5 / 20
05.昔々の物語に隠された呪いの秘密
しおりを挟む
シルフィは、追っ手を恐れ、焚火をすることすら嫌がり、御者席で座ったまま眠ろうとするレピオスに馬車の中へと蹴り入れた。
「お嬢様!」
「私は移動中も眠れるから、中で寝なさい」
「ですが!!」
余りにも必死な様子に、シルフィは肩をすくめる。
「それほど怖いなら、なぜ一緒に来ようとしたのですか……」
私は呆れたように言いながら、精霊の空間から新鮮ミルクとブランデーを取り出しホットミルクを作り出す。 色々な手順は、精霊の力を借りた魔法でちょちょい。
「はい! ソレを飲みなさい。 命令よ。 後は……」
肌触りの良い毛布を、乱暴に放り投げた。
ホットミルクを一口飲み、ふぅと息をつくレピオスは涙ぐんでいる。
「もう、今からでも戻って良いのですよ。 きっとモルタがよくしてくれますわ」
「いえ、いいんです。 俺にとって王都は怖い場所でした」
あぁ、そう言えばと思いだす。
「えっと、騙されて騙されて、奴隷として売られてモルタに買い取られたんでしたっけ?」
アラヤ国の民……というか王都民は、余り性格がよく無い……者が多い。 すっごい悪党はいないが、小さな悪党は沢山いて、自衛をしようとすれば善良さは捨てなければならず、自然と皆そろって性格が悪くなるのだ。
だから、曾祖母は私を王都に連れていくことはなかった。 王都を案じ身体が動かなくなっても精霊の力を借りて通い続けており、王都に拠点を置くことは死の瞬間まですることはなかった。
それでも6年も王都に住んでいるのだから、私ももう善良とは言えないでしょう。 だが、レピオスの答えは違っていた。
「いえ、それもあるのですが……その……見えるんです」
私はその言葉に眉間を寄せる。
「城を中心に、王都は……特に都市部は、薄暗く空気を染め上げているんです。 アレは、きっと人の悪意ですよ」
私は、彼の言葉にキョトンとする。
「ただ、お嬢様の周囲だけは、空気が輝いて見える。 アナタだけが俺の安住だった。 だから……アナタの側がいいんです」
拗ねた子供のように、私よりずっと年上の彼が言うから私は笑ってしまった。
「ソレはね、大地の奥深くに魔脈を抱えているからよ」
「ぇ?」
「アラヤ国は便利だったと思いません?」
突然に問いかければ、レピオスは頓狂な顔を向けそして何度も頷いた。
「ボタンを押せば明かりがつき、水が出て、風が気温を調整する。 他の国はどうかわかりませんが、アラヤ国の中でも王都のみにある便利さですわ。 で、その動力は何処にあると思います?」
「さぁ、俺のようなものには……」
「魔脈から溢れる魔力を使って、その便利さが維持されていますの。 そうレピオス、アナタ魔力の流れが見えたのね。 ねぇ、魔法職を覚えない? 生きて行くのに便利よ」
レピオスが明らかに顔をゆがめ拒絶を見せた。
「魔法職と言うと、アレですよね。 アパテお嬢様の改造を施した」
「まぁ、確かに魔法職と言えば魔法医師と言うイメージはあるわね。 でも、私のような魔法薬師もいれば、魔法調理師、魔法裁縫師、魔道具師なんてのもありますわ」
「はぁ……、俺、勉強嫌いなんですよ……でなければ漁師なんてなりませんでした」
「あら、勿体ないわね。 そうねぇ……きっと優秀な漁師だったんでしょうね」
魔力と縁深いものは、自らを優位にするため自然と魔力を活用するものだ。
「えぇ、そうですとも、俺は優秀だったんですよ!! でも、でも……優秀さに調子に乗ってしまって、嵐の日に海に出たんです。 だって凄い沢山の魚が来ていたんですよ!!」
