【R18】利用される日々は終わりにします【完結】

05

49.痴女にはなりたくない

「食事の準備をさせましょう。　シグルドどこかで遊んで来るか、お嬢さんの目につかない所で人の姿に戻ってきてください」

　ほら、行って行ってと手を振るクロード様。

『なぜ、俺が、彼女の側から離れなければいけない。　こんなに良い匂いなのに』

　以外そうにクロードに言えば、

「欲望と弱みを丸出しにするな。　優先順位をはき違えるな。　重要な事を忘れるな。　オークランドの民は獣体を嫌っている。　せっかく築いた信頼関係を何故無駄にするな。　彼等は有能だ。　さぁ、着替えてこい」

　着替えなんだ……。

『いや、だが……』

「なぜ、そんなに嫌がるんだ？」

『この格好だと、匂いが、少し好意的になる』

　そう言いながら、尻尾を振り振りし、チラチラと私を見てくるから、尻尾にそっと手を伸ばせば尻尾を手の平に触れさせた……。　ふわりとした感触が心地よく……そして、私は強く思った。

　引っこ抜いてやろうか！！

　ビクッと身体が細くなり、尻尾が逃げた。

「本当に、分かるんですね」

　耳が伏せられ、ひぃいいいと言う感じになっている。

「殿下も、随分と考えている事が分かりやすいと思いますよ」

　ふふんっと偉ぶって見せれば、シグルド様は笑った。　犬の姿なのに笑っているのが良くわかった。

「触れて良いですか？」

『お好きなように。　俺は驚かさないように動かないと誓うよ』

「お手をコチラに乗せていただけますか？」

　手の平を差し出せば、手のひらの上に大きな手が乗せられ、私は小さく細かくクスクスと笑った。　それで、クロードが苦笑交じりに告げる。

「手動かしていますよ。　私は食事の手配をしてきましょう。　手があいているようなら、撫でまわしてやってくれ」

「私を痴女の道へと、そそのかさないで」

　冗談めいていうが、かなり本音。

　だって、裸の大人の男性を撫でまわしているのを想像したら……ヤバイ……。

『別に、嫌じゃないから構わん』

「構いますよ！！　将来を誓いあった相手がいるんですから！！　浮気と誤解されちゃう」

『ぇ？』