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11.それは2匹の蛇が食い合うような……
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オラール伯爵家が爵位を得たのは遥か昔、アシャール国の海岸に面した小さな村で長をしていた漁師が、転覆した船から王子、王女を助けた褒章として爵位を得ており、小さな海沿いの領地から得たわずかな税で必死にその地位を維持してきた。
ミモザ王女がディディエを幼馴染に欲するまでは。
ファッション界を先導するミモザ王女をエスコートするようになってからのディディエは、角界からの注目を集め、羨望を集め、広告的価値を持つようになり、ソレがオラール伯爵家の身の丈に合わない屋敷と使用人を維持するための資金源であり、ミモザに贅沢をさせるような甲斐性どころか、シシリーに宝石の1つも贈る余裕など持ち合わせていなかった。
ミストラル公爵家に招かれたディディエとミモザは、大勢の仕立屋を前にし彼等の自慢のデザインをミモザに見せつけられていた。
王女殿下の威光に頼りたいのか?
後見人を得たいのか?
はたまた、仕事を確保したいだけか?
必死な仕立屋に対してミモザは、静かに視線を伏せており、がつがつとドレスを注文しない様子にディディエは安堵し、そんな遠慮がちな姿を哀れに思い、愛おしくも感じていた。
だが、ミモザの内面は違う。
何、この三流職人達。 フラワーズが一人もいないってどういうこと? 伯母上がドレスを作ってくれると言うからきてみたのに、こんな職人に作られたドレスなんてどんなに数があっても仕方がないじゃない!!
必死に苛立ちを隠していた。
一流とされる職人がいないのは、ミモザに対する嫌がらせではないことは知っている。 ミストラル公爵夫人は潔癖なところがあった。
『同じドレスは二度と着ないと言う者に一流のドレスは必要ない!』
と、公爵が立腹したのが原因である。
期待した私が愚かでしたわ……。
感謝と喜びをミモザは露わにしているが、目の前にワラワラと集う三流職人に苛立っていた。 ツマラナイドレスを増やされるのはどうにも許しがたく、ミモザは穏やかな笑みを口元にたたえてこう言った。
「エスコート役のディディエ伯爵のものも合わせて準備してくださいませ」
「私は良いので……いえ、ドレスばかり一度に作ってもらってどうするのですか……それよりも必要なのは日常着を作って頂いてはどうでしょう」
ナイスアシスト!! ディディエの発言にミモザは微笑んだ。 だが、公爵夫人は大げさに嘆きだす。
「なんて狭量な、ドレスは着用するしないではなく、所有していると言うのを見せつける事で社交界で威厳を保つと言う事をご存じないのですか!! 可愛い姪に恥をかかせないで頂戴」
「叔母様……今の私は日陰の存在、贅沢ばかり言える立場ではありませんわ」
「なんて、なんて可哀そうな子!!」
しばらく公爵夫人に抱きしめられ、哀れみを受け止めたミモザは、やがて穏やかに彼女をたしなめる。
「かつて流行は、私によって作られていました。 ですが今の時代も同じであるとは限りません。 沢山のドレスを一度に作ってしまっては、全てを着る前にドレスは時代遅れとなってしまいます。 それではドレスを作る職人も、ドレスも不幸と言うものです」
それに三流の時代遅れのドレスを大量に所有する私が最も不幸ですわ。
「ミモザ、アナタはなんて聡明なのでしょう」
ムダ金を回避できる機会をディディエは見逃すことはなく、ミモザの考えを支持した。
ディディエは地に足のついたミモザの考えに安堵した。 安堵が彼女を受け入れる事への抵抗をわずかに無くさせた。 変化したミモザがツライ日々を送っていた証なのだと思えば心から同情し始めることとなる。
ミモザを伴いディディエが屋敷に戻れば、屋敷は綺麗に整えられている。 庶民であるシシリーのためと言えば馬鹿にしたかのように遅々と進まぬ作業も1日で終わるのだからおかしなものだ。
苦情を入れ、価格交渉を行わなければならないようだ。
そんなことを考え、自分達を向かえ入れる使用人を見れば、違和感を覚えた。
使用人の表情がどうにも微妙に見える。 そして何より内容こそ聞き取れないがボソボソとした話し声と、嘲笑が聞こえたのだ。 それは、一部使用人達によるミモザに対する侮辱とディディエは判断した。
「何かあったのですか!!」
使用人達の視線を考えれば、ミモザが不機嫌になるのは容易に想像ができ、ミモザを使用人達の視線から守るようにしながら、周囲を蹴散らすように屋敷内へと足を勧め、使用人達の言葉をミモザの耳に届かないようにと声をあげた。
「王女殿下のための部屋は準備できていますか?」
「はい、最も広く、最も美しい部屋に届けられた王女殿下の品を準備しております」
執事がそう告げれば、シシリーが荷を持ってきたのだと知った。
彼女は何か言っていただろうか?
