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4章
おわり
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パーティ当日。
国はまだまだ落ち着いたとは言い切れない。
国一番の商会に勤める者達の多くが、国へと鞍替えし、食料調達の要であったクリスティアが監禁され、幹部達は姿を消し、国の食料供給は停滞した。
国の安定どころは不安定到来?!
時折訪れるホワイトサウス公爵とドナが外の様子を教えてくれる。
国王にとっては不利としか言えない状況を自ら作り出したのだが、今更パーティを中止するとは言えるはずもない。 四公爵家の1つであるホワイトサウス公爵が国王の要請に応じてくれているのが唯一の救いとなっているのかもしれない。 それでも……パーティを前に国王が憂鬱そうな溜息を吐くのが増えていた。
私の知った事ではありませんけど!!
会場内には次々に名を呼ばれ、人々が会場入りをする。
国王と共に会場を見下ろす場所から、会場入りする人達をクリスティアは見ていた。 その側にはドレスの最終調整をするホワイトサウス公爵とドナもいる。
「とてもお綺麗です。 お嬢様!!」
「「当然でしょう!!」」
ドナの賛美に、クリスティアとホワイトサウス公爵が声を揃えて言った。 小さく3人は笑いあい……そして一緒にいた国王陛下の心は取り残される。
私を無視するな!! 等と言う言葉は発せられる事は無いが、その不快そうな表情は言わずともそう語っているのが分かった。
知らないけどね!!
「私がカワイイのは当然として……皆、結構余裕あるわよね。 花畑のようで綺麗だわ……」
上から覗き見る華やかなドレスの色合いは美しかった。 だが、急激な気候の変動の影響を受け、皮膚に死の兆候が出ている者も少なくはない。 薬はあるが、今の状況で命を救えば国王陛下への評価が上がると考えれば、クリスティアは強いジレンマを感じながらも見て見ぬふりをするしかないのかと深い憂鬱な息を吐く。
「多少無理をしてでも、力を見せつけて、都合の良い関係性を作る必要があるのよ」
そう語るのはホワイトサウス公爵。
「ふぅん? でも、儲けたんでしょう?」
ドレスの依頼でがっぽがぽ? ティアの言葉にホワイトサウス公爵は、苦笑して見せ、国王はクリスティアの前にしゃがみこみ、その頬に触れようとした。
何故かドレスを着たドナは、クリスティアを守るように抱き上げようとしたがホワイトサウス公爵がソレを手で制し、クリスティアは凄く嫌な顔をしながら頬に触れさせた。
「そういう下品な事を言うものではありませんよ。 あなたは私の大切なお姫様なのですから」
「あら、ごめんなさい。 生まれが下品なもので」
そしてペシッと小さな手で頬に触れる手を払い退けた。
「ヤレヤレ……鼻っ柱が強くて困ります」
順番は、徐々に進んでいく。
「さて、そろそろ私も準備しないといけないわぁ~」
そう告げたのはホワイトサウス公爵。
「お先に失礼するわ~~」
そう言葉を残し、ドナを連れて会場入りの準備へと向かった。
「全く、公爵家当主でありながら、庶民をパートナーに選ぶ等……」
ボソリと呟く国王陛下に、大事な姉を貶された気分になり蹴りを入れたくなるクリスティアだが……我慢した。
我慢、我慢、我慢、我慢で嫌になるわ!!
ついでに、コイツとの会場入りも嫌!!
世間からどういう目で見られる事か……。
ジッと公爵家の入場を待っていた。
多分、真の国王として利用されるだろう友人カインヴェルを待った。 手摺から身を乗り出している様子にハラハラしているだろう国王が、身体に触れようとするのをペシャリと払いのけながら。
「あ、ぶないですよ」
「平気」
なんだろうヴェルがいるって感じがする。
皮膚に感じる空気がクリスティアを安堵させていた。
ホワイトノース公爵兄妹が入場した。
側には真っ白な巨大な狼を従えている。
会場がざわついた。
王宮に出入りした事があれば誰もが噂を聞いた事がある。 彼が人として生きたいと、他の兄弟達が学ぶのをヒッソリと見ていた者もいただろう。
「あれは……」
先王の異形の子!!
それでも、王の直系だと思えば、全ての者達が混乱を覚えていた。 下げるべき頭は誰なのだと……。
先王の子を従えるホワイトノース公爵か?
現国王を名乗っている存在になのか?