グズグズと言う様子は子供のようで、ブランデーを入れ過ぎたかな? と苦笑する。
「でも……アレが魔力だとしたら、なぜ、お嬢様の周りはキラキラしているんですぅ?」
「ソレは、私の周囲の魔力は魔脈ではなく、精霊達の影響を受けているからですわ」
理解しているのかいないのかレピオスはうっとりと見つめてくる。
「お嬢様はとても綺麗です……」
例え酔っ払いであっても、褒められるのはとても気分がいいものだ。 ウトウトしている様子に私は、眠りにとどめをさそうと物語を語りだす。
アラヤ国の建国の物語。 ソレは、曾祖母が生きていた頃、シルフィが覚えるほどに繰り返された物語。
昔々、遥か神話の時代。
世界の様々な場所に、神の泉と呼ばれる場所がありました。
その地に住まう獣達は、知恵を得て、柔軟な思考を得て、強靭な肉体を得て、生きるために生きるのではなく、幸福になるために生きる事を求めるようになりました。
尊き神の子。
獣の王。
大きな口に、大きな牙。
最も強い獣の王は、多くの知恵ある獣を民とした。
肉食と草食、捕食する側される側。
問題は多かった。
獣王は、狩りは森の外ですることと肉食獣達に厳命した。
そうやって獣達は、初めての法を持ち平和に仲良く暮らしていたのだ。
ある日、彼等の元に訪れたのは人間の旅人達。
「食べ物を分けて下さいませんか?」
平和な獣の国の民は、快く人間の旅人引き入れ、食べ物を譲り、汚れた身体を清めさせ、傷があれば治療をし、清潔な衣類を与えた。
「ありがとうございます。 この御恩はどのように返しましょうか?」
「人の奏でる音楽が知りたい」
「人の語る物語を知りたい」
「人が描く美しいものを見たい」
「人の世の法を知りたい」
獣達は人のようにあろうとしたが、どんなに賢くなろうと生きる事を最優先するよう本能に組み込まれていて、楽しいを作れない、感動が分からない、ルールを理解できない者も多くヒッソリ仲間を食らう者もいたのだ。
幸福が欲しい。
「我々は人間のように幸福を得るために生きたいのだ」
「では、私達が獣の国に幸福をもたらしましょう」
そして、獣と人は、幸福を求めて仲良く暮らしましたとさ。
荷台の中からスヤスヤと規則正しい寝息が聞こえていた。
「眠ったようですね」
私は、精霊空間から焚き火用の薪をとりだし、火をつける。
レピオスは王都からの追っ手や、夜盗ばかりを案じているけれど、王都には危険な獣が多く存在している。 アラヤにいる獣は、他国と比べ狂暴で積極的に人を襲ってくるのだ。
私は精霊達に警戒を頼み、焼いたマシュマロをプレゼントした。
物語には続きがある。
人は言った。
「獣の幸せは知恵を持たぬことですよ」
獣達は何を言われたのか理解できなかった。
だって、獣達は、人を十分過ぎるほどに信用しており、彼等の作る料理に魅了され、歌に心揺らされ、踊りを楽しみ、物語に思いをはせていた。
獣達はこの上ない幸福を感じていたのだ。
人間のような自分達に満足していたのだ。
沢山幸せをくれた人間さんが、悪い人のはずがない。 その体に刃をつき付けられても多くの獣はそう信じるほどだった。
魔力ある土地に住んでいた彼等は、知恵を持つほどに魔力を蓄え、特殊な魔力宝石をその身に宿しており、旅人を装った人間は、最初から魔力宝石を目的としていたのだ。
そして獣は死に絶え、豊かな魔脈の上に町が作られ、国となった。
今も獣達は、人間に恋い焦がれながら人間を、人の王となった彼等を愛し、そして憎み続けている。
