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10.精霊曰く『悪意』『敵意』がなかったから報告しなかったらしい
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救援を望まれ案内された村は、丸い広場を中心に18軒ほどの家が建っており、4人の子供達が同症状を訴えているために、1か所に集められ看病されていた。
病状自体は決して難しいものではありません。
栄養失調。
それに加え、急激に上がった気温に体温調整がついて行かず、発熱している状況。 薬を処方する手前、魔法薬師の持つ鑑定スキルも所有しているので、間違いはありません。
栄養失調というと、1人ぐらいなら好き嫌いが原因と言うこともありますが、村にいる10歳以下と思われる子供達全員となると……。 私は顔を伏せたまま周囲で見守る大人たちを見た。 大柄で体格の良い男達が戸口周辺で並んで様子を見守っている。
問題なのは『見守る=子を心配している』とは一概に言えない事です。 だって大人たちは飢えていないんですから。 私と年の変わらない、子供とも大人とも言えない年頃の子は、顔色は良くはありませんが、うっすらと肉もついています。
大人は食事が出来ているんです。 もし子供を心配するような神経があるなら、きっと子供を飢えさせる事など無いはずです。
「で、どうなんですか?」
村の外で出会った青年が問うてきた。 もし、彼が壁際で並んでいる山賊のような男達と同じ顔なら、私ももう少し対応を……いえ、この場合重要なのは顔ではなく、子供のことですね。 はい、ごめんなさい。
「この子達にお渡しできる薬はありません」
「惜しくなったのか!!」
背後から怒声が聞こえる。
この場合の惜しくは……対価を払う気が無いと言う主張なのか? 手に入りにくい薬を惜しむなという意味なのか。 私はすすすーとレピオスの陰に隠れれば、小さな声でレピオスが不満を訴えてくる。
「ちょ、辞めてくださいよ……いざとなったらお嬢様の方が強いんですから」
慌てると本来の『お嬢様』呼びに戻る訳で、ほ~ら、なんかニヤニヤしてきたぁ……。
「ただの栄養不足で、身体が弱っているだけだからですよ」
「こんなにつらそうなのに、病気ではないなんてあり得ない!」
「そうですか……では、他の者を頼ってください。 私は、自分が渡した薬で子供が死ぬ事は許容できませんので」
戸口をすすすーーーと人が集まり固めていく。
「なら、飯を食わせるための金をくれよ」
ニヤニヤと近寄ってくる村人たち。
「お金をお売りしますので、その対価をください」
「お嬢様!!」
レピオスが悲鳴のような声を上げる。
「だって、こうなったら、力づくで逃げるしかないでしょう」
「まぁまぁ、ここは先ず弱った子供を助けるのが先決ではありませんかね?」
戸口を塞ぐ男の背に蹴りを入れながら1人の青年が入ってきた。
がしゃがしゃがしゃんと大げさな音がなる。
旅の剣士風、風と言うのは着ているものも口調も上品だから、剣士と言うよりも騎士と言う方がしっくりする。 そしてその青年を私は……私とレピオスは知っていた。
「ロト!!」
「はい、お困りなようでしたので助けに参りました」
「別に困っていません」
「ですが、このままだと大騒ぎにしてしまうでしょう? とりあえず話はあとです」
「お、おぃ、勝手をするな!!」
「すみません。 お嬢様の方は、私の護衛対象ですので」
銀色の髪と、銀縁眼鏡が特徴的な青年は、姿勢正しく上品に立ちながら微笑んで見せた。
「それで、お嬢様、こちら子達の回復を促すには?」
色々と言いたいところがあるけれど、ロトがきたことで私とレピオスを獲物として見ていた視線が変わった。 それだけでも、まぁ……追い込まれた状況から改善されたと言えるかもしれない。 多少は会話可能な状態になったかもしれない。
「栄養価の高い食事を与える事ね。 牛乳で卵を溶いて砂糖をタップリ、塩を少し混ぜて、千切ったパンを浸し弱火で煮たものとか……。 ソレが食べられないようなら、水に砂糖と塩を入れたものを、熱が下がるまで与えるとかかしら?」
「それほど自分の言い分に自信があるなら実証してみろ!!」
な、何を言っているんです? この人。
なぜ、攻撃的なんです?
