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3章 オマジナイ
内政情報(読み飛ばし可能)
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ナイジェルが王位継承権を経て数か月。
実際のところ大きな影響は起きてはいない。
パーシヴァルと彼が所有する騎士団が四六時中監視をすることで、ナイジェルが得意とする薬系の悪事は抑えられていた。
物が物であること、ナイジェルがシヴィルを追い落とす宣言をしていることから、王都内で薬系の事件が起これば、シヴィルの責任にされると躍起になっていたためだ。 方法としては簡単である。 ナイジェルには手が出せないが、ナイジェルの取引相手を片っ端から王国法違反として取り締まっていった。
同時に、ナイジェルの不当の証拠も取り揃えていく。
化け物と言われる力を持つパーシヴァルだが、派手さはないが確実な方法でナイジェル対策を行っていた。
王宮内と言えば、ナイジェルの人気は高い。
王位に対して存在する派閥は3つ。
現王派、ライオネル派、ナイジェル派。
割合とすれば、3対3対4。
だが、コレも大きな問題ではない。
現王の支持層は、
現王はまだ若く、上手く政務が回っているからと語る変革を望まない貴族達。
ライオネルの支持層は、
現職大臣や、騎士団、大領主達などの、積極的に国の発展を望み運営にかかわっている者達。
ナイジェルの支持層は、
地位は高いが実権は持たない。
数は多いが、影響力が低い。
美貌や悲劇性と言う、人格や政治手腕に関係のないものに現を抜かすような、無能しか集まっていなかった。
ナイジェルがもし王位についた場合、今の彼を見る限り、国はまともに機能しないだろうと、国王派もライオネル派の者も囁いている。 彼がどれ程人心を集めようと、問題はないだろうと。
そこで、ナイジェルは別の方法を取った。
レイランド侯爵家の力を奪う事。
国民を先導し、現国王への不満の声を上げさせること。
国王の地位をそのままに権力をはく奪することで、王族と政務を切り離し、貴族達による中央政府の発足を行うことを推進しはじめた。 これによって、王位継承者に対する派閥は『王1:ライオネル3:ナイジェル6』へと変動する。
この動きを止めるため、ライオネルはミランダとの婚約を勧めたのである。
王宮内の混乱に対しては、今現在であれば王族のライオネル、騎士団のパーシヴァル、貴族最高位のレイランド、そして……娘のために元マノヴァ商会会頭が王宮内に潜ませた隠密。 それらが手を取れば、大抵のことは乗り切れるだろうと思われた。
だが、問題は民である。
王家の者達が、尽くせる力の全てを使い国を治めようとも、民の不満と言うものは必ず生まれるもの。
真っ先にやり玉に挙がったのは、王妃。
政務を行わない王妃のために、毎年莫大な経費が計上されており最も分かりやすい『無駄』と判断された。
次に問題となったのは、魔物。
今まで戦場で屍を喰らい、国内に影響を出さなかった魔物たちが、国内で暴れはじめたのだ、これを持ってナイジェルは現国王は天意を失ったと先導を唆し始めていた。
そして最後に問題となるのは、食料問題。
食糧不足ではなく、働き手が戦場から故郷に戻る事で、120(100が内部消費、20が輸出用)の生産が150へと上がった。 これは、収入の減少を意味することとなる。 戦争給付金は失われ、増えすぎた食糧を我先にと他国に売却したことで、価格崩壊が発生したのだ。
王妃の件はともかく、残り2つは国を治める王族の責任ではなく、領主の責任である。 だが、先導者がいる以上、その怒りの矛先は王へと向かいつつあった。 領地を持つ貴族達にとっても、自らの責任を問われないよう王の責任問題とするよう後押しする働きがあったのだ。
そして、これらの問題を、群衆の王家への反発心を操作したのが……ミランダ侯爵令嬢の組織なのだから、ライオネルもどれだけ自らがネタにされようと『薄い本』『愛の結晶』さまざまな呼ばれ方をする本を、認めざる得ない状況となっているのだった。
