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33.領地での5年間

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 帝都に戻る前、幾つかドレスを新調した。
 そろそろ成長期も終えたので、少し良い感じに贅沢を盛り込み作られている。

 領内では、王都の流行りは分からないし、デザイナーも居ない。 帝都の職人並みの裁縫技術に優れた者なんて居る訳もなく、ドレスはとてもシンプルなデザインになっている。 ただ布地は凝っている。 魔石燃料を原料に使った繊維で、自然の色を吸い取って布地に反映させると言う特別せいだ。 

「どうかしら?」

 新しいドレスに浮かれながら、ふわりとまわって見せれば、きらきらとドレスが輝き自然と私も浮かれてしまう。

 ダメよ私!! 父のように浮かれ切っては!!

「とても、お可愛らしいですよ」

「ありがとう。 でも、私が聞きたかったのは、目立ちすぎじゃないかしら? なんだけど」

 恥ずかしいから誤魔化した。

「私は可愛いお嬢様を見せびらかしたいですよ」

 去年15歳になり成人を迎えた時から、ランバールは妙に甘くて……困ってしまう。

「キスをしていいですか?」

「……ダメ!!」

 と逃げたところで捕まえられて、抱きしめられ撫でられるんですけどね。 一応ダメって言ったからキスはされない。 未だ子供な私に合わせて付き合ってくれている。

「とりあえず、これは公爵家のパーティ用で……今日はもっとコストを抑えたドレスで、宮殿に行ってみましょう」

「宮殿は、危険ではありませんか?」

「素性も名前もばれてはいませんし、あれから5年も経って、私も大人になりましたから、ばれないのではないでしょうか?」

「ですが、私は余り変わりがないのですが……」

「ぁ……えっと、他の人についてきてもらうのはどうかな?」

「森の民は護衛向きではないのではありませんか? ……そうですねぇ……子供の頃の知り合いがホルト帝国で働いていると言っていたので、声をかけてみましょうか?」

「えっと、宮殿につれていけて、護衛も果たせると言う人なのですか?」

「問題ありませんよ。 ここ2.3年。 オークランドでは内乱が起こって、見切りをつけて各国に散り散りになっているようですからねぇ~」

「うわぁ……最悪」

「怖いですか?」

 少し寂しそうな表情をされたから、私はランバールに抱き着き顔を見上げた。

「怖いのは確かに怖いわ。 だって、考えてみてください。 各国にオークランド国の人が散れば、戦局が大きく変わってきますもの」

「あぁ、なるほど……まぁ、大丈夫ではないですか? 故郷に送り返されたルイーズ様は大切でカワイイ、彼女の皇子のために、皇子の配下として内々に人員を送ってきているようですから」

「なんで、そんな事知っているの?」

「はっはっははは、まぁ、私にも色々あるんですよ」

 私が生まれるよりも前に、贄として連れてこられたランバールは過去を語りたがらない。 ソレを掘り出して聞くのも無粋かしら?

「まぁ、いいわ。 料理場に行って何か作らせてもらおう!!」

「いいですね。 美味しいモノを作りましょうか?」

「いえ、貴方は、護衛役の人と連絡をとってください」

 私は苦笑する。

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