私が困惑していれば、ロトが対応した。 うん……発言自体はろくでもなかったですけどね!!
「おかしなことをいいますね。 無料で回復の方法を提示されたことに感謝するなら分かりますが、よく考えて下さい。 お嬢様が、貴方方のような不細工の信頼を得たい等と考えるはずないじゃないですか。」
「それだと、私がただの面食いのようじゃない」
「申し訳ございませんお嬢様。 お嬢様は人相の悪い人間が嫌いなですよ」
なんか、勝手に語られ、そして目の前の男達の怒りはドンドン増していく。
「これ以上、足止めされては旅の工程に影響が出てきますよ、お嬢様」
なんか……煽っておいて何を言う!!
「ただで返すと思ってんのかよ」
「おや、情報量をくださると言うんですか? 流石、王都でもなかなか手にれられないような高級酒を大量に所有しているだけのことはある。 なんと剛毅なのでしょう」
相手側の情報開示がなされた。 ようするに、金は持っているから、子供達は気に掛ける事など無いと言っているのでしょう。
「では、私達がここを安全に出るまで、しばらく転がっていてもらいます」
そう私が告げた途端に、大人たちは転んだ。
立ち上がろうとして、また転び。
何かに捕まろうとしたなら、足が引っ張られる感触がした。
精霊さんの働きに感謝!!
「へえぇええええええええ」
1人、叫び声を上げれば、後は阿鼻叫喚の出来上がり。
そして私達は村から逃げ出した。
走る馬車。
並走して単体でついてくる馬。
荷台に一緒に乗っているロト。
「いつから、いたんですか……」
ボソリと聞けば。
「初日からですね」
「精霊は、教えてくれませんでした!!」
不満そうに言えば、理由は精霊の方が教えてくれた。
『敵意ないから?』
『報告必要ない?』
「私も、危険が無ければ出てくる気等ありませんでしたよ。 安定した土地に上手く馴染んでくれれば、顔を出さずに戻る予定でした」
私はぽつりと呟いた。
「モルタ?」
「はい」
「アナタを逃がしてしまい首になった私を哀れみ後モルタさんから新しい仕事をくださったんですよ」
ニコニコと信用のおけない笑みを向けてくる。 ちなみにシルフィが逃亡する前からの決定事項であるためロトの発言は嘘だ。
「出ていくとき、意地悪した癖に」
「仕事ですから」
悪気なく言いきる。
「まぁまぁ、おじょ、シルフィ、2人ではいろいろと問題ばかりだったんですから、旅慣れた人がいるのは丁度良いじゃありませんか」
「いえ、旅は初めてです。 これでも王都生まれ、王都育ち、末端ではありますが王族ですから」
ドヤって見せられて、私もレピオスも黙りこむ。
「王族なのに侯爵家に?!」
「まぁ、末端ですからねぇ……。 それに王族にも色々な派閥があるんですよ」
今の私には関係ないからと、彼は詳しく説明することは無かった。
「それで、どうされるんですか?」
いや、こっちが聞きたいくらいですよ。 そんな感情が顔にそのまま出ていたのでしょう。 ロトは勝手にしゃべりだす。
「モイラ殿からの依頼は、安全な場所で居を構える事とありますが、そもそもお嬢様とレピオスでは軽く見られがちで、人にはかっこうのカモにしか見えません」
「そんなことを言われても……」
「食料は何とかなりますし、一気に隣国まで駆け抜けましょうよ~」
そう告げるのはレピオス。 だが、ロトは渋い顔をして見せた。
「まぁ……確かに、隣国へ出ればお嬢様をカモにしようと言う人達は、圧倒的に減るでしょうが……お嬢様はどのように生きて行くつもりですか?」
減るでしょう『が』の『が』って何よ! 何それ、私が天性のイジメラレッコだとでもいう訳!! などと言う不満を飲み込む。
