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第2章 ヒーロー視点
13.多少は我慢するからね
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式の日程諸々は着実に進んでいる。
両親にはまだちゃんと猫を被るよう頼んでおいた。
そうでもしないとシャルを引っ張りまわしていくのが目に見える。
準備で忙しいが今までの分しっかりと彼女と話していきたい。
まぁでもその前に色々聞きたいことがあるんだよね。
「少し前にジュンシーが来たのは覚えてる?」
「えぇもちろん覚えてますよ。」
「最後にあなたにキスして逃げて行ったのは?」
「…あぁ!ありましたねそんなこと!」
「あの時なんであんな表情してたの?」
「あんな表情?ん~ん~ん~?いつのことです?」
「あいつがあなたの頬にキスした後だよ…」
「えーっとたしかその時は驚いたんですけど殿下が寝ぼけてされた時より驚かないので慣れたのですかねって思いましたね。」
「え?君は切なそうな表情しててしかも少し顔赤くなってたからその時はてっきりジュンシーに惚れたのかと思って焦ったんだけど…」
「わ、私そんな顔してたんですか?!…その…その時は殿下に意中の方がいると思ってて…」
「僕の意中の相手はあなたを一目見たときからあなただけだよ?」
「嬉しいですけど話してる途中です!そういうこと言われるのは慣れないのでやめてください!」
「じゃあいまはやめとくね。それで?勘違いしてて?」
「だから…私じゃないなら早く婚約破棄してくださらないかなと思ってました…」
「うん。意味が分からない。」
どこでどうしてそうなったのか本当にわからない。
「~~!あの時!殿下のお見舞いに行った時!殿下にキスされたのが嬉しかったんです‼でも殿下には意中の方がいると思っていたのでそれが嫌で…それならはやく婚約破棄していただいた方が楽なのにって思ったんです!それを思い出してしまってそんな顔を…」
何なのそれかわいすぎる…!
「ねぇ。不意打ちでキスされるのは慣れたと思ったんだよね?」
「?えぇ!そのはずで…!」
「慣れてないみたいだよ?」
このまま唇にキスしたいな…でもそれで止められなくなると困るからなぁ。
「い、いまのはずるいです!」
「そっか、じゃあまたするね。」
「へ?」
「だって不意打ちは慣れたんでしょ?」
あぁかわいいなぁ…
「大丈夫、唇にはしないよ。」
ほっとした表情だけど…すこし寂しそう…
誘われてるのかな?
「僕が我慢できなくなったら困るからね?」
もちろん婚姻を結ぶまでの話だけど。
心の中でそう付け足す。
シャルは顔を赤くして”我慢…いいえそういうのでは…”なんて言ってるけどたぶん考えてるので合ってるよ?
***
「なんで殿下もいるんですかぁ~!」
「一緒に決めようと思ってね。」
かわいいドレス姿のシャルが見たいっていうのが本音だけどね?
「着替えなどもあるのですよ。」
「今更?僕ら夫婦になるんだよ?まぁ仕方ないからその度に出ていくけどね。」
「なっ…!」
「それにあなたにドレスを任せたら…ああいったの選ぶでしょ?」
マーメイド型で肩から袖にかけて透明の生地で刺繍が入り、膝のあたりも透けているドレス。
似合うけど…それだけとかないよ?