実際のところ大きな影響は起きてはいない。
パーシヴァルと彼が所有する騎士団が四六時中監視をすることで、ナイジェルが得意とする薬系の悪事は抑えられていた。
物が物であること、ナイジェルがシヴィルを追い落とす宣言をしていることから、王都内で薬系の事件が起これば、シヴィルの責任にされると躍起になっていたためだ。 方法としては簡単である。 ナイジェルには手が出せないが、ナイジェルの取引相手を片っ端から王国法違反として取り締まっていった。
同時に、ナイジェルの不当の証拠も取り揃えていく。
化け物と言われる力を持つパーシヴァルだが、派手さはないが確実な方法でナイジェル対策を行っていた。
王宮内と言えば、ナイジェルの人気は高い。
王位に対して存在する派閥は3つ。
現王派、ライオネル派、ナイジェル派。
割合とすれば、3対3対4。
だが、コレも大きな問題ではない。
現王の支持層は、
現王はまだ若く、上手く政務が回っているからと語る変革を望まない貴族達。
ライオネルの支持層は、
現職大臣や、騎士団、大領主達などの、積極的に国の発展を望み運営にかかわっている者達。
ナイジェルの支持層は、
地位は高いが実権は持たない。
数は多いが、影響力が低い。
美貌や悲劇性と言う、人格や政治手腕に関係のないものに現を抜かすような、無能しか集まっていなかった。
ナイジェルがもし王位についた場合、今の彼を見る限り、国はまともに機能しないだろうと、国王派もライオネル派の者も囁いている。 彼がどれ程人心を集めようと、問題はないだろうと。
そこで、ナイジェルは別の方法を取った。
レイランド侯爵家の力を奪う事。
国民を先導し、現国王への不満の声を上げさせること。
国王の地位をそのままに権力をはく奪することで、王族と政務を切り離し、貴族達による中央政府の発足を行うことを推進しはじめた。 これによって、王位継承者に対する派閥は『王1:ライオネル3:ナイジェル6』へと変動する。
この動きを止めるため、ライオネルはミランダとの婚約を勧めたのである。
王宮内の混乱に対しては、今現在であれば王族のライオネル、騎士団のパーシヴァル、貴族最高位のレイランド、そして……娘のために元マノヴァ商会会頭が王宮内に潜ませた隠密。 それらが手を取れば、大抵のことは乗り切れるだろうと思われた。
だが、問題は民である。
王家の者達が、尽くせる力の全てを使い国を治めようとも、民の不満と言うものは必ず生まれるもの。
真っ先にやり玉に挙がったのは、王妃。
政務を行わない王妃のために、毎年莫大な経費が計上されており最も分かりやすい『無駄』と判断された。
次に問題となったのは、魔物。
今まで戦場で屍を喰らい、国内に影響を出さなかった魔物たちが、国内で暴れはじめたのだ、これを持ってナイジェルは現国王は天意を失ったと先導を唆し始めていた。
そして最後に問題となるのは、食料問題。
食糧不足ではなく、働き手が戦場から故郷に戻る事で、120(100が内部消費、20が輸出用)の生産が150へと上がった。 これは、収入の減少を意味することとなる。 戦争給付金は失われ、増えすぎた食糧を我先にと他国に売却したことで、価格崩壊が発生したのだ。
王妃の件はともかく、残り2つは国を治める王族の責任ではなく、領主の責任である。 だが、先導者がいる以上、その怒りの矛先は王へと向かいつつあった。 領地を持つ貴族達にとっても、自らの責任を問われないよう王の責任問題とするよう後押しする働きがあったのだ。
そして、これらの問題を、群衆の王家への反発心を操作したのが……ミランダ侯爵令嬢の組織なのだから、ライオネルもどれだけ自らがネタにされようと『薄い本』『愛の結晶』さまざまな呼ばれ方をする本を、認めざる得ない状況となっているのだった。
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