そう口にしそうになった時、ミモザは不安そうにディディエにしがみついてみせる。 ディディエを見上げる表情は、ありえないほどに弱弱しいもの。 使用人達はミモザの姿を貧相だといい、本当に王女殿下なのかと囁いていたが、むしろ傲慢であったミモザが、自分を頼る様子こそが今のディディエの心をくすぐっている事を使用人達は知らない。
「どうかなさいましたか?」
ディディエが問えば、泣きそうな声でミモザは小さく囁くように告げる。
「かつて王女であった威光は失われ、今の私は夫である王太子に愛されることなく逃げ出すしかなかったただの女。 そんな私が、馬鹿にされるのは仕方がないものだとは理解しております。 ですが、理解していると言うことと耐えられると言うことは別なのです。 どうか、側にいて私を支えて下さい」
その言葉にほろりとした。
先のシシリーへの態度、ミストラル公爵家での態度を思えば、そんな弱弱しい様子は演技なのだと疑うべきなのだろう。 だが、ディディエはかつてのミモザとのギャップに、言いようのない満足感が優先されていたのだ。
長くミモザの装飾品として日々を送ってきたが、とうとう逆転する日が着たと言うことか!!
削り取られた自尊心が回復した気がした。
男として満たされた気がした。
「私の部屋にいらっしゃると?」
礼儀正しくはあったが、常にミモザに対し嫌悪を伴っていたディディエの態度が一転し甘い者へと変わっていた。 ミモザは静かに微笑み身を寄せた。
「今の私には、アナタしか頼る者はいないのです。 このように使用人達にまで冷ややかな視線を向けられ、王女である私に敬意が向けてくれる者がどれほどいましょうか。 私は怖いのです。 怖くて、怖くて、怖くて!! あぁぁああああああああ」
床に座り込み、倒れこみ、嘆き悲しむミモザ。
「大丈夫だミモザ!! 私がいる。 そうだ……君の苦労を理解しない者には、ばつをあたえよう。 君に不快感を与えるものは屋敷から追い出そう。 君を敬愛するものは今も多い、君のための新しい使用人を招こう。 明日、陛下に謁見を願い、君の理解者たるものを我が家の使用人に譲っていただけないか願いでよう」
「頼れるのはアナタだけだわ。 愛しているわ……ディディエ」
ミモザが歪んだ口元で笑っている事を、ディディエは気付くことは無く、可哀そうなミモザを床の上から抱き上げ、胸に抱き、自らの寝室へといざなった。
そんな二人を多くの使用人達は祝福したが、一部の年若い使用人達は怪訝な顔を見せている。 それが気にならないでもなかったが、今重要なのは傷ついたミモザが自分を求めている事だと、問題にしなかった。
今はただ、自分を求めるミモザにこたえる事が重要だった。
ディディエは長くミモザのエスコート役をつとめていたが、ソレは彼女が身に着ける装飾品と何ら変わることは無く、うっかりと彼女を女性として見てしまえば、全裸にさせられ、欲望を馬鹿にされ鞭打たれた。
身体に負った無数の傷を謝罪させながら、その赤い舌で奉仕させよう。 そう考えればゾクゾクした。 そうすることで男としてのプライドが戻るような気がしたのだ。
失った何かを取り戻そうとするディディエ。
そして、彼と同じく失った何かを取り戻そうと足掻くミモザ。
歓喜し自分を抱くディディエに甘え寄り添いながら、ミモザの視線は静かに使用人へと向かっていた。 この屋敷の女主人であるためには、自分の立場を確固たるものとしなければいけない。 そして、ソレが無事になされたことを確信し、ミモザは小さくほくそ笑んだ。
ミモザ王女がディディエを幼馴染に欲するまでは。
ファッション界を先導するミモザ王女をエスコートするようになってからのディディエは、角界からの注目を集め、羨望を集め、広告的価値を持つようになり、ソレがオラール伯爵家の身の丈に合わない屋敷と使用人を維持するための資金源であり、ミモザに贅沢をさせるような甲斐性どころか、シシリーに宝石の1つも贈る余裕など持ち合わせていなかった。
ミストラル公爵家に招かれたディディエとミモザは、大勢の仕立屋を前にし彼等の自慢のデザインをミモザに見せつけられていた。
王女殿下の威光に頼りたいのか?