「えっと、薬師として?」
「魔法、薬師ですよね。 普通の薬師であれば既に縄張りを持っています。 そしてその縄張りは、師匠から弟子へと受け継がれるものです。 なので普通の薬師としてでは、食べていくのが難しいでしょう。 となれば、残る道は魔法薬師……ですよね?」
「ぁ、はい……」
「魔法職として最も人気が高いのは魔法医師です。 他はそれぞれの適正に合わせるため、まばらで、どの職も多くはありません。 どういうことか分かりますか?」
ロトの問いに私は首を傾げた。
「それだけ稀少だと言うことですよ。 そして存外求めている人は多い」
「魔法医師がいるのにですか?」
「えぇ、医師は薬を作りませんし、薬にも色々あるでしょう?」
「色々?」
「そうですねぇ……継続的な体調不良を対処するものや、人の欲求を叶えるもの。 私などは本好きが行き過ぎて眼精疲労が酷いですし。 常に頭痛を感じている人だっているんです。 ソレを解決できる商品があるなら、是非欲しいと考えるものなんですよ」
「モルタの腰痛とか!」
「えぇ、その通りです。 そして私は眼精疲労も」
「……」
「まぁ、いいです。 お嬢様が昔1度だけ作った手荒れ用の軟膏、あれどうなったか知っていますか?」
「捨てられた」
「違いますよ。 その効果が絶大で、ある貴族が欲しいと大金を積んだんです。 で、使用人達は売り払い大金を山分けし、お嬢様からは誤解を受けて二度と作ってもらえなくなったと」
「そんな裏話があったなんて、知らなかった」
「まぁ、何が言いたいかと言えば、お嬢様は金になるんです。 大金を生み出すんです。 そして、弱そうに見える。 だけど実際は見えるだけで、その背後には大量の精霊を味方につけており、アナタに何かあれば様々な被害、天変地異が起こりかねない。 危険ですねぇ……」
「何が言いたいんですか……王都に戻り管理を受けろと?」
「いいえ、しばらく私が信頼する男の元に身を寄せませんか? と、提案をさせていただきたいのですよ」
病状自体は決して難しいものではありません。
栄養失調。
それに加え、急激に上がった気温に体温調整がついて行かず、発熱している状況。 薬を処方する手前、魔法薬師の持つ鑑定スキルも所有しているので、間違いはありません。
栄養失調というと、1人ぐらいなら好き嫌いが原因と言うこともありますが、村にいる10歳以下と思われる子供達全員となると……。 私は顔を伏せたまま周囲で見守る大人たちを見た。 大柄で体格の良い男達が戸口周辺で並んで様子を見守っている。
問題なのは『見守る=子を心配している』とは一概に言えない事です。 だって大人たちは飢えていないんですから。 私と年の変わらない、子供とも大人とも言えない年頃の子は、顔色は良くはありませんが、うっすらと肉もついています。
大人は食事が出来ているんです。 もし子供を心配するような神経があるなら、きっと子供を飢えさせる事など無いはずです。
「で、どうなんですか?」
村の外で出会った青年が問うてきた。 もし、彼が壁際で並んでいる山賊のような男達と同じ顔なら、私ももう少し対応を……いえ、この場合重要なのは顔ではなく、子供のことですね。 はい、ごめんなさい。
「この子達にお渡しできる薬はありません」
「惜しくなったのか!!」
背後から怒声が聞こえる。
この場合の惜しくは……対価を払う気が無いと言う主張なのか? 手に入りにくい薬を惜しむなという意味なのか。 私はすすすーとレピオスの陰に隠れれば、小さな声でレピオスが不満を訴えてくる。