ソレがアラヤ国にかけられた呪い。
「お嬢様!」
「私は移動中も眠れるから、中で寝なさい」
「ですが!!」
余りにも必死な様子に、シルフィは肩をすくめる。
「それほど怖いなら、なぜ一緒に来ようとしたのですか……」
私は呆れたように言いながら、精霊の空間から新鮮ミルクとブランデーを取り出しホットミルクを作り出す。 色々な手順は、精霊の力を借りた魔法でちょちょい。
「はい! ソレを飲みなさい。 命令よ。 後は……」
肌触りの良い毛布を、乱暴に放り投げた。
ホットミルクを一口飲み、ふぅと息をつくレピオスは涙ぐんでいる。
「もう、今からでも戻って良いのですよ。 きっとモルタがよくしてくれますわ」
「いえ、いいんです。 俺にとって王都は怖い場所でした」
あぁ、そう言えばと思いだす。
「えっと、騙されて騙されて、奴隷として売られてモルタに買い取られたんでしたっけ?」
アラヤ国の民……というか王都民は、余り性格がよく無い……者が多い。 すっごい悪党はいないが、小さな悪党は沢山いて、自衛をしようとすれば善良さは捨てなければならず、自然と皆そろって性格が悪くなるのだ。
だから、曾祖母は私を王都に連れていくことはなかった。 王都を案じ身体が動かなくなっても精霊の力を借りて通い続けており、王都に拠点を置くことは死の瞬間まですることはなかった。
それでも6年も王都に住んでいるのだから、私ももう善良とは言えないでしょう。 だが、レピオスの答えは違っていた。
「いえ、それもあるのですが……その……見えるんです」
私はその言葉に眉間を寄せる。
「城を中心に、王都は……特に都市部は、薄暗く空気を染め上げているんです。 アレは、きっと人の悪意ですよ」
私は、彼の言葉にキョトンとする。
「ただ、お嬢様の周囲だけは、空気が輝いて見える。 アナタだけが俺の安住だった。 だから……アナタの側がいいんです」
拗ねた子供のように、私よりずっと年上の彼が言うから私は笑ってしまった。
「ソレはね、大地の奥深くに魔脈を抱えているからよ」
「ぇ?」
「アラヤ国は便利だったと思いません?」
突然に問いかければ、レピオスは頓狂な顔を向けそして何度も頷いた。
「ボタンを押せば明かりがつき、水が出て、風が気温を調整する。 他の国はどうかわかりませんが、アラヤ国の中でも王都のみにある便利さですわ。 で、その動力は何処にあると思います?」
「さぁ、俺のようなものには……」
「魔脈から溢れる魔力を使って、その便利さが維持されていますの。 そうレピオス、アナタ魔力の流れが見えたのね。 ねぇ、魔法職を覚えない? 生きて行くのに便利よ」
レピオスが明らかに顔をゆがめ拒絶を見せた。
「魔法職と言うと、アレですよね。 アパテお嬢様の改造を施した」
「まぁ、確かに魔法職と言えば魔法医師と言うイメージはあるわね。 でも、私のような魔法薬師もいれば、魔法調理師、魔法裁縫師、魔道具師なんてのもありますわ」
「はぁ……、俺、勉強嫌いなんですよ……でなければ漁師なんてなりませんでした」
「あら、勿体ないわね。 そうねぇ……きっと優秀な漁師だったんでしょうね」
魔力と縁深いものは、自らを優位にするため自然と魔力を活用するものだ。
「えぇ、そうですとも、俺は優秀だったんですよ!! でも、でも……優秀さに調子に乗ってしまって、嵐の日に海に出たんです。 だって凄い沢山の魚が来ていたんですよ!!」
グズグズと言う様子は子供のようで、ブランデーを入れ過ぎたかな? と苦笑する。
「でも……アレが魔力だとしたら、なぜ、お嬢様の周りはキラキラしているんですぅ?」
