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2章 

20.彼女達の思い 03

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 家に戻れば、猫少女が先回りして戸口に立っていた。

 魔石を魔物の体内から取り出した彼女の手にケガレがないか、マジマジと見れば意外にもケガレはなく私は安堵する。 彼女は身に着ける様々なケガレ除けによって守られているようだ。

 そして……じっと彼女を観察することで気づいた。

 彼女の装備は、身軽さを重視でシンプルなものだ。 それでもケガレ除けが施されている事を考えれば、少女が身に着けるには高価なものに思える。 ソレに加え、体積を無視した量の荷物をしまい込むことができるアイテム袋まで腰に下げている。 あれだけの魔石を着服したのだから、それぐらいの道具を持っていても不思議ではないけれど……。

 ただ、自然と共に生きることを信条としている獣人らしくない。 彼等は生きるためのものしか荷物を持たない。

 したたかさの中に、孤独が見え隠れする。
 これでは、獣人の中であっても馴染めはしないでしょう。

「獣人の村は近い。 ここまでは同行を許したが、今後一切オレはオマエを相手にしない」

 そう視線を、猫少女に向けることなくコウは言う。

 猫少女は激しい怒りの視線を私に向けてきたが、コウは自分の身体を盾に私を隠した。

「どうして!!」

「こんな酷い雨の中、可哀そうですよ。 いらっしゃい」

 私がそう言えば、唇をかんだ猫少女の雨の中に飛び出して行った。

 追いかけようとする私を、男……改めコウは私の腕をつかみとめる。 顔色悪く疲れ切っている目の前の男も限界だろう。 そう思えば、

「お風呂を準備するから温まって頂戴」

 苦笑紛れに私は言う。

「一緒に入らないのか?」

「入りません。 私は食事の支度をしなければいけませんからね」

 そう言って笑いながら浴室へと誘導すれば、コウは背後から私を抱き寄せてくる。

「オマエだって、身体が冷えている。 普通の人間は身体を壊しやすいものだ。 オマエこそ身体を温める必要があるだろう?」

 その言葉を善意ととらえた私は、精霊に頼むから大丈夫と言おうと思い男の顔を見上げれば、

「一緒に入れば効率が良かろう?」

 コウは傲慢な笑みを口元に浮かべていた。
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