「さぁ、私達もいきましょうか?」
声には多少の動揺はあったが……、2人が入場した際には……王である存在がどちらか? を決定させた。
「国王陛下並びに、ファング商会会長、クリスティア・シルヴァン侯爵様」
ざわりと人が騒めき、そして心が揺れた。
王国1の商会は、今現在、王国を支える要であり拠り所となっている事を誰もが知っている。 そして、クリスティアが攫われ、従業員が国に属してから、その頼るべき要を見せつけられ、誰もが国王に心から頭を下げた。
「皆、この国の新たな門出を祝いに良くぞ参ってくれた。 今日この日を皆の者にとって最良の日とすべく伝えたい事がある。 私は、このクリスティア・シルヴァンと結婚する!!」
「はぁああああああああ?!」
と言うクリスティアの声は、拍手と雑踏に消え……そして悲鳴が起こった。 クリスティアに向かって走る白い獣。 ソレを追うホワイトノース公爵の声。
白い獣は遠慮する事なく、国王を吹っ飛ばしクリスティアに寄り添う。
ティア……。
声を出さずとも目が呼んでいた。
「ヴェル」
クリスティアは美しい彼女の獣を抱きしめた。
冷たく心地よい手触り、お日様の匂い。
そして次の瞬間……彼は、カインヴェルは人の姿を取り、クリスティアを抱き上げた。
「私の大切な人……。 この子は僕の恋人だ!! オマエに渡すか!!」
そうして国王陛下を睨みつけた。
初めてカインヴェルの人型を見たクリスティアは誰? と言う顔をするが、声と、冷ややかな空気、そしてお日様の匂いで混乱は直ぐに収まった。
「ヴェル」
「大丈夫……だよ。 僕がいる」
いや……突然に恋人って言われた事に驚いたと言うか……と言う、心の声は通じない。 そして……、嬉々とした顔でホワイトノース公爵は膝をつき頭を下げた。 続くホワイトサウス公爵、ドナ・スペクター、ホワイトエスト公爵、ファング商会社長ダニエル・スペクター。
次々に膝をつき頭を下げていく。
その日、誰が王か世間に知らされる事となった。
そして……私とヴェルは、時折、王宮に顔出しはするけれど、今までと変わらないのんびりとした日々を送る事となる。
「王族の役割を分かっておいでですか!!」
等と言って、ヴェルに子作りを求めた挙句、ハーレムをそのままヴェルのモノにする等余計な事をする者もいたが……。
「仕方ないだろう。 僕のお姫様がまだチビなんだから」
そう言って、私の額にキスをするのもまた当たり前になっていた。
好きなように生きて来た日々は終え……これから私達の自由は年月を重ねるごとに少なくなっていくだろう。
でも……。
「私達はきっと幸せになれるよね」
「まぁ、困難は多いだろうけど、それでも2人一緒なら幸せだろう?」
そう言って……今日も最上級の白いモフモフは私にそっと寄り添うのだ。 きっと、明日も明後日も、ずっと未来の先まで……。
おわり
国はまだまだ落ち着いたとは言い切れない。
国一番の商会に勤める者達の多くが、国へと鞍替えし、食料調達の要であったクリスティアが監禁され、幹部達は姿を消し、国の食料供給は停滞した。
国の安定どころは不安定到来?!
時折訪れるホワイトサウス公爵とドナが外の様子を教えてくれる。
国王にとっては不利としか言えない状況を自ら作り出したのだが、今更パーティを中止するとは言えるはずもない。 四公爵家の1つであるホワイトサウス公爵が国王の要請に応じてくれているのが唯一の救いとなっているのかもしれない。 それでも……パーティを前に国王が憂鬱そうな溜息を吐くのが増えていた。
私の知った事ではありませんけど!!
会場内には次々に名を呼ばれ、人々が会場入りをする。
国王と共に会場を見下ろす場所から、会場入りする人達をクリスティアは見ていた。 その側にはドレスの最終調整をするホワイトサウス公爵とドナもいる。
「とてもお綺麗です。 お嬢様!!」
「「当然でしょう!!」」
ドナの賛美に、クリスティアとホワイトサウス公爵が声を揃えて言った。 小さく3人は笑いあい……そして一緒にいた国王陛下の心は取り残される。
私を無視するな!! 等と言う言葉は発せられる事は無いが、その不快そうな表情は言わずともそう語っているのが分かった。
知らないけどね!!
「私がカワイイのは当然として……皆、結構余裕あるわよね。 花畑のようで綺麗だわ……」
上から覗き見る華やかなドレスの色合いは美しかった。 だが、急激な気候の変動の影響を受け、皮膚に死の兆候が出ている者も少なくはない。 薬はあるが、今の状況で命を救えば国王陛下への評価が上がると考えれば、クリスティアは強いジレンマを感じながらも見て見ぬふりをするしかないのかと深い憂鬱な息を吐く。
「多少無理をしてでも、力を見せつけて、都合の良い関係性を作る必要があるのよ」
そう語るのはホワイトサウス公爵。
「ふぅん? でも、儲けたんでしょう?」
ドレスの依頼でがっぽがぽ? ティアの言葉にホワイトサウス公爵は、苦笑して見せ、国王はクリスティアの前にしゃがみこみ、その頬に触れようとした。
何故かドレスを着たドナは、クリスティアを守るように抱き上げようとしたがホワイトサウス公爵がソレを手で制し、クリスティアは凄く嫌な顔をしながら頬に触れさせた。
「そういう下品な事を言うものではありませんよ。 あなたは私の大切なお姫様なのですから」
「あら、ごめんなさい。 生まれが下品なもので」
そしてペシッと小さな手で頬に触れる手を払い退けた。
「ヤレヤレ……鼻っ柱が強くて困ります」
順番は、徐々に進んでいく。
「さて、そろそろ私も準備しないといけないわぁ~」
そう告げたのはホワイトサウス公爵。
「お先に失礼するわ~~」
そう言葉を残し、ドナを連れて会場入りの準備へと向かった。
「全く、公爵家当主でありながら、庶民をパートナーに選ぶ等……」
ボソリと呟く国王陛下に、大事な姉を貶された気分になり蹴りを入れたくなるクリスティアだが……我慢した。
我慢、我慢、我慢、我慢で嫌になるわ!!