「ソレは、私の周囲の魔力は魔脈ではなく、精霊達の影響を受けているからですわ」
理解しているのかいないのかレピオスはうっとりと見つめてくる。
「お嬢様はとても綺麗です……」
例え酔っ払いであっても、褒められるのはとても気分がいいものだ。 ウトウトしている様子に私は、眠りにとどめをさそうと物語を語りだす。
アラヤ国の建国の物語。 ソレは、曾祖母が生きていた頃、シルフィが覚えるほどに繰り返された物語。
昔々、遥か神話の時代。
世界の様々な場所に、神の泉と呼ばれる場所がありました。
その地に住まう獣達は、知恵を得て、柔軟な思考を得て、強靭な肉体を得て、生きるために生きるのではなく、幸福になるために生きる事を求めるようになりました。
尊き神の子。
獣の王。
大きな口に、大きな牙。
最も強い獣の王は、多くの知恵ある獣を民とした。
肉食と草食、捕食する側される側。
問題は多かった。
獣王は、狩りは森の外ですることと肉食獣達に厳命した。
そうやって獣達は、初めての法を持ち平和に仲良く暮らしていたのだ。
ある日、彼等の元に訪れたのは人間の旅人達。
「食べ物を分けて下さいませんか?」
平和な獣の国の民は、快く人間の旅人引き入れ、食べ物を譲り、汚れた身体を清めさせ、傷があれば治療をし、清潔な衣類を与えた。
「ありがとうございます。 この御恩はどのように返しましょうか?」
「人の奏でる音楽が知りたい」
「人の語る物語を知りたい」
「人が描く美しいものを見たい」
「人の世の法を知りたい」
獣達は人のようにあろうとしたが、どんなに賢くなろうと生きる事を最優先するよう本能に組み込まれていて、楽しいを作れない、感動が分からない、ルールを理解できない者も多くヒッソリ仲間を食らう者もいたのだ。
幸福が欲しい。
「我々は人間のように幸福を得るために生きたいのだ」
「では、私達が獣の国に幸福をもたらしましょう」
そして、獣と人は、幸福を求めて仲良く暮らしましたとさ。
荷台の中からスヤスヤと規則正しい寝息が聞こえていた。
「眠ったようですね」
私は、精霊空間から焚き火用の薪をとりだし、火をつける。
レピオスは王都からの追っ手や、夜盗ばかりを案じているけれど、王都には危険な獣が多く存在している。 アラヤにいる獣は、他国と比べ狂暴で積極的に人を襲ってくるのだ。
私は精霊達に警戒を頼み、焼いたマシュマロをプレゼントした。
物語には続きがある。
人は言った。
「獣の幸せは知恵を持たぬことですよ」
獣達は何を言われたのか理解できなかった。
だって、獣達は、人を十分過ぎるほどに信用しており、彼等の作る料理に魅了され、歌に心揺らされ、踊りを楽しみ、物語に思いをはせていた。
獣達はこの上ない幸福を感じていたのだ。
人間のような自分達に満足していたのだ。
沢山幸せをくれた人間さんが、悪い人のはずがない。 その体に刃をつき付けられても多くの獣はそう信じるほどだった。
魔力ある土地に住んでいた彼等は、知恵を持つほどに魔力を蓄え、特殊な魔力宝石をその身に宿しており、旅人を装った人間は、最初から魔力宝石を目的としていたのだ。
そして獣は死に絶え、豊かな魔脈の上に町が作られ、国となった。
今も獣達は、人間に恋い焦がれながら人間を、人の王となった彼等を愛し、そして憎み続けている。
ソレがアラヤ国にかけられた呪い。
0
お気に入りに追加
2,119
あなたにおすすめの小説
大好きな第一王子様、私の正体を知りたいですか? 本当に知りたいんですか?