後見人を得たいのか?
はたまた、仕事を確保したいだけか?
必死な仕立屋に対してミモザは、静かに視線を伏せており、がつがつとドレスを注文しない様子にディディエは安堵し、そんな遠慮がちな姿を哀れに思い、愛おしくも感じていた。
だが、ミモザの内面は違う。
何、この三流職人達。 フラワーズが一人もいないってどういうこと? 伯母上がドレスを作ってくれると言うからきてみたのに、こんな職人に作られたドレスなんてどんなに数があっても仕方がないじゃない!!
必死に苛立ちを隠していた。
一流とされる職人がいないのは、ミモザに対する嫌がらせではないことは知っている。 ミストラル公爵夫人は潔癖なところがあった。
『同じドレスは二度と着ないと言う者に一流のドレスは必要ない!』
と、公爵が立腹したのが原因である。
期待した私が愚かでしたわ……。
感謝と喜びをミモザは露わにしているが、目の前にワラワラと集う三流職人に苛立っていた。 ツマラナイドレスを増やされるのはどうにも許しがたく、ミモザは穏やかな笑みを口元にたたえてこう言った。
「エスコート役のディディエ伯爵のものも合わせて準備してくださいませ」
「私は良いので……いえ、ドレスばかり一度に作ってもらってどうするのですか……それよりも必要なのは日常着を作って頂いてはどうでしょう」
ナイスアシスト!! ディディエの発言にミモザは微笑んだ。 だが、公爵夫人は大げさに嘆きだす。
「なんて狭量な、ドレスは着用するしないではなく、所有していると言うのを見せつける事で社交界で威厳を保つと言う事をご存じないのですか!! 可愛い姪に恥をかかせないで頂戴」
「叔母様……今の私は日陰の存在、贅沢ばかり言える立場ではありませんわ」
「なんて、なんて可哀そうな子!!」
しばらく公爵夫人に抱きしめられ、哀れみを受け止めたミモザは、やがて穏やかに彼女をたしなめる。
「かつて流行は、私によって作られていました。 ですが今の時代も同じであるとは限りません。 沢山のドレスを一度に作ってしまっては、全てを着る前にドレスは時代遅れとなってしまいます。 それではドレスを作る職人も、ドレスも不幸と言うものです」
それに三流の時代遅れのドレスを大量に所有する私が最も不幸ですわ。
「ミモザ、アナタはなんて聡明なのでしょう」
ムダ金を回避できる機会をディディエは見逃すことはなく、ミモザの考えを支持した。
ディディエは地に足のついたミモザの考えに安堵した。 安堵が彼女を受け入れる事への抵抗をわずかに無くさせた。 変化したミモザがツライ日々を送っていた証なのだと思えば心から同情し始めることとなる。
ミモザを伴いディディエが屋敷に戻れば、屋敷は綺麗に整えられている。 庶民であるシシリーのためと言えば馬鹿にしたかのように遅々と進まぬ作業も1日で終わるのだからおかしなものだ。
苦情を入れ、価格交渉を行わなければならないようだ。
そんなことを考え、自分達を向かえ入れる使用人を見れば、違和感を覚えた。
使用人の表情がどうにも微妙に見える。 そして何より内容こそ聞き取れないがボソボソとした話し声と、嘲笑が聞こえたのだ。 それは、一部使用人達によるミモザに対する侮辱とディディエは判断した。
「何かあったのですか!!」
使用人達の視線を考えれば、ミモザが不機嫌になるのは容易に想像ができ、ミモザを使用人達の視線から守るようにしながら、周囲を蹴散らすように屋敷内へと足を勧め、使用人達の言葉をミモザの耳に届かないようにと声をあげた。
「王女殿下のための部屋は準備できていますか?」
「はい、最も広く、最も美しい部屋に届けられた王女殿下の品を準備しております」
執事がそう告げれば、シシリーが荷を持ってきたのだと知った。
彼女は何か言っていただろうか?