ついでに、コイツとの会場入りも嫌!!
世間からどういう目で見られる事か……。
ジッと公爵家の入場を待っていた。
多分、真の国王として利用されるだろう友人カインヴェルを待った。 手摺から身を乗り出している様子にハラハラしているだろう国王が、身体に触れようとするのをペシャリと払いのけながら。
「あ、ぶないですよ」
「平気」
なんだろうヴェルがいるって感じがする。
皮膚に感じる空気がクリスティアを安堵させていた。
ホワイトノース公爵兄妹が入場した。
側には真っ白な巨大な狼を従えている。
会場がざわついた。
王宮に出入りした事があれば誰もが噂を聞いた事がある。 彼が人として生きたいと、他の兄弟達が学ぶのをヒッソリと見ていた者もいただろう。
「あれは……」
先王の異形の子!!
それでも、王の直系だと思えば、全ての者達が混乱を覚えていた。 下げるべき頭は誰なのだと……。
先王の子を従えるホワイトノース公爵か?
現国王を名乗っている存在になのか?
「さぁ、私達もいきましょうか?」
声には多少の動揺はあったが……、2人が入場した際には……王である存在がどちらか? を決定させた。
「国王陛下並びに、ファング商会会長、クリスティア・シルヴァン侯爵様」
ざわりと人が騒めき、そして心が揺れた。
王国1の商会は、今現在、王国を支える要であり拠り所となっている事を誰もが知っている。 そして、クリスティアが攫われ、従業員が国に属してから、その頼るべき要を見せつけられ、誰もが国王に心から頭を下げた。
「皆、この国の新たな門出を祝いに良くぞ参ってくれた。 今日この日を皆の者にとって最良の日とすべく伝えたい事がある。 私は、このクリスティア・シルヴァンと結婚する!!」
「はぁああああああああ?!」
と言うクリスティアの声は、拍手と雑踏に消え……そして悲鳴が起こった。 クリスティアに向かって走る白い獣。 ソレを追うホワイトノース公爵の声。
白い獣は遠慮する事なく、国王を吹っ飛ばしクリスティアに寄り添う。
ティア……。
声を出さずとも目が呼んでいた。
「ヴェル」
クリスティアは美しい彼女の獣を抱きしめた。
冷たく心地よい手触り、お日様の匂い。
そして次の瞬間……彼は、カインヴェルは人の姿を取り、クリスティアを抱き上げた。
「私の大切な人……。 この子は僕の恋人だ!! オマエに渡すか!!」
そうして国王陛下を睨みつけた。
初めてカインヴェルの人型を見たクリスティアは誰? と言う顔をするが、声と、冷ややかな空気、そしてお日様の匂いで混乱は直ぐに収まった。
「ヴェル」
「大丈夫……だよ。 僕がいる」
いや……突然に恋人って言われた事に驚いたと言うか……と言う、心の声は通じない。 そして……、嬉々とした顔でホワイトノース公爵は膝をつき頭を下げた。 続くホワイトサウス公爵、ドナ・スペクター、ホワイトエスト公爵、ファング商会社長ダニエル・スペクター。
次々に膝をつき頭を下げていく。
その日、誰が王か世間に知らされる事となった。
そして……私とヴェルは、時折、王宮に顔出しはするけれど、今までと変わらないのんびりとした日々を送る事となる。
「王族の役割を分かっておいでですか!!」
等と言って、ヴェルに子作りを求めた挙句、ハーレムをそのままヴェルのモノにする等余計な事をする者もいたが……。
「仕方ないだろう。 僕のお姫様がまだチビなんだから」
そう言って、私の額にキスをするのもまた当たり前になっていた。
好きなように生きて来た日々は終え……これから私達の自由は年月を重ねるごとに少なくなっていくだろう。
でも……。
「私達はきっと幸せになれるよね」
「まぁ、困難は多いだろうけど、それでも2人一緒なら幸せだろう?」
そう言って……今日も最上級の白いモフモフは私にそっと寄り添うのだ。 きっと、明日も明後日も、ずっと未来の先まで……。
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私も書いていてそう思いました。
そわそわはきっと主人公もしている事でしょう。
感想ありがとうございました!(*´ω`*)
考えなく本気で思っているのが一番怖いと思うのですよ(。-`ω-)
突っ込みありがとうございました!
書いている私も同じように思ってました(´▽`*)
ラスト時にも、過去の表紙をまとめて再Upしたいと思います。
要望ありがとうございました(*´ω`*)