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第三章
ゴブリンと一緒
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そのまますっかり寝てしまい、朝になる頃、獣の荒い息づかいが聞こえた。
「ゴフゥー、ゴフゥー……」
リオンがいびきでもかいているのか、と思っていたが、だんだんと暑苦しくなり目を開けた。
見上げると、ゴブリンたちの皺だらけの顔がいくつもあった。
「うわっ!」
立ち上がってみれば、モンスターが団子状態になって俺とリオンを囲んでいる。
「ゴフゥー! ゴフゥー!」
「なにが起きているんだ……」
草山のベッドで寝ているストーンは、巨人の足に踏まれて、うなされながら悪夢をみているようだ。
リオンがやっと起きると、まだ眠そうに目をこすりながら立ち上がった。
「おはヨウ」
「おはよう……って、これ! 何が起きてるの!?」
「アア、これはねぐらが破壊されテ、私の指示がないから不安になって集まってきているんダ」
「不安になって?」
「ソウソウ。甘えているんダ」
モンスターが甘える……?
全然かわいいとは思えないし、むしろ威嚇されてるのかと思っていたが。
リオンは立ち上がると、一番手前でゴフゴフ言っているゴブリンを見つめた。
優しい母性で包み込むのかと思いきや──
「オラ!! 甘えるじゃナイ!」
ピシっとゴブリンの頬を叩く。
「自分で考えて行動シロ!!」
心なしかゴブリンは笑顔になって、興奮しながら階段を下りて行った。
それに続いて、たくさんのモンスターたちもゴフゴフ言いながら下りる。
ハチやアリなんかと一緒で、女王の命令が絶対なんだろうな。
「なんか……いたたまれなくなってきた……」
俺は巨人の下敷きになっていたストーンの様子をみにベッドに近づいた。
「うう……もう、麻痺は勘弁してくれ……」
ストーンはアーシャの夢を見ているのか、うなされている。
「こっちも、なんか可哀そうだな」
体を揺らして起こすと、ぱっちりと目を開いて正気を取り戻した。
「おー、フェアか。なんか、すごく嫌な夢をみた」
「うん。巨人の下敷きになっていたからね」
「あー、そうなのか。それよりも、ずっと恐ろしい夢だったような……」
「……体の調子はどう?」
ストーンは起き上がると、床で飛び跳ねたり、こぶしに力を入れたりした。
「ほぼ完治だな」
「すごい……」
一日足らずで毒が回復するなんて、あの謎のキノコの力なのか、ストーンの回復力がすごいのか。
「オッ、毒が消えたようダナ」
モンスターたちに指示出しをしてきたリオンが戻ってきた。
ストーンはリオンに気づくと、正面に立って頭を下げた。
「俺が間違っていたようだ。許してくれ……。昔、俺はお前を魔人という理由で殺すつもりだったが、こうやって俺の命を救ってくれた。ミーナの判断は正しかった」
「気にするナ。ドラゴンに食われそうになっていたところを助けてくれたのダカラ」
「あー……あれは、俺の判断じゃない。フェアの判断だ」
「それナラ、今度は正しい判断ができたということダナ」
「リオンはこれからどうするの? また、あの金色のドラゴンと戦うの?」
俺の問いにリオンはドラゴンが破壊した壁を見た。
「そうダナ……私たちはここを離れようかと思っていル」
「えっ? どうして? ここは母が築いた家なんでしょ?」
「この木もそろそろ年老いてキテ、昨日のドラゴンの一撃が木にとってとても悪かったんダ……」
「まー、たしかに、この大きな穴は塞げそうにないな」
穴を塞ごうとしていた巨人は、結局あきらめていなくなっていた。
「それに、ドラゴンはずっとここを攻めてイテ、たぶん私たちがいなくなるまでずっと続くだろうナ」
「そういえば、あのドラゴンってどこの魔人が操っているんだ?」
モンスターは魔人から生まれるはずなので、ドラゴンにも親玉がいるはずだ。その親玉を倒せばいいということになる。
「それガ……たぶん、この森にイナイ。どこか遠くで操っているハズ。こんなことができるのは、とてもとても強い魔人ダ」
「うーむ。ドラゴンを操る魔人なんて、想像できないな……しかも、この北の樹海にいないとなると、桁外れに強い魔人だろうな」
「まあ、上には上がいるってことダナ」
ストーンもしり込みするぐらいなのか……。それなら、リオンのいう通り退くのが得策だろう。
「それで、どこに行くか決まっているの?」
「……あまり気が進まないガ、マリアと出会った場所に行くつもりダ」
ストーンたちが踏み込んだダンジョンのことだろう。
ストーンは頭を振った。
「それはやめておけ、こことは比べられん……。そうだ! 俺たちの拠点に来るか!?」
「キョテン……?」
「まー、基地みたいなもんだよ。ねぐらだな。空き地が広いから、あそこに屋根とかを作ればどうにかなるだろ……?」
と、ストーンが俺の方を見る。
「かなりの大所帯だから、兵舎みたいなのを建てないといけないかな……。人手がいるね」
「モンスターでいいなら、いっぱいいるゾ!」
急にゾロゾロと階段をゴブリンたちが上がってくる気配がした。
「いや、いい! 集まらせなくていいから!」
またあの息苦しい団子状態になりたくない。
「それじゃ、まー、探索はここまでにして、帰るか」
俺たちは北の樹海を出ることにした。大量のモンスターを引き連れて。
「ゴフゥー、ゴフゥー……」
リオンがいびきでもかいているのか、と思っていたが、だんだんと暑苦しくなり目を開けた。
見上げると、ゴブリンたちの皺だらけの顔がいくつもあった。
「うわっ!」
立ち上がってみれば、モンスターが団子状態になって俺とリオンを囲んでいる。
「ゴフゥー! ゴフゥー!」
「なにが起きているんだ……」
草山のベッドで寝ているストーンは、巨人の足に踏まれて、うなされながら悪夢をみているようだ。
リオンがやっと起きると、まだ眠そうに目をこすりながら立ち上がった。
「おはヨウ」
「おはよう……って、これ! 何が起きてるの!?」
「アア、これはねぐらが破壊されテ、私の指示がないから不安になって集まってきているんダ」
「不安になって?」
「ソウソウ。甘えているんダ」
モンスターが甘える……?
全然かわいいとは思えないし、むしろ威嚇されてるのかと思っていたが。
リオンは立ち上がると、一番手前でゴフゴフ言っているゴブリンを見つめた。
優しい母性で包み込むのかと思いきや──
「オラ!! 甘えるじゃナイ!」
ピシっとゴブリンの頬を叩く。
「自分で考えて行動シロ!!」
心なしかゴブリンは笑顔になって、興奮しながら階段を下りて行った。
それに続いて、たくさんのモンスターたちもゴフゴフ言いながら下りる。
ハチやアリなんかと一緒で、女王の命令が絶対なんだろうな。
「なんか……いたたまれなくなってきた……」
俺は巨人の下敷きになっていたストーンの様子をみにベッドに近づいた。
「うう……もう、麻痺は勘弁してくれ……」
ストーンはアーシャの夢を見ているのか、うなされている。
「こっちも、なんか可哀そうだな」
体を揺らして起こすと、ぱっちりと目を開いて正気を取り戻した。
「おー、フェアか。なんか、すごく嫌な夢をみた」
「うん。巨人の下敷きになっていたからね」
「あー、そうなのか。それよりも、ずっと恐ろしい夢だったような……」
「……体の調子はどう?」
ストーンは起き上がると、床で飛び跳ねたり、こぶしに力を入れたりした。
「ほぼ完治だな」
「すごい……」
一日足らずで毒が回復するなんて、あの謎のキノコの力なのか、ストーンの回復力がすごいのか。
「オッ、毒が消えたようダナ」
モンスターたちに指示出しをしてきたリオンが戻ってきた。
ストーンはリオンに気づくと、正面に立って頭を下げた。
「俺が間違っていたようだ。許してくれ……。昔、俺はお前を魔人という理由で殺すつもりだったが、こうやって俺の命を救ってくれた。ミーナの判断は正しかった」
「気にするナ。ドラゴンに食われそうになっていたところを助けてくれたのダカラ」
「あー……あれは、俺の判断じゃない。フェアの判断だ」
「それナラ、今度は正しい判断ができたということダナ」
「リオンはこれからどうするの? また、あの金色のドラゴンと戦うの?」
俺の問いにリオンはドラゴンが破壊した壁を見た。
「そうダナ……私たちはここを離れようかと思っていル」
「えっ? どうして? ここは母が築いた家なんでしょ?」
「この木もそろそろ年老いてキテ、昨日のドラゴンの一撃が木にとってとても悪かったんダ……」
「まー、たしかに、この大きな穴は塞げそうにないな」
穴を塞ごうとしていた巨人は、結局あきらめていなくなっていた。
「それに、ドラゴンはずっとここを攻めてイテ、たぶん私たちがいなくなるまでずっと続くだろうナ」
「そういえば、あのドラゴンってどこの魔人が操っているんだ?」
モンスターは魔人から生まれるはずなので、ドラゴンにも親玉がいるはずだ。その親玉を倒せばいいということになる。
「それガ……たぶん、この森にイナイ。どこか遠くで操っているハズ。こんなことができるのは、とてもとても強い魔人ダ」
「うーむ。ドラゴンを操る魔人なんて、想像できないな……しかも、この北の樹海にいないとなると、桁外れに強い魔人だろうな」
「まあ、上には上がいるってことダナ」
ストーンもしり込みするぐらいなのか……。それなら、リオンのいう通り退くのが得策だろう。
「それで、どこに行くか決まっているの?」
「……あまり気が進まないガ、マリアと出会った場所に行くつもりダ」
ストーンたちが踏み込んだダンジョンのことだろう。
ストーンは頭を振った。
「それはやめておけ、こことは比べられん……。そうだ! 俺たちの拠点に来るか!?」
「キョテン……?」
「まー、基地みたいなもんだよ。ねぐらだな。空き地が広いから、あそこに屋根とかを作ればどうにかなるだろ……?」
と、ストーンが俺の方を見る。
「かなりの大所帯だから、兵舎みたいなのを建てないといけないかな……。人手がいるね」
「モンスターでいいなら、いっぱいいるゾ!」
急にゾロゾロと階段をゴブリンたちが上がってくる気配がした。
「いや、いい! 集まらせなくていいから!」
またあの息苦しい団子状態になりたくない。
「それじゃ、まー、探索はここまでにして、帰るか」
俺たちは北の樹海を出ることにした。大量のモンスターを引き連れて。
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