そう口にしそうになった時、ミモザは不安そうにディディエにしがみついてみせる。 ディディエを見上げる表情は、ありえないほどに弱弱しいもの。 使用人達はミモザの姿を貧相だといい、本当に王女殿下なのかと囁いていたが、むしろ傲慢であったミモザが、自分を頼る様子こそが今のディディエの心をくすぐっている事を使用人達は知らない。
「どうかなさいましたか?」
ディディエが問えば、泣きそうな声でミモザは小さく囁くように告げる。
「かつて王女であった威光は失われ、今の私は夫である王太子に愛されることなく逃げ出すしかなかったただの女。 そんな私が、馬鹿にされるのは仕方がないものだとは理解しております。 ですが、理解していると言うことと耐えられると言うことは別なのです。 どうか、側にいて私を支えて下さい」
その言葉にほろりとした。
先のシシリーへの態度、ミストラル公爵家での態度を思えば、そんな弱弱しい様子は演技なのだと疑うべきなのだろう。 だが、ディディエはかつてのミモザとのギャップに、言いようのない満足感が優先されていたのだ。
長くミモザの装飾品として日々を送ってきたが、とうとう逆転する日が着たと言うことか!!
削り取られた自尊心が回復した気がした。
男として満たされた気がした。
「私の部屋にいらっしゃると?」
礼儀正しくはあったが、常にミモザに対し嫌悪を伴っていたディディエの態度が一転し甘い者へと変わっていた。 ミモザは静かに微笑み身を寄せた。
「今の私には、アナタしか頼る者はいないのです。 このように使用人達にまで冷ややかな視線を向けられ、王女である私に敬意が向けてくれる者がどれほどいましょうか。 私は怖いのです。 怖くて、怖くて、怖くて!! あぁぁああああああああ」
床に座り込み、倒れこみ、嘆き悲しむミモザ。
「大丈夫だミモザ!! 私がいる。 そうだ……君の苦労を理解しない者には、ばつをあたえよう。 君に不快感を与えるものは屋敷から追い出そう。 君を敬愛するものは今も多い、君のための新しい使用人を招こう。 明日、陛下に謁見を願い、君の理解者たるものを我が家の使用人に譲っていただけないか願いでよう」
「頼れるのはアナタだけだわ。 愛しているわ……ディディエ」
ミモザが歪んだ口元で笑っている事を、ディディエは気付くことは無く、可哀そうなミモザを床の上から抱き上げ、胸に抱き、自らの寝室へといざなった。
そんな二人を多くの使用人達は祝福したが、一部の年若い使用人達は怪訝な顔を見せている。 それが気にならないでもなかったが、今重要なのは傷ついたミモザが自分を求めている事だと、問題にしなかった。
今はただ、自分を求めるミモザにこたえる事が重要だった。
ディディエは長くミモザのエスコート役をつとめていたが、ソレは彼女が身に着ける装飾品と何ら変わることは無く、うっかりと彼女を女性として見てしまえば、全裸にさせられ、欲望を馬鹿にされ鞭打たれた。
身体に負った無数の傷を謝罪させながら、その赤い舌で奉仕させよう。 そう考えればゾクゾクした。 そうすることで男としてのプライドが戻るような気がしたのだ。
失った何かを取り戻そうとするディディエ。
そして、彼と同じく失った何かを取り戻そうと足掻くミモザ。
歓喜し自分を抱くディディエに甘え寄り添いながら、ミモザの視線は静かに使用人へと向かっていた。 この屋敷の女主人であるためには、自分の立場を確固たるものとしなければいけない。 そして、ソレが無事になされたことを確信し、ミモザは小さくほくそ笑んだ。
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