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12.手に入れなければ失う恐怖に悩む必要はない

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 ディルクは欲情と、そして……手に入れた瞬間から失うという恐怖に心を震わせなければならないのか? そんな不安が心をしめていた。

 幻獣が主に持つ愛情深さは幾度となく見てきたが、それを欲しつつも……少年時代に見た竜の娘を思い出せば、絆を結ぶことができず部下に押し付け、そして幻獣と愛情を交わす部下達に嫉妬していた。

 絆を結べず、諦めきれず、期待せずに、卵に魔力を与え続け、甘い声で囁く。 そこから、欲していた少女が現れた時の歓喜……同時に失う事への恐怖と不安が身を襲う事になるとは、考えもしていなかった。

 強引に手に入れようかと思う反面、嫌われる恐怖に耐えきれずに揺れる。 情けない自分を見られたくないと言うのに、彼女は俺の弱さを刺激する。

 自分を抱きしめてきたぬくもりと柔らかさすら怖かった。 ぬくもりを幸福と感じるほどに、それを失う恐怖が強くなる。 欲情に身を任せる事ができたなら楽なのだろう……。

 振り子のように揺れる心を落ち着かせようと、深く呼吸を繰り返す。

「これは、何の香りだ?」

 抱きしめずには、口づけずにはいられない癖に……ならば、素直に欲すればいいだろう。 自分に言い聞かせる。 自分に折り合いがつかずとも、納得せずとも、ここで逃げ出せば全てが台無しだ。 悩む意味すら失ってしまう。

 手に入れていいのか?
 手に入れてしまえ。

 柔らかな膨らみの頂きは、甘く熟した果実のようだった。

 さわさわと両足の間、濡れる割れ目をそっと撫でて見せれば、ひくひくと身体が震え泣きそうな顔で必死に声を抑えている。

 んっ、ぁ……。

 逃げ出そうと身体をよじるが、逃がす訳などない……。 流石に小さな竜になられてしまえば手出しも出来ないし……むしろ、逃げだす言い訳になる……。 未だにそんなことを考える自分に心の中で苦笑した。

 柔らかな薄い肉の花弁が濡れていた。 手のひらで包み込むようにそっと撫で、敏感な蕾を指先でそっと触れれば、ビクッと身体が小さく痙攣する。 その瞬間、彼女が咲かせた花の香が濃くなった気がした。

 心を安定させてくれたはずの香りが、いつの間にか欲情を煽ってくる。 食らいつくように胸の先端を飾る果実に口づけ、チュクチュクと唾液を絡め、音を立て吸い、舌でこね舐めれば、甘い花の匂いが強くなり、敏感な蕾を弄る手が溢れる蜜で濡れてくる。

「こんなに濡らして」

 見せつけるように、彼女の蜜で濡れた手を舐めて見せた。

「ダメ、やめて」

「なぜ? 凄く旨いのに」

 もともと魔力の集まりである幻獣が、子を成す部分だ。 どこよりも穏やかで優しく濃い魔力が満ちており、万病薬と言われ宝石などより余程高く売れる。 まぁ……、それを採取できるようなものが、売るはずもないが。

「ぁ、やっ、ダメ」

 どこまでも必死に逃げようと身体をひねってくる。
 解放する気の無い俺は、蜜をこぼしている割れ目に指をそっとさし入れた。

 んっっ、くぅ。

「逃げようとするからだ。 いやじゃないよな? こんなにここを濡らしているんだ。 もっと気持ちよくなりたいと期待しているんだろう?」

 真っ赤な顔でコッチを見るから、その愛らしさにやられてしまう。

「もっと甘い声を聞かせてくれ」

 ぬちゅりと指が奥へと突き進めば、温かな肉が指を締め付けてくる。 これは、結構きついな等と考えながら、刺激は控えてそっと指を抜き差ししつつ、胸の果実を貪るように口にすれば、蜜壺を出入りする指を中へと引き込もうとするかのように締め付けてきた。

 ぁっくっ

 急激な体の硬直と共にそらされる背。
 そして脱力と荒い息。

「本当、いやらしいくも愛らしい子だ」

 ニヤニヤしながら顔を見て言えば、必死に空いた手で顔を隠そうとする。

「違う、違うの!」

「何がだ?」

 耳元で囁くように言いながらも、蜜壺の入り口をくすぐるように撫で、蕾に蜜を塗り付けるように、指の腹で撫でてやる。

「ぁ、いや……」

「こんなにびちゃびちゃになっておいて、嫌だと言われて誰が信用するんだ?」

 甘く濡れたあたたかな肉の中に、欲望のままに大きくなったものをねじ込みたいという欲望が沸き上がるが、流石にまだ辛そうだと視線をさけて深い呼吸を繰り返した。

 それでも我慢できずに、中を弄る指を増やせば想像していたよりもアッサリと飲み込んだ。 敏感な蕾の部分を親指の腹で撫でながら、肉壁を探るように刺激すれば、良いところにあたったのだろう呆気なく絶頂を迎え、甘い声が部屋に響いた。

 あぁあああああああ。

 それは、嗜虐心を誘うようで、ゾクゾクとした。 もう少しならして等と言う余裕がかき消された。

「自分ばかり気持ちよくなって申し訳ないとは思わないのか?」

 逃げようとよじる身体を押さえつけ耳元で罪悪感を誘うように囁いた。

 そんな言葉にすら彼女の身体は反応し、蜜壺に入れたままの指に肉が絡みつき締め付けてくる。 不安そうな身体を抱きしめ、蜜壺の奥まで指先を一気に押し入れ指の腹でひっかけば、怖いのだと訴え、彼女の両腕が抱き着いてくる。

 懐かれれば、甘えられれば、頼られれば、保護欲が強くなるから不思議である。 とはいえ……それ以上に虐めたい、甘い声を聞きたい、震える身体を抱きしめたい。 彼女の温かい中に己の欲望をつき付けたい。 そんな思が強くなり動揺してしまう。

 抑えないと……。 そう思いつつも、蜜の溢れる中、指を咥えこみ放さない肉の壁を、指の腹で引っ掻くようにかき混ぜ、胸の頂きに舌を這わせキツク吸い上げる。

 そのたびに、甘くも切ない声が部屋に響く。

 なんて愛らしい声なのだろう?
 愛おしい存在なのだろう。

 潤んだ瞳に、キスをして

「可愛いよ」

 そうささやけば、声にならない絶頂と共に力が抜けたのが判った。
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