「ちょ、辞めてくださいよ……いざとなったらお嬢様の方が強いんですから」
慌てると本来の『お嬢様』呼びに戻る訳で、ほ~ら、なんかニヤニヤしてきたぁ……。
「ただの栄養不足で、身体が弱っているだけだからですよ」
「こんなにつらそうなのに、病気ではないなんてあり得ない!」
「そうですか……では、他の者を頼ってください。 私は、自分が渡した薬で子供が死ぬ事は許容できませんので」
戸口をすすすーーーと人が集まり固めていく。
「なら、飯を食わせるための金をくれよ」
ニヤニヤと近寄ってくる村人たち。
「お金をお売りしますので、その対価をください」
「お嬢様!!」
レピオスが悲鳴のような声を上げる。
「だって、こうなったら、力づくで逃げるしかないでしょう」
「まぁまぁ、ここは先ず弱った子供を助けるのが先決ではありませんかね?」
戸口を塞ぐ男の背に蹴りを入れながら1人の青年が入ってきた。
がしゃがしゃがしゃんと大げさな音がなる。
旅の剣士風、風と言うのは着ているものも口調も上品だから、剣士と言うよりも騎士と言う方がしっくりする。 そしてその青年を私は……私とレピオスは知っていた。
「ロト!!」
「はい、お困りなようでしたので助けに参りました」
「別に困っていません」
「ですが、このままだと大騒ぎにしてしまうでしょう? とりあえず話はあとです」
「お、おぃ、勝手をするな!!」
「すみません。 お嬢様の方は、私の護衛対象ですので」
銀色の髪と、銀縁眼鏡が特徴的な青年は、姿勢正しく上品に立ちながら微笑んで見せた。
「それで、お嬢様、こちら子達の回復を促すには?」
色々と言いたいところがあるけれど、ロトがきたことで私とレピオスを獲物として見ていた視線が変わった。 それだけでも、まぁ……追い込まれた状況から改善されたと言えるかもしれない。 多少は会話可能な状態になったかもしれない。
「栄養価の高い食事を与える事ね。 牛乳で卵を溶いて砂糖をタップリ、塩を少し混ぜて、千切ったパンを浸し弱火で煮たものとか……。 ソレが食べられないようなら、水に砂糖と塩を入れたものを、熱が下がるまで与えるとかかしら?」
「それほど自分の言い分に自信があるなら実証してみろ!!」
な、何を言っているんです? この人。
なぜ、攻撃的なんです?
私が困惑していれば、ロトが対応した。 うん……発言自体はろくでもなかったですけどね!!
「おかしなことをいいますね。 無料で回復の方法を提示されたことに感謝するなら分かりますが、よく考えて下さい。 お嬢様が、貴方方のような不細工の信頼を得たい等と考えるはずないじゃないですか。」
「それだと、私がただの面食いのようじゃない」
「申し訳ございませんお嬢様。 お嬢様は人相の悪い人間が嫌いなですよ」
なんか、勝手に語られ、そして目の前の男達の怒りはドンドン増していく。
「これ以上、足止めされては旅の工程に影響が出てきますよ、お嬢様」
なんか……煽っておいて何を言う!!
「ただで返すと思ってんのかよ」
「おや、情報量をくださると言うんですか? 流石、王都でもなかなか手にれられないような高級酒を大量に所有しているだけのことはある。 なんと剛毅なのでしょう」
相手側の情報開示がなされた。 ようするに、金は持っているから、子供達は気に掛ける事など無いと言っているのでしょう。
「では、私達がここを安全に出るまで、しばらく転がっていてもらいます」
そう私が告げた途端に、大人たちは転んだ。
立ち上がろうとして、また転び。
何かに捕まろうとしたなら、足が引っ張られる感触がした。
精霊さんの働きに感謝!!
