪くないな……だが、」

 真面目な視線を向けられればビクッとする。

「何?」

「何を期待した?」

 遠慮のない笑いと共にコウが言えば、顔の温度が一気にあがった。

「何も!!! で、何よ」

「なぜ、オマエは今日もオレがココにいる前提で話を進めている?」

「急ぎの用事でも?」

「いや、無いが……」

「なら、ユックリしよ?」

 そう甘えるように言って、食後のコーヒーを飲むコウの背後から抱きつけば、

「まぁ、兵を休める必要もあるから構わんが……」

 飽きれと戸惑いが混じった様子で、コウは言った。

「それで、オマエはどうするんだ?」

「いつも通りよ。 薬草やハーブの手入れをして、薬にしたり、ハーブティを作ったり。 村に届けるようのパンを焼いて、スープを作る。 大体そんな毎日」

「退屈じゃないのか?」

「平和を甘受している中にやってきた刺激そのものが何を言いますか」

 チュッと背後から私はコウのコメカミにキスをする。

「女性であれば興味を覚えて当然、村の女性に優しくしないでね」

「なんだ? ソレは独占欲か?」

「違うわ……きっと不快に思うだろうっていう、ヤキモチよ」

「何が違う」

 そう軽く笑って見せるが……、

 実際には、私自身コウからケガレを受けていない。 だが、正確に言うなら、日ごろから浄化能力を持つ香草、そして浄化した食材を摂取することで、ケガレに対する耐性を高めている。 それに加えて精霊が過敏なほどに、私の身体をケアをしている。

 一般の者達はケガレに耐性がない、対処が無い者が彼に好意を持ち、彼が好意を返したならどうなるだろう? 呆気なくケガレに取り込まれ半魔、いや魔人と変化する可能性だってあるのだ。 そこまでいかずとも、ケガレにより人に影響が出てしまえば……村の者達は彼をどう見るだろうか? それが心配なのだ。

 だが、彼から帰ってきた返事は、どこか的外れと言うか……。

「安心しろ、精霊使い以外には興味が無い」

「う~ん」

 私は、その答えに苦笑するしかなかった。
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