「確かに凄くいいです。あれにしましょう!」
「…あれもにするならいいけど…」
「え?」
「別のも見たいってことだよ。一緒に選ぼうね?」
「うぅ…分かりました。ちなみに1つ伺いたいことがあるのですがよろしいですか?」
「ん?なに?」
「なんで私に贈られたドレスどれもサイズピッタリだったのですか?」
公爵に許可は取ってあったが彼女に侍女を送り込んでいてその人から聞いた。
言いにくいな。
「そ、それは…誰かが教えてくれてね。」
「やっぱり殿下もご存知なのですね…殿下に知られてしまうならもう少し痩せなくては…」
「あっ!やらかした…これ以上痩せられたら折ってしまいそうで怖いからやめて」
デザインだけ渡して頼んどいたと言えばよかったか…
「あとやっぱあのドレスはだめ。」
「えっ?!なんでですか?!」
「露出が高すぎる。大勢の前で着るとなったらだめ。とゆうか僕以外の前ではだめ。」
「いやそれじゃあ着る機会ないじゃないですか!」
「じゃあ言い方変えるね。大勢の前であんなの着られたら僕が嫉妬であなたに何するかわからないよ?」
「何って…」
あのデザインなら肩のあたりにキスの跡でも付ければ着れなくなるだろう。
「なんだろうね?まぁ少なくともああいったドレスは着られないようにするだろうね。」
多分シャルが考えてる事は違う気がする。
「さぁ。選ぼうね。」
***
「あの~。そんなふんわりしたものでなくてもっとこっちのすっとした…」
「却下。」
「せめて最後まで言わせてくださいよ!」
「着てもいいけどそれなら式の間に衣装何回か変えることになるよ?そしたら大変だよ?」
「そちらを着ないという選択肢は…」
「だめ。最高に可愛い君にしてみせるからね。」
でもそっちのはそれでいいな。
シャルが好みそうなのも何着か用意するか。
使うところはあるだろうし。
露出が高いものは僕の前でしか着せないけど。
……さっきから声に出てる…
距離的に聞こえているものは少ないだろうけど…
信用っていうより僕が離したくないだけなんだよね。
「さぁ着てみて。」
「これは…」
「無理です無理です!!絶対似合いません!服を着るではなく服に着られるという状態になってしまいます!殿下!!行かないで下さい!」
「その申し出は魅力的だけど女性の着替えを覗くのは良くないからね。」
「そうではありません!」
「楽しみにしてるよ。」
「無理ですー!!!!」
***
「殿下終わりましたのでどうぞ中に。」
その声を聞いて部屋に入ると妖精のようにかわいらしいのにとても綺麗なシャルがいた。
「似合ってるよ。かわいい。」
「お世辞などいりません!もうほんとに似合わないのでやめてください…ほんとにこういったものは恥ずかしいんです…」
「お世辞じゃないんだけどね。この方向で進めようか。今のをベースにしてデザイナー数人に依頼を。」
「え?」
「「はい。」」
「惜しいな…」
「ん?何がですか?似合ってないんですから変えるなら今のうちですよ。」
「十分すぎるくらい似合ってるよ。僕以外の人に見せるなんて惜しいくらいにね。特にジュンシーとか君を狙っていた人達に見せなきゃいけないだなんてね。」
見せたくないけど牽制の意味も込めて見せるか。
「ご冗談を。私を好きになる人がいるだなんて未だに信じられませんのに。」
「そっかぁ。じゃああなたの体から教えこまないとね…」
「ん?何て仰いました?」
聞こえてないならいいんだよ?
そのうちわかるから。
「気にしないでいいよ。」
両親にはまだちゃんと猫を被るよう頼んでおいた。
そうでもしないとシャルを引っ張りまわしていくのが目に見える。
準備で忙しいが今までの分しっかりと彼女と話していきたい。
まぁでもその前に色々聞きたいことがあるんだよね。
「少し前にジュンシーが来たのは覚えてる?」
「えぇもちろん覚えてますよ。」
「最後にあなたにキスして逃げて行ったのは?」
「…あぁ!ありましたねそんなこと!」
「あの時なんであんな表情してたの?」
「あんな表情?ん~ん~ん~?いつのことです?」
「あいつがあなたの頬にキスした後だよ…」
「えーっとたしかその時は驚いたんですけど殿下が寝ぼけてされた時より驚かないので慣れたのですかねって思いましたね。」
「え?君は切なそうな表情しててしかも少し顔赤くなってたからその時はてっきりジュンシーに惚れたのかと思って焦ったんだけど…」
「わ、私そんな顔してたんですか?!…その…その時は殿下に意中の方がいると思ってて…」
「僕の意中の相手はあなたを一目見たときからあなただけだよ?」
「嬉しいですけど話してる途中です!そういうこと言われるのは慣れないのでやめてください!」
「じゃあいまはやめとくね。それで?勘違いしてて?」
「だから…私じゃないなら早く婚約破棄してくださらないかなと思ってました…」
「うん。意味が分からない。」
どこでどうしてそうなったのか本当にわからない。
「~~!あの時!殿下のお見舞いに行った時!殿下にキスされたのが嬉しかったんです‼でも殿下には意中の方がいると思っていたのでそれが嫌で…それならはやく婚約破棄していただいた方が楽なのにって思ったんです!それを思い出してしまってそんな顔を…」
何なのそれかわいすぎる…!
「ねぇ。不意打ちでキスされるのは慣れたと思ったんだよね?」
「?えぇ!そのはずで…!」
「慣れてないみたいだよ?」
このまま唇にキスしたいな…でもそれで止められなくなると困るからなぁ。
「い、いまのはずるいです!」
「そっか、じゃあまたするね。」
「へ?」
「だって不意打ちは慣れたんでしょ?」
あぁかわいいなぁ…
「大丈夫、唇にはしないよ。」
ほっとした表情だけど…すこし寂しそう…
誘われてるのかな?
「僕が我慢できなくなったら困るからね?」
もちろん婚姻を結ぶまでの話だけど。
心の中でそう付け足す。
シャルは顔を赤くして”我慢…いいえそういうのでは…”なんて言ってるけどたぶん考えてるので合ってるよ?
***
「なんで殿下もいるんですかぁ~!」
「一緒に決めようと思ってね。」
かわいいドレス姿のシャルが見たいっていうのが本音だけどね?
「着替えなどもあるのですよ。」
「今更?僕ら夫婦になるんだよ?まぁ仕方ないからその度に出ていくけどね。」
「なっ…!」
「それにあなたにドレスを任せたら…ああいったの選ぶでしょ?」
マーメイド型で肩から袖にかけて透明の生地で刺繍が入り、膝のあたりも透けているドレス。
似合うけど…それだけとかないよ?
「確かに凄くいいです。あれにしましょう!」
「…あれもにするならいいけど…」
「え?」
「別のも見たいってことだよ。一緒に選ぼうね?」
「うぅ…分かりました。ちなみに1つ伺いたいことがあるのですがよろしいですか?」
「ん?なに?」
「なんで私に贈られたドレスどれもサイズピッタリだったのですか?」
公爵に許可は取ってあったが彼女に侍女を送り込んでいてその人から聞いた。
言いにくいな。
「そ、それは…誰かが教えてくれてね。」
「やっぱり殿下もご存知なのですね…殿下に知られてしまうならもう少し痩せなくては…」
「あっ!やらかした…これ以上痩せられたら折ってしまいそうで怖いからやめて」
デザインだけ渡して頼んどいたと言えばよかったか…
「あとやっぱあのドレスはだめ。」
「えっ?!なんでですか?!」
「露出が高すぎる。大勢の前で着るとなったらだめ。とゆうか僕以外の前ではだめ。」
「いやそれじゃあ着る機会ないじゃないですか!」
「じゃあ言い方変えるね。大勢の前であんなの着られたら僕が嫉妬であなたに何するかわからないよ?」
「何って…」
あのデザインなら肩のあたりにキスの跡でも付ければ着れなくなるだろう。
「なんだろうね?まぁ少なくともああいったドレスは着られないようにするだろうね。」
多分シャルが考えてる事は違う気がする。
「さぁ。選ぼうね。」
***
「あの~。そんなふんわりしたものでなくてもっとこっちのすっとした…」
「却下。」
「せめて最後まで言わせてくださいよ!」
「着てもいいけどそれなら式の間に衣装何回か変えることになるよ?そしたら大変だよ?」
「そちらを着ないという選択肢は…」
「だめ。最高に可愛い君にしてみせるからね。」
でもそっちのはそれでいいな。
シャルが好みそうなのも何着か用意するか。
使うところはあるだろうし。
露出が高いものは僕の前でしか着せないけど。
……さっきから声に出てる…
距離的に聞こえているものは少ないだろうけど…
信用っていうより僕が離したくないだけなんだよね。
「さぁ着てみて。」
「これは…」
「無理です無理です!!絶対似合いません!服を着るではなく服に着られるという状態になってしまいます!殿下!!行かないで下さい!」
「その申し出は魅力的だけど女性の着替えを覗くのは良くないからね。」
「そうではありません!」
「楽しみにしてるよ。」
「無理ですー!!!!」
***
「殿下終わりましたのでどうぞ中に。」
その声を聞いて部屋に入ると妖精のようにかわいらしいのにとても綺麗なシャルがいた。
「似合ってるよ。かわいい。」
「お世辞などいりません!もうほんとに似合わないのでやめてください…ほんとにこういったものは恥ずかしいんです…」
「お世辞じゃないんだけどね。この方向で進めようか。今のをベースにしてデザイナー数人に依頼を。」
「え?」
「「はい。」」
「惜しいな…」
「ん?何がですか?似合ってないんですから変えるなら今のうちですよ。」
「十分すぎるくらい似合ってるよ。僕以外の人に見せるなんて惜しいくらいにね。特にジュンシーとか君を狙っていた人達に見せなきゃいけないだなんてね。」
見せたくないけど牽制の意味も込めて見せるか。
「ご冗談を。私を好きになる人がいるだなんて未だに信じられませんのに。」
「そっかぁ。じゃああなたの体から教えこまないとね…」
「ん?何て仰いました?」
聞こえてないならいいんだよ?
そのうちわかるから。
「気にしないでいいよ。」
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