「へえぇええええええええ」
1人、叫び声を上げれば、後は阿鼻叫喚の出来上がり。
そして私達は村から逃げ出した。
走る馬車。
並走して単体でついてくる馬。
荷台に一緒に乗っているロト。
「いつから、いたんですか……」
ボソリと聞けば。
「初日からですね」
「精霊は、教えてくれませんでした!!」
不満そうに言えば、理由は精霊の方が教えてくれた。
『敵意ないから?』
『報告必要ない?』
「私も、危険が無ければ出てくる気等ありませんでしたよ。 安定した土地に上手く馴染んでくれれば、顔を出さずに戻る予定でした」
私はぽつりと呟いた。
「モルタ?」
「はい」
「アナタを逃がしてしまい首になった私を哀れみ後モルタさんから新しい仕事をくださったんですよ」
ニコニコと信用のおけない笑みを向けてくる。 ちなみにシルフィが逃亡する前からの決定事項であるためロトの発言は嘘だ。
「出ていくとき、意地悪した癖に」
「仕事ですから」
悪気なく言いきる。
「まぁまぁ、おじょ、シルフィ、2人ではいろいろと問題ばかりだったんですから、旅慣れた人がいるのは丁度良いじゃありませんか」
「いえ、旅は初めてです。 これでも王都生まれ、王都育ち、末端ではありますが王族ですから」
ドヤって見せられて、私もレピオスも黙りこむ。
「王族なのに侯爵家に?!」
「まぁ、末端ですからねぇ……。 それに王族にも色々な派閥があるんですよ」
今の私には関係ないからと、彼は詳しく説明することは無かった。
「それで、どうされるんですか?」
いや、こっちが聞きたいくらいですよ。 そんな感情が顔にそのまま出ていたのでしょう。 ロトは勝手にしゃべりだす。
「モイラ殿からの依頼は、安全な場所で居を構える事とありますが、そもそもお嬢様とレピオスでは軽く見られがちで、人にはかっこうのカモにしか見えません」
「そんなことを言われても……」
「食料は何とかなりますし、一気に隣国まで駆け抜けましょうよ~」
そう告げるのはレピオス。 だが、ロトは渋い顔をして見せた。
「まぁ……確かに、隣国へ出ればお嬢様をカモにしようと言う人達は、圧倒的に減るでしょうが……お嬢様はどのように生きて行くつもりですか?」
減るでしょう『が』の『が』って何よ! 何それ、私が天性のイジメラレッコだとでもいう訳!! などと言う不満を飲み込む。
「えっと、薬師として?」
「魔法、薬師ですよね。 普通の薬師であれば既に縄張りを持っています。 そしてその縄張りは、師匠から弟子へと受け継がれるものです。 なので普通の薬師としてでは、食べていくのが難しいでしょう。 となれば、残る道は魔法薬師……ですよね?」
「ぁ、はい……」
「魔法職として最も人気が高いのは魔法医師です。 他はそれぞれの適正に合わせるため、まばらで、どの職も多くはありません。 どういうことか分かりますか?」
ロトの問いに私は首を傾げた。
「それだけ稀少だと言うことですよ。 そして存外求めている人は多い」
「魔法医師がいるのにですか?」
「えぇ、医師は薬を作りませんし、薬にも色々あるでしょう?」
「色々?」
「そうですねぇ……継続的な体調不良を対処するものや、人の欲求を叶えるもの。 私などは本好きが行き過ぎて眼精疲労が酷いですし。 常に頭痛を感じている人だっているんです。 ソレを解決できる商品があるなら、是非欲しいと考えるものなんですよ」
「モルタの腰痛とか!」
「えぇ、その通りです。 そして私は眼精疲労も」
「……」
「まぁ、いいです。 お嬢様が昔1度だけ作った手荒れ用の軟膏、あれどうなったか知っていますか?」
「捨てられた」
「違いますよ。 その効果が絶大で、ある貴族が欲しいと大金を積んだんです。 で、使用人達は売り払い大金を山分けし、お嬢様からは誤解を受けて二度と作ってもらえなくなったと」
「そんな裏話があったなんて、知らなかった」
「まぁ、何が言いたいかと言えば、お嬢様は金になるんです。 大金を生み出すんです。 そして、弱そうに見える。 だけど実際は見えるだけで、その背後には大量の精霊を味方につけており、アナタに何かあれば様々な被害、天変地異が起こりかねない。 危険ですねぇ……」
「何が言いたいんですか……王都に戻り管理を受けろと?」
「いいえ、しばらく私が信頼する男の元に身を寄せませんか? と、提案をさせていただきたいのですよ」
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