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58.変化に安堵し恐怖する 01
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頼んでおいた食事と共にランバールが戻ってきた。
「お嬢様」
「なぁに?」
「この際に言わせて頂いてよろしいでしょうか?」
日常行動が外に出ると恥だったと聞かされた後なのだから、嫌な予感しかないと言うもの。 それでも、知らないよりは良いのでしょう。 辛いけど……。
「いいわ」
「お嬢様、年若い侍女のたわごとに耳を傾けすぎては、貴族としての品格を汚されてしまいますよ」
ランバールが苦笑交じりに告げ、食事を並べ、そして……言い出した。
「お嬢様、お客様がいらしてます」
「あら、食事は? ラン、ランバール……あの貴族のお客様は招かざる客よ。 追い出して。 それとも、主家の者の許可なしにここの人は他所の貴族を招きいれていたの」
「お嬢様、彼等にだって間違いはあります。 ソレをどうにかするのが、お嬢様……主家の方の役割ではございませんか? ソレに彼女達は、お嬢様がお忘れになった装飾品を届けに来たのですから、礼は尽くすべきでしょう」
「忘れたと言うか、奪われたのだけどね」
肩を竦めた。
昨日、テーブルの上で私の両手を握った夫人が腕から抜いて行ったのだ。 ソレを忘れものと言うには、乱暴すぎる。
「とりあえず、食事の間ぐらいは時間を稼げるでしょう?」
私は、返事も無く去っていくランバールの背を眺めて溜息をつき、犬を眺める。
「ねぇ、ワンちゃんどう思う?」
くぅ~ん。
そう鳴く犬の声は、呆れたかのように思え、勝手にそう思っただけなのに、同調者がいるのだと私は慰められる。
「ねぇ、食事にしましょう。 あぁ、そう言えば、言いたい事があるって言っていたわよねホリー。 何?」
「ランバール様と将来を誓ったとおっしゃっていますが、お嬢様とランバール様の関係は、その支配的です。 余り恋する者同士のようには思えませんわ」
「そう……参考にしておくわ」
私は愛想笑いと共に返し、しぐさで床に並べられている食事を食べるようにと犬に告げた。 食事は、パンにオムライス、ベーコンにサラダ、そしてスープ。 ごくありふれたもの。
もし、何かがずれたような違和感を覚えていなければ、彼は私を愛していると言っているわと声を荒げたかもしれない。 コレは自分達の在り方として正しいのだと……。 幼い頃からこうしてきたのだと、将来、本当に結婚をすれば……変わるのかしら?
知らぬ間に迷惑をかけてきた貴族を屋敷に上げ、面会をしろと彼は訴えて来たのだ。 彼は都合良く自分の立場を切り取り利用しているように思え、それがとても不満だった。
わうわう。
「なぁに?」
私のサラダの皿を鼻先でつつく犬。
「食べたいの?」
そう聞けば、ふるふると首を横に振る。
「食べろと言っているの?」
ソレも首を横に振り、鼻先で勢いよくつついて皿を裏返してしまった。
「あら、行儀が悪いわ。 これは庭でとっている新鮮な野菜なのよ」
ムニムニと首回りを摘まんで揺らせば、犬なのに凄く表情が歪み、スープ皿にスプーンを入れようとしても邪魔をしようとした。
「コラコラ邪魔をしてはダメよ」
この時、私は間違っていた。
邪魔をするからシグルド様ではない。
ではなく、
シグルド様だろう相手が、食事の邪魔をしたと言う事が問題だったのだと……。
「お嬢様」
「なぁに?」
「この際に言わせて頂いてよろしいでしょうか?」
日常行動が外に出ると恥だったと聞かされた後なのだから、嫌な予感しかないと言うもの。 それでも、知らないよりは良いのでしょう。 辛いけど……。
「いいわ」
「お嬢様、年若い侍女のたわごとに耳を傾けすぎては、貴族としての品格を汚されてしまいますよ」
ランバールが苦笑交じりに告げ、食事を並べ、そして……言い出した。
「お嬢様、お客様がいらしてます」
「あら、食事は? ラン、ランバール……あの貴族のお客様は招かざる客よ。 追い出して。 それとも、主家の者の許可なしにここの人は他所の貴族を招きいれていたの」
「お嬢様、彼等にだって間違いはあります。 ソレをどうにかするのが、お嬢様……主家の方の役割ではございませんか? ソレに彼女達は、お嬢様がお忘れになった装飾品を届けに来たのですから、礼は尽くすべきでしょう」
「忘れたと言うか、奪われたのだけどね」
肩を竦めた。
昨日、テーブルの上で私の両手を握った夫人が腕から抜いて行ったのだ。 ソレを忘れものと言うには、乱暴すぎる。
「とりあえず、食事の間ぐらいは時間を稼げるでしょう?」
私は、返事も無く去っていくランバールの背を眺めて溜息をつき、犬を眺める。
「ねぇ、ワンちゃんどう思う?」
くぅ~ん。
そう鳴く犬の声は、呆れたかのように思え、勝手にそう思っただけなのに、同調者がいるのだと私は慰められる。
「ねぇ、食事にしましょう。 あぁ、そう言えば、言いたい事があるって言っていたわよねホリー。 何?」
「ランバール様と将来を誓ったとおっしゃっていますが、お嬢様とランバール様の関係は、その支配的です。 余り恋する者同士のようには思えませんわ」
「そう……参考にしておくわ」
私は愛想笑いと共に返し、しぐさで床に並べられている食事を食べるようにと犬に告げた。 食事は、パンにオムライス、ベーコンにサラダ、そしてスープ。 ごくありふれたもの。
もし、何かがずれたような違和感を覚えていなければ、彼は私を愛していると言っているわと声を荒げたかもしれない。 コレは自分達の在り方として正しいのだと……。 幼い頃からこうしてきたのだと、将来、本当に結婚をすれば……変わるのかしら?
知らぬ間に迷惑をかけてきた貴族を屋敷に上げ、面会をしろと彼は訴えて来たのだ。 彼は都合良く自分の立場を切り取り利用しているように思え、それがとても不満だった。
わうわう。
「なぁに?」
私のサラダの皿を鼻先でつつく犬。
「食べたいの?」
そう聞けば、ふるふると首を横に振る。
「食べろと言っているの?」
ソレも首を横に振り、鼻先で勢いよくつついて皿を裏返してしまった。
「あら、行儀が悪いわ。 これは庭でとっている新鮮な野菜なのよ」
ムニムニと首回りを摘まんで揺らせば、犬なのに凄く表情が歪み、スープ皿にスプーンを入れようとしても邪魔をしようとした。
「コラコラ邪魔をしてはダメよ」
この時、私は間違っていた。
邪魔をするからシグルド様ではない。
ではなく、
シグルド様だろう相手が、食事の邪魔をしたと言う事が問題だったのだと……。
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