サイコちゃん
恋愛
第一王子クライドは聖女アレクサンドラに婚約破棄を言い渡す。すると彼女はお腹にあなたの子がいると訴えた。しかしクライドは彼女と寝た覚えはない。狂言だと断じて、妹のカサンドラとの婚約を告げた。ショックを受けたアレクサンドラは消えてしまい、そのまま行方知れずとなる。その頃、クライドは我が儘なカサンドラを重たく感じていた。やがて新しい聖女レイラと恋に落ちた彼はカサンドラと別れることにする。その時、カサンドラが言った。「私……あなたに隠していたことがあるの……! 実は私の正体は……――」
【完結】妹が私から何でも奪おうとするので、敢えて傲慢な悪徳王子と婚約してみた〜お姉様の選んだ人が欲しい?分かりました、後悔しても遅いですよ
冬月光輝
恋愛
ファウスト侯爵家の長女であるイリアには、姉のものを何でも欲しがり、奪っていく妹のローザがいた。
それでも両親は妹のローザの方を可愛がり、イリアには「姉なのだから我慢しなさい」と反論を許さない。
妹の欲しがりは増長して、遂にはイリアの婚約者を奪おうとした上で破談に追いやってしまう。
「だって、お姉様の選んだ人なら間違いないでしょう? 譲ってくれても良いじゃないですか」
大事な縁談が壊れたにも関わらず、悪びれない妹に頭を抱えていた頃、傲慢でモラハラ気質が原因で何人もの婚約者を精神的に追い詰めて破談に導いたという、この国の第二王子ダミアンがイリアに見惚れて求婚をする。
「ローザが私のモノを何でも欲しがるのならいっそのこと――」
イリアは、あることを思いついてダミアンと婚約することを決意した。
「毒を以て毒を制す」――この物語はそんなお話。
二度目の婚約者には、もう何も期待しません!……そう思っていたのに、待っていたのは年下領主からの溺愛でした。
当麻月菜
恋愛
フェルベラ・ウィステリアは12歳の時に親が決めた婚約者ロジャードに相応しい女性になるため、これまで必死に努力を重ねてきた。
しかし婚約者であるロジャードはあっさり妹に心変わりした。
最後に人間性を疑うような捨て台詞を吐かれたフェルベラは、プツンと何かが切れてロジャードを回し蹴りしをかまして、6年という長い婚約期間に終止符を打った。
それから三ヶ月後。島流し扱いでフェルベラは岩山ばかりの僻地ルグ領の領主の元に嫁ぐ。愛人として。
婚約者に心変わりをされ、若い身空で愛人になるなんて不幸だと泣き崩れるかと思いきや、フェルベラの心は穏やかだった。
だって二度目の婚約者には、もう何も期待していないから。全然平気。
これからの人生は好きにさせてもらおう。そう決めてルグ領の領主に出会った瞬間、期待は良い意味で裏切られた。
ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。
【完結】身代わり令嬢の華麗なる復讐
仲村 嘉高
恋愛
「お前を愛する事は無い」
婚約者としての初顔合わせで、フェデリーカ・ティツィアーノは開口一番にそう告げられた。
相手は侯爵家令息であり、フェデリーカは伯爵家令嬢である。
この場で異を唱える事など出来ようか。
無言のフェデリーカを見て了承と受け取ったのか、婚約者のスティーグ・ベッラノーヴァは満足気に笑い、立ち去った。
「一応政略結婚だけど、断れない程じゃないのよね」
フェデリーカが首を傾げ、愚かな婚約者を眺める。
「せっかくなので、慰謝料たんまり貰いましょうか」
とてもとても美しい笑みを浮かべた。
婚約破棄ですか? ならば国王に溺愛されている私が断罪致します。
久方
恋愛
「エミア・ローラン! お前との婚約を破棄する!」
煌びやかな舞踏会の真っ最中に突然、婚約破棄を言い渡されたエミア・ローラン。
その理由とやらが、とてつもなくしょうもない。
だったら良いでしょう。
私が綺麗に断罪して魅せますわ!
令嬢エミア・ローランの考えた秘策とは!?
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
婚約者に妹を紹介したら、美人な妹の方と婚約したかったと言われたので、譲ってあげることにいたしました
奏音 美都
恋愛
「こちら、妹のマリアンヌですわ」
妹を紹介した途端、私のご婚約者であるジェイコブ様の顔つきが変わったのを感じました。
「マリアンヌですわ。どうぞよろしくお願いいたします、お義兄様」
「ど、どうも……」
ジェイコブ様が瞳を大きくし、マリアンヌに見惚れています。ジェイコブ様が私をチラッと見て、おっしゃいました。
「リリーにこんな美しい妹がいたなんて、知らなかったよ。婚約するなら妹君の方としたかったなぁ、なんて……」
「分かりましたわ」
こうして私のご婚約者は、妹のご婚約者となったのでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる