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29.ほのぼの(?)家族会議 01
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そこは、王様の私室。
シアは王様に問いかけた。
「良いんですか? 本当にコレで? もっと万全を期する事もできますよ?」
シアが語るのは、ランディをどう守るかと言うもの。
流石に寝ている彼は無防備だから。
ランディは今、王様の私室の一角に作られた檻の中で眠っていて、シアはそこに魔力的な警報装置と防御用にトラップとして雷魔法を設置したのだ。 王様と彼の息子達とシアには反応しない罠。
「構いませんよ。 強い相手なら私が気づく事が出来ます。 それに、弱い者ならドーラで対応できるでしょう」
ドーラは結局捜索部隊から、ランディの警護に回された。
それで、ランディの側には王様がいるか、ドーラがいるかと言う状況になる。 これなら、ドロテア本人が現れ、ランディに問いかけ、話しかけ、無理やり起こすなんて事はしないだろう。 と言う事だった。
「それに完全に出入口を封じてしまえば、この子に触れる事も出来ない」
檻の中に手を伸ばし、縮こまるように丸まり固まるようになって眠るランディの頭を撫でる。 頑なに強張った身体……それは世界を恐れている昔の自分と良く似ている。
「戦場では誰より強かったって話なのに」
「シアだって、賢者の中では最も知識量が多く有能だと聞いていたぞ?」
そう言ってラースは笑い私の頭を撫でた……。 そっと壊れ物を触るかのような優しい手つきは彼の見た目と会わなくて心がくすぐったい。
「ぁ、なんだか笑ってる?」
寝ている獣の顔に笑っているも何も無いように思えるけれど、口がモゴモゴし嬉しそうにしているようだった。
「どんな夢を見ているのか」
「世界を巡って、美味しいものを色々食べたし、色んな景色も見た、思いっきり走って、ジルと戦って、資料館で勉強した事もある。 アイツにとっても楽しめる記憶も色々あるだろう。 ただ……」
言葉を切ってラースは私を見た。
「何?」
「これからのシアとの日々は、共有する気はないがな」
そう言って抱き寄せられ、髪に口づけられた。 そんな私達を王様は嬉しそうに見ている。 彼にはもう愛すべき妻は無いと言うのに……。
今の王妃様は、以前の王妃様の付き人。
王様との間にある感情は、前王妃様を大切だと言う思いだけ。 それでも共有する思い出と、感傷に、気まぐれに情を交わしセグが生まれたと耳にしたことがある。
それは、セグにとっては余り喜ばしくない中傷とも言える言葉で、真実かどうかはわからないけれど……。 夫婦の閨に躊躇う事無く息子を匿うのだから、もしかしたら本当なのかもしれない。
ランディの獣姿は、ラースよりも長い毛並みでふわふわしている。
「私も触っていいかな?」
聞けば、何故か王様もラースも驚いた顔をした。 一応王子様なのだし、失礼だったかしら? と、思っていたが二人とも同じように、優しく瞳が微笑んだ。
「そうですね、よかったら撫でてやってください」
そして、何故か私はと言えば……ランディを撫でている間中ラースに撫でられていた。
変なの?
シアは王様に問いかけた。
「良いんですか? 本当にコレで? もっと万全を期する事もできますよ?」
シアが語るのは、ランディをどう守るかと言うもの。
流石に寝ている彼は無防備だから。
ランディは今、王様の私室の一角に作られた檻の中で眠っていて、シアはそこに魔力的な警報装置と防御用にトラップとして雷魔法を設置したのだ。 王様と彼の息子達とシアには反応しない罠。
「構いませんよ。 強い相手なら私が気づく事が出来ます。 それに、弱い者ならドーラで対応できるでしょう」
ドーラは結局捜索部隊から、ランディの警護に回された。
それで、ランディの側には王様がいるか、ドーラがいるかと言う状況になる。 これなら、ドロテア本人が現れ、ランディに問いかけ、話しかけ、無理やり起こすなんて事はしないだろう。 と言う事だった。
「それに完全に出入口を封じてしまえば、この子に触れる事も出来ない」
檻の中に手を伸ばし、縮こまるように丸まり固まるようになって眠るランディの頭を撫でる。 頑なに強張った身体……それは世界を恐れている昔の自分と良く似ている。
「戦場では誰より強かったって話なのに」
「シアだって、賢者の中では最も知識量が多く有能だと聞いていたぞ?」
そう言ってラースは笑い私の頭を撫でた……。 そっと壊れ物を触るかのような優しい手つきは彼の見た目と会わなくて心がくすぐったい。
「ぁ、なんだか笑ってる?」
寝ている獣の顔に笑っているも何も無いように思えるけれど、口がモゴモゴし嬉しそうにしているようだった。
「どんな夢を見ているのか」
「世界を巡って、美味しいものを色々食べたし、色んな景色も見た、思いっきり走って、ジルと戦って、資料館で勉強した事もある。 アイツにとっても楽しめる記憶も色々あるだろう。 ただ……」
言葉を切ってラースは私を見た。
「何?」
「これからのシアとの日々は、共有する気はないがな」
そう言って抱き寄せられ、髪に口づけられた。 そんな私達を王様は嬉しそうに見ている。 彼にはもう愛すべき妻は無いと言うのに……。
今の王妃様は、以前の王妃様の付き人。
王様との間にある感情は、前王妃様を大切だと言う思いだけ。 それでも共有する思い出と、感傷に、気まぐれに情を交わしセグが生まれたと耳にしたことがある。
それは、セグにとっては余り喜ばしくない中傷とも言える言葉で、真実かどうかはわからないけれど……。 夫婦の閨に躊躇う事無く息子を匿うのだから、もしかしたら本当なのかもしれない。
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「私も触っていいかな?」
聞けば、何故か王様もラースも驚いた顔をした。 一応王子様なのだし、失礼だったかしら? と、思っていたが二人とも同じように、優しく瞳が微笑んだ。
「そうですね、よかったら撫でてやってください」
そして、何故か私はと言えば……ランディを撫でている間中ラースに撫でられていた。
変なの?
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